派遣労働・医療関連業務の範囲について−H15.3.28通達

 ■HOMEPAGE
 
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労働者派遣事業を行うことが適当でない業務として定められている医業等の医療関連業務の範囲について



1.改正の要点
@医療法に規定する病院、診療所(
厚生労働省令で定めるものを除く。)、助産所、A介護保険法に規定する介護老人保健施設、B医療を受ける者の居宅において行われる業務に限ることとしたこと。これにより、@からBに掲げる施設以外の場所(社会福祉施設等)において行われる医業等の医療関連業務については、労働者派遣事業の対象業務となること。

2.ここでは、以下の通達2本を掲載。
イ.平成15年3月28日付け職発第0328008号・厚生労働省職業安定局長から各都道府県労働局長あて
ロ.平成15年6月13日付け厚生労働省医政局長、厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、厚生労働省社会・援護局長、厚生労働省老健局長から各都道府県知事あて








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○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令等について
(平成15年3月28日付け職発第0328008号・厚生労働省職業安定局長から各都道府県労働局長あて)

 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成15年政令第120号。以下「改正政令」という。)及び「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成15年厚生労働省令第59号。以下「改正省令」という。)が別添1及び別添2のとおり公布され、本日より施行されることとなったところである。
 また、これに併せて、平成11年11月17日付女発第325号・職発第814号「「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律、関係政省令等の施行について」別添「労働者派遣事業関係業務取扱要領」」を別添3のとおり改正し、本日より施行することとしたところである。
 これらの概要等については下記のとおりであるので、貴職におかれては、下記内容を十分理解の上、関係者への周知等その施行に遺漏なきようにされたい。


1 改正政令の概要

 労働者派遣事業を行うことが適当でない業務として定められている医業等の医療関連業務の範囲について、@医療法に規定する病院、診療所(厚生労働省令で定めるものを除く。)、助産所、A介護保険法に規定する介護老人保健施設、B医療を受ける者の居宅において行われる業務に限ることとしたこと。これにより、@からBに掲げる施設以外の場所(社会福祉施設等)において行われる医業等の医療関連業務については、労働者派遣事業の対象業務となること。

2 改正省令の概要

 上記1の@の厚生労働省令で定める診療所は以下のとおりとしたこと。
 @ 身体障害者療護施設の中に設けられた診療所
 A 労災リハビリテーション施設の中に設けられた診療所
 B 養護老人ホームの中に設けられた診療所
 C 特別養護老人ホームの中に設けられた診療所
 D 原子爆弾被爆者養護ホームの中に設けられた診療所

3 労働者派遣事業関係業務取扱要領の改正の概要

 改正政令及び改正省令の施行に伴い、別添3のとおり所要の改正を行うものとすること。

(別紙1) 略
(別紙2) 略



 

労働者派遣事業関係業務取扱要領(改正案)



第2 適用除外業務等

 2 適用除外業務の範囲

  (5) その他の業務

   イ 1の4)に該当する業務は、次に掲げる業務をいう。

    ・医師法(昭和23年法律第201号)第17条に規定する医業 (病院若しくは診療所(厚生労働省令で定めるものを除く。以下「病院等」という。)、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)

    ・歯科医師法(昭和23年法律202号)第17条に規定する歯科医業 (病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)

    ・薬剤師法(昭和35年法律第146号)第19条に規定する調剤の業務 (病院等において行われるものに限る。)


 

    ・保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第2条、第3条、第5条、第6条及び第31条第2項に規定する業務 (※1) (他の法令の規定により、保健師助産師看護師法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができることとされている業務 (※2)を含み、病院等、助産所、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるもの(訪問入浴介護に係るものを除く。)に限る。)

      ※1)「保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第2条、第3条、第5条、第6条及び第31条第2項に規定する業務」とは、 具体的には、保健師、助産師、看護師及び准看護師の業務である保健指導、助産、療養上の世話及び診療の補助 をいう。

      ※2)「 他の法令の規定により診療の補助として行うことができることとされている業務 」とは 、歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、言語聴覚士 の行う業務 が含まれる。

    ・栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条第2項に規定する業務(傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導に係るもの であって、病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるもの に限る。)

    ・歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)第2条第1項に規定する業務 (病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)

    ・診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)第2条第2項に規定する業務 (病院等、介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われるものに限る。)

    ・歯科技工士法(昭和30年法律168号)第2条第1項に規定する業務(病院等において行われるものに限る。)


    ロ 労働者派遣事業を行うことができない医業等の医療関連業務は、イに掲げるとおり、@病院、診療所(厚生労働省令で定めるものを除く。※3)、助産所、A介護老人保健施設又はB医療を受ける者の居宅において行われるものに限られる。

      このため、@からB以外の施設等(社会福祉施設等)において行われる医業等の医療関連業務は労働者派遣事業の対象となる。


      【労働者派遣事業の対象となる施設の例】

      ・養護老人ホーム

      ・特別養護老人ホーム

      ・軽費老人ホーム

      ・老人デイサービスセンター

      ・老人短期入所施設

      ・老人介護支援センター

      ・身体障害者療護施設

      ・身体障害者更生施設

      ・身体障害者授産施設

      ・知的障害者更生施設

      ・知的障害者授産施設

      ・乳児院

      ・保育所

      ・知的障害児施設

      ・知的障害児通園施設          等


      注)これらの施設は例示であって、これらの施設以外の施設であっても、上記の@〜B以外の施設等において行われる医業等の医療関連業務は、労働者派遣事業の対象となる。

     ※3)診療所において行われる医業等の医療関連業務については、原則として労働者派遣事業の対象とならないが、以下の診療所において行われる医業等の医療関連業務については、労働者派遣事業の対象となる。

      @ 身体障害者療護施設の中に設けられた診療所

      A 労災リハビリテーション施設の中に設けられた診療所

      B 養護老人ホームの中に設けられた診療所

      C 特別養護老人ホームの中に設けられた診療所

      D 原子爆弾被爆者養護ホームの中に設けられた診療所


    ハ なお、社会福祉施設であっても、以下の施設は医療法上の病院、診療所又は助産所である場合がほとんどであり、その場合は労働者派遣事業の対象とならないので留意すること。

     @肢体不自由児施設

     A肢体不自由児通園施設

     B重症心身障害児施設

     C第1種自閉症児施設

     D助産施設

     E医療保護施設


    ニ 「医療を受ける者の居宅」において行われる医療関連業務については、一般の住居において行われるもの限らず、労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等において行われる往診・訪問看護についても該当するので留意すること。


    ホ 訪問入浴介護において看護師又は准看護師が行うサービス利用者の身体の状況の把握等の業務は、居宅において行われる療養上の世話及び診療の補助の業務に該当するが、上記イのとおり労働者派遣事業の対象となる。


    ヘ  病院等における看護補助の業務についてはイに掲げる業務には含まれず、労働者派遣を行うことができるので留意すること。


    ト  また、ホームヘルパー等介護の業務についてはイに掲げる業務には含まれず、労働者派遣を行うことができるの留意すること。

     なお、介護業務の労働者派遣の形態としては個人家庭に対するもの、病院、福祉施設等に対するもの、介護業務の受託業者に対するものが想定される。






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○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の施行について〔労働者派遣事業法〕
(平成15年6月13日付け医政発第0613001号/職発第0613001号/雇児発第0613001号/社援発第0613001号/老発第0613001号)
(各都道府県知事あて−厚生労働省医政局長、厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、厚生労働省社会・援護局長、厚生労働省老健局長)

 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成15年政令第120号。以下「改正政令」という。)及び「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成15年厚生労働省令第59号。以下「改正省令」という。)が平成15年3月28日に公布され、同日付けで施行されたところである。その改正の概要、留意事項等は以下のとおりであるので、御了知の上、管内市町村、関係団体等にその周知徹底を図り、その円滑な運用に万全の対応をしていただくようお願いしたい。

第1 改正の概要

(1) 改正の概要
 今般の改正では、医師、歯科医師、看護師等が行う医療関連業務については、当該業務が行われる場所にかかわらず一律に労働者派遣事業を行うことを禁止してきた取扱いを改め、以下の施設等において行われるものについては引き続き禁止し、それ以外のものについては労働者派遣事業の対象とするものとする。
 なお、改正政令及び改正省令の内容については、別紙1及び別紙2を参照されたい。
 @ 医療法第1条の5第1項に規定する病院
 A 医療法第1条の5第2項に規定する診療所(以下に掲げるものを除く。)
  ・ 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第30条に規定する身体障害者療護施設の中に設けられた診療所
  ・ 労働福祉事業団法(昭和32年法律第126号)第19条第1項第1号に規定するリハビリテーション施設(労災リハビリテーション施設)の中に設けられた診療所
  ・ 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホームの中に設けられた診療所
  ・ 老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホームの中に設けられた診療所
  ・ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)第39条に規定する養護事業を行う施設(原子力爆弾被爆者養護ホームの中に設けられた診療所
 B 医療法第2条第1項に規定する助産所
 C 介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第22項に規定する介護老人保健施設
 D 居宅(往診、訪問看護、訪問リハビリテーション等)
 なお、労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等の入所者に対して往診、訪問看護、訪問リハビリテーション等が行われた場合も該当する(引き続き労働者派遣事業は禁止される)こととなるので、念のため申し添える。


(2) 労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等

 今回の改正に伴い、
  ・ (1)の@からDに掲げるもの以外の場所(社会福祉施設等)において行われる医療関連業務
  ・ D居宅において行われるもののうち、訪問入浴介護における看護師・准看護師の行う医療関連業務については、労働者派遣事業の対象となる。
 なお、有料老人ホーム、軽費老人ホーム等において行われる医療関連業務については、今回の改正により派遣の対象となる。(往診、訪問看護、訪問リハビリテーション等を除く。)


(3) 社会福祉施設のうち病院、診療所又は助産所であるものの取扱い

 社会福祉施設のうち、施設全体が医療法に規定する病院、診療所又は助産所であるものについては、引き続き労働者派遣事業の対象とはならない。(例:重症心身障害児施設、肢体不自由児施設)
 なお、これらの施設や上記(1)Aに掲げる施設における病院、診療所又は助産所の開設に際しては、従来どおり、医療法上の病院又は診療所の開設に係る所要の手続を行う必要があるので留意されたい。


第2 労働者派遣制度の趣旨・概要

 労働者派遣制度の趣旨・概要については以下のとおりであるので、十分に御了知されたい。詳細については別紙3のパンフレットを参照されたい。
 なお、派遣労働者の受入れ等制度の詳細について不明な点等があれば適宜、都道府県労働局又は公共職業安定所に相談されたい。

 (1) 労働者派遣制度の趣旨
  労働者派遣制度は、臨時的・一時的な労働力の需給調整のための制度として位置付けられているものであり、この考え方に基づき、派遣期間の制限が設けられていること。

 (2) 派遣期間の制限
  派遣先は、派遣就業の場所ごとの同一の業務について、原則として1年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととされていること(法第40条の2第1項)。
  派遣先は、派遣契約を更新したり、派遣元事業主又は派遣労働者を交替しても、1年を超えて継続して労働者派遣を受けることはできないものであること。
  なお、専門的知識、技術や特別な雇用管理を必要とする業務として政令で定める業務(事務用機器操作、ソフトウェア開発等のいわゆる26業務)については、原則1年の派遣期間の制限の対象外となっているが、医療関連業務はこれに該当せず、1年の派遣期間の制限の対象となるものであること。

 (3) 派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限
  派遣先は、労働者派遣契約を締結する際、事前面接や履歴書の送付等の派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないこととされていること(法第26条第7項)。
  また、派遣元事業主は派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこととされていること。(法第26条第7項・派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針)


第3 社会福祉施設等が派遣労働者を受け入れる際の留意点

 今回新たに医療関連業務について労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等において、労働者派遣により労働者を確保する場合には、事前に派遣労働者を特定することができないこと等労働者派遣制度の特性を十分に踏まえるとともに、医療関連業務の適正実施の観点から、以下の点に留意の上、適切に対応する必要があること。

 (1) 派遣元事業主の選定に当たっての留意事項
  派遣元事業主を選定する際には、派遣される医療従事者の質の確保が当該施設等において適切なサービスを提供するために必要不可欠であることを踏まえ、派遣元事業主の登録している労働者に対する
  ・ 知識、技術又は経験についての把握状況
  ・ 教育訓練の実施の有無等について、十分に確認の上適切な派遣元事業主を選定するよう努めること。

 (2) 業務内容の把握と派遣元事業主に対する適切な説明
  労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣労働者が従事する業務の内容を把握し、当該業務を行うために求められる知識、技術又は経験等について、派遣元事業主に対して 事前に十分に説明し、派遣元事業主がそのニーズに応じた労働者の選定ができるよう努めること。
  なお、医療関係資格者について派遣を受ける場合には、以下のような条件を付けることは可能であること。
  (例) 勤務年数、社会福祉施設等における勤務経験

 (3) 労働者派遣契約における必要な条件の設定
  労働者派遣契約を締結する際には、派遣元事業主の都合により頻繁に派遣労働者が変更されることのないよう、派遣を受ける社会福祉施設等が希望する場合、
  @派遣労働者は、当該社会福祉施設における就業開始後に、就業の継続を拒否する自由を妨げられないこと、
  A派遣労働者の年次有給休暇、育児休業等の取得等の派遣労働者の権利(派遣元事業主と派遣労働者との雇用契約上の権利を含む。)を害することのないことを明らかにした上で、派遣元事業主が選定した派遣労働者を継続的に派遣する趣旨の規定を労働者派遣契約に盛り込むなど、派遣労働者の交替について事前に契約事項として定めておくことは可能であること。

(4) 派遣労働者受入後の対応
  派遣労働者を受け入れた場合には、当該派遣労働者と当該施設等において直接雇用している医師・看護師等の医療職や寮母等の福祉職等の職員との相互の能力把握や意思疎通が十分になされるよう、必要な措置を講じるよう努めること。

(5) 円滑な業務引継のための対応
  派遣労働者の交替により業務の引継ぎの必要が生じた場合でも円滑に業務の引継ぎができるよう、業務に関する記録の作成や管理方法等の標準化に努めること。

(6) 責任の所在の明確化
  一般に、派遣労働者の業務遂行に伴い入所者等の第三者に損害を与えた場合、派遣元事業主と派遣先との間においては、社会福祉施設等が派遣先として損害賠償責任を負うものと考えられることを前提に、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結する際には、損害賠償を含む責任の所在について明確にするよう努めること。

(7) 入所者等のプライバシー保護に対する配慮
  社会福祉施設等で医療関連業務に従事する派遣労働者に対しても、医療資格者の守秘義務等について、改めて十分に認識させること。


第4 施行期日

平成15年3月28日

(別紙1) 略
(別紙2) 略