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[資料番号] 00199
[題  名] 職場における喫煙対策のためのガイドライン〔平15.5改訂〕
[区  分] 健康管理

[内  容]




職場における喫煙対策のためのガイドライン〔平15.5改訂


(平成15年5月9日基発第0509001号)

 職場における喫煙対策については、平成8年2月21日付け基発第75号「職場における喫煙対策のためのガイドライン」(以下「75号通達」という。)により、その推進に努めてきたところであり、その結果、事業場における喫煙対策の取組が増加する等一定の成果が得られているところである。
 今般、本年5月1日から施行された健康増進法(平成14年法律第103号)において、事務所その他多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙防止対策を講ずることが努力義務化され、また、平成14年6月に、健康局において設置した分煙効果判定基準策定検討会において、分煙のための新たな判定の基準が提示されたところである。
 また、受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等の生理学的反応等に関する知見等が得られており、より適切な受動喫煙防止対策が必要
とされている。
 これらを背景として、職場の喫煙対策については、労働者の健康確保と快適な職場環境の形成を図る観点から、一層の受動喫煙防止対策の充実を図ることとし、新たに別添1のとおり「職場における喫煙対策のためのガイドライン」(以下「新ガイドライン」という。)を策定したので、これを了知するとともに、都道府県等との連携にも留意しつつ、その周知に努められたい。
 なお、新ガイドラインにおいて充実を図った主要な事項は下記のとおりであり、また、別添2の「職場における喫煙対策のためのガイドラインの解説」は、「職場における喫煙対策のためのガイドライン」と一体のものとして取り扱われたい。
 おって、本通達をもって75号通達は廃止する。

 



1 設備対策としては、75号通達では、喫煙室又は喫煙コーナー(以下「喫煙室等」という。)の設置等を行うこととされていたが、新ガイドラインでは、受動喫煙を確実に防止する観点から、可能な限り、非喫煙場所にたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨することとしたこと。



2 喫煙室等に設置する「有効な喫煙対策機器」としては、75号通達では、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式又はたばこの煙を除去して屋内に排気する方式(空気清浄装置)のいずれかの方式によることとされていたが、新ガイドラインでは、空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨することとしたこと。
 やむを得ない措置として、空気清浄装置を設置する場合には、換気に特段の配慮をすることが必要である旨を明記したこと。



3 新ガイドラインでは、職場の空気環境の基準に、喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの流入を防止するため、喫煙室等と非喫煙場所との境界において、喫煙室等に向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講ずることとしたこと。




別添1 職場における喫煙対策のためのガイドライン
 別添2  職場における喫煙対策のためのガイドラインの解説

 

 

1 基本的考え方

 喫煙による健康への影響に関する社会的関心が高まる中で、自らの意思とは関係なく、環境中のたばこの煙を吸入すること(以下「受動喫煙」という。)による非喫煙者の健康への影響が報告され、また、非喫煙者に対して不快感、ストレス等も与えていることが指摘されており、職場における労働者の健康の確保や快適な職場環境の形成の促進の観点から、受動喫煙を防止するための労働衛生上の対策が一層求められている。

 職場における喫煙対策を実効あるものとするためには、事業者が労働衛生管理の一環として組織的に取り組む必要があることから、その進め方について衛生委員会等で検討し、喫煙対策のための施設、設備等を整備するとともに、喫煙者等が守るべき行動基準(以下「喫煙行動基準」という。)を定め、全員の参加の下で喫煙対策を確実に推進する必要がある。

 本ガイドラインは、事業場において関係者が講ずべき原則的な措置を示したものであり、事業者は、本ガイドラインに沿いつつ、事業場の実態に即して職場における喫煙対策に積極的に取り組むことが望ましい。

 なお、適切な喫煙対策の方法としては、事業場全体を常に禁煙とする方法(全面禁煙)及び一定の要件を満たす喫煙室又は喫煙コーナー(以下「喫煙室等」という。)でのみ喫煙を認めそれ以外の場所を禁煙とすることにより受動喫煙を防止する方法(空間分煙)があるが、本ガイドラインは空間分煙を中心に対策を講ずる場合を想定したものである。



2 経営首脳者、管理者及び労働者の果たすべき役割

 職場における喫煙対策は組織の中で実施すべきものであることから、喫煙対策についての経営首脳である者(以下「経営首脳者」という。)、管理職にある者(以下「管理者」という。)及び労働者が協力して取り組むことが重要であり、それぞれ次の役割を果たすよう努めること。

(1) 経営首脳者

 経営首脳者の基本方針と姿勢は、職場における喫煙対策の成否に大きな影響を与える。このため、経営首脳者は、喫煙対策に強い関心をもって、適切な喫煙対策が労働者の健康の確保と快適な職場環境の形成を進めるために重要であることを、機会のあるごとに全員に周知するとともに、対策の円滑な推進のために率先して行動すること。
 また、経営首脳者は、衛生委員会等の場を通じて、労働者の喫煙対策についての意見を十分に把握すること。


(2) 管理者

 管理者の喫煙対策に関する考え方がその職場の喫煙対策の推進に大きな影響を与えることから、管理者は経営首脳者の基本方針の下に対策の円滑な推進のために積極的に取り組むこと。
 また、管理者は、喫煙行動基準に従っていない者に対しては適切な指導を行うこと。


(3) 労働者

 喫煙対策は、職場の労働者自らが推進することが特に重要であることから、労働者は、喫煙対策について衛生委員会等の代表者を通じる等により、積極的に意見を述べるようにすること。
 また、労働組合は、経営首脳者に対する喫煙対策の推進の働きかけ、労働者の喫煙に関する要望等の集約、労働者に対する分煙や健康管理等に関する喫煙教育への参加勧奨等を行うことにより、事業者が行う喫煙対策が円滑に推進されるよう支援することが望ましいこと。



3 喫煙対策の推進計画

 喫煙対策を推進するに当たっては、職場における喫煙の実態、職場の空気環境の測定結果、喫煙に関する労働者の意見等の把握により、喫煙についての現状とその問題点を明確にするとともに、その問題点を解決する具体的な方法等について、当面の計画及び中長期的な計画を策定すること。
 なお、これらの計画については、経営首脳者の指導の下に、労働者の積極的な協力を得て衛生委員会等で十分に検討し、確実に実施できるものとすること。



4 喫煙対策の推進体制

 喫煙問題を喫煙者と非喫煙者の個人間の問題として、当事者にその解決を委ねることは、喫煙者と非喫煙者の人間関係の悪化を招くなど、問題の解決を困難にする可能性がある。
 このような事態が生ずることを避け、喫煙対策を効果的に進めるには、事業者の責任の下に労働衛生管理の一環として、次のとおり喫煙対策の推進体制を整備すること。

(1) 喫煙対策委員会

 喫煙対策を円滑に実施するため、衛生委員会等の下に衛生担当者、喫煙者、非喫煙者の代表者等で構成する「喫煙対策委員会」を設置し、喫煙対策を推進するための合意形成を行う方法を検討するとともに、喫煙対策の具体的な進め方、喫煙行動基準等を検討し、衛生委員会等に報告すること。


(2) 喫煙対策の担当部課等

 事業者は、喫煙対策の担当部課やその担当者を定め、喫煙対策委員会の運営、喫煙対策に関する相談、苦情処理等を行わせるとともに、各職場における喫煙対策の推進状況を定期的に把握し、問題がある職場について改善のための指導を行わせるなど、喫煙対策全般についての事務を所掌させること。



5 施設・設備

 施設・設備面の対策として、喫煙室等の設置等を行うこと。
 設置に当たっては、可能な限り、喫煙室を設置することとし、喫煙室の設置が困難である場合には、喫煙コーナーを設置すること。
 事業場における建築物の新設や増改築の場合は設計段階から空間分煙を前提とした喫煙室等の設置を計画し、既存の建築物については創意工夫によって喫煙室等の設置を図ること。この場合、喫煙室等は、喫煙者の利用しやすさを考慮して、就業する場所の近くに設けることが望ましいこと。
 喫煙室等には、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策機器を設置し、これを適切に稼働させるとともに、その点検等を行い、適切に維持管理すること。
 やむを得ない措置として、たばこの煙を除去して屋内に排気する方式である空気清浄装置を設置する場合には、これを適切に稼働させ、その点検等を行い、適切に維持管理するとともに、喫煙室等の換気に特段の配慮を行うこと。
 なお、たばこのにおいについての対策についても配慮することが望ましいこと。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6 職場の空気環境

 たばこの煙が職場の空気環境に及ぼしている影響を把握するため、事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)に準じて、職場の空気環境の測定を行い、浮遊粉じんの濃度を0.15mg/m3以下及び一酸化炭素の濃度を10ppm以下とするように必要な措置を講じること。また、喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの漏れを防止するため、非喫煙場所と喫煙室等との境界において喫煙室等へ向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講じること。
 なお、測定方法等については、別紙「職場の空気環境の測定方法等」を参考とすること。



7 喫煙に関する教育等

 事業者は、管理者や労働者に対して、受動喫煙による健康への影響、喫煙対策の内容、喫煙行動基準等に関する教育や相談を行い、喫煙対策に対する意識の高揚を図ること。
 また、事業者は、喫煙者に対して、適切な吸い殻処分の指導や、定期健康診断等の機会に喫煙による健康への影響等に関して医師、保健師等による個別の相談、助言及び指導が行われるようにすることが望ましいこと。



8 喫煙対策の評価

 喫煙対策の担当部課等が定期的に喫煙対策の推進状況及び効果を評価すること。
 なお、喫煙対策の評価については、その結果を経営首脳者や衛生委員会等に報告し、必要に応じて喫煙対策の改善のための提言を行うことが望ましいこと。



9 その他喫煙対策を進める上での留意事項

(1) 喫煙者と非喫煙者の相互理解

 喫煙対策を円滑に推進するためには、喫煙者と非喫煙者の双方が相互の立場を十分に理解することが必要であること。
 喫煙者は、非喫煙者の受動喫煙の防止に十分な配慮をする一方、非喫煙者は、喫煙者が喫煙室等で喫煙することに対して理解することが望まれること。


(2) 妊婦等への配慮

 妊婦及び呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者については、受動喫煙による健康への影響を一層受けやすい懸念があることから、空間分煙の徹底を行う等により、これらの者への受動喫煙を防止するため格別の配慮を行うこと。


(3) 喫煙対策の周知

 喫煙対策の周知を図るため、ポスターの掲示、パンフレットの配布、禁煙場所の表示等を行うこと。また、これらにより外来者に対しても喫煙対策への理解と協力を求めること。


(4) 情報の提供等

 喫煙対策の担当部課等は、各職場における喫煙対策の推進状況、他の事業場の喫煙対策の事例、喫煙と職場の空気環境に関する資料、受動喫煙による健康への影響に関する調査研究等の情報を収集し、これらの情報を衛生委員会等に適宜提供すること。
 また、効果のあった職場における喫煙対策の事例等の情報は、積極的に外部に公表することが望ましいこと。





 

 

1について

 職場における喫煙に関して問題となるのは、非喫煙者の受動喫煙であり、労働者の健康の確保及び快適な職場環境の形成の促進の二つの観点からの労働衛生上の対策が求められているものである。

 本ガイドラインは、職場における受動喫煙の防止のために講ずべき原則的な措置を定めたものである。また、職場の喫煙対策を進めるに当たっては、個々の事業場の実態に即して取り組むことが必要である。なお、快適な職場環境の形成については、労働安全衛生法第71条の3第1項の規定に基づき事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(平成4年労働省告示第59号。以下「快適職場指針」という。)が公表されており、本ガイドラインは、快適職場指針に基づき、空気環境の快適化を図る一環として、職場での受動喫煙防止対策のために講ずべき具体的措置を示したものである。

 職場における適切な喫煙対策の方法としては、全面禁煙及び空間分煙があり、このうち、空間分煙は、一般的には「喫煙可能場所を定め、他は禁煙とするという場所による分煙」と定義され、その実施に当たっては、喫煙室等から非喫煙場所にたばこの煙やにおいを漏らさず、かつ、喫煙室等にあっても、可能な限り空気環境を良好な状態に保つことが重要である。


 

2について

 喫煙対策を実効のあるものにするには、経営首脳者や管理者が喫煙対策に関心を持って、それぞれの役割を果たすことに加え、労働者の積極的な参加が必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3について

経営首脳者の指導の下に計画を実施することとしているのは、組織内で権限を持って行動できる者である経営首脳者の取組が不可欠であるからである。


 

4について

 衛生委員会等とは、衛生委員会や安全衛生委員会をいうが、衛生委員会の設置が義務付けられていない事業場においては、労使懇談会等職場の衛生関係事項について話し合われる場をいう。また、喫煙対策の担当部課とは、総務課や健康管理を担当する部課が該当する。
 また、喫煙行動基準として設けるべき事項には、次のようなものがある。
 [1]喫煙室等における喫煙範囲の遵守
 [2]喫煙許容人数
 [3]灰皿、いす、テーブル等の取扱い
 [4]吸い殻の取扱い

 

 

 

 

 



5について

 有効な空間分煙の推進のためには施設・設備面の対策が必要であり、このための基本的な対策を示したものである。「喫煙室」とは、出入口以外には非喫煙場所に対する開口面がほとんどない独立した喫煙のための部屋のことであり、また、「喫煙コーナー」とは、天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等によって区画された喫煙可能な区域である。これらは、基本的に喫煙室等から非喫煙場所へたばこの煙が及ばない措置が講じられているものであるが、より確実にたばこの煙やにおいの漏れを防止する観点から、喫煙室を選択する方が望ましい。

 また、空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、「たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する喫煙対策機器」を推奨することとした。これらの機器には、局所排気装置、換気扇等がある。このような喫煙対策機器の設置によって受動喫煙を防止するためには、その喫煙室等及び喫煙の状況に適した型式及び能力を有する機器を選定する必要がある。
 やむを得ない措置として、たばこの煙を除去して屋内に排出する方式である空気清浄装置を設置する場合には、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する喫煙対策機器の設置と同等の効果のある措置を講ずる必要がある。
 機器の設置に当たっては、@非喫煙場所から喫煙室等への気流を確保すること、A喫煙コーナーを設置する場合は、天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等により非喫煙場所に対する開口面を可能な限り小さくすること、B喫煙室等における喫煙範囲を明確にすること、C喫煙許容人数を設定・明示することが重要である。
建物に中央管理方式の空気調和設備等が設置されており、当該設備等によって室内の空気が一定程度還流している場合は、喫煙室等で発生したたばこの煙が換気口に吸い込まれ、当該設備を介して建物全体に拡散することとなるので、所要の対策が必要となる。
 会議室等個々の場所については、それぞれ次の措置を講ずることにより、受動喫煙を防止する必要がある。

(1) 会議室及び応接室
  禁煙とすること。また、外来者に対しては、禁煙への協力を求めること。
(2) 食堂、休憩室、リフレッシュルーム等
  禁煙とすること。ただし、食堂、休憩室、リフレッシュルーム等において、  空間分煙の措置が講じられている場合には、この限りではない。
(3) 廊下、エレベーターホール等の共同使用区域
  禁煙とすること。

 

 



6について

 たばこの煙には様々な物質が含まれているが、空気環境への影響を判定するものとしては浮遊粉じん、一酸化炭素が代表的なものであるので、これらについて測定するものとし、基準となる空気環境中の濃度を示した。また、たばこの煙の漏れを判定するものとしては、非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速があり、これについて測定するものとし、基準となる風速を示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

8について

 喫煙室等の設置時及び使用開始後定期に、喫煙対策の担当部課等において、喫煙室の設置状況、喫煙行動基準の順守状況及び機器の保守管理の実施状況を評価するとともに、本ガイドラインに基づき非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界において浮遊粉じんの濃度、一酸化炭素の濃度及び気流の風速が基準値を満たしていること等を確認することにより喫煙対策の効果を評価する必要がある。

 分煙対策の効果が十分でない場合には、その原因を調査し、喫煙対策の担当部課等においてその対策を検討し、改善のための必要な提言を行うことが望ましい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別紙について

 一酸化炭素の濃度の測定に関して、「検知管と同等以上の性能を有する機器」としては、エレクトロケミカルセンサーを用いたもの及び定電位電解法によるものがある。


別紙  職場の空気環境の測定方法等



1 測定の目的

 喫煙対策を実施する前の職場の空気環境の把握並びに喫煙対策の効果の把握及び維持管理を目的として、職場の空気環境中の浮遊粉じんの濃度、一酸化炭素の濃度及び非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速の測定を行う。



2 測定の種類等

 測定には、喫煙対策の実施前に行うもの、喫煙対策の実施後に行うもの及び喫煙対策の効果を維持管理するために行うものがある。

(1) 喫煙対策の実施前に行う測定
 喫煙対策の実施前に行う測定は、喫煙が行われている室等を対象として通常の勤務状態の日について1日以上実施すること。
 なお、当該室において喫煙者数の増減がある場合には、喫煙者数が多い日と少ない日について、それぞれ1日以上実施すること。


(2) 喫煙対策の実施後に行う測定
 喫煙対策の実施後に、その効果を確認するために行う測定は、喫煙対策実施後において、非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、また、気流の風速の測定は、非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、通常の勤務状態の日について1日以上実施すること。
 また、喫煙対策実施後に喫煙対策機器等を変更した場合についても同様に実施すること。


(3) 喫煙対策の効果を維持管理するために行う測定
 喫煙対策の効果を維持管理するための測定は、非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、また、気流の風速の測定は、非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、四季による室内の温度の変化の影響等を考慮して3月以内ごとに1日以上、定期的に測定日を設けて実施すること。また、労働者等から特に測定の希望のあった場合には、上記(2)に準じて実施すること。
 なお、測定の結果が良好な状態で1年以上継続した場合は、衛生委員会等により検討を行い、適宜、測定実施頻度を減らし、又は非喫煙場所の測定を省略することができること。



3 測定回数

 
事務室については、その通常の勤務時間中において、一定の時間の間隔ごとに、1日3回以上測定を行うこと。この場合、始業後おおむね1時間、終業前おおむね1時間及びその中間の時点(勤務時間中)に実施することが望ましいこと。
 また、経時的な変化等を把握するためには、測定回数を多くすることが望ましいこと。
 なお、喫煙室等及び事務室以外の非喫煙場所については、その室等の使用中に1回以上測定を行うこと。



4 測定点

 測定点は、原則として室内の床上約1.2mから約1.5mまでの間の一定した高さにおいて、室等における事務機器等の設置状況、空気調和設備の方式、床面積等の状況に応じて設定すること。また、測定点は、1室について5点以上設定することとするが、喫煙室については、この限りでないこと。
 非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速の測定点は、非喫煙場所と喫煙室等の主たる開口面について、上部、中央部、下部の3点を設定すること。
 なお、たばこの煙が滞留している箇所又は労働者等から特に測定の希望があった箇所については、上記とは別に測定点を設定すること。



5 評価等

 各測定点における各測定回ごとの測定値によって、経時的な変化等を把握し、浮遊粉じんの濃度を0.15mg/m以下、一酸化炭素濃度を10 ppm以下及び非喫煙場所から喫煙室等に向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように職場の管理を行うこと。
 なお、測定結果は別添の記録用紙を参考として記録し、3年間保存すること



6 測定機器

 浮遊粉じんの濃度の測定については較正された相対濃度計又は分光ろ紙じん埃計を、一酸化炭素の濃度については検知管又はこれと同等以上の性能を有する機器を、また、風速については一般用風速計を用いて測定すること。なお、浮遊粉じんの濃度の測定に相対濃度計を用いる場合は、1回の測定につき、1分間隔で連続10分間以上測定することとし、質量濃度変換係数を用いて濃度に換算すること。





別添

職場における分煙効果判定のための記録用紙


1. 測定実施者


2. 測定の目的(○印)
(1) 喫煙対策前の測定
(2) 喫煙対策実施後に効果を把握するための測定
(3) 喫煙対策の効果を維持管理するための測定


3. 測定の実施日等
実施日 喫煙状況 測定点の高さ
    粉じん    cm
CO    cm
測定場所 風速    cm
     cm
   cm


4. 喫煙室等の概略図(主要な設備、測定機器の配置)












※図中に、測定点、各測定点に関する特記事項、窓の開閉状況を記し、排気装置による空気の流れを矢印で示すこと。やむを得ず、空気清浄装置を使用している場合は、当該装置の排気の方向を矢印で示すこと。


5. 喫煙許容人数(定員) (    人 )
測定時の喫煙人数 (最高   人 ) 測定時間中の喫煙本数 (    本 )


6. 喫煙室等の広さ(床面積:     m2  天井までの高さ:   m)


7. 喫煙対策機器等の稼働状況
(1) 喫煙対策機器の稼働状況
[1] 排気装置を設置している場合
・換気扇等  ( 24時間連続運転,   :  〜 :  まで運転, なし )
[2] やむを得ず空気清浄装置を設置している場合
・空気清浄装置 ( 24時間連続運転,   :  〜 :  まで運転, なし )
(2) 喫煙対策機器の処理風量
[1] 排気装置を設置している場合
・換気扇等   (     m3/min ×     台 )
[2] やむを得ず空気清浄装置を設置している場合
・空気清浄装置 (     m3/min ×     台 )
(3) 温度(    ℃)、湿度(     %)
(4) 前回の保守管理の実施日(平成  年  月  日)
8. 分煙効果の評価項目
測 定 場 所 測 定 項 目 1回目
   :
〜 :
2回目
  :
〜 :
3回目
  :
〜 :
喫煙室等と非喫煙場所との境界 ・平均浮遊粉じん濃度
・CO濃度
・非喫煙場所から喫煙室等へ向かう気流の風速
・視覚・嗅覚によるたばこの煙の漏れ
   mg/m3
   ppm
上:  m/s
中:  m/s
下:  m/s
 有 ・ 無
   mg/m3
   ppm
上:  m/s
中:  m/s
下:  m/s
 有 ・ 無
   mg/m3
   ppm
上:  m/s
中:  m/s
下:  m/s
 有 ・ 無
喫 煙 室 等 ・平均浮遊粉じん濃度
・CO濃度
   mg/m3
   ppm
   mg/m3
   ppm
   mg/m3
   ppm
非喫煙場所 ・平均浮遊粉じん濃度
・CO濃度
   mg/m3
   ppm
   mg/m3
   ppm
   mg/m3
   ppm





参考
1 空気環境の基準
              基 準 値
浮遊粉じん            0.15mg/m3以下
CO             10ppm以下
気流 [1] 風速:0.2m/s以上
[2] 風向き:非喫煙場所から喫煙室等に向かう方向


2 測定結果に基づく対策について
 1の空気環境の基準を確保できない場合については下記の点をチェックすることにより改善を図ることが必要である。
(1) 喫煙室を設置している場合
[1] 換気扇等排気装置の排気量が不足していないか
[2] (扉を閉じている場合)扉に空気の取り入れ口(ガラリ)がついているか
[3] (扉を開放している場合)のれん等により出入口を小さくする工夫がなされているか
[4] 喫煙許容人数が守られているか
[5] 喫煙範囲外で喫煙していないか
[6] 喫煙対策機器のメンテナンスを実施しているか

(2) 喫煙コーナーを設置している場合
[1] 換気扇等排気装置の排気量が不足していないか
[2] 天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等があるか
[3] 喫煙許容人数が守られているか
[4] 喫煙範囲外で喫煙していないか
[5] 喫煙対策機器のメンテナンスを実施しているか


記入例








別添

[記入例] 職場における分煙効果判定のための記録用紙


1. 測定実施者


2. 測定の目的(○印)
(1) 喫煙対策前の測定
(2) 喫煙対策実施後に効果を把握するための測定
(3) 喫煙対策の効果を維持管理するための測定


3. 測定の実施日等
実施日 喫煙状況 測定点の高さ
平成15年5月9日 ・昼休みに喫煙が集中している。
・1日の全喫煙本数は、約35本である。
粉じん 120cm
CO 120cm
測定場所 風速 150cm
霞ヶ関会館5F
喫煙室
100cm
 50cm


4. 喫煙室等の概略図(主要な設備、測定機器の配置)
※図中に、測定点、各測定点に関する特記事項、窓の開閉状況を記し、排気装置による空気の流れを矢印で示すこと。やむを得ず、空気清浄装置を使用している場合は、当該装置の排気の方向を矢印で示すこと。


5. 喫煙許容人数(定員) ( 10人)
測定時の喫煙人数 (最高 9人) 測定時間中の喫煙本数 ( 24本)


6. 喫煙室等の広さ(床面積:21.6m2  天井までの高さ:2.7m)


7. 喫煙対策機器等の稼働状況
(1) 喫煙対策機器の稼働状況
[1] 排気装置を設置している場合
・換気扇等  ( 24時間連続運転,  9:00〜17:00まで運転, なし )
[2] やむを得ず空気清浄装置を設置している場合
・空気清浄装置 ( 24時間連続運転,   :  〜 :  まで運転,なし )

(2) 喫煙対策機器の処理風量
[1] 排気装置を設置している場合
・換気扇等   ( 15m3/min × 4台 )
[2] やむを得ず空気清浄装置を設置している場合
・空気清浄装置 (     m3/min ×     台 )

(3) 温度( 28℃)、湿度( 55%)

(4) 前回の保守管理の実施日(平成15年3月14日)


8. 分煙効果の評価項目
測 定 場 所 測 定 項 目 1回目
  9:00
〜10:00
2回目
 13:00
〜14:00
3回目
 16:00
〜17:00
喫煙室等と非喫煙場所との境界 ・平均浮遊粉じん濃度
・CO濃度
・非喫煙場所から喫煙室等へ向かう気流の風速

・視覚・嗅覚によるたばこの煙の漏れ
0.01mg/m3
1ppm
上:0.2m/s
中:0.1m/s
下:
有 ・ 無
0.01mg/m3
1ppm
上:0.2m/s
中:0.1m/s
下:滞留
有 ・ 無
0.01mg/m3
1ppm
上:0.2m/s
中:0.1m/s
下:
有 ・ 無
喫 煙 室 等 ・平均浮遊粉じん濃度
・CO濃度
0.14 mg/m3
1ppm
0.15mg/m3
2ppm
0.14mg/m3
1ppm
非喫煙場所 ・平均浮遊粉じん濃度
・CO濃度
0.01mg/m3
1ppm
0.01mg/m3
1ppm未満
0.01mg/m3
1ppm