アスベスト(石綿)に関する規制

 ■HOMEPAGE


アスベスト(石綿)に関する規制

 

 イ アスベスト(石綿)は耐火・耐久性に優れ1970年から1990年にかけて建材向け用途を中心に、大量に輸入使用されてきた。
 ロ 石綿肺、肺がん、中皮腫(*)の発症原因となる。平成17年、労働災害のみならず周辺注民も巻き込んで社会問題化した。
 ハ 今後、建築物の老朽化に伴う解体工事の増加が予想される。


(*) 中皮腫(肺、肝臓、胃などの臓器を取り囲む胸膜や腹膜等にできる悪性腫瘍)

mokuji
 〔情報の整理〕
 H17.12.27第5回アスベスト問題に関する関係閣僚による会合
  方針 「アスベスト問題に係る総合対策」
  法案 「法律案の概要」
  H18.3.27施行新法関連情報
  石綿作業を行っていた(又はその可能性のある)方々へ−健康管理手帳について

 海外と日本の白石綿(クリソタイル)の使用禁止措置の比較
 各団体が代替化困難としている石綿含有製品の使用状況について
 石綿代替繊維の種類と有害性
 石綿による肺がん・中皮腫の労災補償状況 〔累計 肺がん354件、中皮腫502件、計856件〕
 石綿含有製品を製造し又は取り扱っている事業場に対する監督指導等の結果について(労働基準監督署が124事業場に対して実施−H17.7)
 アスベスト問題に関する厚生労働省の過去の対応の検証(厚生労働省)
 1986年の石綿条約(第162号)−日本H17.8.11批准(H18.8.11発効予定)
 アスベスト関係Q&A
★ 関係法令・通達等について







アスベスト(石綿)に関する規制

 

(1) 石綿障害予防規則

 「石綿障害予防規則」が、平成17年7月1日施行された。
 今後、増加が予想される建築物等の解体工事に係る健康障害防止に備えたものである。
 建築物等の解体工事にあたって、(1)事前調査、(2)作業計画、(3)届出、(4)特別教育、(5)作業主任者、(6)保護具、(7)湿潤化、(8)隔離・立入禁止作業(「吹付け石綿の除去を行うときは当該作業場所の隔離措置を講ずること」等)、(9)注文者の配慮等を義務づけた。
 平成17年3月18日施行通達(基発第0318003号)が、また、建材中の石綿含有率の分析方法に係る通達(H17.6.22基安化発第0633001号)が出されている。
 

(2) 石綿による疾病に係る労災認定基準

 平成15.9.19改訂(基発第0919001号)された。
   (留意事項通達「石綿による疾病の認定基準の運用上の留意点について」(平成15年9月19日、基労補発第0919001号)も出されていること。)
 改正点は、
 イ 石綿との関連が明らかな中皮腫及び疾病の認定基準内例示を増やしたこと。(中皮腫の例示に「心臓、精巣鞘膜の中皮腫」、関連疾病の例示に「良性石綿胸水」、「びまん性胸膜肥厚」を加えたこと。)
 ロ 中皮腫関連認定要件として、石綿暴露作業への従事期間を5年以上から1年以上に短縮。
 ハ 石綿暴露作業の見直し
 ニ 医学的所見に関して「胸膜プラーク(胸膜肥厚班)」、「石綿小体又は石綿繊維」の取扱い見直し
 
 さらに、平成17年度中の認定基準改定が予定されている(アスベスト問題関係閣僚会議)。
 

(3) 労災補償の対象とならない者を対象に、「新法」

 政府は、石綿被害が工場付近住民にまで拡大している現状に鑑みて、労災補償による救済の対象とならない者を対象に、石綿を原因とする「中皮腫」及び「肺がん」認定者の救済給付(医療費自己負担分、1ヶ月10万円の療養手当及び埋葬料20万円の支給。死亡には遺族一時金として280万円支給)実施のための新法「石綿による健康被害の救済に関する法律案」の制定(18年通常国会)が予定されている。

 なお、政府が「救済制度の基本的考え方」として示しているのは、次のようなもの。

 すなわち、「本救済制度は、石綿が長期間にわたって我が国の経済活動全般に幅広くかつ大量に使用されてきた結果、多数の健康被害が発生してきている一方で、石綿に起因する健康被害については長期にわたる潜伏期間があって因果関係の特定が難しく現状では救済が困難である(※)という特殊性にかんがみ、石綿による健康被害者であって労災補償による救済の対象とならない者を対象とし、事業者国及び地方公共団体が全体で費用負担を行い(※)、石綿による健康被害者の間に隙間を生じないよう迅速かつ安定した救済制度を実現しようとするものである。」(第5回アスベスト問題に関する関係閣僚による会合)

(※) アスベスト使用で利益をあげてきた企業の特定はできる。 逆に、「業態がオフィス系で事業もアスベストと無関係な企業」や「設立後、数年にしかならない企業」に、どのような責任がある?
(※) 筋の通らない話だ、

 国民(消費者、石綿使用住宅の居住者など)は、もちろん被害者である。
 大半の企業もまた、被害者である
 加害者が死亡したり、倒産してしまったのか。否!
 では、何故に、被害者企業が、加害者企業(と政府の不作為)の尻拭いのために「義援金」を拠出するのか。
 仮に、一歩譲って、義援金の止むなき場合もあろう。 しかし、それは、「責任処理の終わった後」の話だろう。
 だれが加害行為を働いたのか、そのことで利益を得たものはいなかったのか、を明らかにして
 まず、加害者企業が、賠償責任を全うすべきである。
 しかる後に、「義援金」の拠出を募るのがものの順序だ。
 アメリカの石綿訴訟では、加害者企業は「7兆6,000億円」もの賠償責任を果たした。アスベスト使用を通じて利益を得てきた加害者企業の多くが、倒産した。その数は、60とも70ともいわれている。
 日本だけ、賠償もなく倒産もなく、無傷で逃げおおせるのだろうか。



H18.3.27 石綿による健康被害の救済に関する法律 が施行された。
同、施行令
同、施行規則 も交付施行されていますので、詳細はこのリンク先を参照してください。

 

 

(参考) 粉じん障害防止

 粉じん作業における作業環境測定、粉じん発散の抑止、呼吸用保護具の使用、特別教育の実施のほか、就業時及び定期の「じん肺健康診断」の実施を義務づけている。
 定期じん肺健康診断の実施頻度は、従事作業及びじん肺管理区分(*)に応じて次のような違いがある。  

 常時粉じん作業に従事する労働者 管理1「3年以内ごとに一回」
管理2,3「1年以内ごとに一回」
 常時粉じん作業に従事したことがあり、現に非粉じん作業に従事している労働者 管理2「3年以内ごとに一回」
管理3「1年以内ごとに一回」

 なお、じん肺管理区分が2又は3の判定を受けた労働者は、その後、1年以内ごとに一回、「肺がんに関する検査」(胸部らせんCT検査、喀痰細胞診による合併症検査)をうけることが必要とされました(平成15年4月1日以降)。

(*) じん肺健康診断の結果「じん肺所見あり」とさえた者は、都道府県労働局長にエックス線写真等を提出して「じん肺管理区分」の決定を受ける必要がある。