○ うちには年休制度がない!


・ 年休は、出勤率と勤続年数の要件が満たされたとき、労働者は法律上当然に権利を取得し、使用者はこれを与える義務を負います。

・ 従って、勤務先の判断で勝手に、年休制度を導入したり導入しなかったりすることは出来ません。
  (就業規則の規定の有無も関係ありません。)

但し
現実には

・ 「うちには年休があるよ。使いなさい。」と言ってくれる会社ばかりではありません。特に小零細企業は、年休の問題は本音では避けて通りたいのです。
  (悪意がない場合でも、とにかく避けて通りたい!)
一方

・ 年休は、黙っていても使用者が付与してくれるものとも違います。

・ すなわち、労働者の権利は、据え膳を食べることのできる権利ではありません。

・ 年休を取るにはその意思表示(「時期指定=何時取る、あるいは何時から何時まで取るという通告」)をしなければなりません。

・ これに対して使用者にも時季変更権がありますが、これは厳しい制約を受けていますので、法律上はこれでほとんど勝負ありです。

・ これ以降のトラブルの訴えは行政官庁で取り上げることが出来ます。

おさらい
■通る訴えと通らない訴え

・ アクションを起こさないで、うちの会社には年休制度がない、という訴えは通らない

・ 請求(申し出)したが拒否された、という訴えは通る。
  (労基法第39条違反、6か月以下懲役。)