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石綿による疾病の認定基準について
平成15年9月19日改訂
mokuji
新・石綿による疾病認定基準(H15.9.19改訂)
石綿による疾病の認定基準の運用上の留意点について
石綿ばく露歴チェック表(『職業性石綿ばく露と石綿関連疾患』
旧・認定基準(参考)
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厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて(平成15年9月19日基発第0919001号)
石綿による疾病の認定基準について
標記については、昭和53年10月23日付け基発第584号(以下「584号通達」という。)により示してきたところであるが、今般、「石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会」の検討結果を踏まえ、石綿にばく露した労働者に発症した石綿肺等の業務上外の認定に関し、下記のとおり認定基準を定めたので、今後の取扱いに遺漏のないよう万全を期されたい。
なお、本通達の施行に伴い、584号通達は廃止する。
記
第1 石綿による疾病と石綿ばく露作業
1 石綿による疾病
石綿との関連が明らかな疾病としては、次のものがある。
(1) 石綿肺
(2) 肺がん
(3) 胸膜、腹膜、心膜又は精巣鞘膜の中皮腫
(4) 良性石綿胸水
(5) びまん性胸膜肥厚
2 石綿ばく露作業
石綿ばく露作業の主なものには、次の作業がある。
(1) 石綿鉱山又はその附属施設において行う石綿を含有する鉱石又は岩石の採掘、搬出又は粉砕その他石綿の精製に関連する作業
(2) 倉庫内等における石綿原料等の袋詰め又は運搬作業
(3) 次のアからオまでに掲げる石綿製品の製造工程における作業
ア 石綿糸、石綿布等の石綿紡織製品
イ 石綿セメント又はこれを原料として製造される石綿スレート、石綿高圧管、石綿円筒等のセメント製品
ウ ボイラーの被覆、船舶用隔壁のライニング、内燃機関のジョイントシーリング、ガスケット(パッキング)等に用いられる耐熱性石綿製品
エ 自動車、捲揚機等のブレーキライニング等の耐摩耗性石綿製品
オ 電気絶縁性、保温性、耐酸性等の性質を有する石綿紙、石綿フェルト等の石綿製品(電綿絶縁紙、保温材、耐酸建材等に用いられている。) 又は電解隔膜、タイル、プラスター等の充填剤、塗料等の石綿を含有する製品
(4) 石綿の吹付け作業
(5) 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱若しくは保温のための被覆又はその補修作業
(6) 石綿製品の切断等の加工作業
(7) 石綿製品が被覆材又は建材として用いられている建物、その附属施設等の補修又は解体作業
(8) 石綿製品が用いられている船舶又は車両の補修又は解体作業
(9) 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)、バーミキュライト(蛭石)、繊維状ブルサイト(水滑石))等の取扱い作業
(10) 上記(1)から(9)の石綿又は石綿製品を直接取扱う作業の周辺等において、間接的なばく露を受ける可能性のある作業
第2 石綿による疾病の取扱い
1 石綿肺(石綿肺合併症を含む。)
石綿ばく露作業(前記第1の2の(1)から(10)までに掲げる作業をいう。以下同じ。)に従事しているか又は従事したことのある労働者(以下「石綿ばく露労働者」という。)に発生した疾病であって、じん肺法(昭和35年法律第30号)第4条第2項に規定するじん肺管理区分が管理4に該当する石綿肺又は石綿肺に合併したじん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)第1条第1号から第5号までに掲げる疾病(じん肺管理区分が管理4の者に合併した場合を含む。)は、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)別表第1の2(以下「別表第1の2」という。)第5号に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
2 肺がん
(1) 石綿ばく露労働者に発症した原発性肺がんであって、次のア又はイに該当する場合には、別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
ア じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺の所見が得られていること。
イ 次の(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が10年以上あること。
(ア) 胸部エックス線検査、胸部CT検査、胸腔鏡検査、開胸手術又は剖検により、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)が認められること。
(イ) 肺組織内に石綿小体又は石綿繊維が認められること。
(2) 上記(1)のア及びイに該当しない原発性肺がんであって、次のア又はイに該当する事案は、本省に協議すること。
ア 上記(1)のイの(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られている事案
イ 石綿ばく露作業への従事期間が10年以上である事案
3 中皮腫
(1) 石綿ばく露労働者に発症した胸膜、腹膜、心膜又は精巣鞘膜の中皮腫であって、次のア又はイに該当する場合には、別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
ア じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺の所見が得られていること。
イ 次の(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が1年以上あること。
(ア) 胸部エックス線検査、胸部CT検査、胸腔鏡検査、開胸手術又は剖検により、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)が認められること。
(イ) 肺組織内に、石綿小体又は石綿繊維が認められること。
(2) 上記(1)のア及びイに該当しない胸膜、腹膜、心膜若しくは精巣鞘膜の中皮腫又は胸膜、腹膜、心膜及び精巣鞘膜以外の部位の中皮腫であって、次のア又はイに該当する事案は、本省に協議すること。
ア 上記(1)のイの(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られている事案
イ 石綿ばく露作業への従事期間が1年以上である事案
4 良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚
石綿ばく露労働者に発症した良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚について 石綿ばく露労働者に発症した良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚については、石綿ばく露作業の内容及び従事歴、医学的所見、必要な療養の内容等を調査の上、本省に協議すること。
なお、当該疾病が業務上と認められる場合には、別表第1の2第4号8に該当する業務上の疾病として取り扱うこととなる。
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厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長から都道府県労働局労働基準部長あて(平成15年9月19日付け事務連絡第0919001号)
石綿による疾病の認定基準の運用上の留意点について
石綿による疾病の認定基準については、平成15年9月19日付け基発第0919001号(以下「通達」という。)をもって改正されたところであるが、その具体的運用に当たっては、下記事項に留意されたい。
なお、改正認定基準のより正確な理解のため、「石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会報告書」を活用するものとする。
記
第1 認定基準改正の経緯
石綿ばく露労働者に発生した疾病の業務上外の認定については、昭和53年10月23日付け基発第584号「石綿ばく露作業従事労働者に発生した疾病の業務上外の認定について」(以下「旧認定基準」という。)により取り扱ってきたところである。
しかしながら、石綿による疾病、特に中皮腫については、医学的知見の進歩等により診断技術が格段に向上していること、胸膜及び腹膜以外の部位(心膜及び精巣鞘膜)の中皮腫の労災認定事例もあること、さらに労災請求件数の増加が予想されるところであり、このような状況へ的確に対応するため、最新の医学的知見に基づき、認定基準の改正を行ったものである。
今回の改正は、これまで本省りん伺事案として個別判断の対象とされていた石綿ばく露作業への従事期間の短い労働者に発症した中皮腫並びに胸膜及び腹膜以外の部位に発症した中皮腫に対する、最新の医学的知見に基づく認定要件の設定を主として行ったものである。
今後とも、迅速、適正な労災認定に努めることはいうまでもないが、通達の周知徹底を通じ、石綿による疾病に対する関係労使、医療関係者等の理解を一層深めることにより、より効率的な事務処理を図ることとする。
第2 主な改正点
1 石綿との関連が明らかな疾病として、旧認定基準には「胸膜又は腹膜の中皮腫」が示されていたが、これに「心膜、精巣鞘膜の中皮腫」を追加したこと。
2 石綿との関連が明らかな疾病として、「良性石綿胸水」及び「びまん性胸膜肥厚」を新たに例示したこと。
3 石綿ばく露作業については、過去の認定事例等を踏まえて、
(1) 「倉庫内等における石綿原料等の袋詰め又は運搬作業」
(2) 「石綿製品が用いられている船舶又は車両の補修又は解体作業」
(3) 「石綿又は石綿製品を直接取扱う作業の周辺等において、間接的なばく露を受ける可能性のある作業」
等を追加したこと。
4 中皮腫に係る認定要件のうち、石綿ばく露作業への従事期間を「5年以上」から「1年以上」に短縮したこと。
5 肺がん及び中皮腫の医学的所見に係る要件のうち、石綿ばく露指標として重要な「胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)」及び「石綿小体又は石綿繊維」をそれぞれ独立させる等の見直しをしたこと。
第3 運用上の留意点
1 「石綿による疾病」について
ア 通達の記の第1の1の「石綿による疾病」については、現在の医学的知見において、石綿との関連が明らかな疾病を掲げたものである。
イ 通達の記の第1の1の(3)に「心膜、精巣鞘膜の中皮腫」を追加したのは、国内外の症例報告等の集積を踏まえたものである。また、ここに掲げた四つの部位以外の部位に中皮腫が発症することは極めてまれであり、中皮腫が、ある部分に限局している場合には、その臓器・組織名が診断名とされることがある。例えば、「腸間膜中皮腫」、「骨盤中皮腫」とされたものであっても、これらはいずれも「腹膜中皮腫」に該当するものである。
したがって、労災請求された被災労働者の診断書における診断名の記載が、胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜及び胸腹膜(原発部位が胸膜か腹膜のいずれかが不明な場合に記載されることがある。)中皮腫と異なる際には、医療機関に対し、その病理組織検査結果等について確認することが必要となる。
ウ 通達の記の第1の1の(4)の「良性石綿胸水」及び同(5)の「びまん性胸膜肥厚」を新たに例示することとしたのは、胸水が消失せず遷延した場合や、胸水が自然消退した後にびまん性胸膜肥厚を残した場合、治療が必要な種々の肺機能障害等を引き起こすことがあるからである。
なお、「良性石綿胸水」の約半数は胸痛、呼吸困難等の自覚症状がある一方、自覚症状がなく健康診断等による胸水で発見される場合がある。いずれの場合も、胸膜中皮腫を鑑別するための精密検査が必要となる。
また、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)が壁側胸膜の病変で、臓側胸膜(肺側胸膜)との癒着を伴わないのに対して、「びまん性胸膜肥厚」は、臓側胸膜の病変で、壁側胸膜との癒着を伴うものである。
2 「石綿ばく露作業」について
(1) 通達の第1の2の「石綿ばく露作業」については、これまで旧認定基準で示されていたものを、過去の労災認定事例等をもとに追加、見直しを行うとともに、@「石綿原料に関連する作業」、A「石綿製品の製造工程における作業」、B「石綿製品等を取扱う作業」等に分類、整理したものである。
(2) 中皮腫は、肺がんに比べ、低濃度の石綿ばく露によっても発症することがある。
特に、石綿を不純物として含有する鉱物等の取扱い作業及び間接的なばく露を受けた可能性のある作業については、労働者等が、石綿にばく露していたことを認識していない場合があることに留意の上、職業ばく露歴の調査に当たること。このような作業に係る労災認定事例として、次のものがある。
@ 被災労働者は、石筆を削り、その削った石筆を用いたけがき(鉄板に切断のための線を引く)作業に約25年間従事し、その後、「心膜中皮腫」を発症したものである。石筆の原料である当時のタルク(滑石)には、石綿が不純物として含有されており、この石筆を削る作業及びけがき作業において、石綿のばく露を受けたものである。
A 被災労働者は、玉掛け工として約12年間従事し、その後、「胸膜中皮腫」を発症したものである。被災労働者は直接石綿を取り扱っていなかったが、玉掛け作業に従事していた造船所内の建造船ドッグ、溶接工場等には石綿を取り扱っている現場があったため、そこで間接ばく露を受けたものである。
3 石綿による疾病の取扱いについて
(1) 「石綿肺」
通達の記の第2の1の石綿肺に合併した疾病について、じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)第1条第1号から第5号までとし、同第6号「原発性肺がん」を含めていないのは、石綿肺の所見を有する者に発症した「原発性肺がん」については、従前のとおり、別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うためであるものである。
(2) 「肺がん」及び「中皮腫」
ア 通達の記の第2の2の(1)のア及び同3の(1)のアで「じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上の石綿肺の所見が得られている」ものについて、石綿ばく露作業の従事期間を要件としていないのは、次の理由によるものである。
石綿肺とは、石綿による間質性肺炎・線維症であり、単なる不整形陰影を呈する「じん肺」ではなく、診断には明確な石綿ばく露歴が不可欠なものである。したがって、石綿肺の臨床診断には、高濃度の石綿吸入歴を疑わせるだけの職業歴が必要であり、明らかな職業ばく露歴の証拠となるためである。
なお、明らかな石綿の職業ばく露歴のない石綿肺様の胸部エックス線所見(下肺野の線状影を主とする異常陰影)は、石綿肺以外の疾患が疑われるものである。
イ 通達の記の第2の2の(1)のイの(ア)及び同3の(1)のイの(ア)の「胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)」については、過去(概ね15〜40年前)の石綿ばく露の指標として極めて重要であることから、これを独立した要件とし、その具体的確認方法を記載したものである。このうち、胸部CT検査の方が胸部エックス線検査よりも検出率は高く、胸壁軟部陰影や肋骨随伴陰影との鑑別も容易である。また、胸腔鏡検査、開胸手術及び剖検時に肉眼で観察することができるものである。
ウ 通達の記の第2の2の(1)のイの(イ)及び同3の(1)のイの(イ)の「石綿小体又は石綿繊維」については、「石綿肺の所見」及び「胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)」のいずれもが認められない場合において、石綿ばく露歴を推定し得る重要な指標である。
石綿小体の検索は多くの医療機関等で実施可能である。
また、石綿の職業ばく露の機会があったにもかかわらず、石綿小体が検出されない場合には、分析透過型電子顕微鏡による石綿繊維の検索が必要になることもあるが、この分析が実施可能な機関は限られていることから、石綿繊維の検索が必要な場合には、本省に照会されたい。
エ 通達の記の第2の2の(2)及び同3の(2)において、石綿ばく露作業への従事期間に係る要件又は石綿ばく露の医学的所見に係る要件(石綿肺の所見のある者を除く。)のどちらか一方が該当しない事案を本省協議としたのは、職業ばく露以外の石綿ばく露の有無の確認等業務上外の判断に当たって、より慎重な判断を要するためである。
(3) 「良性石綿胸水」及び「びまん性胸膜肥厚」
通達第2の4の「良性石綿胸水」及び「びまん性胸膜肥厚」について、その取扱いを本省協議としたのは、確定診断が困難な場合が多く、その報告例も少ないこと、個々の障害の程度も様々であること等から、当分の間、個々の事案ごとに業務上外を判断する必要があるためである。
なお、石綿ばく露以外の事由によっても、胸水及びびまん性胸膜肥厚が発生する可能性もあることから、これらを除外するための診断の有無を医療機関に確認すること。
4 認定基準に掲げられていない疾病の取扱い
通達第1の1の「石綿による疾病」に掲げられたもの以外の疾病については、現在の医学的知見において、石綿ばく露との関連は明らかにされていないので、原則として労災補償の対象とならない。
しかしながら、石綿ばく露作業への従事歴及び石綿ばく露の証拠となる医学的所見(石綿肺、胸膜プラーク、石綿小体又は石綿繊維)が認められる事案であって、通達の記の第1の1に掲げられたもの以外の疾病を発症したとされる事案については、本省に照会されたい。
5 認定基準の周知徹底等について
(1) 認定基準の周知
改正された認定基準については、関係労働者(離職した労働者を含む。)及び事業者への周知はもとより、医療機関への周知についても行う必要がある。
医療機関への周知に当たっては、労災指定医療機関のみならず、すべての医療機関に対する周知を行うため、都道府県医師会、都道府県産業保健推進センター、地域産業保健センター等との連携を図ること。
また、離職した労働者への周知に当たっては、市町村広報紙等の活用、労働安全衛生法第67条に基づく健康管理手帳による健康診断を実施する委託医療機関への協力要請に配意すること。
(2) 石綿ばく露チェック表の活用
主治医の診断時において職業歴の聞き取り等適切な問診の実施を促進するため、医療機関に対して、別添「石綿ばく露歴チェック表」の活用についても併せて周知されたい。
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別添 石綿ばく露歴チェック表(『職業性石綿ばく露と石綿関連疾患』 (三信図書)より転載)
Study No.: Informant's name: Address: Phone:
Relationship:
T.次の産業に従事したことがありますか。
□ 鉱業( ) □ 家具・木材製品製造業 □ クロム酸塩製造業
□ 造船業 □ ガス業 □ ゴム産業
□ セメント業 □ 建築業 □ 印刷業
□ 精錬業 □ 化学物質製造業 □ 鉄鋼業
□ 金属研ま業 □ 断熱業 □ 紙・パルプ製造業
□ プラスチック産業 □ 精製業
□ 靴製造・修繕業 □ 鋳造業
U.学校を卒業してから、現在に至るまでの職業
(在学中のアルバイト、戦時中の仕事など短期間の仕事もできる限り聞きとること)
会 社 名 会社の所在地 会社の事業内容 本人の仕事内容 仕事で取り扱った材料・設備 仕事に従事した期間(年月〜年月)
V.以下の場所で働いたり、仕事に従事したことがありますか。
1 □ 石綿を扱う工場 □ 石綿製品の倉庫
2 □ 建築業
□ ビルの解体作業
□ 塗装・吹付け工事 □ 防音工事
□ 断熱・耐火・保温工事 □ プレハブ(石綿板)工事
□ 天井・床材の切断 □ ラス張りの仕事
□ 電気・ガス・スチームの配管工事
3 □ 造船業
□ 船舶の分解修理・解体
□ パイプ被覆・断熱作業 □ クレーン・自動車の運転 □ 塗装
□ 電気配線工事 □ 事務員 □ 大工・建具
□ 溶接 □ ボイラー製造・設備 □ 作業員
□ 板金 □ 整備(パイプ・ボイラー等) □ その他
4 □ 断熱工事 □ 保温工事
5 □ ボイラーの製造・取りつけ・修繕 □ バーナーの製造・取りつけ・修繕
□ 溶鉱炉の製造・取りつけ・修繕 □ スチーム・パイプの製造・取りつけ・修繕
6 □ ボイラーの操作 □ 溶接作業
□ 板金作業 □ 耐熱(耐火)服や耐火手袋を身につけての仕事
7 □ 自動車修理工場 □ ガソリンスタンド
□ ブレーキ・ライニング・クラッチ板の製造
8 □ 電気製品(コンデンサー・電池・蓄電池・絶縁テープ)の製造
9 □ 塗装工場 □ 石けん工場
□ オイル・化学物質の精製工場
10 □ ランドリー・クリーニング屋 □ 埃りっぽい作業服の取り扱い
11 □ 埃りっぽいものの運搬
□ 商船の船員 □ トラックの運転手 □ 鉄道員
□ はしけの船員 □ 港湾作業員 □ クレーンの操作員
12 □ 下水汚物・廃棄物の回収・処理・運搬
13 □ 蒸気機関車の修理、解体
14 □ ガスマスクの製造
15 □ 宝石・貴金属の細工仕事
16 □ 消防隊員
17 □ 歯科技工士
W.以下の石綿製品を取り扱う仕事をしたことがありますか。
□ 石綿繊維 □ 石綿断熱フェルト □ 石綿カーテン
□ 石綿パイプ □ ボール紙・断熱板 □ 石綿紙
□ 石綿チューブ □ 石綿パイプ被覆 □ 石綿パイプラインフェルト
□ 石綿セメント板・管 □ 石綿織物・布 □ 断熱パッド(詰め物)
□ 石綿巻き紙 □ 石綿ロープ □ その他
□ 石綿ガスケット □ 石綿封塗料
□ 石綿テープ □ 石綿パッキング
X.あなた((注)調査対象者)のそばで次のような仕事が行われていませんでしたか。
1 □ 断熱パッド(詰め物)の取り付け・取りはずし
2 □ 石綿パイプの取り付け・取りはずし
3 □ 溶接
4 □ 保温材料で包まれたパイプの取り付け・取りはずし
5 □ プレカットされたアスベストブロックの取り付け・取りはずし
6 □ 石綿壁板やアスベストボール紙の取り付け・取りはずし
7 □ 支柱・隔壁・ガード(garder)に耐火塗装をおこなったり、はがしたりする。
8 □ バルブ・パッキングの取り付け・取りはずし
9 □ ボイラーやボイラーのポンプに保温材をまいたり、はがしたりする。
10 □ スチーム管に断熱材をまいたり、はがしたりする。
11 □ 石綿のチューブ・パイプ・板・ボール紙・断熱材を切断したり、取り付けたりする。
Y.
1 □ 家庭で(絶縁物・暖房炉セメント・断熱材・カルシミン*・石綿製品)の修理・修繕をしたことがありますか。*天井・壁などに塗る水性塗料
2 □ タルク・パウダーを使ったことがありますか。(ボディータルク・顔用タルク)
3 □ 石綿製品を家庭で使ったことがありますか。(アイロン板のカバー・耐熱手袋)
4 □ 石綿工場の近くに住んでいたことがありますか。
□ 造船所の近くに住んでいたことがありますか。
□ 建材物の置場の近くに住んでいたことがありますか。
□ ブレーキ修理工場の近くに住んでいたことがありますか。
Interviewer's Remarks Date
Interviewer:
大阪中皮腫研究会
以下、旧認定基準
労働省労働基準局長から各都道府県労働基準局長あて(昭和53年10月23日付け基発第584号)
石綿ばく露作業従事労働者に発生した疾病の業務上外の認定について
標題のことについては,従来個別事案ごとに業務起因性の判断を行い処理してきたが,その後本省において医学専門家による「石綿による健康障害に関する専門家会議」を設け,石綿による健康障害全般について検討を行ってきたところである。
今般,同専門家会議からその検討結果をとりまとめた報告書が提出されたので,これに基づき,石綿による疾病にかかる労災認定については,今後,下記により取り扱うこととしたので事務処理の遺漏のないようにされたい。
なお,本通達により判断し難い事案については,具体的資料を添えて本省にりん伺されたい。
記
第1 石綿ばく露作業と石綿による疾病
1 石綿ばく露作業
健康障害の発生のおそれのある石綿ばく露作業の主なものには,次のような作業がある。
(1) 石綿鉱山又はその附属施設において行う石綿を含有する鉱石又は岩石の採掘,搬出又は粉砕その他石綿の精製に関連する作業
(2) 次のイからホまでに掲げる石綿製品の製造工程において石綿粉じんのばく露を受ける作業
イ 石綿糸,石綿布等の石綿紡織製品
ロ 石綿セメント又はこれを原料として製造される石綿スレート,石綿高圧管,石綿円筒等のセメント製品
ハ ボイラーの被覆,船舶用隔壁のライニング,内燃機関のジョイントシーリング,ガスケット(パッキング)等に用いられる耐熱性石綿製品
ニ 自動車,捲揚機等のブレーキライニング等の耐摩耗性石綿製品
ホ 上記イからニまでに掲げるもののほか,電気絶縁性,保温性,耐酸性等の性質を有する石綿紙,石綿フェルト等の石綿製品(電綿絶縁紙,保温材,耐酸建材等に用いられる。)又は電解隔膜,タイル,プラスター等の充填剤,塗料等の石綿を含有する製品
(3) 次のイからニまでに掲げる石綿若しくは石綿製品の取扱い又は石綿製品を被覆材若しくは建材として用いた建造物の補修,解体等の作業工程において石綿粉じんのばく露を受ける作業
イ 石綿の吹付け
ロ 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱被覆
ハ 石綿製品を被覆材又は建材として用いた建物,その附属施設,船舶等の補修又は解体
ニ 上記イからハまで掲げるもののほか,石綿製品の加工工程における切断等これらの作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業
2 石綿による疾病
石綿ばく露との関連が明らかにされている主な疾病としては次の疾病がある。
(1) 石綿肺
(2) 肺がん
(3) 胸膜又は腹膜の中皮腫
第2 石綿ばく露作業従事労働者に発生した疾病の業務上外の認定について
1 石綿肺又は合併症の取扱い
石綿ばく露作業(前記第1の(1)から(3)までに掲げる作業をいい,じん肺法施行規則別表第1に掲げる作業以外の作業を含む。以下同じ。)に従事しているか又は従事したことのある労働者(以下「石綿ばく露作業従事労働者」という。)に発生した疾病であって,じん肺法に規定するじん肺管理区分の管理4に該当する石綿肺又は石綿肺に合併したじん肺法施行規則第1条各号に掲げる疾病(石綿肺がじん肺管理区分の管理4である場合を含む。)は,労働基準法施行規則別表第1の2第5号に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
2 肺がんの取扱い
(1) 石綿肺合併肺がん
石綿肺の所見がじん肺法に定めるエックス線写真の像の第1型以上である石綿ばく露作業従事労働者に発生した原発性の肺がんは,労働基準法施行規則別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
なお,地方じん肺診査医の判定によりエックス線写真の像が第1型には至っていないが石綿肺の所見があると認められる者については,上記有所見者と同様に取り扱うこと。
(2) 石綿肺の所見が無所見の者に発生した肺がん
石綿肺の所見がエックス線写真像で認められない石綿ばく露作業従事労働者に発生した原発性の肺がんであって,次のイ及びロのいずれの要件をも満たす場合には,労働基準法施行規則別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
イ 石綿ばく露作業への従事期間が概ね10年以上の者に発生したものであること。
ロ 次の(イ)又は(ロ)に掲げる医学的所見が得られているものであること。
(イ) 吸気時におけり肺底部の持続性捻髪音,胸部エックス線写真による胸膜の肥厚斑影又はその石灰化像,かくたん中の石綿小体等の臨床所見
(ロ) 経気管支鏡的肺生検,開胸生検,剖検等に基づく肺のびまん性線維増殖,胸膜の硝子性肥厚又は石灰沈着(結核性胸膜炎,外傷等石綿ばく露以外の原因による病変を除く。後記3の(1)のロの(ロ)の場合において同じ。),肺組織内の石綿線維又は石綿小体等の病理学的所見
なお,上記(1),(2)においては,石綿肺合併肺がん症例における石綿ばく露開始から肺がん発生までの期間(以下「潜伏期間」という。)は,概ね10年ないし20年のものが多いとされているが,それよりも短い例も長い例も知られており,退職後に発生することも少なくないので十分留意すること。
(3) 上記(1)又は(2)に該当するもの以外の肺がん
石綿ばく露作業従事労働者に発生した肺がんのうち,上記(1)又は(2)に該当しない肺がんについては,例えば,比較的短期間高濃度の石綿ばく露を受ける作業又は一時的に高濃度の石綿ばく露を間けつ的に受ける作業(前記第1の1の(3)参照)に従事した労働者に肺がん発生がみられたこともあるので,かかる労働者に発生した肺がんについては,石綿ばく露作業の内容,同従事歴,臨床所見,病理学的所見等を調査のうえ関係資料を添えて本省にりん伺すること。
3 中皮腫の取扱い
(1) 胸膜又は腹膜の中皮腫
石綿ばく露作業従事労働者に発生した胸膜又は腹膜の原発性中皮腫であって,次のイ及びロのいずれの要件をも満たす場合には,労働基準法施行規則別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
イ 石綿ばく露作業への従事期間が概ね5年以上の者に発生したものであること。
ロ 次の(イ)又は(ロ)に掲げる医学的所見が得られているものであること。
(イ) じん肺法に定めるエックス線写真の像の第1型以上である石綿肺の所見
(ロ) 上記(イ)の所見が認められない例については,剖検等に基づく肺のびまん性線維増殖,胸膜の硝子性肥厚又は石灰沈着,肺組織内の石綿線維又は石綿小体等の病理学的所見
なお,石綿ばく露労働者に係る胸膜又は腹膜の中皮腫症例における潜伏期間は,概ね20年ないし30年のものが多いとされているが,それよりも短い例も長い例も知られており,前記2の
(2)の石綿肺合併肺がんの場合と同様退職後に発生することもあるので十分留意すること。
また,地方じん肺診査医の判定によりエックス線写真の像が第1型には至っていないが石綿肺の所見があると認められる者については,上記(イ)の有所見者と同様に取り扱うこと。
(3) 上記(1)に該当するもの以外の中皮腫
石綿ばく露作業従事労働者に発生した中皮腫のうち,上記(1)に該当しない胸膜若しくは腹膜の中皮腫,心膜の中皮腫等胸膜若しくは腹膜以外の部位に生じた中皮腫又は病理学的所見は得られているが中皮腫の診断が困難である事案については,石綿ばく露作業の内容,同従事歴,臨床所見等を併せ調査のうえ関係資料を添えて本省にりん伺すること。
4 その他の部位のがん
石綿ばく露作業従事労働者に発生した肺がん及び胸膜又は腹膜の中皮腫以外のがんについては,現時点では石綿ばく露との関連性が必ずしも明らかでないので,原則として補償の対象とはならない。ただし,業務に起因した肺がん若しくは中皮腫の他部位への転移がん又は診断の技術的困難さのため消化管のがん,がん性悪液質等とされていたものであっても病理組織学的診断により石綿ばく露に関連した腹膜の中皮腫と認められる場合は当然補償の対象となるので,その取り扱いには十分留意すること。