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総合規制改革・民間開放推進3か年計画
2004.3.19閣議決定
【資料のワンポイント解説】
1.「規制改革・民間開放推進3カ年計画」(平成16年3月19日閣議決定)における、いわゆる「労災保険の民営化」として議論になった関連部分の抜粋である。
平成16年度に設けられる「規制改革・民間開放推進本部」(関係閣僚)−「規制改革・民間開放推進会議」(民間人主体)のもとで推進される3ヵ年計画であるが、内容は、昨年12月22日の第3次答申の「具体的施策」を再掲(新規項目等はない。)したものとなっている。
2.項目表題の微修正。
昨年12月22日の規制改革の推進に関する第3次答申において、「労災保険及び雇用保険事業の民間開放の促進など」とされていた表題が、「労災保険の見直し及び雇用保険事業の民間開放の促進など」に微修正されている。
これは、今回は、第3次答申において今後の課題(労災保険の民間開放の検討等)とした部分を除いて、実施の方向が確認されていた「具体的施策」部分のみを整理し、書き出したものであることから、その内容に沿った項目表題に修正したものと思われる。
総合規制改革会議がねらいとする「労災保険の民営化」断念を意味するものではないことに留意する必要があろう。
3.資料掲載のみ。(内容についての当方のコメントは、別の機会に行いたい。)
総合規制改革・民間開放推進3か年計画
T 共通事項(略)
U 重点計画事項
(分野横断的な取組)
1 「規制改革推進のためのアクションプラン」の適切な実行
14 労災保険の見直し及び雇用保険事業の民間開放の促進など
(1)労災保険
@ 労災保険強制適用事業所のうち未手続事業所の一掃(職権による成立手続の徹底等)【平成16 年度中に結論】
労災保険の現行制度の下では、原則として、ある事業所が労働者を1人でも使用すれば、当該事業所は「強制適用事業所」となり、事業が開始された日から自動的に保険関係が成立する。このため、保険関係成立届を届け出ていない(保険料未納付である)事業所で生じた労災事故についても、労働者保護の観点から、被災労働者は給付を受けることができる仕組みとしている。
こうした中で、すべての強制適用事業所のうち、現に保険関係成立届を届け出ている事業所数は約270 万であるが、他方、未手続事業所は、最大限約60
万(全体の約14%)存在するとされている(平成13 年度推計値・厚生労働省提出資料より)。
このように、労災保険は、本来、強制適用保険制度であるにもかかわらず、事業主の中にはそれを十分に認識していないケースや、未手続事業所に対し労働基準監督署の職権による成立手続を十分に行っていないことなどにより、事業所間の公平性等が保たれていない。
なお、使用者が故意または重過失により労災保険に加入していない期間に事故が発生した場合には、療養開始後3年以内の場合に限って、保険料のほか、保険給付額の全部又は一部(最大限40%程度)を徴収することとしている。法律上、保険給付に要した費用の全部を徴収できるにもかかわらず、そのような運用をしていないことや、故意又は重過失のある場合を限定的に解していることについて、厚生労働省は「使用者に対して経済的な過大な負担を強いることや、労災保険への加入手続が行われないこと自体を防ぐため」としているが、こうしたことが、一部使用者のモラルハザードを助長し、結果的に労災事故防止の妨げとなっていると考えられる。
したがって、こうした未手続強制適用事業所を一掃するため、周知・啓発や加入勧奨にとどまらず、労働基準監督署の職権等の積極的な行使などの措置を講ずる。(V雇用オ@)
A 業種別リスクに応じた適正な保険料率の設定【平成16 年度中に結論】
現在の労災保険の保険料率については、業種別に設定しているが、当該業種別のリスクを正確に反映したものとはなっていない。特に、事務職等の「その他各種事業」と「建築事業」などのサービス業については、給付に対して過大な保険料負担となっている。
労災保険の役割として、労災事故のリスクが高い業種ほど保険料率を高く設定し、業種ごとの事業主集団の労働災害防止へのインセンティブを促進することが挙げられるが、現行のような大幅な業種間の調整を行うことにより、そうしたメカニズムが十分に機能するものとはなっていない。
したがって、事業主の労働災害防止へのインセンティブをより高めるとの観点も踏まえ、業種別の保険料率の設定について、業種ごとに異なる災害リスクも踏まえ、専門的な見地から検討し、早急に結論を得る。
また、保険料率は審議会等のプロセスを経て決定しているとはいえ、当該審議会等の情報開示は不十分であり、どのような計算の下で、将来債務の額等が算定し、料率改定を行ったのかなどについて、具体的に明記する。(V雇用オA)
B 労働福祉事業の見直し【平成16 年度以降逐次実施】
労働福祉事業として行っている労災病院については、労災患者数の占める割合が年々低下しており(入院6%、通院3.4%。(平成9 年度。総務庁行政監察局行政監察結果報告書(平成11
年12 月)より))、専門病院としての役割は低下している。
こうした状況にかんがみ、労災病院事業を中心に労働福祉事業について、適切な事業評価を実施した上で、逐次見直しを図る。(V雇用オA)
V 分野別各論(略)