18-25 ベースアップを遡及適用するとした場合、割増賃金も遡及払いしなければならないか

■ 労使の賃金交渉が長引き、妥結時点から遡及してベースアップを適用する例は多い。この場合、割増賃金も新ベースによって遡及払いしなければならないかであるが、ベースアップの確定によって旧賃金との差額を後日に一括して支払った場合「それは各月に支払われたものとして取扱う。」(S22・11・5基発第233号)もので、これを臨時に 支払われた賃金とは取扱わないのが通例。

■ 一括払いの遡及賃金が各月に支払われたとみなされる以上、割増賃金も新ベースにより計算され旧賃金との差額を支払わなければならないこととなる。
割増賃金の規定は強行規定であるから、労使で割増賃金の部分のみ差額支給を行わないとする協定を締結しても無効。
なお、遡及額の支払は「遅くともそのその直後の賃金支払日に支給を要する。」(S23・4・22基収第1065号)が、個人配分額の計算等の確定に要する合理的な必要期間の直後の支払期に支払うことは差し支えない、と解する。[労務安全情報センター]