1999年、働く女性はいま...



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1999年版『働く女性の実情』


労働省−1999年版「働く女性の実情」(女性労働白書)の紹介。
構成は以下のとおり。ここでは「1.平成9年の働く女性の状況」を掲載。その他は解説等で取り上げた。

1.平成9年の働く女性の状況
2.女性のライフコースと再就業(略)
(参考)能力を生かす各様な働き方の例(略)
■女性有業率(M字型カーブの現状)
■女性が子育て期に就業を控える理由





解説


M字型カーブの現状
・・・無業者のうち就業希望者数を加えたもので修正を加えると、どうなるか!


 女性を年齢階層に見た「仕事に就いている人の率(=有業率)」(グラフでは紺色)のカーブは、「20−24歳」71.0%と「45−49歳」72.8%を両端ピークにして「30−34歳」54.4%がくぼむM字型カーブを描いている。

 1999年女性労働白書では、これに関連した概念として『潜在的有業率』をはじいている。
これは、有業者数に+無業者のうち就業希望者数を加えた潜在的有業者を積算したものだが、これで見ると、女性のカーブ(グラフではピンク)は、

「20−24歳」71.0%と「45−49歳」72.8%を両端ピークまでの『25-29歳、30-34歳、35-39歳の各層』にそれほどの落ち込みがない。(M字型ではなく台型=男性有業率と型は同型となる。)

 この点について、白書は「30−34歳層で、働く意欲があるものの就業を控えている女性が多い」と分析している。


■年齢階層別の有業率並びに潜在的有業率(グラフ)


  15-19歳 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65歳以上
有業率(女性)

16.0

71.0

64.3

54.4

61.9

70.3

72.8

67.7

59.8

41.1

16.9

潜在的有業率(女性)

30.2

85.3

86.5

82.7

85.5

87.0

85.4

80.1

73.0

55.5

22.1

有業率(男性)

17.5

71.8

93.0

95.8

96.6

96.7

96.4

96.1

93.1

69.8

39.7


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女性が子育て期に就業を控える理由


 我が国の女性は出産後も仕事を辞めずに仕事と子育てを「両立」するライフコースを理想とする者が増加しているが、
実際には「両立型」よりも「再就職」するライフコースを選ぶ者が多い。
 
 5年前、10年前と比較すると「両立」を理想とする女性の割合が大幅に増加し、「専業主婦」を理想とする者の割合
は大幅に減少している。一方、「予定とするライフコース」では、「専業主婦」とする者の割合が減少しているものの、
「両立」とする者の割合は、10年前からほとんど変わっていない。

 女性の職業意識は、この10年間に高まりを見せているが、現実面の働き方に対する意識にはあまり変化がみられな
いといえる。
 また、「女性は結婚したら、自分自身のことより夫や子どもなど家族中心にして考えた方がよい」という考え方につ
いて、「賛成」又は「どちらかといば賛成」とする女性の割合が58.1%、「女性は仕事をもつのはよいが、家事・育児
はきちんとすべきである」という考え方に対して、「賛成」又は「どちらかといえば賛成」とした女性の割合は84.6%
で、平成4年とほぼ同割合であった。
 女性の就業に対する意欲は大きく変化している一方で、育児等を優先する考え方がほとんど変わっていない。これは、
就業意識の高まりにも関わらず、再就職志向にあまり変化が見られないことと何らかの関係がある。
 我が国の女性は「仕事と家庭の両立」を理想としつつも、育児とりわけ低年齢児の育児と本格的に仕事を行うことの
両立は、時間的、体力的な負担が大きく困難であるため、育児負担が最も大きい特定の時期(25〜35歳)にだけ、やむ
なく就業を中断することを選択し、育児に専念、それが一段落した後、自己の就業希望を実現すべく再び職業を持ち、
社会の中で自己の能力を活かし、更に高めていきたいと望んでいる者が多いのではないだろうか。

(1999年、働く女性の実情「女性のライフコースと再就業」より)



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T 平成9年の働く女性の状況

 平成9年の労働経済面では、年前半は失業率が高水準にある等厳しい状況であったものの、雇用者の大幅な増加などの改善の動きがみられた。年後半は、失業率が依然として高水準を続けるなど厳しい状況が続いた。
 働く女性の状況については、完全失業率の上昇という厳しい状況がある一方、雇用者数の増加幅の拡大等改善の動きもみられた。


1 就業、雇用の状況

(1)労働力人口

 平成9年の女性の労働力人口(就業者+完全失業者)は 2,760万人で、前年に比べ41万人増加(前年比 1.5%増)し、前年(8年 18万人、0.7%増)より増加数、増加率ともに拡大した。また、労働力率は6年ぶりに上昇し、50.4%であった(第1−1表)。
 年齢階級別の女性の労働力率をみると、20〜24歳層で0.4%ポイント減と若年層で低下している一方、M字の底である30〜34歳層が 1.4%ポイント増(10年間で5.7%ポイント増)であった(第1−1図=略)。
 また、有配偶者の労働力率は51.3%で、6年ぶりに上昇した。

(2)非労働力人口

 女性の非労働力人口は 2,716万人と前年に比べ4万人増加した。主な活動状態としては家事専業者が6割を占めるものの6年ぶりに減少し1,652万人(前年比0.6%減)であった。

(3)就業者

 平成9年の女性の就業者数は、前年に比べ38万人増加し、2,665万人であった。家族従業者(308万人)の減少が続く一方、雇用者(2,127万人)は増加を続けており、就業者に占める割合(79.8%)が年々高まってきている。また、平成元年以来減少傾向にあった自営業主(223万人)が増加に転じた(前年比0.5%増)
(第1−2表=略)。

(4)完全失業者

 女性の完全失業者は95万人で前年比4万人増となった。完全失業率は15〜19歳層、20〜24歳層、25〜29歳層の若年層を中心に上昇し、 全体では3.4%(男性3.4%)と前年より 0.1%ポイント上昇し、過去最高水準を示した(第1−2図=略)。

(5)雇用者

 雇用者数は 5,391万人、うち女性は 2,127万人で前年に比べ43万人増加(前年比2.1%増)し、増加幅は前年(1.8%増)より拡大した。また、雇用者総数に占める女性の割合も、39.5%と、前年に比べ 0.3%ポイント上昇した。
 産業別には、サービス業での増加率が顕著であり、前年と比較して26万人増加(前年比3.7%増)した。一方、金融・保険業、不動産業は前年に引き続き減少(同1.7%減)した。(第1−3表=略)
 企業規模別では、前年に比べ100〜499人規模で14万人(同4.0%増)、500人以上規模では11万人(同2.7%増)の増加となっている。(第1−4表=略)
 また、有配偶者、死別・離別者の雇用者数は前年に比べ増加し、それぞれ1,211万人(前年比2.5%増)、200万人(同3.1%増)であった。


2 労働市場の状況

(1)求人・求職状況

 平成9年の労働市場の状況(男女計)をみると、新規求人数、新規求職者数ともに増加し、新規求人倍率は1.20倍、有効求人倍率は0.72倍となった。
 このうち、パートタイム労働者を除く一般労働市場においては、新規求人倍率は、1.05倍(8年1.07倍)、有効求人倍率は0.62倍(同0.62倍)であった。
 パートタイム労働市場では、前年に比べ新規求人数は13.3%、新規求職者数は2.9%の増加であったが、新規求人数の増加幅が大きいため、新規求人倍率は2.12倍と前年(1.92倍)に比べ0.2ポイント上昇した。

(2)新規学卒者の就職状況

 平成10年3月の女性の新規学卒就職者数に占める大卒の割合(30.4%)は上昇したが、短大卒の割合(31.6%)は、8年度以降3年連続して低下している。
 女性の高等学校卒業者の就職率は20.5%(9年21.3%)と、進学率の上昇に伴い年々低下している。また、女性の短期大学卒業者の就職率は67.0%(9年68.9%) 、女性の大学卒業者の就職率は、64.5%(9年64.9%)で前年に比べそれぞれ1.9 %ポイント、0.4%ポイント低下した。(第1−5表=略)

3 労働条件の状況

 女性一般労働者(パートタイム労働者を除く)のきまって支給する現金給与額は、22万5,300円(前年比1.8%増)で、伸び率は前年と同程度であったが、対前年上昇率は、男性(同1.6%増)に比べ、女性の方が高かった。新規学卒就職者の初任給は、男女とも依然低い上昇率となっている。(第1−3図=略)
 また、労働時間は、女性の常用労働者1人平均月間総実労働時間が 141.1時間(前年比1.7%減)で、うち所定内労働時間は136.3時間(同1.8%減)で前年より減少したものの、所定外労働時間は4.8時間(同2.1%増)と増加している。


4 パートタイム労働者の状況

 女性の短時間雇用者(非農林業で週間就業時間が35時間未満の雇用者)は746万人(短時間雇用者総数の67.0%)で、前年に比べ54万人増加(前年比7.8%増)した。また、女性の非農林業雇用者(休業者を除く)に占める短時間雇用者の割合は35.9%で、前年(34.0%)に比べ1.9%ポイント上昇した(第1−4図=略)。

 女性のパートタイム労働者の平均勤続年数は5.1年で前年に比べ0.1年伸長した。産業別には、製造業が6.1年と最も長くなっている。また、女性のパートタイム労働者の1時間当たりの所定内給与額は871円で、前年に比べ0.1%上昇した。




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第1−1表 労働力人口、労働力率の推移

 

女性

男性

労働力
人口に
占める
女性の
割合

労働力
人口

前年

労働力

労働力
人口

前年

労働力

(万人)

(%)

(%)

(万人)

(%)

(%)

(%)

昭和62

2,429

1.4

48.6

3,655

0.8

77.3

39.7

63

2,473

1.8

48.9

3,693

1.0

77.1

40.1

平成元

2,533

2.4

49.5

3,737

1.2

77.0

40.4

2

2,593

2.4

50.1

3,791

1.4

77.2

40.6

3

2,651

2.2

50.7

3,854

1.7

77.6

40.8

4

2,679

1.1

50.7

3,899

1.2

77.9

40.7

5

2,681

0.1

50.3

3,935

0.9

78.0

40.5

6

2,694

0.5

50.2

3,951

0.4

77.8

40.5

7

2,701

0.3

50.0

3,966

0.4

77.6

40.5

8

2,719

0.7

50.0

3,992

0.7

77.7

40.5

9

2,760

1.5

50.4

4,027

0.9

77.7

40.7

資料出所:総務庁統計局「労働力調査」