次の資料 前の資料

[資料番号] 00132
[題  名] 派遣法改正へ−民間労働力需給制度部会報告たたき台〔平成14年12月〕
[区  分] その他

[内  容]

資料

 

派遣法改正へ

労働政策審議会職業安定分科会
民間労働力需給制度部会報告たたき台〔平成14年12月〕

概要

 

一般派遣の派遣期間を3年までに(現行1年)

専門的知識の必要な26業務に、3年以上派遣の道

製造業派遣の解禁〔ただし、派遣期間は1年に制限〕

−−−解禁理由は、相手先企業からの発注に迅速に対応するため、日々変動する業務量に応じ、労働力需要に迅速かつ的確に対応することへのニーズが高まっているから。

(社会福祉施設も解禁へ)

違法派遣の解消等のための指導監督の強化

現在の公共職業安定所による指導監督では実効性が上がっていないので→基準監督機関との連携を図りながら労働局で対応。

 

 

〔民間労働力需給制度部会報告たたき台=抜粋

1 派遣期間関係

(1) 派遣期間については、原則1年に制限されていることにより、結果的に派遣労働者の雇用が不安定となる面があること、また、派遣先にとっても、その処理すべき業務によっては期間が短く適切な対応ができない場合があることが指摘されている。
 一方、平成11年の労働者派遣法改正の際の基本的な考え方である労働者派遣事業制度の「臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策」としての位置付け、及び、これに基づく派遣期間の一定の限定は、いわゆる長期雇用慣行の我が国における位置付けを踏まえると、今回の見直しにおいては、引き続き維持することが適当と考える。しかしながら、常用雇用との調和を図りつつ、派遣労働者や派遣先のニーズに的確に応える観点から、現行の一律1年という制限については見直すこととし、3年までの期間で臨時的・一時的と判断できる期間については、派遣を受け入れることができることとするのが適当である。
 この場合、臨時的・一時的と判断できる期間は、派遣先の事業の状況等によって異なるものとみられることから、1年を超えても臨時的・一時的と考えられる期間であると判断できるかどうかは、個別事業所ごとに、派遣先の事業主が判断することとし、派遣先の事業主が当該事業所の労働者の過半数代表の意見を聴いた上で判断することが適当である。なお、この意見聴取の手続は、派遣先の事業主が自ら臨時的・一時的と考えられる期間を判断するに当たり、あくまでも現場の実情等を的確に把握するために労働者の過半数代表の意見を聴くという性格を有するものである。

(2) 現行の1年の派遣期間の制限の対象外となっているいわゆる26業務のうち、専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務については、現在、合理的な理由なく、同一の派遣労働者について就業の場所及び従事する業務が同一の労働者派遣を、継続して3年を超えて行うことのないよう取り扱われているところであるが、派遣労働者の雇用の安定等を考慮し、2(2)に掲げる直接雇用の促進に係る措置の整備と併せ、この取扱いを廃止することが適当である。
 また、営業や販売等の業務については、必要とされる知識、技術又は経験等の専門性のレベルは業務により様々であり、営業や販売を広く一般的に専門性の高い業務としていわゆる26業務と同様に取り扱うことは困難であると考えられる。
 このため、今後、これらの業務をいわゆる26業務に追加するかどうかを検討していくに当たっては、専門性などについて具体的に検討することが適当である。

(3) いわゆる26業務と現行の派遣期間が1年に制限されている業務とを併せて行う労働者派遣の場合(いわゆる「複合業務」)については、現在、1年の派遣期間の制限の適用があるものと取り扱っているところであるが、いわゆる26業務の実施に伴い付随的に行う場合であって、かつ、その割合が低い場合(例えば1割)には、26業務の遂行を円滑に行うことができるよう、派遣期間の制限の対象外とすることが適当である。

 

2 派遣労働者の希望を踏まえた直接雇用の促進関係

(1) 派遣先が1の(1)派遣期間の制限に違反する場合には、派遣労働者の保護を図るため、派遣元事業主は当該派遣先及び派遣労働者に対し派遣停止を通知することとし、派遣停止の通知を受けたにもかかわらず当該派遣労働者をなお就業させる派遣先は、当該派遣労働者に対し雇用契約の締結を申し込まなければならないこととすることが適当である。

(2) 派遣労働者の中には、派遣先に直接雇用されることを希望する者も一定程度おり、そうした派遣労働者に対し派遣先による直接雇用の機会をより多く確保することが必要である。
 具体的には、3年を超えて同一業務に同一派遣労働者を受け入れている派遣先が、当該業務と同じ業務に従事させるため労働者を雇い入れようとするときは、当該派遣労働者に対し雇用契約の締結を申し込まなければならないこととすることが適当である。

 

3 適用対象業務関係

(1) 現行制度において労働者派遣事業の適用除外業務とされている業務のうち、港湾運送業務、建設業務及び警備業務については、他法において特別の措置が講じられていること等から、引き続き適用除外業務とすることが適当である。

(2) 適用除外業務とされている医業等のうち、@病院、診療所、介護老人保健施設における業務、及び、A往診、訪問看護に関する業務については、派遣先が派遣労働者を特定できないこと等を考慮し、引き続き、適用除外業務とするが、社会福祉施設等における業務については、適用対象業務とすることが適当である。

(3) 経済・産業構造の転換や国際化が進展する中、相手先企業からの発注に迅速に対応するため、日々変動する業務量に応じ、労働力需要に迅速かつ的確に対応することへのニーズは製造業を中心により一層高まっている。こうしたニーズを踏まえると、当分の間、適用除外業務をなっている「物の製造」業務については、製造業における臨時的・一時的な労働力需給を迅速に調整し、円滑な事業運営が可能となるよう、適用対象業務とすることが適当である。
 なお、「物の製造」の業務に従事する労働者の就業の実情等を考慮すると、一定期間、「物の製造」の業務については、派遣期間を1年に制限することが適当である。

 

4 派遣元事業主・派遣先の講ずべき措置関係

(1) 「物の製造」の業務への労働者派遣を可能とすることに伴い、安全衛生の徹底を図るため、派遣元責任者及び派遣先責任者の安全衛生に係る職務について所要の整理を行うことが適当である。具体的には、派遣元責任者及び派遣先責任者は、派遣労働者の安全及び衛生に関し、それぞれの事業所において必要な連絡調整を行うとともに、派遣元責任者は派遣先と、派遣先責任者は派遣元事業主と必要な連絡調整を行うこととし、派遣労働者の安全及び衛生が確保されるよう措置することが適当である。
 また、労働者派遣契約の内容として定めるべき事項である「安全及び衛生に関する事項」については、内容をより具体的に記載するようにしていくことが適当である。

(2) 「物の製造」の業務への労働者派遣を可能とすることに伴い、製造現場での就業の実情を考慮し、派遣労働者の適正な就業を確保するため、派遣労働者の雇用管理体制の一層の充実を図る必要があることから、「物の製造」の業務へ派遣された派遣労働者を担当する派遣元責任者と、それ以外の業務へ派遣された派遣労働者を担当する派遣元責任者とを区分して選任することが適当である。
 また、同様に、派遣先における派遣労働者の就業管理体制の一層の充実を図る必要があることから、「物の製造」の業務に派遣された派遣労働者が一定数以上いる場合、当該派遣労働者を担当する派遣先責任者と、それ以外の業務に派遣された派遣労働者を担当する派遣先責任者とを区分して選任することが適当である。

(3)労働・社会保険の適用については、平成11年の改正により、派遣先が講ずべき措置に関する指針において、派遣労働者の労働・社会保険への加入を促進するため、派遣先が派遣労働者を受け入れる際に、その労働・社会保険への加入状況を了知し、未加入の者を受け入れないようにするなど、一定の適用促進のために仕組みが設けられているが、これをさらに実効あらしめるための措置を検討することが適当である。

(4) 安全衛生等の措置を円滑に実施するため、派遣元事業主の責任である事項にあっても、例えば、雇入れ時の安全衛生教育について、派遣元事業主から派遣予定労働者の雇入時教育の実施の委託の申し入れがある場合には、派遣先はできるだけこれに応じるよう努めるものとすること等、派遣先が協力や配慮を行うことが適当又は望ましいと考えられる事項については、派遣先が講ずべき措置に関する指針において必要な措置を明記することが適当である。

 

5 指導監督体制の整備等

 「物の製造」の業務への労働者派遣を可能とすること等に伴い、労働者派遣事業を行う事業主、派遣先及び派遣労働者が増加することが予想される。特に、請負と労働者派遣の混在等が予想される製造現場においては、指導監督に万全を期す必要がある。
 このため、違法な労働者派遣の解消等のための指導監督業務の効率性、実効性を高める必要があることから、現在、職業安定行政において各公共職業安定所に分掌されている指導監督業務は、都道府県労働局において、専門的な職員の配置、相談員の活用等体制を充実・強化することにより対応することとし、併せて労働基準行政との連携のより一層の強化を図ることが適当である。
 また、労働者派遣事業適正運営協力員については、その設置の趣旨等を踏まえ、必要な運用の見直しを行うことが適当である。