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[資料番号] 00200
[題  名] 第6次粉じん障害防止総合対策の推進について〔平15.5.29基発第0529004号〕
[区  分] 衛生管理

[内  容]


第6次粉じん障害防止総合対策の推進について

 

(平成15年5月29日基発第0529004号、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長 あて)


 粉じん障害の防止に関しては、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)が全面施行された昭和56年以降、同規則の周知徹底及びじん肺法(昭和35年法律第30号)との一体的運用を図るため、総合的な対策を推進してきており、これまで、5次にわたり、粉じん障害防止総合対策を推進してきたところである。
 その結果、総合対策を開始した昭和56年当時と比べ、平成13年においては、じん肺の新規有所見者の発生数は、大幅に減少する等その成果を上げているものの、依然として毎年200人を超える有所見者が新たに発生していること、新規有所見者のうち、金属製品製造業、機械器具製造業を始めとして、アーク溶接作業及び金属等の研ま作業に係る作業者の占める割合が高いこと、トンネル建設工事業においては、新たな工法の普及、機械の大型化等により粉じんの発生の態様が多様化していること等から、対策のより一層の実効性の確保を図るため、「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」を示しその周知徹底を図ることとしたこと等、別紙1のとおり、第6次粉じん障害防止総合対策を推進することとしたところである。
 ついては、各局においては、5次にわたる粉じん障害防止総合対策の推進状況を踏まえ、本総合対策に基づく措置の周知徹底を図り、粉じん障害防止対策の一層の推進に努められたい。
 なお、関係団体に対し、別紙2のとおり、要請を行ったので、了知されたい。

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別紙1  第6次粉じん障害防止総合対策



第1 目的

 本総合対策は、昭和56年以降、5次にわたり推進してきた粉じん障害防止総合対策の推進状況を考慮しつつ、中長期的な観点に立脚した粉じん作業に関する適正な作業環境管理、作業管理、健康管理等を推進するため、別添のとおり「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」を定め、その周知徹底を図ることにより、じん肺のより一層の防止を図ることを目的とする。



第2 計画の期間

 平成15年度から平成19年度までの5か年とする。



第3 重点事項

1 アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策
2 金属等の研ま作業に係る粉じん障害防止対策
3 トンネル建設工事業における粉じん障害防止対策
4 離職後の健康管理



第4 都道府県労働局、労働基準監督署等の実施事項

1 情報の整備

 総合対策を推進するに当たっては、粉じん作業を有する事業場及びその事業場における問題点の把握が基本であることから、監督指導結果、個別指導結果、事業場からのじん肺健康管理実施状況報告、じん肺管理区分の決定に係る提出書類及びじん肺管理区分の決定状況等の活用はもとより、必要に応じて、事業者団体、企業系列団体、地域団体等の関係事業者団体を通じて、事業場に対し、粉じん障害防止に係る自主点検の実施及びその結果報告を求めること等により問題点等の把握に努める。
 特に、じん肺健康診断の実施及びじん肺健康管理実施状況報告の提出については、事業者に対してその徹底を図る。


2 集団指導、個別指導等の実施

 集団指導等を行うべき対象を適切に選定し、その計画的かつ積極的な実施により別添「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」の内容を広く周知するとともに、その徹底を図る。
技術的・専門的な指導が必要であると認められる事業場等に対しては、個別指導を行うとともに、じん肺の予防に関する措置についての技術的な援助を行う必要がある場合には、積極的に、じん肺法(昭和35年法律第30号)第33条に規定する「粉じん対策指導委員」を活用する。
 なお、健康管理手帳交付申請の周知に当たっては、平成15年1月20日付け基安 労発第0120002号「健康管理手帳(じん肺)所持者に対する健康診断(追加)に当 たっての留意事項について」に留意することとする。


3 監督指導の実施

 本総合対策の重点事項、これまでの総合対策の推進状況等を踏まえ、効果的・効率的な監督指導を実施する。
 また、重大・悪質な法令違反が認められた場合は、司法処分を含め、厳正な措置を講じる。


4 計画の届出の徹底、適正な審査及び実地調査の実施

 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第88条に基づく計画の届出の徹底を図る。
 また、その適正な審査及び実地調査を行う。


5 関係団体等に対する指導等の実施

(1) 労働災害防止団体、事業者団体等に対する指導等

 労働災害防止団体の都道府県支部等を通じて、構成事業場に対し、別添「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」の内容の周知徹底を指導するとともに、関係事業者団体に対しても、事業者団体による自主点検の実施及び自主点検結果に基づく構成事業者による自主的な取組みによる粉じん障害防止対策の推進を要請する。
 また、労働災害防止団体、事業者団体、企業系列団体、地域団体等を対象として、研究会、専門委員会等の設置を要請し、粉じん障害防止対策の必要性の意識啓発、具体的な粉じん障害防止対策に関する検討、粉じん作業に係る改善事例の紹介等の活動の推進を図らせることとする。


(2) 製造業者団体等に対する要請

 本省においては、アーク溶接機、グラインダー等の製造業者団体等に対し、機器の使用説明書、カタログ等に粉じん障害防止に係る留意事項等を盛り込むよう要請することとする。


6 啓発活動の実施

(1) 粉じん障害防止総合対策推進強化月間

 粉じん障害防止対策を効果的に推進するためには、粉じんの有害性、粉じん障害防止対策等に関する関係者の意識を高揚させ、自主的な粉じん障害防止対策の実施の活性化を図ることが重要である。
このため、引き続き、9月を「粉じん障害防止総合対策推進強化月間」とし、関係団体等に対し、構成事業場へのパトロールの実施等各種行事の開催を要請する。
また、たい積粉じん除去のための清掃の推進を図るため、関係事業者団体、労働災害防止団体等に対し、「大清掃運動」を展開させるよう指導する。


(2) 粉じん対策の日

 粉じん作業を有する事業場に対し、呼吸用保護具の点検、局所排気装置等の点検、たい積粉じん除去のための清掃等を定期的に実施させ、定着を図るため、毎月特定の日を「粉じん対策の日」として設定するよう指導する。


7 トンネル建設工事の発注者に対する要請の実施

 トンネル建設工事における粉じん障害防止対策の実効を期すためには、工事発注者が粉じん障害防止対策の重要性を理解し、必要な措置を講ずることが重要である。このため、国の出先機関及び地方公共団体等との間の発注機関連絡会議等を通じて、粉じん障害防止対策の重要性を説明するとともに、平成12年12月26日付け基発第768号の2「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」において示された「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づく対策を実施するための措置について要請を行う。
 この場合、国土交通省においては、当該ガイドラインが策定されたことに伴い、契約図書である土木工事共通仕様書においてガイドラインに基づく対策を位置づけ、また、必要な費用を計上するよう土木工事積算基準を改訂していること、さらに、都道府県、政令指定都市及び日本道路公団等関係団体に対してこれらを情報提供していること等に留意することとする。


8 中小規模事業場への支援

 中小規模事業場に対しては、小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業等各種支援事業、労働災害防止特別安全衛生診断事業等の利用の勧奨を行うとともに、産業保健推進センター、地域産業保健センター及び労働衛生コンサルタントの活用を図るよう指導する。




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別添


粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置



第1 趣旨

 粉じん障害の防止に関しては、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)が全面施行された昭和56年以降、5次にわたり適切な作業環境管理、作業管理、健康管理等の推進を内容とする総合的な対策を推進してきたところである。
 その結果、昭和56年当時と比べ、平成13年においては、じん肺の新規有所見者の発生数が大幅に減少する等その成果を上げているものの、依然として毎年200人を超える有所見者が新たに発生していること、新規有所見者のうち、アーク溶接作業及び金属等の研ま作業に係る作業者の占める割合が高いこと、トンネル建設工事業においては、新たな工法の普及、機械の大型化等により粉じんの発生の態様が多様化していること等から、以下のとおり、事業者が重点的に講ずべき措置を定め、じん肺のより一層の防止を図ることとしたものである。



第2 具体的実施事項

1 アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策

(1) 局所排気装置、プッシュプル型換気装置等の普及を通じた作業環境の改善

 事業者は、屋内でアーク溶接作業を行う場合、粉じん則第5条に基づき、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならないが、この同等以上の措置である局所排気装置、プッシュプル型換気装置、ヒューム吸引トーチの設置等、粉じんの発散防止対策を推進し、作業環境を改善するものとする。


(2 ) 局所排気装置等の適正な稼働並びに検査及び点検の実施

イ 局所排気装置又はプッシュプル型換気装置における検査・点検責任者の選任

 事業者は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置について、単に設置するだけではなく、粉じん則第12条に基づき、要件を満たすように適切に稼働させなければならない。
 これらの適切な実施を図るため、事業者は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置のそれぞれの設備ごとに「検査・点検責任者」を選任するものとする。
 なお、「検査・点検責任者」については、昭和58年10月11日付け基発第563号「局所排気装置等の定期自主検査者等養成講習について」(以下「563号通達」という。)に定める「局所排気装置等の定期自主検査講習」を修了した者を充てるようにするものとする。


ロ 局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の検査及び点検の実施

 事業者は、選任した「検査・点検責任者」に対し、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置について、粉じん則第17条から第21条までに規定されている定期自主検査及び点検並びに検査・点検の結果に基づく措置を行わせなければならない。さらに、1月に1回以上の頻度で自主的な点検を行わせるものとする。
 また、事業者は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の定期自主検査を、それぞれ、「局所排気装置の定期自主検査指針」(昭和58年2月23日付け自主検査指針公示第5号)及び別途示すこととしている「プッシュプル型換気装置の定期自主検査指針」に基づき実施するものとする。
 なお、親企業の系列下にある事業場における対策を推進するため、親企業は、可能な限り、親企業の労働者に、563号通達に定める「局所排気装置等の定期自主検査インストラクター講習」を受講させ、その者が系列下の事業場の検査・点検責任者に必要な知識及び技能を付与するように努めるものとする。


ハ ヒューム吸引トーチ又は全体換気装置の点検の実施

 事業者は、ヒューム吸引トーチ又は全体換気装置についても、その日の作業を開始する前に点検し、これら設備が所要の性能を発揮するよう措置するものとする。


(3) 呼吸用保護具の着用の徹底及び適正な着用の推進

 事業者は、アーク溶接作業を行う場合、粉じん則第27条に基づき、有効な呼吸用保護具を労働者に使用させなければならないが、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、ヒューム吸引トーチ等の有効な粉じん発散防止措置が講じられた場合には、その呼吸用保護具の使用義務が免除されている。また、労働者は、粉じん則第27条第2項により、呼吸用保護具の使用を命じられたときは、当該呼吸用保護具を使用しなければならない。
 さらに、防じんマスクについては、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第44条の2に基づき、型式検定に合格していることはもとより、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第27条により、厚生労働大臣が定める規格を具備したものを使用しなければならず、電動ファン付き呼吸用保護具については、昭和57年12月14日付け基発第767号に規定する電動ファン付き呼吸用保護具 (JIS T 8157電動ファン付き呼吸用保護具を含む。)である必要がある。また、 呼吸用保護具については、労働者に適したものを選択することが重要である。
 これらの適切な実施を図るため、事業者は、次の措置を講じるものとする。

イ 保護具着用管理責任者の選任

 各作業場ごとに、「保護具着用管理責任者」を、衛生管理者の資格を有する者その他労働衛生に関する知識、経験等を有する者から選任するものとする。


ロ 呼吸用保護具の適正な選択、使用及び保守管理の推進

 別途示すこととしている「防じんマスクの選択、使用等について」に基づき、保護具着用管理責任者に対し、次の適正な選択、使用及び保守管理を行わせるものとする。
[1] 呼吸用保護具の適正な選択、使用、顔面への密着性の確認等に関する指導
[2] 呼吸用保護具の保守管理及び廃棄
[3] 呼吸用保護具のフィルタの交換の基準を定めフィルタの交換日等を記録する台帳を整備すること等フィルタの交換の管理


(4) 健康管理対策の推進

イ じん肺健康診断の実施及びその結果に基づく事後措置の徹底

 事業者は、アーク溶接作業等粉じん作業に常時従事する労働者に対し、じん肺法(昭和35年法律第30号)第7条から第9条の2までの規定に基づき、じん肺健康診断を実施しなければならない。また、事業者は、その結果に応じて、当該事業場における労働者の実情等を勘案しつつ、粉じんばく露の低減措置又は粉じん作業以外の作業への転換措置を行うものとする。


ロ じん肺有所見者に対する健康管理教育等の推進

 事業者は、じん肺有所見者のじん肺の増悪の防止を図るため、産業医等による継続的な保健指導を実施するとともに、平成9年2月3日付け基発第70号「じん肺有所見者に対する健康管理教育のためのガイドライン」に基づく健康管理教育を推進するものとする。
 また、じん肺有所見者は、肺がんの発生リスクが高まり、喫煙が加わると更に発生リスクが上昇するとの知見が得られたことから、平成15年1月20日付け基安労発第0120001号「じん肺法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行に係る運用について」に基づき、事業者は、じん肺有所見者に対する肺がんに関する検査(胸部らせんCT検査及び喀痰細胞診)の実施及び積極的な禁煙の働きかけを行うものとする。


(5) 法令等の周知及びじん肺発生の再発防止対策の徹底

 事業者は、労働安全衛生法第101条及びじん肺法第35条の2に基づき、講じなければならない粉じん障害防止措置の要旨を、アーク溶接作業を行う作業場の見やすい場所に掲示する等により、労働者に周知しなければならない。
 また、事業者は、労働安全衛生規則第585条に基づき、粉じんを発散する有害な場所に、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
 さらに、事業者は、じん肺の新規有所見者を発生させた事業場について、その原因を究明し、その結果を踏まえた再発防止対策を講じるとともに、労働安全衛生法第18条に基づき、衛生委員会において当該事項等を調査審議しなければならない。また、事業者は、衛生委員会を設ける義務のない事業場については、労働安全衛生規則第23条の2に基づき、関係労働者の意見を聴くための機会を設けなければならない。


(6) じん肺に関する予防及び健康管理のための教育の徹底

 事業者は、アーク溶接作業に常時従事する労働者に対して、じん肺法第6条に基づき、じん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育を実施しなければならない。
 この場合、粉じん則第22条に定める特別教育の科目に準じて実施するものとする。


2 金属等の研ま作業に係る粉じん障害防止対策

(1) 特定粉じん発生源に対する措置の徹底等

 事業者は、金属等の研ま作業に係る特定粉じん発生源については、粉じん則第4条及び第10条に基づき、局所排気装置の設置、除じん装置の設置、湿潤化の措置等を講じなければならない。
 また、事業者は、特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、粉じん則第5条に基づき、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。


(2) 作業環境測定及びその結果に基づく措置の徹底

 事業者は、常時金属等の研ま作業に係る特定粉じん作業が行われる屋内作業場においては、粉じん則第26条及び第26条の2に基づき、作業環境測定及びその結果の評価を実施しなければならない。さらに、事業者は、労働安全衛生法第18条及び労働安全衛生規則第22条に基づき、測定結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関し、衛生委員会において調査審議しなければならない。なお、衛生委員会を設ける義務のない事業場については、事業者は、労働安全衛生規則第23条の2に基づき、関係労働者の意見を聴くための機会を設けなければならない。 また、事業者は、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)に基づく評価が第3管理区分又は第2管理区分に区分された作業場については、粉じん則第26条の3及び第26条の4に基づき、施設、設備、作業工程及び作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他必要な措置を講じるとともに、粉じん則第26条第3項に基づき、改善措置の内容を記録・保存しなければならない。


(3) 局所排気装置等の適正な稼働並びに検査及び点検の実施

イ 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は除じん装置における検査・点検責任者の選任

 事業者は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置について、単に設置するだけではなく、粉じん則第12条に基づき、特定粉じん発生源に応じ、要件を満たすように適切に稼働させなければならず、また、除じん装置については、粉じん則第14条に基づき、有効に稼働させなければならない。
 これらの適切な実施を図るため、事業者は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は除じん装置のそれぞれの設備ごとに「検査・点検責任者」を選任するものとする。
 なお、「検査・点検責任者」の選任については、第2の1の(2)イのなお書きに準じるものとする。


ロ 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は除じん装置等の検査及び点検の実施

 事業者は、第2の1の(2)ロに準じた対策を推進するものとする。
 なお、除じん装置の定期自主検査については、「除じん装置の定期自主検査指針」(昭和58年2月23日付け自主検査指針公示第6号)に基づき実施するものとする。


ハ 粉じんの発生源を湿潤な状態に保つための設備、全体換気装置等の点検の実施

 事業者は、第2の1の(2)ハに準じた対策を推進するものとする。


(4) 呼吸用保護具の着用の徹底及び適正な着用の推進

 事業者は、第2の1の(3)に準じた対策を推進するものとする。


(5) たい積粉じん対策の推進

イ たい積粉じん清掃責任者の選任

 粉じん作業場の作業環境を改善する方策の一つとして、作業場を常に清潔に保ち、床面等のたい積粉じんによる二次発じんを防止することが重要である。
このため、事業者は、粉じん則第24条に基づく、粉じん作業を行う場所の清掃を行う責任者として、「たい積粉じん清掃責任者」を選任するものとする。


ロ たい積粉じん除去のための清掃の推進

 事業者は、選任した「たい積粉じん清掃責任者」の指揮の下で、毎日の清掃及び1月に1回以上のたい積粉じん除去のための清掃を行わせるものとする。なお、事業者は、清掃の実施に当たっては、粉じん則第24条第2項の規定を遵守しなければならない。さらに、事業者は、毎日の清掃においても、清掃作業による発じんが起こらないよう注意させ、水洗又は真空掃除機を用いる等により清掃を行うものとする。


(6) 特別教育の徹底等

 事業者は、特定粉じん作業に常時従事する労働者に対し、粉じん則第22条に基づき、特別教育を実施しなければならない。
 また、事業者は、特定粉じん作業以外の粉じん作業に常時従事する労働者に対しても、じん肺法第6条に基づき、じん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育を実施しなければない。この場合、粉じん則第22条に定める特別教育の科目に準じて実施するものとする。


(7) 健康管理対策の推進

 事業者は、第2の1の(4)に準じた対策を推進するものとする。


(8) 法令等の周知及びじん肺発生の再発防止対策の徹底

 事業者は、第2の1の(5)に準じた対策を推進するものとする。


3 トンネル建設工事業における粉じん障害防止対策

(1) ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインに基づく対策の推進

 平成12年12月26日付け基発第768号の2「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」において示された「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づき、事業者は、次の措置を講じるものとする。
[1] 粉じん対策に係る計画の策定
[2] 粉じんの発散を防止するための対策の実施
[3] 換気装置等による換気の実施等
[4] 換気の実施等の効果を確認するための粉じん濃度等の測定
[5] 粉じん濃度目標レベルの設定
[6] 坑内の作業に従事する労働者による防じんマスク等の常時使用
[7] 坑内の作業に従事する労働者に対する防じんマスク等の適正な着用のための教育
 なお、事業者は、上記@の「粉じん対策に係る計画」を策定した場合には、労働安全衛生法第88条に基づき労働基準監督署等に提出する計画届に当該計画を添付するものとする。


(2) 健康管理対策の推進

 事業者は、第2の1の(4)に準じた対策を推進するものとする。
 また、事業者は、じん肺法第7条に基づく就業時のじん肺健康診断の実施を徹底するものとする。


(3) 元方事業者の講ずべき措置の実施の徹底等

 元方事業者は、労働安全衛生法第29条に基づく措置を実施するとともに、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づき、粉じん対策に係る計画の調整、教育に対する指導及び援助、清掃作業日の統一、関係請負人に対する技術上の指導等を行うものとする。
 また、元方事業者は、昭和54年8月29日付け基安発第19号「特定粉じん作業に係る特別の教育の推進について」及び昭和61年7月16日付け基安発第30号「建設業粉じん作業特別教育指導員講習の実施について」に基づく粉じん作業特別教育指導員(インストラクター)を養成するものとする。


(4)  トンネル建設工事業者の店社における対策の推進

 トンネル建設工事業者の店社、特に中小地場店社において、上記第2の3の(1)及び(2)の徹底を図るものとする。


(5) 法令等の周知及びじん肺発生の再発防止対策の徹底

 事業者は、第2の1の(5)に準じた対策を推進するものとする。


4 その他の粉じん作業又は業種に係る粉じん障害防止対策

 事業者は、その他の粉じん作業又は業種についても、作業環境測定の結果、新規有所見者の発生数、職場巡視の結果等を踏まえ、上記の措置に準じて、粉じん障害防止対策を推進するものとする。


5 離職後の健康管理

(1) 離職するじん肺有所見者等に対する健康管理対策の推進

事業者は、じん肺管理区分が管理2又は管理3の離職予定者に対し、離職者自らがじん肺の増悪及び合併症を防止するための健康管理の方法、じん肺に合併する肺がんのリスク、喫煙による健康影響等を記載した「離職するじん肺有所見者のためのガイドブック(以下「ガイドブック」という。)」を配付するものとする。
また、事業者は、粉じん作業に従事させたことがある労働者が、離職により事業者の管理から離れるに当たり、雇用期間内に受けた最終のじん肺健康診断結果証明書の写し等、離職後の健康管理に必要な書類をとりまとめ、求めに応じて労働者に提供するとともに、当該書類の意義について労働者に説明することが望ましい。


(2) 健康管理手帳交付申請の周知

 事業者は、労働安全衛生法第101条に基づき、労働者に対し、健康管理手帳制度について周知しなければならない。
このため、事業者は、健康管理手帳の交付要件(管理2又は管理3)を満たす労働者の離職が予定される場合には、ガイドブック等を活用し、離職予定者に健康管理手帳の交付申請の方法等について周知するものとする。
 また、健康管理手帳の交付要件(管理2又は管理3)を満たす者であって既に離職している者に対しても、事業者は、可能な限り、その周知を行うものとする。









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別紙2

(平成15年5月29日基発第0529005号 厚生労働省労働基準局長から別記関係団体、事業者団体の長あて)

第6次粉じん障害防止総合対策の推進について

 労働基準行政の運営につきましては、日頃から格別の御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、粉じん障害の防止に関しては、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)が全面施行された昭和56年以降、同規則の周知徹底及びじん肺法(昭和35年法律第30号)との一体的運用を図るため、総合的な対策を推進してきており、これまで、5次にわたって、粉じん障害防止総合対策を推進してきたところであります。
その結果、総合対策を開始した昭和56年当時と比べ、平成13年においては、じん肺の新規有所見者の発生数は、大幅に減少する等その成果を上げているものの、依然として毎年200人を超える有所見者が新たに発生していること、新規有所見者のうち、金属製品製造業、機械器具製造業を始めとして、アーク溶接作業及び金属等の研ま作業に係る作業者の占める割合が高いこと、トンネル建設工事業においては、新たな工法の普及、機械の大型化等により粉じんの発生の態様が多様化していること等から、対策のより一層の実効性の確保を図るため、「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」を示しその周知徹底を図ることとしたこと等、別紙のとおり、第6次粉じん障害防止総合対策を推進することといたしました。
 つきましては、貴団体におかれましても、本総合対策の趣旨を御理解いただき、会員その他関係事業場に対する本総合対策の周知とともに、本総合対策のうち、「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」の実施の指導につき、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。


別記

日本ゴム工業会会長
社団法人 セメント協会会長 
社団法人 日本硝子製品工業会会長 
日本陶業連盟会長 
耐火物協会会長 
全国赤煉瓦協会会長 
炭素協会会長 
社団法人 コンクリートポール・パイル協会会長 
全国コンクリート製品協会会長 
全国ヒューム管協会会長 
社団法人 石膏ボード工業会会長 
ロックウール工業会会長 
研削材工業協会会長 
社団法人 日本鉄鋼連盟会長 
普通鋼電炉工業会会長 
日本フェロアロイ協会会長 
社団法人 日本鋳物工業会会長 
社団法人 日本ダイカスト協会会長 
社団法人 日本強靱鉄協会会長 
日本鋳鍛鋼会会長 
社団法人 日本非鉄金属鋳物協会会長 
社団法人 全国鐵構工業協会会長 
社団法人 鉄骨建設業協会会長 
社団法人 日本橋梁建設協会会長 
社団法人 日本機械工業連合会会長 
社団法人 日本電機工業会会長 
社団法人 日本造船工業会会長 
社団法人 日本中小型造船工業会会長 
社団法人 日本造船協力事業者団体連合会会長 
社団法人 日本自動車工業会(労務室)会長 
日本石炭協会会長 
日本鉱業協会会長 
社団法人 日本砕石協会会長 
日本石材協会会長 
石灰石鉱業協会会長 
社団法人 日本砂利協会会長 
社団法人 日本下水道管渠推進技術協会会長 
社団法人 日本建設業団体連合会会長 
社団法人 全国建設業協会会長 
社団法人 日本道路建設業協会会長 
社団法人 日本鉄道建設業協会会長 
社団法人 全国中小建設業協会会長 
社団法人 日本港運協会会長 
社団法人 日本アルミニウム合金協会会長 
日本可鍛鋳鉄工業会会長 
社団法人 日本土木工業協会会長 
社団法人 日本溶接協会会長 
中央労働災害防止協会会長 
港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長 
鉱業労働災害防止協会会長 
建設業労働災害防止協会会長 
陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長 
全国中小企業団体中央会会長 
日本商工会議所会頭 
全国労働衛生団体連合会会長 
日本作業環境測定協会会長 
社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会会長 
社団法人 全国労働基準関係団体連合会会長 
日本トンネル技術協会会長 
労働福祉事業団理事長 
社団法人 日本医師会会長 
財団法人 産業医学振興財団理事長 
社団法人 日本経済団体連合会会長