22-06 地域別最低賃金の決定に当たっての「考慮要素」並びに「生活保護」の水準との関係について
■ 最低賃金法のH19年改正(H20.7.1施行)では、地域別最低賃金の決定要素として、@地域における労働者の生計費、A賃金、B通常の事業の支払能力を考慮しなければならない(最賃法9条2項)。また、同9条3項において、前記@の労働者の生計費を考慮するに当たっては、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と特記されています。
■ 法律の規定の趣旨から、地域別最低賃金は今後、生活保護の水準を下回らない水準での決定が考慮されることになりそうです。(改正最低賃金法のH20.7.1施行の時点で、12都道府県(*)の地域別最低賃金が同地域の生活保護の水準を下回っており、今後3から5年で逆転現象を解消する方針が示されました。)最低賃金が生活保護費の水準より低いことについては、最低生計費の保障という観点から問題であるとともに、就労に対するインセンティブの低下やモラルハザードの観点からも問題視されていました。
(*) 平成18年データに基づく生活保護費と最低賃金額との乖離額
「神奈川県(108円)、東京都(100円)、北海道(63円)、埼玉県(56円)、大阪府(53円)、京都府(47円)、広島県(37円)、兵庫県(36円)、千葉県(35円)、宮城県(31円)、青森県(20円)、秋田県(17円)」。これらのデータは、手取り額である最低賃金額と若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内人口加重平均に住宅扶助の実績値を加えたものとにおいて比較されています。 [労務安全情報センター]