退職後に同業他社に就職する場合の注意事項
−−−競業禁止はどのような場合に許されるか
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目次

■競業避止義務に関する原則的取扱い
■競業避止について、あらかじめの当事者が合意(特約あり)している場合
 ・特約の合理性判断基準
■退職後の同業他社への就職と退職金をめぐるトラブル
 ・退職金の減額支給
 ・退職金の全額不支給
■不法行為だとの訴えは
■競業避止義務に関する労働判例の紹介


















原則
1、特約もなしに職業選択の自由を拘束することはできない!


 「(会社に在職中に)習得した業務上の知識、経験、技術は労働者の人格的財産の一部をなずもので、これを退職後に各人がどのように生かし利用していくかは各人の自由に属し、特約もなしにこの自由を拘束することはできない。」(中部機械製作所事件、金沢地裁、S43.3.27判決)というのが大原則だ。

 憲法第23条に職業選択の自由がうたわれている以上、この原則は当然だろう。






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2、では、あらかじめの競業避止に関する合意特約があれば制限できるか、ということについてはどうだろう。

 一応、「YES」ということになっている。
 厳しい制限付きということになるが、、、。

この点について判例をみると、おおむね次のように整理ができそうだ。


●特約の合理性判断基準(とくに、代償の必要性については重視される傾向にあること。)


根拠とする就業規則上の規定等を要すること。(被用者と使用者のあらかじめの合意の存在)

当該使用者のみが有する特殊固有な知識、技術や人的関係などの(一般的知識、技術でないこと)秘密の保護であり、正当な目的を有するものであること。

競業制限の職種、期間、地域的制限が被用者の職業選択の自由を不当に制約するものでないこと。

被用者の元使用者のもとでの地位・職務が営業秘密に直接関わるなど、競業避止を課すに相当なものであること。

相当の代償が与えられ、被用者と使用者の各々の法益の保護においてバランスがとれていると判断されるものであること。


以上の特約の存在とその合理性は重要な争点なので、一つ基本的な判例を紹介する。

フォセコ・ジャパン・リミテッド事件(奈良地裁S45.10.23判決)

 「競業禁止の特約は、経済的弱者である被用者から生計の道を奪い、その生存の道を脅かすおそれがあると同時に被用者の職業選択の自由を制限し、又競争の制限による不当な独占の発生するおそれ等を伴うからその特約締結につき合理的な事情の存在することの立証がないときは一応営業の自由に対する干渉とみなされ、特にその特約が単に競争者の排除、抑制を目的とする場合には、公序良俗に反し無効であることは明らかである。

 ・・・しかしながら、当該使用者のみが有する特殊な知識は使用者にとり一種の客観的財産であり、・・・営業上の秘密として営業上の自由とならんで共に保護されるべき法益というべく、そのため一定の範囲において被用者の競業を禁ずる特約を結ぶことは十分合理性があるものと言うべきである。

 ・・・特約の合理的範囲を確定するにあたっては、制限の期間、場所的範囲、制限の対象となる職種の範囲、代償の有無等について、債権者の利益(企業秘密の保護)及び債務者の不利益(転職、再就職の不自由)及び社会的利害(独占集中のおそれ、それに伴う一般消費者の利害)の3つの視点に立って慎重に検討していくことを要する。」






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3、次に、よく問題となるのが退職金の支払いをめぐるトラブルだ!

 例えば、退職金規定によって競業避止義務に違反したら退職金を支払わない(競業行為は懲戒解雇にする、懲戒解雇だから退職金はでない。)、あるいは減額するという定めが許されるかという問題がある。




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イ 退職金の減額支給


 この点では、S52年の最高裁の判例があって、「同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、・・・支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、」一応認められるということになっている。
 しかし、その理由が「退職金が功労報償的な性格を併せ有することをかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。」というもので、ちょっと退職金に対する捕らえ方の感覚が一時代前のものであることが気になるが、、、。
 結論において、当面はこの最高裁判例に従う必要があるということだ。

 なお、下級審では「退職金規定の減額支給条件が抽象的(退職後に使用者にとって不都合な行為を行った場合は退職金を減額する)であって、一義的に理解できない場合は(直ちに無効ではないとしても)、規範的役割は希薄なものでしかないのであるから、背信性が強い場合に限りその適用を許すべき。従って、退職金の減額は許されない。」(ベニス事件、東京地裁、H7.9.29判決)等の判決がある。



以下、この最高裁判例の要旨を紹介する。

三晃社事件(最高裁第二小法廷S52.8.9判決)

 「被上告会社が営業担当社員に対し、退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもって直ちに社員の職業選択の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがって被上告会社がその退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が功労報償的な性格を併せ有することをかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。

 すなわち、この場合の退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の程度においてしか発生していないこととする趣旨であると解すべきであるから、右の定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、所論の同法第3条、16条、24条及び民法第90条等の規定にはなんら違反するものではない。」




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ロ 退職金の全額不支給

 次に、退職金の全額不支給の問題。これは実質的に競業避止義務違反が懲戒解雇に相当するか、という問題に置きかえることもできるのだが、この点については判例は厳しい姿勢をとっているようだ。


中部日本広告社事件(名古屋高裁、H2.8.31判決)

 控訴人は23年11ヶ月の在職の後、広告業を営む被控訴人会社を退職し、退職後、直ちに自営の広告代理業を始めた。会社の就業規則には、退職後6ヶ月以内に同業他社に就職した場合(自営を含む)には退職金を支給しない旨の定めがあった。
 これについて「退職金全額不支給条項に基づいて退職金不支給が許されるのは、競業関係の存在のみならず、労働の対償を失わせる(に相当な)会社に対する背信性が認められる場合に限る。控訴人は退職金請求権を有するというべき。」と判示している。
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 また、そもそも就業規則(退職金規定)に具体的な不支給事由の明示がないようなケースでは、
 「会社の従業員に法律上競業避止義務はなく、被告会社の就業規則にもその旨を定めた規定はないから、競業関係にある会社に就職してもこれをもって懲戒解雇事由とするわけにはいかない。」(三条食品事件、山形地裁、S62.9.29判決)という判断を示している。

 さらには、原告Tは退職直前(3日前)に、会社の用紙に退職及び同業のT観光に就職した旨挨拶を記して土産もの店等関係筋にファックスで送った行為をとらえ、退職金を支払わなかった事件について、「(在職中同種の業を開業し、開業の準備をしたとき)とする懲戒解雇事由に該当するとはいえない。」と、競業避止義務違反が存在しないと認定したものもある。(タビックスジャパン事件、東京地裁、H6.12.12判決)






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4、もう一つ競業避止に関連した訴えとして、不法行為に当たるとして損害賠償を求めるものがある。

 労働者の行為が「不法行為」に当たるとする訴えも、少なくない。
 不法行為にもとづく損害賠償請求は、競業避止に関する特約がない場合でも訴えが成立する場合があることに特徴がある。













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競業避止義務に関する
労働判例の紹介





No

事件名

裁判所

判決日

事件の概要
 
中部機械製作所事件 金沢地裁 S43.03.27
「一般に労働者が雇用関係継続中、(競業避止義務)を負担していることは当然であるが、その間に習得した業務上の知識、経験、技術は労働者の人格的財産の一部をなずもので、これを退職後に各人がどのように生かし利用していくかは各人の自由に属し、特約もなしにこの自由を拘束することはできない。」
 
フォセコ・ジャパン・リミテッド事件 奈良地裁 S45.10.23
「競業禁止の特約は、経済的弱者である被用者から生計の道を奪い、その生存の道を脅かすおそれがあると同時に被用者の職業選択の自由を制限し、又競争の制限による不当な独占の発生にするおそれ等を伴うからその特約締結につき合理的な事情の存在することの立証がないときは一応営業の自由に対する干渉とみなされ、特にその特約が単に競争者の排除、抑制を目的とする場合には、公序良俗に反し無効であることは明らかである。

・・・しかしながら、当該使用者のみが有する特殊な知識は使用者にとり一種の客観的財産であり、・・・営業上の秘密として営業上の自由とならんで共に保護されるべき法益というべく、そのため一定の範囲において被用者の競業を禁ずる特約を結ぶことは十分合理性があるものと言うべきである。

・・・特約の合理的範囲を確定するにあたっては、制限の期間、場所的範囲、制限の対象となる職種の範囲、代償の有無等について、債権者の利益(企業秘密の保護)及び債務者の不利益(転職、再就職の不自由)及び社会的利害(独占集中のおそれ、それに伴う一般消費者の利害)の3つの視点に立って慎重に検討していくことを要する。」
 
久田製作所事件 東京地裁 S47.11.01
退職後の競業が「業務上の秘密を漏らし又は漏らそうとしたとき」に当たるとして、懲戒解雇に処し退職金を不支給とした事件。
「退職後の競業避止ないし秘密保持の義務に関し、原被告間に合意事項が存在しない限り、原告が被告会社を退職して、自営たると雇用たるとを問わず、右経験及び技能を活かして被告と同種の製造業務に従事することは、これによって被告のいわゆる製法上の秘密が漏れるからといって、亳も妨げられるものではない。」
 
三晃社事件 最高裁第二小法廷 S52.08.09
「被上告会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもって直ちに社員の職業選択の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがって被上告会社がその退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が功労報償的な性格を併せ有することをかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。

すなわち、この場合の退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の程度においてしか発生していないこととする趣旨であると解すべきであるから、右の定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、所論の同法第3条、16条、24条及び民法第90条等の規定にはなんら違反するものではない。」
 
福岡県魚市場事件 福岡地裁久留米支部 S56.02.23
原告Kは被告会社の営業課長。Kは、被告会社と競業関係にたつ新会社設立のために、相当以前から積極的に関与し、、、仲買組合の幹部らと相通じ、同市場の主としてせり業務に従事する就業員の引抜きを図ってこれを実行した事実(をもととした)懲戒解雇は適法かつ有効である。
 
高蔵工業事件 名古屋地裁 S59.06.08
任意退職後に懲戒解雇事由が発覚した場合の退職金支払い義務が争われた事件。
「原告Tが被告との間に雇用契約終了後の競業避止義務について何らかの特約があったとの主張、立証はないから、・・・・・被告と同種の業務に従事することは、同原告の職業選択の自由(営業の自由)に属することであり、何ら制限されないというべきである。」
 
福井新聞社事件 福井地裁 S62.06.19
被告F及び被告Sは、被告会社の元常務が同県内に起こした日刊紙の発行に協力するため被告会社を退職し、同日刊紙の幹部になった。その際、真の退職理由を秘して退職金の支給を受けたのは不当利得にあたるとして提訴した被告会社の主張を認めた事件。
なお、被告会社の就業規則には「社の都合をかえりみず退職し会社の業務に著しく損害を与えたとき」としかなく、明確な競業避止条項は存在しなかった。(?のつく判決)
 
三条食品事件 山形地裁 S62.09.29
原告らは被告会社の元取締役が創業した競業会社に就職したため、無断欠勤、無断転職等を理由に懲戒解雇したとして退職金を支払わなかった事件。
「会社の従業員に法律上競業避止義務はなく、被告会社の就業規則にもその旨を定めた規定はないから、競業関係にある会社に就職してもこれをもって懲戒解雇事由とするわけにはいかない。」
 
日本教育事業団事件 名古屋地裁 S63.03.04
会社幹部Tが、在職中に、その地位を利用して傘下の各支社の従業員を勧誘して被告会社から独立して会社と完全に競合して同一の商品を同一の方法で販売することを企て、その意図のもとに一連の職務放棄、社員の引き抜き、配転命令拒否などを行った事件で、Tの懲戒解雇を有効とした。
 
10 中部日本広告社事件 名古屋高裁 H02.08.31
控訴人は23年11ヶ月の在職の後、広告業を営む被控訴人会社を退職し、退職後直ちに自営の広告代理業を始めた。会社の就業規則には、退職後6ヶ月以内に同業他社に就職した場合(自営を含む)には退職金を支給しない旨の定めがあった。
「退職金全額不支給条項に基づいて退職金不支給が許されるのは、競業関係の存在のみならず、労働の対償を失わせる(に相当な)会社に対する背信性が認められる場合に限る。控訴人は退職金請求権を有するというべき。」
 
11 ラクソン事件 東京地裁 H03.02.25
元営業本部長Wは、在職中から移籍会社と接触し、移籍の段取りを話し合うとともに、マネージャーらとともに内密にセールスマンの移籍を計画準備し、あらかじめ営業拠点を確保して備品を運搬するなどした後、事情を知らないセールスマンを慰安旅行と偽って熱海のホテルに連れ出し移籍の説得を行うと共に、移籍会社の役員に会社説明をさせたりした後、帰京、直ちに営業開始した。退職届はその後に会社に郵送した事件で、会社がWと移籍会社に損害賠償を請求した。

「単なる転職の勧誘を超えて社会的相当性を逸脱した違法な引抜行為は、不法行為に該当し、これを行った元営業本部長は雇用契約上の誠実義務違反、同業他社は、損害賠償責任を負う。
ただし、会社の被った損害から、転職時の事情、セールスマンらの転職の自由、元営業本部長の個人的影響力等因果関係にないものを控除し、かつ、期間を限ったものとするのが(相当)。」
 
12 新大坂貿易事件 大阪地裁 H03.10.15
会社は、印字機、チケット・ラベルの製造販売会社。被申請人Nは、会社の元営業部長であるが、退職後、即日、自ら代表となって新会社を設立し、会社が取り扱う商品の販売を開始した。
その際、Nは在職当時会社の名で、取引先に対し会社の業務を発展的に継承すべく新会社を設立した旨の挨拶状を送付。また、Nは退職に当たり顧客情報の具体的内容を伴う引き継ぎを行わず、在庫品を持ち出し一部を新会社で販売、さらに、会社の従業員3名中2名を新会社に移籍させたなどにより、会社の月商が10分の1程度に落ち込んだため、Nに対して競業避止義務に基づく営業停止の仮処分を申請したという事件。
被申請人Nの入社時の雇用契約書には競業避止義務負担特約条項があった。その特約内容は「社員である限り、かつ社員の地位を喪失後3年間に限り、(会社の扱っている・・・)商品を製造、組立、取扱い若しくは販売してはならない。」とするもの。
判決は、Nの起こした新会社の営業停止の仮処分を認めた。
(*この事件では、特約の合理性についての判断はされていない。事件の特異性が前面に出た判決と言えよう。)
 
13 チェスコム秘書センター事件 東京地裁 H05.01.28
被告Kは、在職中から、原告会社の顧客台帳を利用して原告会社をの契約を被告Kの父母が経営するT社に切り替えるよう勧誘した事件。

「少なくとも、労働契約継続中に獲得した取引きの相手方に関する知識を利用して、使用者が取引継続中のものに働きかけをして競業を行うことは許されない。(これらの行為は)労働契約上の債務不履行となるとみるべきである。被告Kは、原告の営業上の秘密を獲得する目的で入社したものと推認され、、、義務違反の態様は悪質、、、。」
 
14 タビックスジャパン事件 東京地裁 H06.12.12
原告Tは、退職直前(3日前)に会社の用紙に退職及び同業のT観光に就職した旨挨拶を記して土産もの店等関係筋にファックスで送った行為をとらえ、退職金を支払わなかった事件。
また同時に、原告Aは被告会社南九州支店長であったがT観光に就職し同社鹿児島支店長になった。被告会社の南九州支店の従業員16人全員が会社を退職してT観光に就職した事件。

「原告Tは、(在職中同種の業を開業し、開業の準備をしたとき)とする懲戒解雇事由に該当するとはいえない。原告Aは、従業員を引き抜いた共謀の事実を認めるに足る証拠はない。(よって)、退職金請求権を有する。」
 
15 ベニス事件 東京地裁 H07.09.29
原告Mが退職して同業のR社に就職した後、2ヶ月足らずで元部下Yが被告会社を退職しR社に就職した。

「時期的に接近していることを認めることができるが、これのみではYの引き抜きに原告Mが協力したという事実を認めるには足りない。また、退職金の減額支給条件が抽象的(退職後に使用者にとって不都合な行為を行った場合は退職金を減額する)であって、一義的に理解できない場合は(直ちに無効ではないとしても)、規範的役割は希薄なものでしかないのであるから、背信性が強い場合に限りその適用を許すべき。従って、退職金の減額は許されない。」
 
16 東京リーガルマインド事件 東京地裁 H07.10.16
「労働者の職務内容が使用者の営業秘密に直接かかわるため、労働契約終了後の一定範囲で営業秘密保持義務の存在を前提としない限り、使用者が労働者に自己の営業秘密を示して職務を遂行することができなくなる場合は、実体法上労働契約終了後の競業避止義務を肯定すべきである。」

また、この事件では、競業避止を就業規則に規定することについて次のような判断を示した。

「労働契約終了後の競業禁止義務の負担は、それが労働契約終了後の法律関係である一事をもって就業規則による規律の対象となり得ること自体を否定する理由はない。」
 
17 池本自動車商会事件 大阪地裁 H08.02.26
中古車解体、修理、自動車部品販売を行う原告会社の社長Sの経営方針に対する不信と反発から、被告である取締役Tが退社を決意し、これに他の取締役4人が同調、またその後従業員8名も原告会社に見切りをつけ退社した。被告13名は同業のH部品商会にそろって就職。被告らは社長Sの指示に応じ、事務引継など行った上での退職であった。

「取締役及び従業員は・・・退職後新たに職を求める場合、従前の知識と経験を生かすことのできる同業他社に職を求めざるを得ないことが少なくなく、(同業他社に就職すること自体を)不法行為に当たると解することは、職業選択の自由を害するおそれがあるばかりでなく、従業員がその自由な意思に基づいて退職することを困難にし、、、。従って、競業を禁止する旨の合意があるなど特段の事情がない限り、、、、、不法行為に当たるものではない。」
 

参考
以上に掲載していない競業避止に関連する判例としてはつぎのものがある。
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●原田商店事件             (広島高裁、S32.8.28)
●日本警報装置事件          (東京地裁、S42.12.25)
●東日本自動車・ユシロ化学事件  (東京地裁、S51.12.22)
●東輝工業事件             (横浜地裁、S59.10.29)
●港ゼミナール事件           (大阪地裁、H01.12.5)
●東京学習協力会事件        (東京地裁、H2.4.17)
●中央総合教育研究所事件     (東京地裁、H5.8.25)
●西部商事事件             (福岡地裁小倉支部、H6.4.19)
●ケプナー・トリゴー日本事件    (東京地裁、H6.9.29)
●サドゥ事件               (東京地裁、H6.11.25)
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参考
関連法律など

・職業選択の自由(憲法)
・民法「債務不履行」
・商法による取締役、支配人等に対する競業禁止義務(第41条、264条)
・不正競争防止法による営業秘密の保持義務