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[資料番号] 00167
[題  名] 改正労働者派遣法−派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針〔全文〕(H16.3.1施行)
[区  分] その他

[内  容]


改正労働者派遣法
派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針

(平成11年11月17日・労働省告示第138号の一部改正-H15.12.25厚生労働省告示第449号−H16.3.1施行)





 労働者派遣事業の適正な運営の確保及ぴ派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の3の規定に基づき、派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第138号)の一部を次のように改正し、平成16年3月1日からから適用する。
派遣先が講ずべき措置に関する指針


(注)青文字は、今回改正で追加された措置である。





第1 趣旨

 この指針は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及ぴ派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第3章第1節及ぴ第3節の規定により派遣先が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。



第2 派遣先が講ずべき措置



1 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認

 派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件の内容を十分に確認すること。



2 労働者派遣契約に定める就業条件の確保

 派遣先は、労働者派遣契約を円滑かつ的確に履行するため、次に掲げる措置その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずること。


(1)就業条件の周知徹底

 労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること。


(2)就業場所の巡回

 定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること。


(3)就業状況の報告

 派遣労働者を直接指揮命令する者から、定期的に当該派遣労働者の就業の状況について報告を求めること。


(4)労働者派遣契約の内容の遵守に係る指導

 派遣労働者を直接指揮命令する者に対し、労働者派遣契約の内容に違反することとなる業務上の指示を行わないようにすること等の指導を徹底すること。



3 派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止

 派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。なお、派遣労働者又 は派遣労働者となろうとする者が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行う ことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、 実施可能であるが、派遣先は、派遣元事業主又は派遣労働者若しくは派遣労働者となろうとする者に対してこれらの行為を求めないこととする等、 派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止に触れないよう十分留意すること。



4 性別による差別の禁止

 派遣先は、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、当該労働者派遣契約に派遣労働者の性別を記載してはならないこと。



5 労働者派遣契約の定めに違反する事実を知った場合の是正措置等

 派遣先は、労働者派遣契約の定めに反する事実を知った場合には、これを早急に是正するとともに、労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、派遣元事業主と十分に協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずること。



6 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置


(1) 労働者派遣契約の締結に際して配慮すべき事項
 派遣先は、労働者派遣契約の締結に際し、労働者派遣の期間を定めるに当たっては、派遣元事業主と協力しつつ、当該派遣先において労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を勘案して可能な限り長く定める等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めること。



(2)労働者派遣契約の解除の事前の申入れ

 派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うこと。


(3)派遣先における就業機会の確保

 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。


(4)損害賠償等に係る適切な措置

 派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、労働者派遣契約の解除を行おうとする日の少なくとも30日前に派遣元事業主に対しその旨の予告を行わなければならないこと。
 当該予告を行わない派遣先は、速やかに、当該派遣労働者の少なくとも30日分以上の賃金に相当する額について損害の賠債を行わなければならないこと。
 派遣先が予告をした日から労働者派遣契約の解除を行おうとする日までの間の期間が30日に満たない場合には、少なくとも労働者派遣契約の解除を行おうとする日の30日前の日から当該予告の日までの期間の日数分以上の賃金に相当する額について行わなければならないこと。
 その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。
 また、派遣元事業主及ぴ派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及ぴ派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。


(5)派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を当該派遣元事業主に対し明らかにすること。



7 適切な苦情の処理

 派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣先において苦情の処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携を図るための体制等を、労働者派遣契約において定めること。
 また、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施して、その内容を派遣労働者に説明すること。
 さらに、派遣先管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及ぴ苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載するとともに、その内容を派遣元事業主に通知すること。
 また、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。



8 労働・社会保険の適用の促進

 派遣先は、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者については、労働・社会保険に加入している派遣労働者(派遣元事業主が新規に雇用した派遣労働者であって、当該派遣先への労働者派遣の開始後速やかに労働・社会保険への加入手続が行われているものを含む。)を受け入れるべきであり、派遣元事業 主から派遣労働者が労働・社会保険に加入してい ない理由の通知を受けた場合において、当該理由 が適正でないと考えられる場合には、派遣元事業 主に対し、当該派遣労働者を労働・社会保険に加 入させてから派遣するよう求めること。



9 適正な派遣就業の確保

(1) 適切な就業環境の維持、福利厚生等


 派遣先は、その指揮命令の下に労働させている派遣労働者について、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、セクシュアルハラスメントの防止等適切な就業環境の維持、その雇用する労働者が通常利用している診療所、給食施設等の施設の利用に関する便宜を図るよう努めなければならないこと。また、派遣先は、派遣元事業主の求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事している労働者等の福利厚生等の実状を把握するために必要な情報を派遣元事業主に提供する等の協力をするよう努めなければならないこと。

(2) 教育訓練・能力開発

 派遣先は、派遣元事業主が行う教育訓練や派遣労働者の自主的な能力開発等の派遣労働者の教育訓練・能力開発について、可能な限り協力するほか、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならないこと。





10 関係法令の関係者への周知

 派遣先は、労働者派遣法の規定により派遣先が講ずべき措置の内容や労働者派遺法第3章第4節に規定する労働基準法(昭和22年法律第49号)等の適用に関する特例等の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講ずること。



11 派遣元事業主との労働時間等に係る連絡体制の確立

 派遣先は、派遣元事業主の事業場で締結される労働基準法第36条第1項の時間外及ぴ休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについて派遣元事業主に情報提供を求める等により、派遣元事業主との連絡調整を的確に行うこと。



12 派遣労働者に対する説明会等の実施

 派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施し、派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容についての説明、派遣労働者が円滑かつ的確に就業するために必要な派遣労働者を直接指揮命令する者以外の派遣先の労働者との業務上の関係についての説明及ぴ職場生活上留意を要する事項についての助言等を行うこと。



13 派遣先責任者の適切な選任及ぴ適切な業務の遂行

 派遣先は、派遣先責任者の選任に当たっては、労働関係法令に関する知識を有する者であること、人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であること等派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めること。



14 労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限の適切な運用

 派遣先は、法第40条の2の規定に基づき常用労働者の派遣労働者による常用労働者の代替の防止の確保を図るため、次に掲げる基準に従い、事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から1年同条第2項に規定する派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないこと。


(1) 事業所その他派遣就業の場所については、課、部、事業所全体等、場所的に他の部署と独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断すること。


(2) 同一の業務については、労働者派遣契約を更新して引き続き当該労働者派遣契約に定める業務に従事する場合は同一の業務に当たること。
 このほか、派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務であるとみなすこと。なお、この場合における最小単位の組織としては、業務の内容について指示を行う権限を有する者とその者の指揮を受けて業務を遂行する者とのまとまりのうち最小単位のものをいい、係又は班のほか、課、グループ等が該当する場合もあり、名称にとらわれることなく実態により判断すべきものとすること。
 ただし、派遣労働者の受入れに伴い係、班等を形式的に分ける場合、労働者数の多いこと等に伴う管理上の理由により係、班等を分けている場合又は係、班等の部署を設けていない場合であっても就業の実態等からこれらに該当すると認められる組織において行われる業務については、同一の業務であるとみなすこと。
 偽りその他不正の行為により労働者派遣の役務の提供を受けている又は受けていた係、班等の名称を変更し、又は組織変更を行うなど、従来の係、班等とは異なる係、班等に新たに労働者派遣の役務の提供を受け、又は受けようとする場合には、同一の業務について労働者派遣の役務の提供を受け、又は受けようとしているものと判断すること。その他法第40条の2の規定に照らし、就業の実態等に即して同一の業務であるか否かを判断すること。


(3) 労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。





15 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に係る意見聴取の適切かつ確実な実施

(1) 派遣先は、労働者派遣法第四十条の二第四項の規定に基づき、当該派遣先の事業所の労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「過半数組合等」という。)に対し、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間について意見を聴くに当たっては、当該期間等を過半数組合等に通知してから意見を聴くまでに、十分な考慮期間を設けること。

(2) 派遣先は、過半数組合等から、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間が適当でない旨の意見を受けた場合には当該意見に対する派遣先の考え方を過半 数組合等に説明すること、当該意見を勘案して労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間について再検討を加えること等により、過半数組合等の意見を十分に尊重するよう努めること。




16 雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの派遣労働者の受け入れ

 派遣先は、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストに、当該解雇後三箇月以内に派遣労働者を受け入れる場合には、必要最小限度の労働者派遣の期間を定めるとともに、当該派遣先に雇用される労働者に対し労働者派遣の役務の提供を受ける理由を説明する等、適切な措置を講じ、派遣先の労働者の理解が得られるよう努めること。




17 安全衛生に係る措置

 派遣先は、派遣元事業主が派遣労働者に対する雇入れ時の安全衛生教育を適切に行えるよう、派遣労働者が従事する業務に係る情報を派遣元事業主に対し積極的に提供するとともに、派遣元事業主から雇入れ時の安全衛生教育の委託の申入れがあった場合には可能な限りこれに応じるよう努める等、派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するために必要な協力や配慮を行うこと。




18 紹介予定派遣

(一) 紹介予定派遣を受け入れる期間


 派遣先は、紹介予定派遣を受け入れるに当たっては、六箇月を超えて、同一の派遣労働者を受け入れないこと。

(二) 職業紹介を希望しない場合又は派遣労働者を雇用しない場合の理由の明示

 派遣先は、紹介予定派遣を受け入れた場合において、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれその理由を派遣元事業主に対して書面、ファクシミリ又は電子メールにより明示すること。

(三) 派遣先が特定等に当たり雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)第七条の趣旨に照らし講ずべき措置

(1) 派遣先は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為又は派遣労働者の特定(以下「特定等」という。)を行うに当たっては、次に掲げる措置を講ずるように努めること。

 ア (2) に該当する場合を除き、派遣労働者の年齢を理由として、特定等の対象から当該派遣労働者を排除しないこと。
 イ 派遣先が職務に適合する派遣労働者を受け入れ又は雇い入れ、かつ、派遣労働者がその有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することが容易になるよう、職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる派遣労働者の適性、能力、経験、技能等の程度その他の派遣労働者が紹介予定派遣を希望するに当たり必要とされる事項をできる限り明示すること。

(2) 年齢制限が認められる場合(派遣労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められる場合以外の場合)
 派遣先が行う特定等が次のアからコまでのいずれかに該当する場合であって、当該派遣先がその旨を派遣元事業主及び派遣労働者に対して説明したときには、年齢制限をすることが認められるものとする。

 ア 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、新規学卒者等である特定の年齢層の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 イ 企業の事業活動の継続や技能、ノウハウ等の継承の観点から、労働者数が最も少ない年齢層の労働者を補充する必要がある状態等当該企業における労働者の年齢構成を維持・回復させるために特に必要があると認められる状態において、特定の年齢層の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 ウ 定年年齢又は継続雇用の最高雇用年齢と、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要とされる期間又は当該業務に係る職業能力を形成するために必要とされる期間とを考慮して、特定の年齢以下の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 エ 派遣先が紹介予定派遣に係る派遣労働者を雇用する際に予定される賃金額を採用した者の年齢にかかわりなく支払うこととするためには、年齢を主要な要素として賃金額を定めている就業規則との関係から、既に働いている労働者の賃金額に変更を生じさせることとなる就業規則の変更が必要となる状態において、特定の年齢以下の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 オ 特定の年齢層を対象とした商品の販売やサービスの提供等を行う業務について、当該年齢層の顧客等との関係で当該業務の円滑な遂行を図る必要から、特定の年齢層の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 カ 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から、特定の年齢層の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 キ 労働災害の発生状況等から、労働災害の防止や安全性の確保について特に考慮する必要があるとされる業務について、特定の年齢層の派遣労働者を対象として特定等を行う場合
 ク 体力、視力等加齢に伴いその機能が低下するものに関して、採用後の勤務期間等の関係からその機能が一定水準以上であることが業務の円滑な遂行に不可欠であるとされる当該業務について、特定の年齢以下の派遣労働者について特定等を行う場合
 ケ 行政機関による指導、勧奨等に応じる等行政機関の施策を踏まえて中高年齢者に限定して特定等を行う場合
 コ 労働基準法等の法令の規定により、特定の年齢層の労働者の就業等が禁止又は制限されている業務について、当該禁止又は制限されている年齢層の派遣労働者を除いて特定等を行う場合

(四) 派遣先が特定等に当たり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号。以下「均等法」という。)第五条の趣旨に照らし行ってはならない措置

(1)  派遣先は、特定等を行うに当たっては、次に掲げる措置を行わないこと。

 ア 特定等に当たって、女性であることを理由として、その対象から女性を排除すること。
 イ 特定等に当たって、男女をともに特定等の対象としているにもかかわらず、女性又は男性についての特定等に係る人数を設定すること
 ウ 特定等に当たり、年齢、婚姻の有無、通勤の状況その他の条件を付す場合において、女性に対して男性と異なる条件を付すこと。
 エ 派遣就業又は雇用の際に予定される求人の内容の説明等特定等に係る情報の提供について、女性に対して男性と異なる取扱いをすること又は派遣元事業主にその旨要請すること。
 オ 特定に係る試験等について、女性に対して男性と異なる取扱いをすること。
 カ 特定等に当たって、女性であることを理由として、その対象を女性のみとすること。

(2) 紹介予定派遣に係る女性派遣労働者の特定等に係る措置に関する特例

 均等法第九条は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置は違法でないことを定めている。この場合、支障となっている事情とは、固定的な男女の役割分担意識に根ざす企業の制度や慣行に基づき、雇用の場において男女労働者の間に事実上格差が生じていることをいうものであり、支障となっている事情の存否は、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない状況にあるか否かにより判断するものとすることが適当である。このことから、紹介予定派遣に係る特定等に当たっては、将来、当該派遣労働者を採用することが予定されている雇用管理区分において、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない場合においては、当該特定の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して特定することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすることは、 (1) にかかわらず、行って差し支えない。

(3)  適用除外
 次のいずれかに該当する場合については、 (1) 及び (2) を適用しない。

 ア 次に掲げる職業に従事する派遣労働者に係る場合
  i 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男性又は女性のいずれか一方の性に従事させることが必要である職業
  ii 守衛、警備員等防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職業(労働者派遣事業を行ってはならない警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務を内容とするものを除く。)
  iii i及びiiに掲げる職業のほか、宗教上、 風紀上、スポーツにおける競技の性質上その他の業務の性質上男性又は女性のいずれか一方の性に従事させることについてこれらの職業と同程度の必要性があると認められる職業

 イ 労働基準法第六十一条第一項、第六十四条の二又は第六十四条の三第二項の規定により女性の労働が制限され、又は禁止されていることから、通常の業務を遂行するために、女性に対して男性と均等な機会を与えること又は女性派遣労働者に対して男性派遣労働者と均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合
 ウ 風俗、風習等の相違により女性が能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合その他特別の事情により女性に対して男性と均等な機会を与えること又は女性派遣労働者に対して男性派遣労働者と均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合