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[資料番号] 00109
[題  名] 在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
[区  分] その他

[内  容]

  

【資料のワンポイント解説】

1,労働省(女性局)策定の在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインである。(先の在宅就労問題研究会報告W−1(4)部分の通達化)。
  これは、「在宅ワークの仕事を注文する者が在宅ワーカーと契約を締結する際に守るべき最低限のルール」を定めたもの。
2,ここで言う「在宅ワーク」の定義は、情報通信機器を用いてデータ入力等の役務の提供にかかるものであるが、「雇用関係の下で行われる在宅勤務は対象に含まれない。」
3,(法的措置については今後の検討課題とされ、)当面はガイドラインの周知や相談体制の整備などの支援策を講ずるとしている。




在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン





第1 趣旨 

 このガイドラインは、在宅ワークを安心して行うことができるようにし、かつ、後に紛争が起こることを未然に防止するため、在宅ワークの契約条件の文書明示や契約条件の適正化などについて必要な事項を示すものである。在宅ワークの仕事を注文する者は、契約を締結する際には、在宅ワーカーと協議した上で契約の内容を決定するとともに、以下に示す内容を守っていくことが求められる。 



第2 定義                        

 このガイドラインにおける以下の用語の意味は、それぞれに定めるところによる。

(1) 在宅ワーク 

 情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労のうち、主として他の者が代わって行うことが容易なものをいい、例えば文章入力、テープ起こし、データ入力、ホームページ作成などの作業を行うものがこれに該当する場合が多い。ただし、法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などを除く。 

(2) 在宅ワーカー 

 在宅ワークを行う者をいう。

(3) 注文者

 在宅ワークの仕事を在宅ワーカーに注文する者をいう。 



第3 注文者が守っていくべき事項 


(1) 契約条件の文書明示及びその保存 

イ 契約条件の文書明示

 注文者は、在宅ワーカーと在宅ワークの契約を締結するときには、在宅ワーカーと協議の上、在宅ワーカーに対して、次の@からFの事項を明らかにした文書を交付すること。 
 ただし、契約関係が一定期間継続し、受発注が繰り返されるような場合、各回の受発注に共通する事項を包括的な契約とし、納期等各回の個別の事項をその都度の契約内容として、それぞれ明示することも可能であること。 

 @ 注文者の氏名、所在地、連絡先 
 A 注文年月日 
 B 注文した仕事の内容 
 C 報酬額、報酬の支払期日、支払方法 
 D 注文した仕事にかかる諸経費の取扱い  
 E 成果物の納期、納品先、納品方法 
 F 成果物が不完全であった場合やその納入が遅れた場合の取扱い(補修が求められる場合の取扱いなど) 

 なお、文書を交付する際には、別紙のモデル契約様式の活用が望ましい。 


ロ 契約条件の文書保存

 注文者は、在宅ワーカーとの契約条件をめぐる紛争を防止するため、上記イの事項を記載した文書を3年間保存すること。 

ハ 電子メールによる明示 

 上記イの@からFの事項は、文書の交付に代えて電子メールにより明示してもよい。ただし、その場合でも、在宅ワーカーから文書の交付を求められたときは、速やかに文書をその在宅ワーカーに交付すること。 


(2) 契約条件の適正化 


イ 報酬の支払 

@ 報酬の支払期日 
 報酬の支払期日については、注文者が在宅ワーカーから成果物を受け取った日から起算して30日以内とし、長くても60日以内とすること。 

A 報酬の額 
 報酬の額については、同一又は類似の業務に従事する在宅ワーカーの報酬、注文した仕事の難易度、納期の長短、在宅ワーカーの能力等を考慮することにより、在宅ワーカーの適正な利益の確保が可能となるように決定すること。
 なお、報酬の額については、最低賃金を参考にすることも考えられる。 


ロ 納期
 

 納期については、在宅ワーカーの作業時間が長時間に及ばないように設定すること。その際には、通常の労働者の1日の労働時間(8時間)を目安とすること。

ハ 継続的な注文の打切りの場合における事前予告

 同じ在宅ワーカーに、例えば6月を超えて毎月1回以上在宅ワークの仕事を注文しているなど継続的な取引関係にある注文者は、在宅ワーカーへの注文を打ち切ろうとするときは、速やかに、その旨及びその理由を予告すること。 

ニ その他 

 成果物が不完全であったことやその納入が遅れたことにより損害が生じた場合に、上記(1)のイに基づきあらかじめ契約書において在宅ワーカーが負担すると決めている範囲を超えて責任を負わせないようにすること。 



(3) その他 


イ 個人情報の保護

 注文者は、業務上知り得た在宅ワーカーの個人情報について、本人の同意なく無断で、目的外の使用、第三者への提供その他漏洩行為を行わないこと。 

ロ 健康確保措置

 VDT作業(注)の適正な実施方法、腰痛防止策などの健康を確保するための手法について、注文者が在宅ワーカーに情報提供することが望ましいこと。

ハ 能力開発機会の付与 

 注文者は、在宅ワーカーの能力の維持向上を図ることを目的として必要な能力開発機会を付与することが望ましいこと。 

ニ 担当者の明確化 

 注文者は、あらかじめ、在宅ワーカーから問い合わせや苦情等があった場合にそれを受け付ける担当者を明らかにすることが望ましいこと。 

 

(注) VDT作業とは、CRT(ブラウン管や液晶)ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文書の作成・編集・修正、プログラミング等を行う作業をいう(昭和60年12月労働省「VDT作業のための労働衛生上の指針」(参考)参照)。














別紙
<在宅ワークモデル契約様式−参考例>

○○業務契約書

 注文者◇◇(以下、Aという。)は、この契約に定める条件で○○に関する業務を在宅ワーカー△△(以下、Bという。)に注文し、Bはこれを受注します。本契約に定めのない事項または本契約の内容等に疑義が生じた場合には、その都度、A、B双方が民法をはじめとする法令等を踏まえ誠意をもって協議します。

  
仕事の内容
(詳細に記入。記入しきれない場合は別の紙による。)
 
報酬額 単価:         合計:
支払期日
(該当する事項のいずれか1つに レ をし、具体的に記入)
□     年  月  日
□納品検収後     日以内
□毎月      日締め、翌月      日
□その他(                                   )
支払方法
(該当する事項のいずれか1つに レ)
□B指定の金融機関に振込等(振込手数料を差し引いた金額を振込)
□B指定の金融機関に振込等(振込手数料はAが負担)
□その他(                                   )
諸経費の取扱
(該当する事項に レ)
Aが負担する経費は次のとおりとする。
□通信費(B発にかかるもの)   □打ち合わせ時の交通費
□宅配料金(B発にかかるもの)  □資料購入費
□仕事に必要な機器、バージョンアップ費用
□その他(                                   )
納期           年   月   日まで
納品先  
納品方法
(該当する事項に レ)
□電子メール    □FD/MO       □その他(          )
成果物が不完全であった場合やその納入が遅れた場合の取扱い
(AがBに補修を求める場合の取扱いなど)
 
【注】特別な合意をしなかった場合には、民法の債務不履行(415条)、瑕疵担保責任(566条、570条)、危険負担(534条〜536条)に関する規定が適用されます。




その他連絡事項
 

 A及びBは、本契約に基づき業務上知り得た情報について、相手方の同意なく無断で、第三者に提供又は漏洩し、本契約以外の目的に利用してはならないものとします。
 本契約締結後に記載内容に変更が生じた場合は、A、B協議の上書面より別に定めるものとします。


 上記の証として、本書2通を作成し、双方記名捺印の上、各々1通を保有します。

 平成   年   月   日


注文者       所在地
          氏名                             (印)
          連絡先
          担当者氏名

在宅ワーカー    住所
          氏名                             (印)