社有車運転中の事故と損害の求償
■HOMEPAGE
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社有車の運転中に事故
雇用主に損害を与えた
雇用主からその労働者に対して損害の求償を求めたのだが
さて
最近の判例から
K興業事件(平13・4・11大阪高判)
自動車運転手が事故を起こし、雇用主に損害を与えた場合に、雇用主からその労働者に対して損害の求償を求めた事案である。
雇用主の損害を約55万円として、労働者に対する求償の範囲を信義則上損害額の5%に限定した。
「本件のように、使用者が、その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により、直接損害を被った場合には、使用者は損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し、上記損害の賠償を請求することができるにとどまること、本件において、信義則上相当と認められる限度を判断するに当たっては、控訴人の車両保険加入の有無、控訴人における労働条件、被控訴人の勤務態度等の諸事情を総合的に考慮すべき‥‥‥として、これらの諸事情に関し原判決が認定した事実に照らせば、控訴人が本件事故により被った損害のうち被控訴人に対して請求し得る範囲は信義則上、修理費用‥‥‥のうちの5%相当額にとどまるというべきである。」
関連資料 関西経協調査
調査の概要
関西経協会員会社に対する調査で211社(1000人以上31社、300〜999人58社、300人未満122社)が回答。2002年1月の状況。
ここでは、保険の不保状況及び自動車事故等が発生した場合の対応状況に係る部分のみを資料として抜粋させて頂いた。
任意保険の付保状況
保険の種類 | 金額でもっとも多いもの | 付保率 |
対人賠償 |
97.6%
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無制限 |
95.5%
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対物賠償 |
97.1%
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1000万円 |
42.7%
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搭乗者 |
88.3%
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1000万円 |
61.3%
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車両 |
75.4%
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社有車がある205社の付保状況をみると、「対人賠償」97.6%、「対物賠償」97.1%、「搭乗者保険」88.3%、「車輌保険」75.4%となっている。
対人賠償で最も多かったのは「無制限」で95.5%。対物賠償の場合、最も多いのは「1000万円」で42.7%、搭乗者も「1000万円」が多く、61.3%。
交通違反・反則金の企業負担の状況
原則として会社が全額負担する |
3.9%
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会社が一部負担することがある |
7.3%
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会社は一切負担しない |
86.3%
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その他 |
2.0%
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無回答 |
0.5%
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業務上の交通違反による罰金や反則金については、「会社は一切負担しない」が86.3%であった。「全額・一部負担」するのは1000人以上では皆無だったが、1000人未満では11%から16%の企業が負担に応じている。
損害賠償に対する会社負担の状況
原則として会社が全額負担する |
73.7%
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従業員に求償することがある |
29.1%
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従業員に求償することはない |
64.9%
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その他 |
6.0%
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会社が一部負担することがある |
11.2%
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会社は一切負担しない |
9.3%
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その他 |
5.4%
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無回答 |
0.5%
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業務上の交通事故で従業員が他人に損害を与えた場合は、企業が損害賠償責任を負ったり、またこれを従業員に求償できることもある。企業の負担状況をみると、「原則として会社が全額負担」が7割超で、この場合、3割の企業で「従業員に求償することがある」としている。
免許取消などの際の対応
職務 |
100%
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内勤業務に配転する |
12.7%
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職務は変えず電車バス等を利用させる |
71.7%
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その他 |
11.7%
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無回答 |
3.9%
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賃金 |
100%
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変更する |
6.3%
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変更しない |
79.5%
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その他 |
11.2%
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無回答 |
2.9%
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交通違反などの運転免許取消や停止処分で、従業員が自動車を運転できなくなった時は「電車、バスなど」で職務を行い、賃金は「変更しない」が多い。