28-12 「特別条項」付き36協定とは何か

■ 平10.12.28労働省告示第154号「限度基準告示」は、第3条但し書において、延長限度時間の例外的取扱いを認めている。これが「特別条項付き三六協定」と呼ばれるものですが、制度の趣旨は、通常の時間外労働は限度時間の枠内に収まるが、臨時的に限度時間を超えて行う特別の事情が生ずることへの対応をとるためとされています。

■ 特別条項付き三六協定の締結にあたっては、次の点に留意します。

  <特別条項の例>

 「一定期間のついての延長時間は1ヵ月45時間とする。ただし、納期が集中し生産が間に合わないときは、労使の協議を経て、1ヵ月60時間までこれを延長することができる。この場合、延長時間をさらに延長する回数は、6回までとする。」

■ 特別条項は四つの条件(原則の延長時間/特別の事情=臨時的なものに限る(1年の半分を超えないことが見込まれるものを指す)/労使協議の手続/特別延長時間とその限度回数(この回数は特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないこと))を記載する。
 前記特別条項の例はシンプルであるが、これらの条件を満たしている(「特別な事情」は、より具体的なものとし、それが臨時的なものであることの分かるように記すことが望ましい。)
 特別延長の限度回数は、一定期間の期間によって異なり、一定期間が1週間では26回、2週間では13回、1ヶ月では6回、3ヶ月では2回が限度となります。なお、限度回数のない特別条項付き三六協定は、労働基準法第36条第4項の指導助言の対象となります。
 なお、法第33条の「災害その他避けることのできない事由」は、当該条項の趣旨に沿って運用すべきであり、特別条項付き三六協定の対象とすることはできません。
 
■ 特別延長の手続きは、最多労働者が原則の延長時間を超える前に実施する必要があります。事後手続きは認められていません。なお、手続きの内容は記録に残すことを要しますが、労基署への届出は必要ありません。 [労務安全情報センター]