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[資料番号] 00130
[題  名] H15.4.1施行−社会保険労務士法の改正概要(社労士法人制度の創設など)
[区  分] その他

[内  容]


H15.4.1施行−社会保険労務士法改正の概要

国民一般からの懲戒申出制度
社会保険労務士法人制度の創設など

 

 

改正の概要

1 社労士の業務の見直し

(1)あっせん代理業務の追加

  個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第6条第1項の紛争調整委員会における同法第5条第1項のあっせんについて、紛争の当事者を代理することを社労士の業務に加えることとしたこと(第2条第1項関係)。

(2)労働社会保険諸法令の追加

  労働社会保険諸法令に、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」及び「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」を加えることとしたこと(別表第1関係)。


2 社会保険労務士試験の受験資格の緩和

  一定の事務又は業務に一定期間従事したことにより認められる受験資格について、その従事期間を一律3年以上とすることとしたこと(第8条関係)。 

3 登録事項の整備等

(1)社会保険労務士法人(以下「社労士法人」という。)の社員又は使用人の登録事項として、社労士法人の事務所を加えることとしたこと(第14条の2関係)。

(2)登録の取消事由に、心身の故障により社労士の業務を行うことができない者に該当するに至ったとき及び社労士の登録を受けた者が2年以上継続して所在が不明であるときを加えることとしたこと(第14条の9関係)。

4 社労士の権利及び義務に関する規定の整備

 社労士が業務を行い得ない事件として、「相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件」等を規定するとともに、社労士の名称の使用制限又は業務の制限に違反する者との提携の禁止規定を設けることとしたこと(第22条及び第23条の2関係)。

5 国民一般からの懲戒申出制度の創設等

(1)何人も、社労士について、懲戒事由に該当する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社労士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができることとしたこと(第25条の3の2関係)。

(2)全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)は、社労士が懲戒の手続に付された場合においては、その手続が結了するまでは、当該社労士の登録の抹消をすることができないこととしたこと(第25条の4の2関係)。

(3)厚生労働大臣は、社労士の懲戒処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、その理由を付記した書面により当該社労士に通知しなければならないこととしたこと(第25条の5関係)。


6 社会保険労務士法人制度の創設

 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号。以下「社労士法」という。)に、新たに「社会保険労務士法人」の章を設けることとしたこと(第4章の2関係)。

 その具体的な内容は、次のとおりであること。

(1)設立

  社労士は、社労士の業務を組織的に行うことを目的として、共同して社労士法人を設立することができることとしたこと(第25条の6関係)。

(2)名称

  社労士法人は、その名称中に「社会保険労務士法人」という文字を使用しなければならないこととしたこと(第25条の7関係)。

(3)社員の資格

  社労士法人の社員は、社労士でなければならないこととしたこと(第25条の8関係)。

(4)業務の範囲

  社労士法人は、社労士の業務を行うほか、定款で定めるところにより、当該業務に準ずるものとして厚生労働省令で定める業務の全部又は一部を行うことができることとしたこと(第25条の9関係)。

(5)登記

  社労士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならないこととしたこと(第25条の10関係)。

(6)設立の手続

  社労士法人を設立するには、その社員になろうとする社労士が、共同して定款を定めなければならないこととするとともに、定款の必要的記載事項について定めることとしたこと(第25条の11関係)。

(7)成立の時期

  社労士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立することとしたこと(第25条の12関係)。

(8)成立の届出等

  社労士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、その旨を、その主たる事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会(以下「主たる事務所の所在地の社労士会」という。)を経由して、連合会に届け出なければならないこととし、連合会は、社労士法人の名簿を作成し、これを厚生労働大臣に提出しなければならないこととしたこと(第25条の13関係)。

(9)定款の変更

  社労士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を、主たる事務所の所在地の社労士会を経由して、連合会に届け出なければならないこととしたこと(第25条の14関係)。

(10)業務を執行する権限

  社労士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うこととしたこと(第25条の15関係)。

(11)社員の常駐

  社労士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会(以下「社労士会」という。)の会員である社員を常駐させなければならないこととしたこと(第25条の16関係)。

(12)特定の事件についての業務の制限

   上記4に準じ、社労士法人の業務の制限に関する規定を設けることとしたこと(第25条の17関係)。

(13)社員の競業の禁止

  社労士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその社労士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の社労士法人の社員となってはならないこととしたこと(第25条の18関係)。

(14)業務の執行方法

   社労士法人は、社労士でない者に社労士でなければ業として行ってはならない事務を行わせてはならないこととしたこと(第25条の19関係)。

(15)社労士の義務等に関する規定の準用

  社労士に関する所要の規定を社労士法人に準用することとしたこと(第25条の20関係)。

(16)法定脱退

  社労士法人の社員は、社労士の登録の抹消、定款に定める理由の発生、総社員の同意又は除名によって、社労士法人を脱退することとしたこと(第25条の21関係)。

(17)解散

  社労士法人は、定款に定める理由の発生、総社員の同意、他の社労士法人との合併、破産、解散を命じる裁判又は厚生労働大臣による解散の命令があった場合のほか、社員が一人になり、そのなった日から引き続き六月間社員が二人以上にならなかった場合において、解散することとしたこと(第25条の22関係)。

(18)合併

  社労士法人は、総社員の同意があるときは、他の社労士法人と合併することができることとしたこと(第25条の23関係)。

(19)違法行為等についての処分

  @ 厚生労働大臣は、社労士法人が社労士法若しくは社労士法に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるときは、その社労士法人に対し、戒告し、若しくは一年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができることとしたこと(第25条の24第1項関係)。

  A @により社労士法人を処分する場合において、当該社労士法人の社員又は使用人である社労士につき懲戒事由に該当する事実があるときは、その社労士に対し、懲戒処分を併せて行うことができることとしたこと(第25条の24第4項関係)。

(20)民法の準用等
 
  社労士法人について、民法、非訟事件手続法、商法及び破産法の所要の規定の準用等を行うこととしたこと(第25条の25関係)。

(21)社労士法人の社労士会への入会及び退会

   社労士法人は、
 @ その成立の時に、当然、社労士法人の主たる事務所の所在地の社労士会の会員となること

 A 所属社労士会以外の社労士会が設立されている都道府県の区域に、事務所を設け、又は移転したときは、当該事務所の新所在地においてその旨を登記した時に、当然、当該事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社労士会の会員となること

 B その事務所の移転又は廃止により、所属社労士会が設立されている都道府県の区域内に社労士法人の事務所を有しないこととなったときは、旧所在地においてその旨を登記した時に、当然、当該社労士会を退会すること

 C 解散した時に、当然、所属社労士会を退会することとしたこと(第25条の29関係)。

(22)名称使用及び業務の制限

  社労士法人でない者は、社労士法人又はこれに類似する名称を用いてはならないこととするとともに、社労士法人の業務を行ってはならないこととしたこと(第26条及び第27条関係)。

 

7 社労士会及び連合会の会則記載事項の整備

 社労士会の会則の記載事項に支部等に関する規定を加えるとともに、社労士会及び連合会の会則の記載事項から、開業社労士の受ける報酬に関する規定を削除することとしたこと(第25条の27及び第25条の35関係)。

8 社労士会の支部の設置

 社労士会は、その目的を達成するために必要があるときは、支部を設けることができることとしたこと(第25条の28関係)。

9 連合会の貸借対照表等の公開

 連合会は、毎事業年度、総会の決議を経た後、遅滞なく、貸借対照表及び収支計算書を官報に公告し、かつ、財産目録、貸借対照表、収支計算書及び附属明細書等を、事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、−般の閲覧に供しなければならないこととしたこと(第25条の48関係)。

10 罰則の整備

 社労士法人制度の創設に伴い、罰則について、所要の規定の整備を行うこととしたこと(第32条から第37条まで関係)。

11施行期日等

(1)この法律は、平成15年4月1日から施行することとしたこと。ただし、上記7の改正内容中の社労士会及び連合会の会則の記載事項から開業社労士の受ける報酬に関する規定を削除する部分については、公布日から施行することとしたこと(改正法附則第1条関係)。

(2)この法律の施行に伴う所要の経過措置等を定めることとしたこと(改正法附則第2条から第6条まで関係)。