次の資料 前の資料

[資料番号] 00002
[題  名] 職場におけるエイズ問題に関するガイドライン
[区  分] 衛生管理

[内  容]
職場におけるエイズ問題に関するガイドライン

平成7.2.20基発第75号等


1 趣旨
 我が国においては,現在のところ,報告された数を見るかぎりHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者(以下「感染者」という。)の数は国際的に見て多くないものの,今後増加するおそれもあることから,その前にエイズ(後天性免疫不全症候群)の予防対策を積極的に講じていく必要がある。
 現在,我が国の感染者の大部分は20〜40歳代であり,働き盛りの年齢層に集中していることを踏まえると,すべての労働者が健康な勤労者生活を送ることができるためには,職場におけるエイズ予防対策が重要である。このためには職場において,労働者に対し,原因となるウイルス・感染経路等・エイズに関する正しい知識を提供し,感染の危険性の高い行動の回避を呼びかけるとともに,HIVに感染していることが分かった場合の適切な対応の仕方を伝える等のエイズ教育を行っていく必要がある。
 他方,職場において感染者やエイズ患者を適切に受け入れる環境を作っていくことも急務となっている。このためには,労働者に対し,HIVが日常の職場生活では感染しないことを周知徹底し,職場において同僚の労働者等の科学的に根拠のない恐怖や誤解,偏見による差別や混乱が生じることを防止するとともに,感染者やエイズ患者が,仕事への適性に応じて働き続けることができるようにする必要がある。
 このようなことから,事業者は,2に掲げる職場におけるエイズ対策の基本的考え方を参考にし,エイズ問題に対する基本的な方針を作り,エイズ対策に自主的に取り組むことが望ましい。
 なお,本ガイドラインは,労働者が通常の勤務において業務上HIVを含む血液等に接触する危険性が高い医療機関等の職場は想定していない。

2 職場におけるエイズ対策の基本的考え方
 (エイズ教育)
(1)事業者は,職場において労働者に対しエイズ教育を行い,エイズに関する正しい知識を提供すること。
(2)事業者は,エイズ教育や相談等の企画・実施に当たって産業医に中心的役割を担わせること。
 (HIV検査)
(3)職場におけるHIV感染の有無を調べる検査(以下「HIV検査」という。)は,労働衛生管理上の必要性に乏しく,また,エイズに対する理解が一般には未だ不十分である現状を踏まえると職場に不安を招くおそれのあることから,事業者は労働者に対してHIV検査を行わないこと。
(4)事業者は,労働者の採用選考を行うに当たって,HIV検査を行わないこと。
(5)労働者が事業場の病院や診療所で本人の意思に基づいてHIV検査を受ける場合には,検査実施者は秘密の保持を徹底するとともに,検査前及び結果通知の際に十分な説明及びカウンセリングを行うこと。
(HIV感染の有無に関する秘密の保持)
(6)事業者は,HIV感染の有無に関する労働者の健康情報については,その秘密の保持を徹底すること。
(雇用管理等)
(7)事業者は職場において,HIVに感染していても健康状態が良好である労働者については,その処遇において他の健康な労働者と同様に扱うこと。また,エイズを含むエイズ関連症候群に罹患している労働者についても,それ以外の病気を有する労働者の場合と同様に扱うこと。
(8)HIVに感染していることそれ自体によって,労働安全衛生法第68条の病者の就業禁止に該当することはないこと。
(9)HIVに感染していることそれ自体は解雇の理由とならないこと。
(不慮の出血事故等における感染の予防)
(10)事業者は,職場における労働者等の不慮の出血事故の際の労働者へのHIV感染の予防のため,労働者に対する応急手当の方法の教育,ゴム手袋の備付け等の必要な措置を講ずること。