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[資料番号] 00107
[題  名] 安全文化の創造を  内閣官房・事故災害防止安全対策会議報告書
[区  分] 安全管理

[内  容]


【資料のワンポイント解説】

1.最近のウラン加工施設事故、H−Uロケットの打ち上げ失敗、鉄道トンネルにおけるコンクリート落下事故等の事故多発を受けて、内閣官房に設けられた「事故災害防止安全対策会議」(内閣官房副長官のもと、関係省庁の局長クラスで構成)の報告書。
2.ヒューマンファクターに起因する事故に着目し、
  安全文化の創造(=組織と個人が「安全」を最優先にする気風や気質を育てていく)を提唱している。

3.労働災害防止に限定されるものではないが、事業者や安全衛生の実務に携わる方には、一読をお奨めします。

安全文化創造



事故災害防止安全対策会議報告書
(平成11年12月8日)


mokuji


1.はじめに
2.基本的な考え方
3.「安全文化」の創造、安全意識の徹底を図るための政府の取組
 
(1)学校教育全般を通じた安全教育の充実のための対策
 
(2)事業者等における安全教育と安全意識の徹底を図る対策
 
(3)事業者等における法令連守の徹底と法令違反に対する厳正な対処
4.事業者等において取り組むべき安全確保のための対策
 
(1)事業者等の組織的な安全への取組
 
(2)労働者の安全教育の充実等
5.検査点検体制の充実強化
6.機械・システムの安全性の向上の促進
7.情報の共有化と公開の推進
8.本報告書の位置付け
9.関係省庁における取組
10.ものづくり能力の再構築のための検討








1.はじめに

 最近の我が国においては、ウラン加工施設事故、宇宙開発分野におけるH−Uロケットの打ち上げ失敗、鉄道トンネルにおける相次ぐコンクリート落下事故等の事故災害が多発し、技術基盤への信頼性の低下から、国民の安全や安心の面で深刻な影響をもたらしている。かかる事態は、技術立国を標ぼうする我が国にとって由々しきものである。

 政府としては、このような深刻な事態に早急に対応するため、関係省庁で構成される「事故災害防止安全対策会議」(議長:内閣官房副長官(事務)、関係省庁の局長クラスで構成)を開催することとした。同会議においては、10月6日の初会合以来、各種の事故災害等の総括に立ち、特にヒューマンファクターに起因する事態に重点をおいて、これらの事故災害の背景に存在する組織管理、検査点検、従事者の教育訓練等のさまざまな問題点を徹底的に洗い出すとともに、問題点に対する共通的対応方策に関する検討を関係省庁で協力して進めてきた。

 本報告書は、こうした検討を踏まえ、事故災害防止に関する共通的な対応方策について取りまとめたものである。検討に当たっては、我が国全体の問題として、「安全文化」の創造、すなわち、組織と個人が「安全」を最優先にする気風や気質を育てていくことが重要であり、このためには、学校教育や企業内教育における安全教育の充実等を通して、国、地方公共団体、事業者、労働者、国民一般がそれぞれにおいて安全を確保するための積極的な取組を行い、社会全体での安全意識(モラル)を高めることが重要であるという認識に立って、取りまとめを行った。

 今後、本報告書を踏まえて、各省庁における所管事業に係る具体的な安全対策についての取組を一層促進し、また、産業界をはじめ、関係各方面に対して、安全確保のための所要の呼びかけを行っていくことにより、事故災害の防止及ぴ被害の低減を図り、安全に対する国民の信頼を回復していくことを目指す。



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2.基本的な考え方

 安全で安心して暮らせる社会を実現することは、政府の極めて重要な課題である。過去に発生した事故災害については、その都度、原因究明と再発防止対策等の所要の措置が講じられていることはもちろんであるが、今回は特に、第一回事故災害防止安全対策会議の決定に従い、関係省庁において、所管事業分野全体にわたり最近発生した事故災害やトラブルのうちで、特にヒューマンファクターに起因すると思われるものを対象として、再度、その原因と対策についての見直しを行い、その背景に存在する組織管理、検査点検、教育訓練等の問題点の洗い出しと対応方策に関する調査を行い、これらを踏まえて、予防及び事後の両面で、事故災害防止のために必要な基本的な対応方策の検討を行った。

 今回の検討を通じた安全確保のために重要な基本的な考え方は、以下のとおりであり、3.以下に掲げる具体的な施策は、これらの考え方に基づくものである。


(1) 安全な社会を実現するためには、「安全文化」の創造、すなわち、組織と個人が安全を最優先にする気風や気質を育てていくことがまず重要であり、このためには、学校教育や企業内教育における安全教育の充実等を通じて、国、地方公共団体、事業者、労働者、国民一般がそれぞれにおいて安全を確保するための積極的な取組を行い、社会全体での安全意識(モラル)を高めるための努力が必要である。


(2) 安全のためには、製品、サービスの中に安全確保のための適正なコスト負担が必要であることを共通の認識とするように、社会全体で取り組んでいくことが必要である。


(3) 事故防止を図るためには、事業者等におけるリスクマネジメントシステム、すなわち、事故発生の未然防止や発生した事故の速やかな処理を行うことにより、組織の損害を最小コストで最小限に食い止めるシステムの普及、促進が必要である。


(4) 事故の発生の防止と事故発生後の対応のためには、過去の事故・インシデントの原因や状況の分析、ヒューマンファクターに関する調査研究等の科学的アプローチが必要である。


(5) 事故防止のためには、人間のエラーをできる限り減らすことが何よりも重要であるが、一方で、機械・システムについて、フェイル・セーフ、即ち、仮にエラーが発生してもすぐには事故につながらないようにする等の観点に立った設計、開発が必要である。


(6) 万が一事故が発生した場合においても、その被害、影響を最小限に抑えるための体制づくりが必要である。


(7) 安全対策の実施に当たっては、常にその効果の評価を行うとともに、不断の見直しを図ることが必要である。


(8) 安全性向上のためには、事業分野の内外を問わず、情報の共有と公開が必要である。


(9) 事故災害に関しては、再発の防止を図るため、徹底した原因究明と事業者等の責任の明確化等の事後チェックが重要である。




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3.「安全文化」の創造、安全意識の徹底を図るための政府の取組


 安全な社会の実現は、政府の極めて重要な課題であり、安全な社会を実現するためには、まず、「安全文化」の創造、すなわち、組織と個人が安全を最優先にする気風や気質を育てていくことが重要である。

 このため、政府は、法令に基づく安全規制によって、安全への取組の基本的な方向性を示すとともに、学校教育、企業内教育等の場における安全教育を推進することが必要である。

 また、政府においては、法令連守の徹底、事故災害に対する原因の徹底究明と再発防止対策の的確な実施、法令違反に対する厳正な対処を図ることが必要である。

 さらに、安全確保のための適正なコスト負担が必要であることを共通の認識とする社会の構築が必要である。



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(1) 学校教育全般を通じた安全教育の充実のための対策

 小・中・高校等の初等中等教育の各段階において、各教科や道徳等学校教育全般を通じて安全に対する意識を高める教育を推進するとともに、児童生徒に安全な生活を営む上で必要な事柄を理解させ、日常生活、通学時、災害時等に安全な行動ができるような態度や能力を身に付けさせるなど、学校における安全教育の総合的な推進を図る。また、児童生徒の科学や技術に対する興味・関心を高めるための事業を積極的に展開する中で、安全の大切さの観点についての配慮を行う。さらに、大学等の高等教育機関においても、技術者教育の中で安全や技術者倫理に関する教育の充実を図る等、安全教育に関する取組を進める。


 @ 初等中等教育における安全教育の推進

 ア.各教科等担当指導主事研究協議会等の各種会議において、安全教育の重要性について周知徹底する。

 イ.学校教育の中での安全教育に関する研究調査を行い、その成果を指導用の資料等として教育委員会や各学校に配布すること等により、安全教育への積極的な取組を促進する。

 ウ.学習指導要領の改訂に伴い、文部省において新たに作成することとしている安全教育に関する教師用参考資料において、安全に関する意識を高めるための指導についての内容を盛り込む。


 A 児童生徒の科学や技術に対する興味・関心を高めるための事業の展開

 ア.次世代を担う子どもたちに、学校教育、社会教育を通じて、ものづくりの楽しさ、素晴らしさ等を認識してもらうための体験教育・学習等の効果的な施策の在り方などを検討している「ものづくり教育・学習に関する懇談会」(文部省・労働省の共同開催)において、安全の大切さの観点についても検討する。

 イ.中高生を対象として、大学、大学共同利用機関等の最先端の研究成果や研究現場に直接触れる機会を提供する「ふれあいサイエンスプログラム」の中で、安全教育にも配慮したプログラムの実施を推進する。

 ウ.全国の公民館、科学博物館、科学館、学校施設等において子どもを対象とする科学実験・ものづくり体験教室に対する支援等を行う「子ども科学・ものづくり教室」の中で、安全教育の観点に配慮した事業の実施を推進する。


 B 高等教育における安全教育の充実

 ア.大学における安全管理及び安全教育の充実を図るため、理工系学部等において原子力安全教育設備等を導入するとともに、各種会議を通じて安全教育に関する重要性について意識の啓発を図る。

 イ.大学等の高等教育機関において導入を予定している学会、産業界の連携による技術者教育の認定制度(アクレディテーション・システム)を通じて、技術者倫理に関する教育の充実が図られるよう支援する。

 ウ.産業界と大学との連携による実践的な技術者教育の充実や、「インターンシップ」(学生等が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと)の機会を通じて、安全に関する意識を高めるための取組が行われるよう、大学・企業等に促す。



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(2)事業者等における安全教育と安全意識の徹底を図る対策

 @ 労働者・社会人に対する安全教育の充実

 ア.労働安全衛生法第59条第3項に基づき、危険又は有害業務で安全又は衛生のための特別の教育を行うべきとされている対象業務を拡大する。

 イ.各事業所管官庁において行っている業務資格制度のうち、特に当該業務に伴う事故により重大な社会的影響が生ずるような危険を伴う業務従事者の資格制度については、業務開始当初だけでなく、3年目、5年目等、経験年数に応じた再度の安全教育システムの導入を検討する。また、この場合、大学等の教育機関が教育訓練機関として積極的に協力する。

 ウ.大学等の高等教育機関における、技術者・研究者等を含む社会人を対象とした安全教育に関連する再教育の取組を促進する。

 工.平成12年1月に開設される安全衛生情報センターで実施される、立体映像を使用した災害模擬体験等効果的な安全教育の内容の充実を図るとともに、当該安全教育を全国的に行うための体制の整備を図る。

 オ.安全衛生情報センターが、インターネットの画像により死亡災害、重大災害等の事故事例(発生状況・原因及びその防止対策を含む。)について紹介するとともに、機械設備・作業の工夫、改善例等についても情報提供するシステムを整備する。

 カ.労働安全コンサルタント等の安全指導技術者の養成、派遣等により、事業者が行う労働者への安全教育を支援する。

 キ.労働者及び事業者が安全に関する幅広い知識及び技術を習得するための中小企業者に対する研修の充実を図る。


 A リスクマネジメントシステムの普及・促進等

 ア.災害発生の潜在的危険性を減少させ、事業場の安全衛生水準を向上させるために、事業者が労働者の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動のガイドラインとしての、労働安全衛生マネジメントシステム(平成11年4月30日労働省告示)等を国際的な動向を踏まえつつ普及・促進する。そのため、労働災害防止団体、事業者団体、安全衛生専門家団体等においてその実施のための体制を整備する。

 イ.人為的災害など様々なリスクを極小化するための包括的なガイドラインとして「リスクマネジメントシステム構築のための指針」のJlSを制定し、普及・促進を図る。

 ウ.作業に潜む危険要因に対し、事前に予防対策を講じるための危険予知活動を普及・促進する。


 B 技術者の職業倫理の向上

 ア.科学技術に関する高等の専門応用能力を有する者を認定する技術士資格制度に関し、高い職業倫理を備えること等を主要な要件に追加するとともに、質が高く、十分な数の技術士を育成するための改善を実施する。

 イ.産業界が中心となった技術者教育プログラムについて、実際の現場まで含めた普及・活用の促進、及び当該プログラムにおいて技術者に対する倫理教育の徹底を支援する。


 C 調査研究の推進

 ア.大学・研究所における安全管理システム等の研究を推進する。

 イ.ヒューマンエラーに起因する事故災害の防止に関する調査研究を推進する。

 ウ.万が一事故が発生した場合の被害を最小限とする手法に関する調査研究を推進する。

 工.事故災害による経済的損失に関する調査研究を推進する。


 D 安全に対する志気の向上等

 ア.安全確保に対する優れた取組を積極的に評価し、公表することで、安全対策に積極的に取り組むためのインセンティブを付与する。(例:事業者団体、企業等による安全優良者の顕彰の促進を行う。)

 イ.安全情報について、利用者、事業者、メーカー、一般国民等それぞれの情報の受け手に応じ、提供すべき情報の内容、形式、提供方法の最適化を図る。




(3)事業者等における法令遵守の徹底と法令違反に対する厳正な対処

 ア.事業者等に対する講習、業界団体等による研修会等において、法令遵守の指導の徹底を図る。

 イ.法令に定められた立入検査等を効果的に実施し、法令違反行為の是正を求める。

 ウ.法令違反に対しては、機械・設備の使用停止等、法令に定められた行政処分を厳正に実施するとともに、刑事責任の究明を徹底する。

 工.法令違反を犯した事業者等に対する罰則については、必要に応じ、法定刑の引上げを含め、所管法令における規定の見直しを図る。




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4.事業者等において取り組むべき安全確保のための対策

 事業者等においては、経営者、従事者が、基本的な倫理観を保持することを前提に、安全確保に関する緊張感・使命感、技術・技能水準の維持に係る責任感、それを支える十分な知識、経験を有することが重要である。特に、経営者
等組織のトップは、安全を重視する姿勢を内外に明確かつ積極的に表明することで、社会に対する責任を明確化するとともに、組織における安全意識を徹底する必要がある。一方、従事者については、自らの仕事について、任務の内容、責任、安全との関係等を問いかける態度と探究心をもって、仕事に取り組むことで、作業の安全に関する意識を高めることが必要である。

 また、事業者の社会的な責任として、安全確保のための適正なコスト負担を当然とする考え方が特に求められている。


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(1) 事業者等の組織的な安全への取組


ア.労働安全衛生マネジメントシステム、1S09000シリーズに基づく品質マネジメントシステム等のマネジメントの手法を導入し、その効果的な実施のため、国際的な動向を踏まえつつ、社内の体制を整備する。

イ.安全な作業マニュアルを策定する。さらに、危険有害な作業について作業手順等の安全性を保証する責任者(内部又は外部の専門家)を選任し、当該作業手順等の作成・変更時の審査・承認及び作業手順等から逸脱しないようにする仕組みの事業場への導入を促進する。

ウ.安全管理に関する専門知識を有する適切な人材を育成又は採用し、適正に配置する。これにより、安全管理に責任を有する者が、安全確保に関する文書の作成や管理に至るまで、確実にチェックするシステムとする。

工.労働者個人の業務負担増によって安全に関する意識の低下を招くことのないよう、また、技術者・技能者の技術水準を高く維持するため、適切な人事配置・人事管理を行う。

オ.事業者と請負業者側との認識のずれ等による事故を防止するため、請負業者を含めた組織全体での安全管理体制を整備する。

カ.事故、異常事態発生時における対処要領についてのマニュアル化を図るとともに、緊急時を想定した訓練を充実させる。



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(2)労働者の安全教育の充実等


ア.雇入れ時等における安全教育の徹底を図る。

イ.事故、異常事態発生時における対処要領についてのマニュアル化を図るとともに、緊急時を想定した訓練を充実させる。(再掲)

ウ.事業者・事業者団体において、事故にはつながらなかった日頃の現場での“ヒヤリ’’としたり、“ハッ”とした経験について、ヒヤリハット事例として活用するなど、事故につながりそうな状況についてのケース・スタディ等を行い、事業所における安全意識・対策の向上を図る。また、危険予知活動等を通じ、潜在的事故要因を事前に発見排除し、事故を未然に防止する体制を強化する。

工.安全に関する意識の向上、技術・技能水準の維持向上を図るため、事業者団体等において講習会や有識者による講演会等を実施し、労働者の安全教育の充実を図る。





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5.検査点検体制の充実強化


ア.品質管理体制及び品質評価技術の充実強化を図る。

イ.lS09000シリーズに基づく品質マネジメントシステムの導入・展開を通じた安全確保体制の充実を図る。

ウ.検査点検の頻度や方法等をまとめた保守点検マニュアルの作成・充実を図る。また、点検週間の設定や、検査点検時のチェックリストの作成等により、定期的な検査点検の実施の徹底を図る。

エ.機械・設備等の検査点検を適切に行うため、外部専門家又は外部機関の活用を促進することとし、このための外部専門家及び外部機関による検査点検の支援体制の整備を図る。

オ.独立の評価チーム、外部専門家等による現場点検を行う。




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6.機械・システムの安全性の向上の促進

ア.安全教育等による個人レベルの能力向上とともに、システム自体の高度化(自動化・機械化)による安全性と信頼性の向上を図る。

イ.機械の故障や人間の誤動作をカバーするフェイル・セーフ等のシステム導入を推進する。

ウ.事故発生時の被害を軽減する構造・システム等を導入する。

工.機械設備全般について高度な安全化を促進するため、全ての機械設備を対象とした包括的な安全基準の整備を図る。

オ.機械設備等の設計・製作において、内外の新しい知見や技術情報を反映させるとともに、定着した製造技術についても品質、信頼性の確保を図る。




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7.情報の共有化と公開の推進


ア.作業における危険性・有害性の情報及びその防止対策が労働者や請負事業者に確実に伝達される仕組みを構築し、情報の共有化を推進する。

イ.過去の事故・インシデント情報を把握し、そのデータベース化等を図り、情報の共有化を推進する。

ウ.我が国及び諸外国の事故・インシデント情報について分析し、同種の事故の発生を未然に防止するために活用する。

工.事業者団体等を通じた同一業種の事業者等に対する安全情報の周知徹底を図る。

オ.事故の規模に応じた、国、地方公共団体、事業者、住民等の連絡調整網を整備し、事故発生時には関係者に迅速かつ的確に情報を提供する。

カ.事故災害防止について、労働者の家族を含め、広く一般の理解を得るため、通常時より地域住民に対する広報活動を進めるとともに、事業場の一般公開等を促進する。




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8.本報告書の位置付け


(1) 本報告書で示された対応方策については、各省庁、地方公共団体及び事業者等において、今後の事故防止対策を検討する際のガイドラインとなるよう、考えうる基本的な方策をできる限り多く盛り込むことを旨としている。

(2) 事故防止のための方策は、各業種、事業者等に応じて異ならざるを得ないものであり、全ての方策の実施を全ての業種、事業者等に一律に求められるものではない。したがって、本報告書を踏まえて、各省庁、地方公共団体及び事業者等において、それぞれの実状に応じて取り組んでいくことが望ましい。

(3) これらの対策の実施に当たっては、何よりも学校教育の現場や個別の事業者、施設等において、主体的に「安全文化」の創造と、事故災害防止に向けた取組を促進し、安全を基本とする社会を構築することが緊要である。政府は、これらの取組に対し、普及啓発、教育訓練、研究の推進等により支援することが必要である。




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9.関係省庁における取組

 関係省庁においては、本報告書を踏まえ、所管事業に係る個別的、具体的な安全対策についての取組を一層促進することとし、平成12年3月までに内閣官房にその実施状況を報告するものとする。




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10.ものづくり能力の再構築のための検討

 最近多発している事故災害は、我が国が得意としてきた品質管理等を含むものづくり能力に深刻な問題があることを示唆しており、ものづくり能力の再構築に向けて、別途、専門的な検討が必要である。