公務関係職員と労働基準法の適用

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複雑で、専門家も「即答は・・・どうも」という場面もある--〔公務関係職員と労働基準法の適用〕 



国家公務員・特定独立行政法人の職員・地方公務員と労働基準法の適用

1 国家公務員・特定独立行政法人の職員関係
職員の種類
適用の有無
職権の行使
根拠条文
備考
1 一般職に属する職員
  四現業(国労法第2条第1号の企業)及び特定独立行政法人(国労法第2条第2号の法人)の職員以外の職員 @適用なし

A国公法の精神に抵触せず、かつ、同法に基づく法律又は人事院規則定められた事項に矛盾しない範囲内において準用される。ただし、労働基準監督機関の職権に関する規定は準用されない。
−−− 国公法附則第16条

国公法第1次改正法附則第3条
(国公法附則第16条)
 (略)労働基準法(略※2)並びにこれらの法律に基づいて発せられる命令は、第2条の一般職に属する職員には、これを適用しない。
四現業の職員 @全面的に適用あり

A国労法第37条で適用を排除しない国公法の規定及びこれに関連する人事院規則の規定は労基法に優先する。
労働基準監督機関 国労法(※1)第37条第1項第1号及び第2号 (国労法第37条第1項)
 次に掲げる法律の規定は、職員については、適用しない。
一 国家公務員法(中略)附則第16条の規定
二 国家公務員法の一部を改正する法律(国公法第1次改正法)(中略)附則第3条の規定


(国労法第2条)
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一〜三 (略)
四 職員 国営企業又は特定独立行政法人に勤務する一般職に属する国家公務員をいう。
特定独立行政法人の職員 @全面的に適用あり

A国労法第37条及び独立行政法人通則法第59条で適用を排除しない国公法の規定及びこれに関連する人事院規則の規定は労基法に優先する。(※3)
労働基準監督機関
2 特別職に属する職員
  裁判所職員(裁判官及び裁判官の秘書官を除く。) @適用なし

A国公法の精神に抵触せず、かつ、同法に基づく法律又は人事院規則定められた事項に矛盾しない範囲内において準用される。ただし、労働基準監督機関の職権に関する規定は準用されない。
−−− 裁判所職員臨時措置第法1号 (裁判所職員臨時措置第法1号)
 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員(中略)については、(中略)次に掲げる法律の規定を準用する。
一 国家公務員法(以下略)
国会職員 @適用なし

A国会職員法で定めた事項に矛盾しない範囲内において準用される。ただし、労働基準監督機関の職権に関する規定は準用されない。
−−− 国会職員法第45条第1項、同第2項 (国会職員法第45条第1項)
 (略)労働基準法(中略)並びにこれらに基づく命令は、国会職員については、これを適用しない。
防衛庁の職員 @適用なし −−− 防衛庁設置法第61条第1項

自衛隊法第108条
(防衛庁設置法第61条第1項)
 (略)防衛庁におかれる職員(中略)の任免、分限、懲戒、服務その他人事管理に関する事項(中略)については、自衛隊法の定めるところによる。

(自衛隊法第108条)
 (略)労働基準法(中略)並びにこれらに基く命令の規定は、職員については、適用しない。
上記以外の職員 労基法上の労働者である限り全面的に適用される。 労働基準監督機関 (国公法附則第16条及び国公法第1次改正法附則第3条、参照)
※1国労法=国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律(S23年法律第257号)
※2労働基準法のほか、最低賃金法、じん肺法、労働安全衛生法等
※3特定独立行政法人の職員については、「国家公務員災害補償法」が適用されるため、労災保健法の適用は除外される。賃確法は、立替払い事業は適用除外であるがその他の規定は適用を受ける。時短促進法は適用されない。なお、特定独立行政法人以外の独立行政法人の職員については、労働基準関係法令は全面的に適用される。



2 地方公務員関係
職員の種類
適用の有無
職権の行使
根拠条文
備考
1 一般職に属する職員
  労基法別表第1第1号から第10号まで及び第13号から第15号までに掲げる事業に従事する職員 法第2条(労働条件の決定)
第24条第1項(通貨・直接・全額払いの原則)

第32条の3から第32条の5まで(フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制)
第38条の2第2項及び第3項(事業場外みなし労働時間制)
第38条の3(専門業務型裁量労働制)
第38条の4(企画業務型裁量労働制)
第39条の5(計画年休)
第75条から第93条(災害補償及び就業規則)
の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定を除き適用あり。



また、第32条の2第1項(1箇月単位の変形労働時間制)及び第34条第2項ただし書(一斉休憩の適用除外)の適用の特例あり。
労働基準監督機関



地公法第58条第3項から第5項 (地公法第58条第3項)
 労働基準法第2条、第24条第1項、第32条の3から第32条の5まで、第38条の2第2項及び第3項、第38条の3、第38条の4,第39条第5項、第75条から第93条まで、第102条の規定(中略)並びにこれらの規定の基づく命令の規定は、職員に関して適用しない。

 ただし、労働基準法第102条の規定(中略)並びにこれらの規定に基づく命令の規定は、地方公共団体の行う労働基準法別表第1第1号から第10号まで及び第13号から第15号までに掲げる事業に従事する職員に、
 同法第75条から第88条まで(中略)の規定は、地方公務員災害補償法(中略)第2条第2項に規定する者以外の職員に関しては
適用する。


(地公法第58条第4項)
 職員に関しては、労働基準法第32条の2第1項中「使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する朗読見合いがない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は」とあるのは「使用者は、」と、
 同法第34条第2項ただし書中「当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは」とあるのは「条例に特別の定めがある場合は」とする。


(地公法第58条第5項)
 労働基準法(中略)の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定中第3項の規定により職員に関して適用されるものを適用する場合における職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、地方公共団体の行う労働基準法別表第1第1号から第10号まで及び第13号から第15号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除き、人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の長)が行うものとする。


(教職給与特例法第10条)
 公立の義務教育諸学校等の教育職員については、地方公務員法(中略)第58条第3項本文中「第2条、」とあるのは「第33条第3項中「官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)」とあるのは「別表第1第12号に掲げる事業」と、「労働させることができる」とあるのは「労働させることができる。この場合において、公務員の健康及び福祉を害しないよう考慮しなければなrない」と読み替えて同項の規定を(中略)適用するものとする。
労基法別表第1第11号及び第12号に掲げる事業並びに官公署の事業(同表に掲げる事業を除く。)に従事する職員 法第2条(労働条件の決定)
第24条第1項(通貨・直接・全額払いの原則)

第32条の3から第32条の5まで(フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制)
第38条の2第2項及び第3項(事業場外みなし労働時間制)
第38条の3(専門業務型裁量労働制)
第38条の4(企画業務型西行労働制)
第39条の5(計画年休)
第75条から第93条(災害補償及び就業規則)
第102条(監督官の司法警察権)
の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定を除き適用あり。



また、第32条の2第1項(1箇月単位の変形労働時間制)及び第34条第2項ただし書(一斉休憩の適用除外)の適用の特例あり。


なお、義務教育諸学校等の教職員については、第37条が適用除外されるほか、第33条第3項の適用の特例あり。
人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の長)
地公法第58条第3項から第5項












教職給与特例法第10条
地方公営企業(地公労法第3条第1項の企業)の職員 法第75条から第88条(災害補償)の規定を除き全面的に適用あり。

ただし、地公企法第2条第3項により、条例により、地公企法(第39条を含む。)の一部の適用を排除し、そのため企業職員について、地公法第58条の適用がなされる場合には、イによって労基法が適用される。
労働基準監督機関 地公企法第39条
(本条は地公労法第17条の規定によって簡易水道事業の職員に準用される。)
(地公企法第36条)
 企業職員の労働関係については、地方公営企業労働関係法(中略)の定めるところによる。

(地公企法第39条)
 企業職員については、地方公務員法(中略)第58条(地方公務員災害補償法(中略)第2条第1項に規定する者に適用される場合に限り、第58条第3項中労働基準法第75条から第88条まで(中略)に係る部分を除く。)(中略)の規定は、適用しない。

(地公企法第2条第3項)
 前二項に定める場合のほか、地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例(中略)で定めるところにより、その経営する企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができる。
地公法第57条に規定する地方公営企業の職員以外の単純労務者 法第75条から第88条までの規定を除き全面的に適用あり。 労働基準監督機関 地公労法附則第5項 (地公労法附則第5項)
 地方公務員法第57条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって、第3条第2項の職員以外のものに係る労働関係その他身分取扱については、その労働関係その他身分取扱に関し特別の法律が制定施行されるまでの間は、この法律(第17条を除く。)及び地方公営企業法第37条から第39条までの規定を準用する。(以下略)
特別職に属する職員 労基法上の労働者に該当する場合、全面的に適用あり。 労働基準監督機関 地公法第4条第2項 (地公法4条第2項)
 この法律の規定は、法律に特別の定がある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない。

(参考)
 地公企法上の管理者(同法第7条及び第8条参照)は、地公法第3条第3項第1号の3により特別職とされる。