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平成12年4月1日施行
労働安全衛生法関係法規則の改正
1 深夜業に従事する労働者の自発的健康診断と事後措置
2 事業場における化学物質管理の推進
3 「自傷他害のおそれのある者」の就業禁止条項の削除
(労働省発行パンフレット等から)
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深夜業に従事する労働者の自発的健康診断 自発的健康診断の結果の提出(第66条の2) 深夜業に従事する労働者であって、一定の要件に該当するものは、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができます。 ・深夜業とは、午後10時から午前5時までの間における業務をいいます。 ・一定の要件とは、常時使用される労働者であって、当該健康診断を受けた日前6月間を平均して1月当たり4回以上深夜業に従事した方です。(労働安全衛生規則第50条の2) ・自発的健康診断の項目は下記のとおりです(定期健康診断項目と同一の項目)。その全部又は一部について、健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができます。 1 既往歴及び業務歴の調査 2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 3 身長、体重、視力及び聴力(1000Hz及び4000Hzの音に係る聴力をいう。)の検査 4 胸部エックス線検査及び喀疲(かくたん)検査 5 血圧の測定 6 貧血検査(血色素量及び赤血球数の検査) 7 肝機能検査(GOT,GPT、γ一GTPの検査) 8 血中脂質検査(血清総コレステロール、HDLコレステロール及び血清トリグリセライトの量の検査) 9 血糖検査 10 尿検査(尿中の糖及び蛋(たん)白の有無の検査) 11 心電図検査 ・提出することができるのは、当該健康診断を受けた日から3月以内です。(労働安全衛生規則第50条の3) ・自発的健康診断の結果を証明する書面は、当該労働者の受けた健康診断の項目ごとに、その結果を記載したものでなければなりません。(労働安全衛生規則第50条の4) 健康診断の結果の記録(第66条の3) 事業者は、定期健康診断結果と同様に、自発的健康診断の結果を記録しておかなければなりません。 ・経年的な健康診断結果の把握により労働者の健康管理を適正に行うため、事業者は健康診断の結果を記録しておく必要があります。 ・このため、従来からある労働安全衛生法上の健康診断と同様、事業者は自発的健康診断の結果についても、記録しておかなければなりません。 ・事業者は、自発的健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければなりません。(労働安全衛生規則第51条) 自発的健康診断の結果に基づき事業者が講ずべき措置 ○健康診断実施後の就業場所の変更、作業の転換等の措置を的確に実施するためには、医学的知見を踏まえて実施される必要があるとともに、労働者の自主的な健康管理の取組を一層促進していくため、医師等による保健指導を実施する必要があります。 ○このため、従来からある労働安全衛生法上の健康診断と同様、事業者は、自発的健康診断の結果についても、次の措置を講ずることとしたものです。 健康診断の結果についての医師等からの意見聴取(第66条の4) 事業者は、自発的健康診断の結果(有所見者に係るものに限る。)に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。 ・自発的健康診断の結果に基づく医師からの意見聴取は、労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日から2月以内に行わなければなりません。(労働安全衛生規則第51条の2) 健康診断実施後の措置(第66条の5) 事業者は、自発的健康診断の結果に係る医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、作業の転換、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません。 保健指導等(第66条の7) 事業者は、自発的健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師、保健婦又は保健士による保健指導を行うよう努めなければなりません。 ※自発的健康診断制度の創設に伴い、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(H8.10.1労働省公示第1号)についても改正されました。 |
事業場における化学物質管理の推進 化学物質をめぐる現状 ○我が国の産業界で使われている化学物質は、約5万種類を超えており、これに加え、毎年500〜600種類の新規の化学物質が新たに労働の現場に導入されています。 ○化学物質による業務上の疾病は、年間300〜400件で横這で推移しており、このうち、規制の対象となっていない化学物質が原因となって発生したものや、事業場において化学物質管理の方法等が確立されていないことが原因となつて発生したものがかなりの数を占めています。 ○未規制の化学物質については、事業者自らが文献調査等により有害性等の調査を行い、その結果に基づき事業者自らの創意工夫で労働者の健康障害防止のための措置を講ずることが努力義務として定められていますが、化学物質の有害性等に関する正しい情報が入手されないため適切な措置が講じられず災害が発生することもあります。 ○したがって、化学物質による労働災害を防止するためには、規制対象となっている化学物質について管理を適切に行うことはもとより、未規制の化学物質についても、その物質の有害性等の情報をMSDS(化学物質等安全データシート)等により確実に伝達し、この情報に基づき、事業場における自主的な化学物質管理を推進することが重要です。 ○このような状況に対応し、化学物質による労働者の健康障害を防止するため、以下のとおり労働安全衛生法を改正し、事業場における化学物質管理の推進を図ることとしました。 化学物質の有害性等の情報の通知 化学物質の有害性等の情報提供(第57条の2) 労働者に健康障害を生ずるおそれのある化学物質を譲渡し、又は提供する者は当該化学物質に係る有害性等の情報を文書等で譲渡先又は提供先に通知しなければなりません。 ・有害性等の情報の通知が義務づけられた化学物質は、約600種類です。(労働安全衛生法施行令第17条及び第18条の2) ・通知の方法は、文書の交付の他、磁気ディスクの交付、ファクシミリ装置を用いた通信その他の方法であって、その方法により通知することについて相手方の承諾があればその方法を用いてよいこととなっています。(労働安全衛生規則第34条2の3) 化学物質管理の推進に係る指針の公表及ぴ国の指導・援助(第58条第2項、第3項) 労働大臣は、労働者に健康障害を生ずるおそれのある化学物質による労働者の健康障害を防止するための事業者が講ずべき措置が適切かつ有効に実施されるため必要な指針を公表するとともに、事業者に対し、必要な指導、援助等を行うこととしています。 ・本条に基づく指針の主な項目は、次のとおりです。 (1)化学物質管理計画の策定等 (2)有害性の特定及びリスクアセスメント (3)実施事項(ばく露を低減するための措置、労働衛生教育等) (4)監査等 (5)記録 (6)人材の養成 労働者への周知(第101条第2項) 事業者は、法第57条の2に基づき通知された化学物質に係る有害性等の情報を労働者に周知させなければなりません。 ・周知の方法は、作業場の見やすい場所に常時掲示又は備え付けること、労働者に書面を交付すること、労働者が磁気媒体等に記録された通知の内容を常時確認できる機器を作業場に設置することのいずれかによることとなっています。(労働安全衛生規則第98条の2) |
労働安全衛生規則第61条第1項第2号 「精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれのある者」 の改正(削除)について 1 背景及び趣旨 現行の労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第61条第1項第2号においては、「精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれのある者」(以下「自傷他害のおそれのある者」という。)について、事業者責任において就業を禁止することとしている。 これに対し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)第29条第1項において自傷他害のおそれのある者に対し、厚生大臣が指定する相当の学識を有する精神保健指定医(以下「指定医」という。)2名以上が診察を行った上で、都道府県知事が措置入院をさせることとされている。また、平成11年には精神保健福祉法が改正され、医療の専門家ではない保護者に義務づけられていた自傷他害防止監督義務規定が削除された。 以上のことより、安衛則に基づき事業者が行う自傷他害のおそれのある者に対する就業禁止は、精神保健福祉法の措置入院により十分に担保され、また、医療の専門家ではない事業者に、自傷他害の危険性の客観的かつ公平な判断をさせることは困難であるため、診断の客観性及び公平性の確保並びに対象者の人権の保護、更には事業者負担の軽減の観点から、精神保健福祉法に基づき都道府県知事が行う措置に委ねることが適当である。 2 改正の概要 現行の安衛則第61条第1項第2号を削除する。 3 施行期目 平成12年4月1目 (参考) 労働安全衛生規則(昭和47年9月30目労働省令第32号) 第61条事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第1号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。 @病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者 B心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者 C前各号に準ずる疾病で労働大臣が定めるものにかかった者 2事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。 |