54-09 会社の「一時帰休」で休業手当を受けながら、アルバイトで稼いでもよいか

■ 会社経営不振のため「一時帰休」(自宅待機)を命ぜられた場合など、その休業は、「会社の責めに帰すべき事由による休業」であると考えられますから、労働者に対しては労基法第26条により「100分の60以上の休業手当の支払いが必要となります。この取扱いは、契約社員であても、同様です。

■ 一時帰休(自宅待機)の休業期間については、100分の60以上の休業手当の支払いが行われますが、この休業期間中に、労働者(契約社員)がアルバイトをして、別途、収入を得たような場合には、会社からの休業手当をもらったまま、アルバイト賃金を二重に得てよいのかが問題となります。

■ 前記の場合の取扱いについては、最高裁判決(S37.9.18第三小法廷判決)があって、「それが副業的なものであって解雇がなくても当然取得できるなど特段の事情がない限り」、原則として、賃金額から控除すべきであるとしています。と同時に、その控除限度額について、「労基法第26条の趣旨に照らし、その減額は100分の40までを限度とする」と判決しています。

■ したがって、会社の経営不振で一時帰休中に、契約社員が、別途アルバイトで得た収入があるような場合は、(1) 会社の休業期間中の休業手当が100分の60である場合は、控除せずそのまま受領すればよいし、(2) 同会社の休業手当が100分の60を超え、たとえば、100分の100を支払っていた場合であれば、60%を上回る40%部分の休業手当については、アルバイトをした契約社員への支払いから控除できるという取扱いになります。 [労務安全情報センター]