31-03 代休をめぐる誤解

■ 労働基準法には代休という制度はありません。したがって、代休付与を根拠づける規定というのものはありません。休日労働に対して法律が要求しているのは休日割増賃金の支払いです。すなわち、休日労働をさせたときは労働基準法第37条に基づき割増賃金を支払う義務はありますが、その余の給付義務はない(代休を与える義務はない)ということです。

■ もちろん、休日労働に対して、割増賃金の支払義務を果たした上で、任意に代休付与を行うことを禁止する法もありませんから、その行為が否定されるものではないでしょう。ただ、休日労働に対して代休を付与すれば、その休日労働を帳消しにできるとする誤解があるとすれば、注意を要します。

■ 勤怠管理上は休日労働をさせた以上、その後になって代休を与えても休日労働の事実は消すことができませんから、帳消しになるとの誤解に立って割増賃金を支払っていない場合は、労働基準法第37条違反(6か月以上の懲役又は30万円以下の罰金)となります。

■ (備考)代休は、無償で与える代償休暇と考えるべき性質のものですから、極めてレアケースとして休日労働がある事業場の場合では、割増賃金の支払いに加えて代休を無償付与することも検討されてよいと思われますが、頻繁に休日労働がある事業場では、代休制度の存続の合理性も再検討される必要があると思われます。 [労務安全情報センター]