2001.4.1雇用保険の所定給付日数(大幅変更)

 ■HOMEPAGE
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雇用保険法の主な改正内容は、次のとおりです。これらは、平成13年4月1日から適用されます。

1 雇用保険の所定給付日数(変更)
2 再就職手当(変更)
3 教育訓練給付(引き上げ)
4、5 パートタイム労働者及び登録型派遣労働者の雇用保険加入要件(緩和)
6 育児・介護休業給付(引き上げ)この項のみ平成13年1月1日から適用
7 雇用保険料率(引き上げ)

離職票様式も変更へ


(参考)
雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱




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1.雇用保険の所定給付日数

 雇用保険の所定給付日数が、平成13年4月1日から(改正雇用保険法)次のように変更される。
 

被保険者期間

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
一般被保険者

90日

120日

150日

180日

(以下)倒産、解雇などにより離職を余儀なくされた者  
  30歳未満

90日

120日

180日

30歳以上45歳未満

90日

180日

210日

240日

45歳以上60歳未満

90日

180日

240日

270日

330日

60歳以上65歳未満

90日

150日

180日

210日

240日

就職困難者 45歳未満

150日

300日

45歳以上65歳未満

150日

360日

(参考)一般被保険者・現行の雇用保険所定給付日数


被保険者期間

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
短時間労働被保険者

90日

120日

150日

(以下)倒産、解雇などにより離職を余儀なくされた者  
  30歳未満

90日

150日

30歳以上45歳未満

90日

150日

180日

210日

45歳以上60歳未満

90日

180日

210日

240日

300日

60歳以上65歳未満

90日

150日

180日

210日

就職困難者 30歳未満

150日

240日

30歳以上65歳未満

150日

270日

(参考)短時間労働被保険者・現行の雇用保険所定給付日数



◎上表の「倒産、解雇などにより離職を余儀なくされた者」の範囲は、以下のとおり。

倒産又は適用事業の縮小・廃止に伴って離職を余儀なくされた者
@倒産(破産、再生手続開始、更正手続開始、整理開始、特別清算開始の申立又は金融取引停止となる不渡り手形の発生)
A適用事業所の縮小
B適用事業所の廃止
B適用事業所の移転により、通勤困難となったもの

解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)その他以下の理由により離職を余儀なくされた者
@ 解雇(重責解雇を除く。)により離職した者
A 採用条件と労働条件が著しく相違したことにより離職した者
B 継続して2か月以上賃金月額の一定割合以上が支払われなかったため離職した者
C 賃金が、一定程度以上低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(低下の事実が予見困難なものであった場合に限る。)
D 離職の直前3か月間に「労基法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度基準」に規定する時間を超える残業が行われたため離職した者、労働者の生命及び身体に関し障害が生じるおそれのある法令違反などが行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において改善が行われなかったため離職した者
E 事業主が労働者の職種転換などに際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
F 期間の定めのある雇用契約が反復された場合であって、当該雇用契約が更新されないことが予期できない事態と同視し得る状態となった中で、雇用契約が更新されないことにより離職した者
G 上司、同僚などから故意の排斥または著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
H 事業主から直接もしくは間接に退職することを勧奨されたことにより離職した者
I 全日休業により3か月以上連続して労基法第26条の規定による休業手当の支給が行われたため離職した者
J 事業主の事業内容が法令に違反したため離職した者




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離職証明書の様式変更など
★事業主の離職証明書の「離職理由欄」について、上記の各項目を列記した選択式に変更される予定となっている。
★事業主の記載した離職理由に異議のある労働者は、窓口で自ら離職理由の詳細を記述申請することができる。
★公共職業安定所は、離職理由について事業主と労働者に事実関係を確認し、4週間以内に取扱いを決定する。





事業主と労働者が共謀して離職理由を偽って受給手続きを行う不正受給の防止




事業主に支給される雇入れ助成金の支給制限
★倒産、解雇などにより離職を余儀なくされた者を一定数以上生じさせた事業主に対する制限が盛り込まれることとされている。



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(参考)平成13年3月31日までの一般被保険者の雇用保険所定給付日数

被保険者期間

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満

90日

180日

30歳以上45歳未満

90日

180日

210日

45歳以上60歳未満

90日

180日

210日

240日

300日

60歳以上65歳未満

90日

240日

300日

就職困難者 45歳未満

90日

240日

45歳以上65歳未満

90日

300日


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(参考)平成13年3月31日までの短時間労働被保険者の雇用保険所定給付日数

被保険者期間

1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満

90日

180日

30歳以上60歳未満

90日

180日

210日
60歳以上65歳未満

90日

210日

就職困難者 30歳未満

90日

180日

30歳以上65歳未満

90日

210日









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2 再就職手当

雇用保険の受給者が再就職した場合に、所定給付日数の残日数に応じて再就職手当が支給されるが、この支給方法が変更される。

平成13年4月1日から
再就職手当=基本手当日額×支給残日数×1/3
★手当額の範囲は、15日〜120日、円未満切り捨て
★再就職手当の給付額が、「支給残日数の3分の1に相当する日数に基本手当日額を乗じて得た額」(1円未満の端数は切り捨て)に変更される。
(再就職手当は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であり、かつ45日以上である場合に支給される。)


現行の再就職手当(平成13年3月31日まで)
所定給付日数 支給残日数 再就職手当の額
90日 60日以上90日以下
45日以上60日未満
45日分
30日分
180日 120日以上180日以下
90日以上120日未満
60日以上90日未満
80日分
50日分
30日分
210日 140日以上210日以下
105日以上140日未満
70日以上105日未満
85日分
50日分
30日分
240日 160日以上240日以下
120日以上160日未満
80日以上120日未満
90日分
50日分
30日分
300日 200日以上300日以下
150日以上200日未満
100日以上150日未満
120日分
70日分
30日分





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3 教育訓練給付の上限を30万円に引き上げ

★一般被保険者が対象
教育訓練給付は、労働大臣が指定する教育訓練講座の受講修了者に対して、原則として費用(入学料及び受講料)の8割(上限、2030万円。8,000円未満の場合は支給されない。)を支給するもの。
今回、この上限支給額が20万円から30万円に引き上げられる。







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4 パートタイム労働者の雇用保険加入要件の緩和

@ 1年以上引き続き雇用されることが見込まれること。
A 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
B 年収が90万円以上あることが見込まれること。

★平成13年4月1日以降は、B年収が90万円以上あることが見込まれること、とする年収要件が廃止される。

★雇用保険にいうパートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の適用事業に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間より短く、かつ30時間未満である労働者といいます。
★次の場合は雇用保険の適用があります。


(適用される場合の例)

・2か月、3か月、6か月など短期の期間を定めて雇用される場合であって、雇用契約において更新規定が設けられているとき(1年未満の雇止規定がある場合を除く。)
・2か月、3か月、6か月など短期の期間を定めて雇用される場合であって、雇い入れの目的、その事業所の同様の雇用契約に基づき雇用される者の過去の就労実績等からみて、契約を1年以上にわたって反復更新することが見込まれるとき。

★当初、1年以上反復して雇用される見込みがない場合でも、途中から、反復継続して1年以上派遣就業することが見込まれるようになったときは、その時点から雇用保険の適用対象となる。








5 登録型派遣労働者の雇用保険加入要件の緩和


登録型派遣労働者については、次の(イ)(ロ)のいずれの要件にも該当する場合に被保険者となる。

(イ)同一派遣元で反復継続して1年以上派遣就業することが見込まれる場合(派遣先は変わってもよい)

★1箇所の派遣先での就業が1年を超えない場合或いは派遣先を替えて短期の派遣就業を繰り返す場合などであって、同一の派遣元から1年以上反復継続して派遣就業することが見込まれる場合(当初、その見込みがない場合でも、途中から、反復継続して1年以上派遣就業することが見込まれるようになったときは、その時点において)には、雇用保険の適用対象となる。

例えば、
○雇用契約期間が2か月程度以上の派遣就業を1か月程度以内の間隔で繰り返し行うこととなっている者
○雇用契約期間が1か月以内の派遣就業を数日以内の間隔で繰り返し行うこととなっている者

(適用される場合の例)

・同じ派遣元A社から、派遣先B社に6か月、派遣先C社に6か月と通算して1年以上派遣されることが見込まれる場合
・同じ派遣元A社から、派遣先B社、C社、D社に2か月ずつ1か月程度の間隔をあけて、通算して1年以上派遣されることが見込まれる場合
・同じ派遣元A社から、派遣先B社、C社、D社に1か月以内の期間ずつ数日の間隔をあけて、通算して1年以上派遣されることが見込まれる場合

(ロ)1週間の所定労働時間が20時間以上であること



★次の要件は廃止されたこと。

(1)所定労働日に関する要件の廃止 (1か月11日以上就労する場合にのみ適用するという要件)
(2)年収要件の廃止 (年収が90万円以上見込まれる場合にのみ適用するという要件)


雇用保険の受給期間
離職日の翌日から原則1年間。
★離職して再度短期の派遣就業をした後、離職した場合などでは前の受給資格に基づく支給残日数分の基本手当が受給できる場合がある。



なお、常用型の派遣労働者については、雇用期間に関わりなく雇用保険が適用されることに注意!








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6 育児・介護休業給付の引き上げ

育児・介護休業を取得した場合に支給される給付(その間の賃金が80%未満に低下する労働者が対象)が、休業前賃金月額の最高40%(現行25%)支給へ引き上げられる。

この項の実施は、平成13年1月から
★育児・介護の休業期間が施行日である平成13年1月1日の前からそれ以後にわたる場合には、その初日が平成13年1月1日以後である支給単位期間の部分に係る支給率が引き上げられる。






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7 保険料率の引き上げ(月収30万円の場合、労働者・使用者それぞれ月600円の増!

雇用保険の料率が、1000分の11.5(労働者負担4/1000,事業主負担7.5/1000)から、1000分の15.5労働者負担6/1000,事業主負担9.5/1000)と大幅に引き上げられる。

★失業等給付にかかる保険料が、1000分の8(労使折半)から1000分の12へ引き上げ。
★雇用保険事業にかかる保険料は、1000分の3.5(事業主負担)で据え置き。

★保険料率は賃金総額に対する率である。


★なお、上記に関わらず、「農林水産・清酒製造業」は、17.5/1000(労働者負担7/1000,事業主負担10.5/1000)、「建設業」は、18.5/1000(労働者負担7/1000,事業主負担11.5/1000)の保険料率とされる。














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(参考)
雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱

第一 雇用保険法の一部改正

一 一般被保険者の求職者給付の改正
(一) 賃金日額の下限額の変更
 受給資格に係る離職の日において短時間労働被保険者であった受給資格者に係る賃金日額の下限額を2,150円とするものとすること。
(二) 所定給付日数の変更
イ 所定給付日数を、受給資格に係る離職の日における被保険者であった期間等に応じて、次の表に定めるとおりとするものとすること。
(短時間労働被保険者以外の被保険者)
被保険者であった期間 20年以上 10年以上
20年未満
5年以上
10年未満
5年未満
  180日 150日 120日 90日
(短時間労働被保険者)
被保険者であった期間 20年以上 10年以上
20年未満
5年以上
10年未満
5年未満
  150日  120日 90日 90日
ロ イにかかわらず就職困難者に支給される所定給付日数は、受給資格者の年齢及び被保険者であった期間等に応じて次の表に定めるとおりとするものとすること。
(短時間労働被保険者以外の被保険者)
    被保険者であった期間
年齢
1年以上 1年未満
45歳以上65歳未満 360日 150日
45歳未満        300日 150日
(短時間労働被保険者)
    被保険者であった期間
年齢
1年以上 1年未満
30歳以上65歳未満 270日 150日
30歳未満 240日 150日
ハ 受給資格に係る離職が倒産等に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの又は解雇その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者(ロの就職困難 者を除く。)に支給される所定給付日数は、イにかかわらず受給資格に係る離職の日における受給資格者の年齢、被保険者であった期間等に応じて、次の表に定めるとおりと するものとすること。
(短時間労働被保険者以外の被保険者)
    被保険者であった期間
年齢
20年以上 10年以上
20年未満
5年以上
10年未満 
1年以上
5年未満
1年未満
60歳以上65歳未満   240日 210日  180日  150日 90日
45歳以上60歳未満   330日 270日 240日 180日 90日
30歳以上45歳未満   240日 210日 180日  90日  90日
30歳未満 210日  180日 120日  90日  90日
(短時間労働被保険者)
    被保険者であった期間
年齢         
20年以上 10年以上
20年未満
5年以上
10年未満
1年以上
5年未満
1年未満
60歳以上65歳未満 210日 180日 150日 150日 90日
45歳以上60歳未満 300日 240日 210日 180日 90日
30歳以上45歳未満 210日 180日 150日 90日  90日
30歳未満       180日 150日 90日  90日  90日

二 就職促進給付の改正
(一) 再就職手当の支給額の変更
 再就職手当の額を、基本手当の日額に15を乗じて得た額以上当該日額に120を乗じて得た額以下の範囲内の額とするものとすること。
(二) 再就職手当の額に関する暫定措置の廃止
 再就職手当の額を、基本手当の日額に30を乗じて得た額以上当該日額に140を乗じて得た額以下の範囲の額とするものとしている暫定措置を廃止するものとすること。

三 雇用継続給付の改善
(一) 育児休業給付の支給額の引上げ
 育児休業給付(育児休業基本給付金及び育児休業者職場復帰給付金)の額を、被保険者が休業を開始した日に離職して受給資格者となったものとみなしたときに算定されることとなる賃金日額に30を乗じて得た額の100分の40(現行100分の25)に相当する額に引き上げるものとすること。
(二) 介護休業給付の支給額の引上げ
 介護休業給付金の額を、被保険者が休業を開始した日に離職して受給資格者となったものとみなしたときに算定されることとなる賃金日額に30を乗じて得た額の100分の40(現行100分の25)に相当する額に引き上げるものとすること。

四 雇用安定事業等に関する改正
(一) 雇用安定事業の改善
 政府は、雇用安定事業として、中高年齢者である在職求職者に対し再就職の援助等を行う事業主に対して、必要な助成及び援助を行うことができるものとすること。
(二) 雇用福祉事業の改正
 政府が雇用福祉事業として行うことができる事業の範囲から就職に伴いその住居を移転する者のための宿舎及び福祉施設の設置及び運営を除くものとすること。

五 国庫負担に係る暫定措置の廃止
 求職者給付及び雇用継続給付について国庫が負担する額(求職者給付については当該求職者給付に要する費用の原則として4分の1、雇用継続給付については当該雇用継続給付に要する費用の8分の1)の100分の56に相当する額を負担するものとされている暫定措置を廃止するものとすること。

六 その他
 その他所要の規定の整備を行うものとすること。


第二 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正

 
一 雇用保険率の改正雇用保険率を1000分の15・5(うち失業等給付に係る率1000分の12)(農林水産業及び清酒製造業については1000分の17・5(同1000分の14)、建設業については1000分の18・5(同1000分の14)) とす るものとすること。

二 雇用保険の保険料率の弾力的変更に係る規定の改正
 当該会計年度末の労働保険特別会計の雇用勘定の積立金の額と当該会計年度における失業等給付の額(現行は徴収保険料額)とを比較して雇用保険率を変更することができることとするものとすること。

三 雇用保険率に係る暫定措置の廃止
 平成5年4月1日以降当分の間において、雇用保険率を1000分の11・5(うち失業等給付に係る率1000分の8)(農林水産業及び清酒製造業については1000分の13・5(同1000分の10)、建設業については1000分の14・5(同1000分の10))とするものとしていた暫定措置を廃止するものとすること。

第三 その他
一 施行期日
 この法律は、平成13年4月1日から施行するものとすること。ただし、第一の四(二)についてはこの法律の公布の日から、第一の四(一)については平成12年10月1日から、第一の三については平成13年1月1日から施行するものとすること。

二 経過措置及び関係法律の整備この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに関係法律の規定の整備を行うものとすること。