54-08 契約社員と年俸制賃金

■ 契約社員の中には、年俸制の賃金契約が行われる場合があります。

■ 基本年俸の構成部分はつぎのような例が多いようです。
○基本年俸の構成は、職能給制度を採用している企業であれば、その主要な構成要素である「職能給+年齢給+諸手当」の年齢給部分を役割給に置き換え「職能給+役割給+諸手当」の賃金体系に変更して、これを12倍して基本年俸に持っていくケース。
○「年齢給」は刻み幅の大小はあっても、漸増する傾向があるが、「役割給」は役割が上がれば上がり下がれば下がるという可変要素を持った賃金であるところに違いがあります。
○「職能給」は通常、毎年1号昇級などの定昇制度を持っている例が多いから、この場合は、年俸制においてもその限りでの賃金上昇は行われ、ベースアップも当然に反映されることとなります。
○日本型の年俸制は、ベースとなる賃金体系があって、それを、職能年俸、役割年俸等として年俸額に換算しているわけですから、基本となる賃金体系がしっかり整備されていることが大切になります。

■ 年俸制における基本年俸以外の手当にはつぎのような例が多いようです。
○年俸以外に支給される手当てで代表的なものは、単身赴任手当と通勤手当です。
○その他、地域手当、家族手当など。
○諸手当の支給は、年俸制に移行しない社員との均衡上、手を加えない例の方が多いようです。
○法律的上の重要な取り扱い事項の一つとして、非管理職(厳密には非管理監督者)には、時間外労働手当の支払いが必要です。(明確な積算内訳が存在しない限り、年俸額に時間外手当が含まれているとの主張は、成立しないものとされています。) [労務安全情報センター]