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[資料番号] 00188
[題  名] 石綿障害予防規則の施行通達(平成17年3月18日付け基発第0318003号)
[区  分] 労働衛生管理

[内  容]
石綿障害予防規則の施行について
(平成17年3月18日付け基発第0318003号)

 

リンク 石綿障害予防規則



【資料のワンポイント解説】

 石綿障害予防規則が平成17年7月1日から施行される。その背景には
 ●わが国では今後、石綿使用の建築物の解体期を迎え、そのピークは2020年から2040年頃と想定されていること。
 ●同時に、建築物に吹き付けられた石綿が損傷、劣化からは、建築物内労働者の石綿ばく露のおそれも考慮しておく必要があること、等の事情があったもの。
 
 石綿は、肺がん、中皮腫等の健康障害発生のおそれもあり、従来から特定化学物質等障害予防規則等に基づく規制は行われてきたが、これを単独規則とし、建築物等の解体工事におけるばく露防止対策を一層強化し、石綿吹き付け建築物の所有者等が講ずべき一定の措置等も定めて、平成17年7月1日から「石綿障害予防規則」として施行するもの。

 詳細は、以下の施行通達〔平成17年3月18日付け基発第0318003号〕に示されたとおりであるが、規則制定のポイントは概ねつぎのとおり。

1) 建築物等の解体工事関連
 ア 石綿使用の有無を事前調査すること
 イ 石綿粉じんの防止対策等を盛り込んだ作業計画の作成義務
 ハ 所轄労働基準監督署長に、作業届の提出義務
 ニ 作業衣等の作業場外への原則、持出し禁止
 ホ 作業者に特別教育の実施義務
 ヘ 石綿含有建材の解体作業時は、関係労働者以外の立入禁止措置
2) 解体工事の仕事の注文者等に係る措置
 ア 工事の請負人に対し、石綿の使用状況等(設計図書等)の通知義務
 イ 法令遵守を妨げるおそれのある契約条件を付さないようにする配慮義務
3) 石綿吹き付け建築物の所有者・管理者に係る措置
 ア 損傷・劣化した吹付け石綿の除去、封じ込め、囲い込み等を実施
4) 特定の作業場等については水洗等の方法によって毎日、清掃を実施すること。

5) その他は、改正前「特定化学物質等障害予防規則の規制」の概ね踏襲している。

 

 

 

石綿障害予防規則の施行について
(平成17年3月18日付け基発第0318003号)

(厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて)

 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)は、平成17年2月24日に公布され、同年7月1日から施行されることとなった。
 石綿則は、石綿を含有する建材を使用した建築物等の解体等の作業が今後増加することが予想されること等から、これらの作業における石綿ばく露防止対策等の徹底を図るため、これまで特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)において規制していた事項と併せて、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)に基づく新たな単独の規則として制定したものである。
 ついては、下記による施行に遺憾なきを期されたい。
 なお、石綿則と改正前の特化則(以下「旧特化則」という。)との関係は別紙1のとおりである。


第1 制定の趣旨
  石綿による健康障害の予防については、これまで法、旧特化則等に基づき必要な措置を講じることとしてきたところである。このうち、石綿を含有する製品の製造等に係る規制については、平成7年に石綿のうち有害性の高いアモサイト(茶石綿)及びクロシドライト(青石綿)を含有する製品の製造等が禁止され、さらに平成16年10月1日にクリソタイル(白石綿)等の石綿を含有する石綿セメント円筒等の製品の製造等が禁止されたことにより、国内の石綿使用量が大幅に減少したところである。
  一方、1970年代後半から1980年代にかけて輸入された石綿の多くは、これまで建材として建築物に使用されており、今後この時期に建築された建築物等の解体等の作業が増加することが予想される。
  このため、今後の石綿ばく露防止対策等は、建築物等の解体等の作業が中心となり、事業者が講ずべき措置の内容が特化則に定める他の化学物質に係るものとは大きく異なることとなることから、新たに建築物等の解体等の作業における石綿ばく露防止対策等の充実を図った単独の規則を制定し、石綿による健康障害の予防対策の一層の推進を図ることとしたものである。

 

第2 旧特化則から変更した主要な事項
 1 事業者は、石綿を含有する製品の使用状況等を把握し、当該製品を計画的に石綿を含有しない製品に代替するよう努めなければならないこととしたこと。(第1条第2項関係)
 2 建築物又は工作物の解体、破砕等の作業(以下「解体等の作業」という。)において、石綿等の使用状況が不明であるために必要な措置が講じられていないことによる石綿による健康障害を防止する観点から、あらかじめ石綿等の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録するとともに、当該調査の結果、石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無を分析により調査し、その結果を記録しなければならないこととしたこと。
   ただし、石綿等が吹き付けられていないことが明らかである場合において、石綿等が使用されているものとみなして法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、分析による調査は必要ないこととしたこと。(第3条関係)
 3 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業については、第3条の事前調査の結果を踏まえて作業計画を作成し、当該作業計画により作業を行わなければならないこととしたこと。(第4条関係)
 4 石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等の除去作業のうち、石綿等の粉じんを著しく発散するおそれがある作業(以下「保温材等の除去作業」という。)その他これに類する作業を行うときは、あらかじめ、石綿ばく露防止のための措置の概要等を記載した作業届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならないこととしたこと。(第5条関係)
 5 保温材等の除去作業について、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者の立入りを原則として禁止し、及びその旨の表示をしなければならないこととしたこと。
   また、特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が、保温材等の除去作業と同一の場所で行われるときは、当該保温材等の除去作業の開始前までに、関係請負人に当該作業の実施について通知するとともに、作業の時間帯の調整等必要な措置を講じなければならないこととしたこと。(第7条関係)
 6 第3条の事前調査を適切に実施するためには、発注者が有している設計図書等に記載された石綿等の使用状況等の情報を請負人に提供することが有効であることから、建築物又は工作物の解体等の作業を行う仕事の発注者は、当該仕事の請負人に対し、建築物又は工作物における石綿等の使用状況等を通知するよう努めなければならないこととしたこと。(第8条関係)
 7 建築物又は工作物の解体等の作業を行う仕事の注文者は、石綿等の使用の有無の調査、解体等の作業等の方法、費用、工期等について、法及びこれに基づく命令の規定の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮しなければならないこととしたこと。(第9条関係)
 8 労働者を就業させる建築物に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該石綿等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないこととしたこと。また、建築物貸与者についても、建築物の共用部分について同様の措置を講じなければならないこととしたこと。(第10条関係)
 9 旧特化則において、作業場所の隔離、送気マスク等の使用等の措置を講じた場合には、石綿等を吹き付ける作業に労働者を従事させることができることとしていたが、これらの条件を削除し、当該作業に労働者を従事させることを全面的に禁止することとしたこと。(第11条関係)
 10 旧特化則において、石綿等の切断等の作業について、石綿等を湿潤な状態にし、労働者に呼吸用保護具、作業衣等を使用させることとしていたが、これらの作業において発散した石綿等の粉じんの掃除の作業についても同様の措置を講じさせることとしたこと。(第13条及び第14条関係)
 11 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業に係る業務を特別教育の対象としたこと。(第27条及び附則第10条関係)
 12 事業者は、特定石綿等を常時、製造し、又は取り扱う作業場及び休憩室の床を水洗等によって容易に掃除できる構造のものとしなければならないこととし、当該床等については、水洗する等粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上、掃除を行わなければならないこととしたこと。(第29条及び第30条関係)
 13 旧特化則において、特別管理物質に係る作業の記録及び特殊健康診断個人票については、特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業に常時従事する労働者が当該作業に従事することとなった日から30年間保存することとしていたが、これを当該記録をした日から30年間保存することとしたこと。(第35条、第41条及び附則第12条関係)
 14 使用された保護具等に付着した石綿等の粉じんが作業場外に飛散することにより、他の労働者が石綿等にばく露するおそれがあることから、使用された保護具等を他の衣服等から隔離して保管するとともに、廃棄のために容器等に梱包したときを除き、付着した物を除去した後でなければ作業場外に持ち出すことを禁止することとしたこと。(第46条関係)

 

第3 細部事項
1 第1章 総則
 (1)第1条関係
  ア 第1項は、労働者が石綿にばく露され健康障害を受けることを予防するため、石綿則に定める措置を講じることはもとより、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底等の実情に即した適切な対策を積極的に講ずべきことを規定したものであること。
  イ 第1項の「その他必要な措置」には、製品中の石綿使用量を減らすこと等があること。
  ウ 第1項の「労働者の危険の防止の趣旨に反しない限り」とは、石綿にばく露される労働者の人数並びにばく露される期間及び程度を最小限度にすることを重視するあまり、例えば取り外した建材を保持する労働者の人数を制限したため、労働者が建材の重量に耐えられず建材を落下させ、負傷する等労働者の安全の確保に支障が生ずることのないように留意すべきことを定めたものであること。
  エ 第2項は、石綿による重篤な健康障害のおそれを低減するためには、現段階で石綿を含有しない製品への代替が可能であるものはもとより、それ以外の石綿含有製品についても、早急に技術開発、実証試験等を推進し、着実に石綿を含有しない製品への代替化を図る必要があることから、施設、設備等における石綿含有製品の使用状況を把握し、当該施設、設備等の検査、修理、改造、更新等の機会を捉え、計画的に石綿を含有しない製品への代替化を図ることについて規定したものであること。
    なお、石綿含有製品については、国民の安全確保の観点から代替化が困難なものを除き製造等を禁止していることを踏まえ、石綿を新たな製品に使用してはならないこと。
 (2)第2条関係
  ア 石綿の種類には、アクチノライト、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)及びトレモライトがあること。
  イ 第1項第1号の「石綿等」とは、すべての種類の石綿及びそれらをその重量の1%を超えて含有する物をいうものであること。
  ウ 第1項第2号の「特定石綿」とは、石綿のうち製造等が禁止されていない石綿(アモサイト及びクロシドライト以外の石綿)をいうものであること。
  エ 第1項第3号の「特定石綿等」とは、特定石綿及び特定石綿をその重量の1%を超えて含有する物(石綿セメント円筒等の製造等が禁止されている製品を除く。)をいうものであること。
  オ 第1項第4号の「製造等禁止石綿等」とは、アモサイト及びクロシドライト並びにそれらをその重量の1%を超えて含有する物並びに特定石綿をその重量の1%を超えて含有する石綿セメント円筒等の製造等が禁止されている製品をいうものであること。

 

2 第2章 石綿等を取り扱う業務等に係る措置
 (1)第3条関係
  ア 第1項の「建築物又は工作物」とは、すべての建築物及び煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等の土地に固定されたものをいうこと。また、「建築物」には、建築物に設ける給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙の設備等の建築設備が含まれるものであること。
  イ 第1項の「解体、破砕等」の「等」には、改修が含まれるものであること。なお、「改修」とは、建材を全面的に取り替える等の作業をいい、小規模な作業を含むものではないこと。
  ウ 第1項の「設計図書」とは、建築物、その敷地又は工作物に関する工事用の図面及び仕様書のことであること。
  エ 第1項の「設計図書等」の「等」には、施工記録、維持保全記録、第8条に基づく発注者からの情報が含まれるものであること。
  オ 第2項の「石綿等の使用の有無を分析により調査」するとは、石綿等がその重量の1%を超えて含有するか否かについて分析を行うものであり、その方法については別途示すこととしていること。
    なお、吹付け材の除去作業等発じんが多い作業については、できるだけ石綿等の含有率についても分析し、ばく露防止措置を講ずる際の参考とすることが望ましいこと。
  カ 第2項ただし書は、本来は石綿等の使用の有無を分析調査し、石綿等が使用されていることが明らかとなった場合に必要な措置を講ずべきものであるが、石綿等が吹き付けられていないことが明らかである場合において、石綿等が使用されているものとみなして必要な措置を行うことにより、分析調査を行うよりも費用負担が軽減される場合があることから規定したものであること。
    この場合、みなすか否かについては、第1項の調査を行った結果を踏まえて事業者が判断するものであり、同項の調査結果と併せて記録することが望ましいこと。
  キ 第1項の調査を行った建築物又は工作物について石綿等の使用の有無が明らかとならなかった吹付け材及び吹付け材以外の建材が混在する場合、吹付け材については除去作業における発じんが著しく多いため、必ず分析により石綿等の使用の有無を調査する必要があること。吹付け材以外の建材については石綿等が使用されているものとみなして法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、分析による調査は実施する必要がないものであること。
  ク 第1項の調査については、石綿作業主任者、特別教育修了者等石綿に関する一定の知識を有している者が行うことが望ましいこと。
 (2)第4条関係
  ア 事業者が解体等の作業に係る作業手順、注意事項等を記載した計画書を作成している場合において、第2項各号に掲げる事項を含むときは、別途本条に基づく作業計画を定める必要はないものであること。また、当該計画には、周辺環境への対応、解体廃棄物の適切な処理についても含めることが望ましいこと。
  イ 施工中に事前調査では把握していなかった石綿を含有する建材等が発見された場合には、その都度作業計画の見直しを行うこと。
  ウ 解体等の作業の実施に当たっては、作業環境中の石綿の濃度の測定及び評価に基づく作業環境管理を行うことが望ましいこと。なお、作業環境管理については、別途示す屋外作業場における作業環境管理に係る手法等に基づき行うこと。
 (3)第5条関係
  ア 第1項の「保温材、耐火被覆材等」の「等」には、断熱材が含まれるものであること。
  イ 第1項の「石綿等の粉じんを著しく発散させるおそれのあるもの」とは、以下に掲げる保温材、耐火被覆材等が張り付けられた建築物又は工作物の解体等の作業をいうこと。
  (ア)「石綿等が使用されている保温材」とは、石綿保温材並びに石綿を含有するけい酸カルシウム保温材、けいそう土保温材、バーミキュライト保温材及びパーライト保温材をいうものであること。
  (イ)「石綿等が使用されている耐火被覆材」とは、石綿を含有する耐火被覆板及びけい酸カルシウム板第二種をいうものであること。
  (ウ)石綿等が使用されている断熱材とは、屋根用折版石綿断熱材及び煙突石綿断熱材をいうものであること。
  ウ 第1項の「これに類する作業」とは、吹き付けられた石綿等の除去作業のうち、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第90条第5号の2に掲げるもの以外のもの(吸音用吹付け石綿等)をいうものであること。
  エ 第2項は、法第88条第4項に基づく建築物又は工作物の解体等の作業と、石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等の除去作業を併せて行う場合には、二重に届出を行う必要がないこととするものであるが、同項に基づく計画において当該除去作業に係る石綿ばく露防止のための措置の概要を記載しなければならないものであること。
 (4)第6条関係
  ア 吹き付けられた石綿等を除去する作業を行う場合は、石綿等の粉じんの発生量が多く、このような作業場所に隣接した場所で作業を行う労働者が当該粉じんにばく露するおそれがあるため、それ以外の作業を行う場所から隔離すべきことを規定したものであること。
  イ 吹き付けられた石綿等には、石綿をその重量の1%を超えて含有するロックウール吹付け材、バーミキュライト吹付け材及びパーライト吹付け材が含まれるものであること。
  ウ 「当該除去を行う作業場所を、それ以外の作業を行う作業場所から隔離」するとは、当該除去を行う作業場所をビニールシートで覆うなど、石綿等の粉じんが他の作業場所に漏れないようにすることであること。
  エ 天井裏に吹き付けられた石綿等の除去に伴い、あらかじめ当該石綿等の下に施工されている天井板(石綿を含有しないものを含む。)の除去作業を行う場合には、当該天井板の上面に長年にわたり堆積した石綿等の粉じんが飛散すること、又は天井裏に吹き付けられた石綿等が損傷を受けることにより石綿等の粉じんが発散することがあるので、当該作業においても本条に基づき作業場所を隔離する必要があること。
 (5)第7条関係
  ア 立入禁止の対象となる作業場所は、石綿等の粉じんが発散するおそれのある区域をいうものであり、壁、天井等により区画される区域をいうものではないこと。
  イ 保護具等を使用した者は立入禁止の対象としていないが、みだりに当該作業場所で他の作業を行うべきではないこと。
 (6)第8条関係
  ア 「発注者」とは、建築物又は工作物の所有者、管理者等で、当該建築物又は工作物の解体等の作業を行う仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいうこと。
  イ 本条は、発注者が石綿等の使用の状況等に係る情報を有している場合に通知するよう努めなければならないものであり、情報を有していない場合まで通知を求める趣旨ではないこと。
 (7)第10条関係
  ア 「吹き付けられた石綿等」には、天井裏等通常労働者が立ち入らない場所に吹き付けられた石綿等で、建材等で隔離されているものは含まないものであること。
  イ 第1項の「除去」とは、吹き付けられた石綿等をすべて除去して、他の石綿を含有しない建材等に代替する方法をいうこと。この方法は吹き付けられた石綿等からの粉じんの発散を防止するための方法として、もっとも効果的なものであり、損傷、劣化の程度の高いもの(脱落・繊維の垂れ下がりが多いもの等)、基層材との接着力が低下しているもの(吹付け層が浮き上がっているもの等)、振動や漏水のあるところに使われているもの等については、この方法によることが望ましいこと。
  ウ 第1項の「封じ込め」とは、吹き付けられた石綿等の表面に固化剤を吹き付けることにより塗膜を形成すること、又は吹き付けられた石綿等の内部に固化剤を浸透させ、石綿繊維の結合力を強化することにより吹き付けられた石綿等からの発じんを防止する方法をいうこと。
  エ 第1項の「囲い込み」とは、石綿等が吹き付けられている天井、壁等を石綿を含有しない建材で覆うことにより、石綿等の粉じんを室内等に発散させないようにする方法をいうこと。
  オ 「除去」以外の措置を講じた場合には、その施工記録等の情報を設計図書等と合わせて保存することが望ましいこと。
  カ 石綿等が吹き付けられていることが明らかとなった場合には、吹き付けられた石綿等の損傷、劣化等により石綿等の粉じんにばく露するおそれがある旨を労働者に対し情報提供することが望ましいこと。
 (8)第12条関係
  ア 第1項は、屋内作業場の一定した箇所から、特定石綿等の粉じんが発散する場合に、その粉じんによる作業場内の空気の汚染及び健康障害を防止するため、その発散源に局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設置すべきことを規定したものであり、第2項は第1項ただし書に相当する場合における全体換気装置の設置その他必要な措置を規定したものであること。
  イ 第1項の「設置が著しく困難なとき」には、種々の場所に短期間ずつ出張して行う作業の場合又は発散源が一定していないために技術的に設置が困難な場合があること。
  ウ 第1項の「臨時の作業」とは、その事業において通常行っている作業のほかに一時的必要に応じて行う作業をいうこと。
    したがって、一般的には、作業時間が短時間の場合が少なくないが、必ずしもそのような場合のみに限られる趣旨ではないこと。
  エ 本規則において、「屋内作業場」には、作業場の建家の側面の半分以上にわたって壁、羽目板、その他のしゃ蔽物が設けられておらず、かつ粉じんがその内部に滞留するおそれがない作業場は含まれないこと。
  オ 第2項の「湿潤な状態にする等」の「等」には、短期間出張して行う作業又は臨時の作業を行う場合における適切な保護具の使用が含まれること。
 (9)第13条関係
  ア 本条は、屋内、屋外の作業場を問わず第1項第1号から第5号までに規定する作業を行う場合には、石綿等の粉じんの発散を防止するため、原則として湿潤な状態にしなければならないこととしたものであること。
  イ 第1項の「著しく困難なとき」には、湿潤な状態とすることによって石綿等の有用性が著しく損なわれるときが含まれること。また、掃除の作業において床の状況等により湿潤な状態とすること
   によってかえって掃除することが困難となるおそれのあるときが含まれるものであること。
  ウ 第1項第3号及び第4号の「粉状の石綿等」には、繊維状の石綿等が含まれ、樹脂等で塊状、布状等に加工され発じんのおそれのないものは含まれないものであること。
  エ 第2項は、石綿等の切りくず等を放置することにより、切りくず等から石綿等の粉じんが発生することを防止するため、ふたのある容器を備えなければならないこととしたものであること。
 (10)第14条関係
  ア 第13条第1項各号の作業はいずれも石綿等の粉じんの発生量が多いものであることから、労働者のばく露防止の徹底を図るため、同条の措置に加えて、呼吸用保護具、作業衣等の使用を義務付けるものであること。
  イ 呼吸用保護具は作業に応じて有効なものを選択すること。
  ウ 作業衣は粉じんの付着しにくいものとすること。
 (11)第15条関係
   本条は、石綿等の製造又は取扱いを行う作業場について、関係者以外の者がみだりに立ち入らないよう措置し、その旨を表示すべきことを規定したものであること。

3 第3章 設備の性能等
 (1)第16条関係
  ア 本条は、第12条第1項の規定により設ける局所排気装置又はプッシュプル型換気装置に関し、有効な稼働効果を確保するための構造上の要件及び能力について規定したものであること。
  イ 第1項第1号は、局所排気装置のフードが適切な位置に設けられていないためにその効果がしばしば減少することがあるので、その効果を期するために必要なフードの設置位置について規定したものであること。
  ウ 第1項第1号の「発散源にできるだけ近い位置に設ける」とは、局所排気装置の吸引効果は、フード開口面と発散源との間の距離の二乗に比例して低下することから、フードが十分に機能するようフード開口面を発散源に近づけることをいうこと。
  エ 第1項第1号の「外付け式フード」とは、フード開口部が発散源から離れている方式のフードをいうこと。
  オ 第1項第1号の「レシーバー式フード」とは、外付け式フードと類似しているが、発散源からの熱上昇気流等による一定方向への気流に対して開口部がその気流を受ける方向にあるものをいうこと。
  カ 第1項第2号及び第2項第1号は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置のダクトの配置が不良のために、ダクトが長くなりすぎたり、ベンドが多くなったりして圧力損失(抵抗)が増大し、その結果、より大きな能力のファンが必要となること、又は稼働中に粉じんが堆積して著しく局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の能力が低下することがしばしばあるので、装置の効果を期するために必要なダクトの構造について規定したものであること。
  キ 第1項第2号及び第2項第1号の「適当な箇所」としては、ベンドの部分又は粉じんが堆積しやすい箇所があること。
  ク 第1項第2号及び第2項第1号の「掃除口が設けられている等」の「等」には、ダクトを差込み式にして容易に取り外しすることができる構造にすることが含まれること。
  ケ 第1項第3号及び第2項第2号は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置からの汚染空気が作業場内に排出されることを防ぐために規定したものであること。
  コ 第1項第3号及び第2項第2号の「排気口」には、第18条により除じんした後の排気を排出する排気口が含まれること。
  サ 第1項第4号は、局所排気装置の具備すべき能力について定めたものであるが、局所排気装置が、そのフードの周囲の所定位置において特定石綿等の粉じんの濃度を一作業直の時間中に平均して、常態として、それぞれ厚生労働大臣が定める値(抑制濃度)を超えないようにすることのできる能力のものであるべきことを規定したものであること。
    なお、この厚生労働大臣が定める値は、別途告示で示されるものであること。
  シ 第2項第3号は、プッシュプル型換気装置の具備すべき能力について定めたものであること。
 (2)第17条関係
  ア 第1項は、第12条第1項により設置した局所排気装置又はプッシュプル型換気装置について、特定石綿等の製造又は取扱いの作業に労働者が従事している間稼働させるべきことを規定したものであること。
    また、第2項は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の構造及び能力が適切であっても、例えば窓を開放したり、換気扇を近接させたりすることによる気流の乱れによりフードの吸い込みを悪くし、その結果、装置の効果を低下させることがあるので、このような周囲の環境変化による悪影響を防止するための必要な措置を規定したものであること。
  イ 第2項の「バッフル」とは、邪魔板ともいい、発散源付近の吸込み気流を外部の気流等からの影響から遮断するため設ける衝立等をいうこと。
  ウ 第2項の「換気を妨害する気流を排除する等」の「等」には、風向板を設けて気流の方向を変えること又は開放された窓を閉じることが含まれること。
  エ 第2項の「有効に稼働させる」とは、別途示される告示に規定する稼働要件を満たしていることをいうこと。
 (3)第18条関係
  ア 本条は特定石綿等の粉じんをそのまま大気中に放出すると、作業環境を汚染して労働者に健康障害を及ぼすおそれがあるのみならず、環境汚染の原因となるので、その放出源である局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置のダクト又は製造設備の排気筒について有効な除じん方式の除じん装置を設けること、及びそれを有効に維持稼働させることを規定したものであること。
  イ 第1項にいう除じん方式は、全体の除じん過程における主たる除じんの方式をいうものであり、除じん方式の選択は、次の例のように行うものであること。
  (ア)約50マイクロメートル以下の対象粉じんにつき、粒径分布(重量法による頻度分布)の図を作成する。
  (イ)(ア)により作成した粒径分布の曲線においてピークを示す点が横軸において、5マイクロメートル未満、5マイクロメートル以上20マイクロメートル未満又は20マイクロメートル以上のどこに位置するかを見て、該当する粒径に対応する除じん方式を本項の表から求めるものとする。
  ウ 第1項の「ろ過除じん方式」とは、ろ層に粉じんを含有する気体を通して、粉じんをろ過捕集する原理によるものをいい、バグフィルタ(ろ布の袋)によるものとスクリーンフィルタ(ろ布の幕)によるものとがあること。
  エ 第1項の「電気除じん方式」とは、高電圧の直流のコロナ放電を利用して、粉じんを荷電し、電気的引力により捕集する原理によるものをいうこと。
  オ 第1項の「スクラバによる除じん方式」とは、水等の液体を噴射又は起泡し、粉じんを含有する気体中の粉じんを加湿凝集させて捕集する原理によるものをいい、一般に湿式又は洗浄式除じん方式といわれているものであること。
  カ 第1項の「マルチサイクロンによる除じん方式」とは、2個以上のサイクロン(粉じんを含有する気体を円筒内で旋回させ、その遠心力で外方に分離される粉じんを落下させるもの)を並列に接続したものであり、サイクロン系としては高性能を有するものであること。
    サイクロンを2個又は4個接続したものは、通常それぞれダブルサイクロン、テトラサイクロンといわれ、これらはマルチサイクロン方式のものに含まれるが、単体サイクロンは、これに含まれないものであること。
  キ 第2項は、粉じん濃度が高い場合又は粒径の大きい粉じんが多い場合において、第1項の除じん装置の効果を期待するためには、事前に粉じんを含有する気体中の粉じんを一部除去しておく必要があるため規定されたものであること。
  ク 第2項の「前置き除じん装置」には、重力沈降室、ルーバ等の慣性除じん装置、サイクロン等があること。
  ケ 第3項は、除じん装置について、捕集粉じんの取除き(ダスト抜き)、破損の修理、除じん効果の確認等をしばしば行う等によって所定の性能を維持しながら稼働させることを規定したものであること。
  コ プッシュプル型換気装置に除じん装置を設けるときは、吸込側フードから吸引された粉じんを含む空気を除じんするためのものであることから、排気側に設けること。

 

4 第4章 管理
 (1)第19条関係
  ア 「作業場ごとに石綿作業主任者を選任し」については、必ずしも単位作業室ごとに選任を要するものでなく、第20条各号に掲げる事項の遂行が可能な範囲ごとに選任し配置すれば足りること。
  イ 「選任」にあたっては、その者が第20条各号に掲げる事項を常時遂行することができる立場にある者を選任することが必要であること。
  ウ 「特定化学物質等作業主任者技能講習」については、特化則第52条に規定されているものであること。
 (2)第20条関係
  ア 第1号の「作業の方法」については、専ら、石綿による健康障害の予防に必要な事項に限るものであり、例えば、湿潤化、隔離の要領、立入禁止区域の決定等があること。
  イ 第2号の「その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置」には、全体換気装置、密閉式の構造の製造装置等があること。
  ウ 第2号の「点検する」とは、関係装置について、第12条及び第16条から第18条までに規定する健康障害の予防措置に係る事項を中心に点検することをいい、その主な内容としては、装置の主要部分の損傷、脱落、異常音等の異常の有無、局所排気装置その他の排出処理のための装置等の効果の確認等があること。
 (3)第22条関係
  ア 本条は、法第45条及び令第15条第9号の規定により、定期に自主検査を行わなければならないこととされた第21条各号に掲げる装置について検査すべき事項を、装置の種類に応じて定めたものであること。
  イ 第1項第1号ホの「吸気及び排気の能力」については、別途示される定期自主検査指針によって換気中の特定石綿の濃度の測定を実施することによる検査の実施が必要であるが、この方法によることが困難な場合は、局所排気装置の性能が確保されている場合の測定位置における制御風速をあらかじめ測定により明らかにしておき、検査の場合、風速を測定し、前記風速と比較することにより局所排気装置の性能の有無を検査しても差し支えないこと。
  ウ 第1項第1号へ及び第2号ヘの「必要な事項」とは、ダンパーの調節、排風機の注油状態等をいうこと。
  エ 第1項第2号ホの「送気、吸気及び排気の能力」の検査に当たっては、別途示される告示に規定される要件を満たしていることを確認しなければならないこと。
  オ 第1項第3号ニの「処理能力」については、除じん処理の効果を確認するための測定が必要であること。
  カ 第1項第3号ホの「必要な事項」には、除じん装置の性能が低下した場合における排気量の調整等を含むこと。
 (4)第26条関係
  ア 本条は、定期自主検査又は点検を行った結果、異常を認めた場合は、補修その他の措置を講ずべきことを規定したものであり、これらの措置が講ぜられない限り当該設備については稼働させてはならないものであること。
  イ 「その他の措置」とは、補修には至らない程度のものであって、当該設備の有効稼働を保持するために必要な措置をいうこと。
 (5)第27条関係
   安衛則第37条の規定により、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができるが、具体的には次の者が含まれるものであること。
  ア 特定化学物質等作業主任者技能講習修了者
  イ 他の事業場において当該業務に関し、既に特別の教育を受けた者
  ウ 昭和63年3月30日付け基発第200号通達に基づく石綿除去現場の管理者に対する労働衛生教育を受けた者
 (6)第28条関係
  ア 本条は、特定石綿等の製造又は取扱いを常時行う場合に、その作業場所以外の場所に休憩室を設け、その休憩室について特定石綿等の粉じんによる汚染を予防するための措置を講ずべきことを規定したものであること。
  イ 第1項の「作業場以外の場所」には、作業場のある建家の内部の場所であって作業場所と確実に区画されている場所を含むこと。
 (7)第29条関係
  ア 本条は、石綿含有製品の製造、加工事業場等の特定石綿等を常時、製造し、又は取り扱う作業場が対象となるものであり、建築物又は工作物の解体等の作業場は該当しないものであること。
  イ 「水洗等」の「等」には、超高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機が含まれること。
  ウ 「容易に掃除できる構造」には、水が流れやすいように傾斜をつけ、溝を設け、平滑にする等があること。
 (8)第30条関係
  ア 「床等」の「等」には、窓枠、棚が含まれること。
  イ 「水洗する等」の「等」には、超高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機を用いる方法が含まれること。
 (9)第31条関係
  ア 本条は、石綿等の製造又は取扱いの作業を労働者に行わせる場合には、洗眼、洗身その他必要な洗浄設備等を設けるべきことを規定したものであること。
  イ 「洗身の設備」とは、シャワー、入浴設備等の体に付着した石綿等を洗うための設備をいうこと。
  ウ 「更衣設備」とは、更衣用のロッカー又は更衣室をいい、汚染を拡げないため作業用の衣服等と通勤用の衣服等とを区別しておくことができるものであること。
 (10)第32条関係
  ア 本条は、石綿等の運搬又は貯蔵の場合における堅固な容器又は確実な包装の使用及びこれらの容器、包装への必要な表示、並びに保管上の措置等について規定したものであること。
  イ 第1項の措置は、塊状であって、そのままの状態では発じんのおそれがないものについては、適用されない趣旨であること。
  ウ 第2項の「取扱い上の注意事項」については、石綿等の取扱いに際し健康障害を予防するため、特に留意すべき事項を具体的に表示する必要があること。
 (11)第34条関係
  ア 第4号については取扱いの実態に応じ、保護具の名称を具体的に掲示すること。
  イ 掲示方法については、昭和47年労働省告示第123号「有機溶剤中毒予防規則第24条第2項の規定に基づき、同条第1項の規定により掲示すべき事項の内容及び掲示方法を定める告示」第4号に準ずる等見やすいものとすることが望ましいこと。
 (12)第35条関係
  ア 本条は、石綿等を製造し、又は取り扱う作業場において、常時当該作業に従事する労働者については、その作業の記録及び事故等による汚染の概要を記録し、これを保存させておくことにより、第36条の作業環境測定の結果の記録、第37条の作業環境測定結果の評価の記録及び第41条の健康診断の結果の記録と併せて、石綿等によるばく露状況を把握し、健康管理に資することとしたものであること。
  イ 記録の保存期間については、石綿が人体に遅発性の健康障害を及ぼすこと等にかんがみ、ばく露状況等を長期間把握させるため、30年間としたものであること。なお、第36条第2項の作業環境測定の結果の記録、第37条第2項の作業環境測定結果の評価の記録及び第41条の石綿健康診断個人票について同趣旨であること。
  ウ 第3号の「著しく汚染される事態」とは、設備の故障等により石綿等の粉じんを多量に吸入した場合等があること。
  エ 第3号の「その概要」とは、ばく露期間、濃度等の汚染の程度、汚染により生じた健康障害等をいうこと。
  オ 第3条に基づく事前調査の結果についても併せて30年間保存することが望ましいこと。

 

5 第5章 測定
 (1)第36条関係
  ア 本条は、特定石綿等の製造又は取扱いが常時行われる屋内作業場について、その作業環境中の特定石綿の気中濃度を定期的に測定すること、並びにその測定結果についての記録及びその保存について規定したものであること。
  イ 第2項第4号の「測定条件」とは、使用した測定器具の種類、測定時の気温、湿度、風速及び風向、局所排気装置等の稼働状況、製造装置の稼働状況、作業の実施状況等測定結果に影響を与える諸条件をいうこと。
 (2)第38条関係
  ア 第1項の「直ちに」とは、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検及び点検結果に基づく改善措置を直ちに行う趣旨であるが、改善措置については、これに要する合理的な時間については考慮されるものであること。
  イ 第2項の測定及び評価は、第1項の規定による措置の効果を確認するために行うものであるから、措置を講ずる前に行った方法と同じ方法で行うこと、すなわち作業環境測定基準及び作業環境評価基準に従って行うことが適当であること。
  ウ 第3項の「労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる」のは、第1項の規定による措置を講ずるまでの応急的なものであり、呼吸用保護具の使用をもって当該措置に代えることができる趣旨ではないこと。なお、局部的に濃度の高い場所があることにより第3管理区分に区分された場所については、当該場所の労働者のうち、濃度の高い位置で作業を行うものにのみ呼吸用保護具を着用させることとして差し支えないこと。
  エ 第3項の「健康診断の実施その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置」については、作業環境測定の評価の結果、労働者に著しいばく露があったと推定される場合等で、産業医等が必要と認めたときに行うべきものであること。

 

6 第6章 健康診断
 (1)第40条関係
  ア 第1項の「当該業務への配置替えの際」とは、その事業場において、他の業務から本条に規定する受診対象業務に配置転換する直前をいうものであること。
  イ 第2項の「常時従事させたことのある労働者で、現に使用しているもの」とは、その事業場において過去に常時従事させた労働者であってその事業場に在職している者をいい、退職者までを含む趣旨ではないこと。
  (2)第41条関係
  ア 「健康診断個人票(様式第2号)」の裏面の「業務の経歴」欄には、石綿に係る経歴のほか、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令37号)、四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)、特化則、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)及びじん肺法(昭和35年法律第30号)のそれぞれに掲げる業務に係る経歴についても該当があれば明記すること。
  イ 「健康診断個人票」については、様式第2号に掲げる項目が充足されていれば、これと異なる様式のものであっても差し支えないこと。
 (3)第42条関係
  ア 医師からの意見聴取は労働者の健康状況から緊急に法第66条の5第1項の措置を講ずべき必要がある場合には、できるだけ速やかに行われる必要があること。
  イ 意見聴取は、事業者が意見を述べる医師に対し、健康診断の個人票の様式の「医師の意見欄」に当該意見を記載させ、これを確認することとすること。
 (4)第43条関係
  「健康診断結果報告書」は、第40条により定期的に行った健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に遅滞なく(健康診断完了後おおむね1ヶ月以内に)提出するものとすること。

 

7 第7章 保護具
 (1)第44条関係
   本条の「呼吸用保護具」とは、送気マスク等給気式呼吸用保護具(簡易救命器及び酸素発生式自己救命器を除く。)、防じんマスク並びにJIS T8157に適合した面体形及びフード形の電動ファン付き粉じん用呼吸用保護具をいい、これらのうち、防じんマスクについては、国家検定に合格したものであること。
 (2)第45条関係
   「有効」とは、各部の破損、脱落、弛(たる)み、湿気の付着、変形、耐用年数の超過等保護具の性能に支障をきたしている状態でないことをいうこと。
 (3)第46条関係
   第2項の「付着した物を除去」する方法は、衣類ブラシ、真空掃除機で取り除く方法、作業場内で洗濯する方法等汚染の程度に応じ適切な方法を用いること。また、汚染のひどいものは廃棄物として処分すること。

 

8 第8章 製造許可等
 (1)第47条関係
  ア 本条は、法第55条ただし書の規定により、製造等禁止石綿等を試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合の手続について規定したものであること。
  イ 法第55条ただし書の規定による製造は、試験研究する者が直接行うべきものであり、他に委託して製造することは認められないこと。ただし、輸入に当たり、輸入事務の代行を商社等が行うことは差し支えないが、商社等があらかじめ製造等禁止石綿等を輸入しておき、試験研究者の要請によって提供することは認められず、したがって、輸入する場合も試験研究に必要な最小限度の量であることが必要であること。
 (2)第48条関係
   第1号の「作業の性質上著しく困難である場合」とは、製造等禁止石綿等を製造するにあたって、その量が少量であるため、工業的な製造設備を設けることが困難であることから、製造装置の密閉化ができず、手動によって操作しなければならない場合をいうものであること。

 

9 附則
 (1)附則第1条関係
   この省令は平成17年7月1日から施行すること。
 (2)附則第2条関係
   平成17年7月1日において現に行われている建築物又は工作物の解体等の作業については、第4条、第5条第1項及び第27条第1項の規定は適用しないこと。
 (3)附則第3条関係
   平成17年7月1日において現に旧特化則第38条の7第2項各号に掲げる措置を講じて特定石綿等を吹き付ける作業に労働者を従事させている事業者は、第11条の規定にかかわらず、当該作業に労働者を従事させることができること。
 (4)附則第4条関係
   平成17年7月1日において現に事業者がその作業場について旧特化則第6条第1項の認定を受けている場合は、第12条の規定は適用しないこと。この場合において、当該認定に係る旧特化則第6条第4項及び第5項の規定の適用については、なお従前の例によること。
 (5)附則第5条関係
   平成17年7月1日において現に存する特定石綿等を常時、製造し、又は取り扱う作業を行う作業場の床であって、不浸透性の材料で造られたものについては、第29条の規定は適用しないこと。
 (6)附則第6条関係
   労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成7年政令第9号)附則第4条第1項に規定するアモサイト等で、平成7年4月1日前に製造され、又は輸入されたもの及び労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成15年政令第457号)附則第2条第1項に規定する製造等が禁止された石綿含有製品で、平成16年10月1日前に製造され、又は輸入されたものについては、特定石綿等とみなして、石綿則の規定を適用すること。
 (7)附則第7条関係
   平成17年7月1日前に旧特化則の規定によりされた処分、手続その他の行為は、石綿則の相当規定によりされた処分、手続その他の行為とみなすこと。
 (8)附則第8条関係
   施行の際に現にある改正前の様式による用紙は、当分の間、加除修正等により使用することができること。
 (9)附則第9条関係
   石綿則の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。
 (10)その他
   石綿則の制定に伴い、安衛則等について改正を行ったものであること。
  ア 特別管理物質に係る作業の記録及び特殊健康診断個人票については、特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業に常時従事する労働者が当該作業に従事することとなった日から30年間保存することとしていたが、これを当該記録をした日から30年間保存することとしたこと。(附則第12条関係)
  イ その他所要の改正を行ったものであること。(附則第10条から第15条まで関係)

 

第4 その他
 1 根拠条文及び罰則
   石綿則は、法に基づく省令であり、一部の規定を除き罰則の適用があるものである。石綿則中の各規定の根拠条文及び罰則は、別紙2のとおりであること。
 2 関係通達の改正
   (1)昭和46年5月24日付け基発第399号「特定化学物質等障害予防規則の施行について」関係同通達の一部を次のように改正する。
    IVの2の(2)中「石綿、」を削る。
    Vの15の(3)中「、素材としての石綿」を削る。
    VIの4の(3)中「、石綿」を削る。
   (2)昭和50年10月1日付け基発第573号「特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」関係
    同通達の一部を次のように改正する。
    IIの24及び25を次のように改める。
    24及び25 削除
    IIの34の(5)のチを次のように改める。
    チ 削除
   (3)昭和58年7月18日付け基発第383号「特定化学物質等障害予防規則第6条第1項の規定による認定の基準及び同規則等の規定により設ける局所排気装置の性能の判定要領について」関係
    同通達の一部を次のように改正する。
    1の(1)のロの表中

    石綿480
    オルト−フタロジニトリル24  を
    オルト−フタロジニトリル24  に改める




  (4)平成7年2月20日付け基発第76号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則及び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」関係
    同通達の一部を次のように改正する。
    第3のIIの3から8を次のように改める。
    3から8まで 削除