労働基準法等違反・処罰情報
 ■HOMEPAGE


労働基準法等違反・処罰 〔注目事例〕


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    ★労働基準法、労働安全衛生法等に関して司法警察権を有する労働基準監督官が、違反事件を検察庁送致(司法処分)した事例の中から、注目事例を紹介していく。

    ★当面の動向で注目されるのは、賃金不払等を繰り返す事案、労働時間特にサービス残業の摘発、偽装請負が関係する重篤な労働災害、技能実習生を含む外国人労働者に対する重大悪質な労基法違反、労災かくしなど、だろう。


    ★当編集部が独自に、要注目と判断した事例を掲載する。なお、
    情報は、当局発表、マスコミ報道等を整理したもの。  〔労務安全情報センター〕

    ★ 最近の事例は、「送検事例」のページ を参照ください。

 

年月
地区
編集見出し
容疑の概要
情状等
コメント
平成14年3月 新潟 違反指摘に虚偽の完全是正報告 〔労働基準法第37条違反容疑〕

 婦人服製造販売の(株)エイ・エフ・シーとその社長が、労働者3人に対して、2か月分の割増賃金−71.5時間分−約8万円を支払わなかった、として書類送検された。
 同社は、労基署の臨検監督の際、違反の指摘を受けていた。
 これに対して会社は労基署に「完全是正した」と虚偽の報告をしていた。
是正していないのに虚偽の是正報告。
これまた、事件捜査の端緒の一つを形成するだろう。
平成14年2月(起訴) 東京 東京地検、過労死で略式起訴

残業時間も把握せず

〔労働基準法第32条第2項違反容疑〕
〔労働安全衛生法第66条第1項違反容疑〕

 平成11年4月に過労死した社員(当時47歳)について、連日の深夜残業をさせながら労働時間の管理や健康診断をしなかったとして、東京地検は労働基準法違反及び労働安全衛生法違反で、(株)ジュンプロダクツ(東京・渋谷)と社長(49歳)を略式起訴した。

 社員Mさんは被疑会社で飲食店の内装工事の現場監督をしていたところ、平成11年4月8日帰宅後にくも膜下出血を発症。渋谷労基署は平成12年3月に労災過労死認定を行っていた。

(1)Mさんは、倒れた前日は通常勤務後に8時間の残業。当日、朝4時30分に帰宅5時就寝。同朝10時頃起床し出勤前の準備をしている際、くも膜下出血で倒れ、意識が戻らないまま7日後に亡くなった。

(2)社長らは恒常的な時間外労働を行わせていたにもかかわらず労働時間を把握せず、時間外手当不払いのほか、法で義務づけられれた年一回の定期健康診断も実施しなかった。
労災過労死認定後の企業の管理責任を問うた事案。
今後、このパターンの事件捜査が定着する可能性もある。
平成14年2月(逮捕) 大分 振動障害を騙った労災不正受給で逮捕者

不正受給をあっせんし、手数料を手にしていた患者団体元幹部も併せて逮捕!


 大分労働局・佐伯労基署が、内偵を続けていた振動障害を騙った労災保険金の詐取グループを刑事告発したのを受けて、佐伯警察署は2月12日、労災保険金詐欺の疑いで山田松彦容疑者(54歳)河野清信容疑者(44歳)ら4名を逮捕した。

 山田松彦容疑者は、振動障害患者団体元代表で、労働者に労災保険金の不正受給をあっせん、1人当たり100万円以上の手数料を受け取っていた疑い。

 河野容疑者は、手足がしびれるなどと偽って、療養補償給付、休業給付などを請求、約1200万円を不正に受給していた疑い。

端緒は、投書から。 労災申請を仲介し、多額の手数料を受け取っている団体は大分グループに限らないといわれるが、本件は、傷病そのものがでっち上げだった。
平成13年8月 千葉 労災隠し

刑法60条共謀共同正犯で、関係者5名を書類送検
〔労働安全衛生法第100条1項、同法第120条第5号違反、刑法第60条(共同正犯)、刑法第65条第1項(共犯と身分)違反容疑〕


 平成12年2月2日、足場解体作業中に発生した労災事故(3人負傷)を隠し、法に基づく報告をしなかったとして、元請の(株)銭高組作業所長(52歳)、一次下請会社の取締役本部長(69歳)、二次下請会社の専務取締役(57歳)及び三次下請(有)原架設とその社長(49歳)の5名を共犯の疑いで、書類送検。(H13.8.7,柏労基署)


 発生した労働災害の処理に当たり、被疑者らは、共謀して、労災保険を使わず、下請が現金で休業補償費を支払っていたほか、国民健康保険を不正使用して治療させていた。
元請作業所長から下請3社に労災保険を使わず処理するよう要請。


 治療が長期化(3人中2名が1年5ヶ月の休業かつ障害が残る見込みとなった、なお、1名は1ヶ月休業)し、後遺症などを不安に思った労働者2名が、労基署に相談し発覚した。
誤算。
労災隠しはバレたら処分の方針は知っていただろうに、、

確率的には、それでも、逃げおおせる可能性が高いのだろうか。