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労働基準法の一部を改正する法律案要綱
解雇−金銭解決見送り
【資料のワンポイント解説】
1.2月13日厚生労働大臣は労働政策審議会に「労基法一部改正の法律案要綱」を諮問した。
2.昨年12月26日の建議を踏まえた内容だが、建議において
「裁判における救済手段について
解雇の効力が裁判で争われた場合において、裁判所が当該解雇を無効として、解雇された労働者の労働契約上の地位を確認した場合であっても、実際には原職復帰が円滑に行われないケースも多いことにかんがみ、裁判所が当該解雇は無効であると判断したときには、労使当事者の申立てに基づき、使用者からの申立ての場合にあっては当該解雇が公序良俗に反して行われたものでないことや雇用関係を継続し難い事由があること等の一定の要件の下で、当該労働契約を終了させ、使用者に対し、労働者に一定の額の金銭の支払を命ずることができることとすることが必要である。」とされていたいわゆる解雇の金銭解決ルールの部分は、今回の改正案要綱では、全面的に見送られた。
3.この点では、労使にそれぞれの思惑があり、最後まで意見の一致を見なかった。(とくに、金銭解決の補償金について、その性格・水準設定の及ぼす作用等において意見対立が解消できなかったようだ。)
4.厚生労働省では、本改正案要綱の答申を得て法案作成作業に入る予定。
参考 労働政策審議会建議
労働基準法の一部を改正する法律案要綱(H15.2.13) 1.期間の定めのある労働契約については、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、契約期間の上限を三年(次のいずれかに該当する労働契約にあっては、五年)とするものとすること。 (一)専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約 (二)満六〇歳以上の労働者との間に締結される労働契約((一)に掲げる労働契約を除く。)
第二 労働契約の終了 1.解雇 使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができること。ただし、その解雇が、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とするものとすること。
労働者が、解雇の予告をされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由を記載した文書の交付を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならないものとすること。
就業規則の記載事項のうち、退職に関する事項に解雇の事由を含むことを明らかにするものとすること。
1.専門業務型裁量労働制 専門業務型裁量労働制の導入に当たって労使協定で定めなければならない事項として、専門業務型裁量労働制の対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置並びに当該労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずることとする旨その他厚生労働省令で定める事項を追加するものとすること。
(一)企画業務型裁量労働制の対象とする事業場は、事業運営上の重要な決定が行われる事業場に限定しないものとすること。 (二)企画業務型裁量労働制の導入に当たって労使委員会が行う決議の要件は、その委員の五分の四以上の多数とするものとすること。 (三)労使委員会の委員のうち、労働者を代表する委員について、当該事業場の労働者の過半数の信任を得ていることとする要件は、廃止するものとすること。 (四)労使委員会の設置に係る行政官庁に対する届出は、廃止するものとすること。 (五)企画業務型裁量労働制を導入した使用者が定期的に報告を行う事項は、その対象となる労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況に限るものとすること。 (六)労使委員会において、労働時間に関して労使協定により定めることとされている事項について決議を行う場合の当該決議の要件は、その委員の五分の四以上の多数とするものとすること。 |