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[資料番号] 00203
[題  名] 防じんマスクの選択、使用等について(H17.2.7改訂)
[区  分] 衛生管理

[内  容]


防じんマスクの選択、使用等について

〔平成17年2月7日付け基発第0207006号厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて〕


 防じんマスクは、空気中に浮遊する粒子状物質(以下「粉じん等」という。)の吸入により生じるじん肺等の疾病を予防するために使用されるものであり、その規格については、防じんマスクの規格(昭和63年労働省告示第19号)において定められているが、その適正な使用等を図るため、平成8年8月6日付け基発第505号「防じんマスクの選択、使用等について」により、その適正な選択、使用等について指示してきたところである。
 防じんマスクの規格については、その後、平成12年9月11日に公示され、同年11月15日から適用された「防じんマスクの規格及び防毒マスクの規格の一部を改正する告示(平成12年労働省告示第88号)」において一部が改正されたが、改正前の防じんマスクの規格(以下「旧規格」という。)に基づく型式検定に合格した防じんマスクであって、当該型式の型式検定合格証の有効期間(5年)が満了する日までに製造されたものについては、改正後の防じんマスクの規格(以下「新規格」という。)に基づく型式検定に合格したものとみなすこととしていたことから、改正後も引き続き、新規格に基づく防じんマスクと併せて、旧規格に基づく防じんマスクが使用されていたところである。
 しかしながら、最近、新規格に基づく防じんマスクが大部分を占めることとなってきた現状にかんがみ、今般、新規格に基づく防じんマスクの選択、使用等の留意事項について下記のとおり定めたので、了知の上、今後の防じんマスクの選択、使用等の適正化を図るための指導等に当たって遺憾なきを期されたい。
 なお、平成8年8月6日付け基発第505号「防じんマスクの選択、使用等について」は、本通達をもって廃止する。
 おって、日本呼吸用保護具工業会会長あてに別添のとおり通知済であるので申し添える。



第1 事業者が留意する事項

1 全体的な留意事項
   事業者は、防じんマスクの選択、使用等に当たって、次に掲げる事項について特に留意すること。

(1) 事業者は、衛生管理者、作業主任者等の労働衛生に関する知識及び経験を有する者のうちから、各作業場ごとに防じんマスクを管理する保護具着用管理責任者を指名し、防じんマスクの適正な選択、着用及び取扱方法について必要な指導を行わせるとともに、防じんマスクの適正な保守管理に当たらせること。

(2) 事業者は、作業に適した防じんマスクを選択し、防じんマスクを着用する労働者に対し、当該防じんマスクの取扱説明書、ガイドブック、パンフレット等(以下「取扱説明書等」という。)に基づき、防じんマスクの適正な装着方法、使用方法及び顔面と面体の密着性の確認方法について十分な教育や訓練を行うこと。

 

2 防じんマスクの選択に当たっての留意事項
  防じんマスクの選択に当たっては、次の事項に留意すること。

(1) 防じんマスクは、機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)第14条の規定に基づき面体及びろ過材ごと(使い捨て式防じんマスクにあっては面体ごと)に付されている型式検定合格標章により型式検定合格品であることを確認すること。

(2) 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第592条の5、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。以下「鉛則」という。)第58条、特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)第43条、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)第38条及び粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)第27条のほか労働安全衛生法令に定める呼吸用保護具のうち防じんマスクについては、粉じん等の種類及び作業内容に応じ、別紙の表に示す防じんマスクの規格第1条第3項に定める性能を有するものであること。

(3) 次の事項について留意の上、防じんマスクの性能が記載されている取扱説明書等を参考に、それぞれの作業に適した防じんマスクを選ぶこと。

ア 粉じん等の種類及び作業内容の区分並びにオイルミスト等の混在の有無の区分のうち、複数の性能の防じんマスクを使用させることが可能な区分であっても、作業環境中の粉じん等の種類、作業内容、粉じん等の発散状況、作業時のばく露の危険性の程度等を考慮した上で、適切な区分の防じんマスクを選ぶこと。高濃度ばく露のおそれがあると認められるときは、できるだけ粉じん捕集効率が高く、かつ、排気弁の動的漏れ率が低いものを選ぶこと。さらに、顔面とマスクの面体の高い密着性が要求される有害性の高い物質を取り扱う作業については、取替え式の防じんマスクを選ぶこと。

イ 粉じん等の種類及び作業内容の区分並びにオイルミスト等の混在の有無の区分のうち、複数の性能の防じんマスクを使用させることが可能な区分については、作業内容、作業強度等を考慮し、防じんマスクの重量、吸気抵抗、排気抵抗等が当該作業に適したものを選ぶこと。具体的には、吸気抵抗及び排気抵抗が低いほど呼吸が楽にできることから、作業強度が強い場合にあっては、吸気抵抗及び排気抵抗ができるだけ低いものを選ぶこと。

ウ ろ過材を有効に使用することのできる時間は、作業環境中の粉じん等の種類、粒径、発散状況及び濃度に影響を受けるため、これらの要因を考慮して選択すること。
  吸気抵抗上昇値が高いものほど目詰まりが早く、より短時間で息苦しくなることから、有効に使用することのできる時間は短くなること。
  また、防じんマスクは一般に粉じん等を捕集するに従って吸気抵抗が高くなるが、RS1、RS2、RS3、DS1、DS2又はDS3の防じんマスクでは、オイルミスト等が堆積した場合に吸気抵抗が変化せずに急激に粒子捕集効率が低下するもの、また、RL1、RL2、RL3、DL1、DL2又はDL3の防じんマスクでも多量のオイルミスト等の堆積により粒子捕集効率が低下するものがあるので、吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないこと。

(4) 防じんマスクの顔面への密着性の確認

  粒子捕集効率の高い防じんマスクであっても、着用者の顔面と防じんマスクの面体との密着が十分でなく漏れがあると、粉じんの吸入を防ぐ効果が低下するため、防じんマスクの面体は、着用者の顔面に合った形状及び寸法の接顔部を有するものを選択すること。特に、ろ過材の粒子捕集効率が高くなるほど、粉じんの吸入を防ぐ効果を上げるためには、密着性を確保する必要があること。そのため、以下の方法又はこれと同等以上の方法により、各着用者に顔面への密着性の良否を確認させること。
   なお、大気中の粉じん、塩化ナトリウムエアロゾル、サッカリンエアロゾル等を用いて密着性の良否を確認する機器もあるので、これらを可能な限り利用し、良好な密着性を確保すること。
ア 取替え式防じんマスクの場合
  作業時に着用する場合と同じように、防じんマスクを着用させる。なお、保護帽、保護眼鏡等の着用が必要な作業にあっては、保護帽、保護眼鏡等も同時に着用させる。その後、いずれかの方法により密着性を確認させること。
 (ア) 陰圧法
   防じんマスクの面体を顔面に押しつけないように、フィットチェッカー等を用いて吸気口をふさぐ。息を吸って、防じんマスクの面体と顔面との隙間から空気が面体内に漏れ込まず、面体が顔面に吸いつけられるかどうかを確認する。
 (イ) 陽圧法
   防じんマスクの面体を顔面に押しつけないように、フィットチェッカー等を用いて排気口をふさぐ。息を吐いて、空気が面体内から流出せず、面体内に呼気が滞留することによって面体が膨張するかどうかを確認する。

イ 使い捨て式防じんマスクの場合
  使い捨て式防じんマスクの取扱説明書等に記載されている漏れ率のデータを参考とし、個々の着用者に合った大きさ、形状のものを選択すること。

3 防じんマスクの使用に当たっての留意事項
   防じんマスクの使用に当たっては、次の事項に留意すること。

(1) 防じんマスクは、酸素濃度18%未満の場所では使用してはならないこと。このような場所では給気式呼吸用保護具を使用させること。
   また、防じんマスク(防臭の機能を有しているものを含む。)は、有害なガスが存在する場所においては使用させてはならないこと。このような場所では防毒マスク又は給気式呼吸用保護具を使用させること。

(2) 防じんマスクを適正に使用するため、防じんマスクを着用する前には、その都度、着用者に次の事項について点検を行わせること。

  ア 吸気弁、面体、排気弁、しめひも等に破損、き裂又は著しい変形がないこと。
  イ 吸気弁、排気弁及び弁座に粉じん等が付着していないこと。
    なお、排気弁に粉じん等が付着している場合には、相当の漏れ込みが考えられるので、陰圧法により密着性、排気弁の気密性等を十分に確認すること。
  ウ 吸気弁及び排気弁が弁座に適切に固定され、排気弁の気密性が保たれていること。
  エ ろ過材が適切に取り付けられていること。
  オ ろ過材が破損したり、穴が開いていないこと。
  カ ろ過材から異臭が出ていないこと。
  キ 予備の防じんマスク及びろ過材を用意していること。

(3) 防じんマスクを適正に使用させるため、顔面と面体の接顔部の位置、しめひもの位置及び締め方等を適切にさせること。また、しめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定させること。

(4) 着用後、防じんマスクの内部への空気の漏れ込みがないことをフィットチェッカー等を用いて確認させること。
   なお、取替え式防じんマスクに係る密着性の確認方法は、上記2の(4)のアに記載したいずれかの方法によること。

(5) 次のような防じんマスクの着用は、粉じん等が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むおそれがあるため、行わせないこと。

  ア タオル等を当てた上から防じんマスクを使用すること。
  イ 面体の接顔部に「接顔メリヤス」等を使用すること。ただし、防じんマスクの着用により皮膚に
   湿しん等を起こすおそれがある場合で、かつ、面体と顔面との密着性が良好であるときは、この限りでないこと。
  ウ 着用者のひげ、もみあげ、前髪等が面体の接顔部と顔面の間に入り込んだり、排気弁の作動を妨害するような状態で防じんマスクを使用すること。

(6) 防じんマスクの使用中に息苦しさを感じた場合には、ろ過材を交換すること。
   なお、使い捨て式防じんマスクにあっては、当該マスクに表示されている使用限度時間に達した場合又は使用限度時間内であっても、息苦しさを感じたり、著しい型くずれを生じた場合には廃棄すること。

4 防じんマスクの保守管理上の留意事項
  防じんマスクの保守管理に当たっては、次の事項に留意すること。

(1) 予備の防じんマスク、ろ過材その他の部品を常時備え付け、適時交換して使用できるようにすること。

(2) 防じんマスクを常に有効かつ清潔に保持するため、使用後は粉じん等及び湿気の少ない場所で、吸気弁、面体、排気弁、しめひも等の破損、き裂、変形等の状況及びろ過材の固定不良、破損等の状況を点検するとともに、防じんマスクの各部について次の方法により手入れを行うこと。ただし、取扱説明書等に特別な手入れ方法が記載されている場合は、その方法に従うこと。

 ア 吸気弁、面体、排気弁、しめひも等については、乾燥した布片又は軽く水で湿らせた布片で、付着した粉じん、汗等を取り除くこと。
   また、汚れの著しいときは、ろ過材を取り外した上で面体を中性洗剤等により水洗すること。
 イ ろ過材については、よく乾燥させ、ろ過材上に付着した粉じん等が飛散しない程度に軽くたたいて粉じん等を払い落すこと。
   ただし、ひ素、クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ過材については、1回使用するごとに廃棄すること。
   なお、ろ過材上に付着した粉じん等を圧搾空気等で吹き飛ばしたり、ろ過材を強くたたくなどの方法によるろ過材の手入れは、ろ過材を破損させるほか、粉じん等を再飛散させることとなるので行わないこと。
   また、ろ過材には水洗して再使用できるものと、水洗すると性能が低下したり破損したりするものがあるので、取扱説明書等の記載内容を確認し、水洗が可能な旨の記載のあるもの以外は水洗してはならないこと。
 ウ 取扱説明書等に記載されている防じんマスクの性能は、ろ過材が新品の場合のものであり、一度使用したろ過材を手入れして再使用(水洗して再使用することを含む。)する場合は、新品時より粒子捕集効率が低下していないこと及び吸気抵抗が上昇していないことを確認して使用すること。

(3) 次のいずれかに該当する場合には、防じんマスクの部品を交換し、又は防じんマスクを廃棄すること。

 ア ろ過材について、破損した場合、穴が開いた場合又は著しい変形を生じた場合
 イ 吸気弁、面体、排気弁等について、破損、き裂若しくは著しい変形を生じた場合又は粘着性が認められた場合
 ウ しめひもについて、破損した場合又は弾性が失われ、伸縮不良の状態が認められた場合
 エ 使い捨て式防じんマスクにあっては、使用限度時間に達した場合又は使用限度時間内であっても、作業に支障をきたすような息苦しさを感じたり著しい型くずれを生じた場合

(4) 点検後、直射日光の当たらない、湿気の少ない清潔な場所に専用の保管場所を設け、管理状況が容易に確認できるように保管すること。なお、保管に当たっては、積み重ね、折り曲げ等により面体、連結管、しめひも等について、き裂、変形等の異常を生じないようにすること。

(5) 使用済みのろ過材及び使い捨て式防じんマスクは、付着した粉じん等が再飛散しないように容器又は袋に詰めた状態で廃棄すること。

 

第2 製造者等が留意する事項
  防じんマスクの製造者等は、次の事項を実施するよう努めること。

1 防じんマスクの販売に際し、事業者等に対し、防じんマスクの選択、使用等に関する情報の提供及びその具体的な指導をすること。

2 防じんマスクの選択、使用等について、不適切な状態を把握した場合には、これを是正するように、事業者等に対し、指導すること。







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防じんマスク規格


労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、防じんマスクの規格を次のように定める。

(防じんマスク等の種類)
第一条 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十三条第五号に掲げる防じんマスク(以下「防じんマスク」という。)は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。(表)

種 類

形 状

取替え式防じんマスク

隔離式防じんマスク

ろ過材、連結管、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を連結管を通して吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの

直結式防じんマスク

ろ過材、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの

使い捨て式防じんマスク

一体となつたろ過材及び面体並びにしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を吸入し、呼気はろ過材(排気弁を有するものにあつては排気弁を含む。)から外気中に排出するもの


2 防じんマスクの面体は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同装の上欄に掲げる種類に区分するものとする。

種 類

形 状

全面形

顔面全体を覆うもの

半面形

鼻及び口辺のみを覆うもの


3 防じんマスクは、その性能により、取替え式防じんマスクにあってはRS一、RS二、RS三、RL一、RL二及びRL三に、使い捨て式防じんマスクにあってはDS一、DS二、DS三、DL一、DL二及びDL三に区分するものとする。

(材料)
第二条 防じんマスクの各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 顔面に密着する部分については、皮膚に障害を与えないものであること。
二 ろ過材については、人体に障害を与えないものであること。
三 通常の取扱いにおいて、き裂、変形その他の異常を生じないものであること。

(強度に係る試験)
第三条 防じんマスクの各部は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、同表の中欄に掲げる試験方法による試験を行つた場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

区 分

試 験 方 法

条 件

しめひも取付部分及びしめひも

(引張試験)
しめひも取付部分及びしめひもごとに、全面形の面体を有する取替え式防じんマスクにあつては五〇ニュートン、半面形の面体を有する取替え式防じんマスクにあつては二五ニュートン、使い捨て式防じんマスクにあつては十ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。

いずれも破断又は離脱しないこと。

隔離式防じんマスクの連結管取付部分及び連結管

(引張試験)
連結管取付部分及び連結管に、九八ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。

破断又は離脱しないこと。

(構造)
第四条 防じんマスクの構造は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 容易に破損しないものであること。
二 装着が簡単で、装着したときに異常な圧迫感又は苦痛を与えないものであること。
三 死積が著しく大きいものでないこと。
四 着用者の視野を著しく防げるものでないこと。
五 全面形の面体を有するものにあつては、呼気によりアイピースが曇らないものであること。
六 取替え式防じんマスクにあつては、ろ過材、吸気弁、排気弁及びしめひもが容易に取り替えることができ、かつ、着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を随時容易に検査できるものであること。
七 使い捨て式防じんマスクにあつては、一体となつたろ過材及び面体が使用限度時間中に型くずれをしないものであること。
八 使い捨て式防じんマスクにあつては、漏れ率及びぬれ抵抗値が著しく大きいものでないこと。
九 使い捨て式防じんマスクであつて、ろ過材を成形して面体とするものにあつては、ろ過材を顔面に適合するように成形すること。

(構造)
第五条 防じんマスクの各部の構造は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

区 分

条 件

吸気弁

通常の呼吸に対して、鋭敏に作動すること。

排気弁

一 通常の呼吸に対して、弁及び弁座の乾湿の状態にかかわらず、確実に、かつ、鋭敏に作動すること。

二 内部と外部の圧力が平衡している場合に、面体の向きにかかわらず、閉鎖状態を保つこと。

三 外力による損傷が生じないように覆い等により保護されていること。

しめひも

一 適当な長さ及び弾力性を有すること。
二 長さを容易に調節することができること。ただし、使い捨て式防じんマスクにあっては、顔面への密着性が保持できるときには、この限りでない。

連結管

一 適度な伸縮性を有し、種々の状態に曲げても通気に支障が生じないこと。

二 あご、腕等による圧迫があつた場合でも通気に支障が生じないこと。

三 首の運動に支障が生じないような長さであること。

(性能に係る試験)
第六条 防じんマスクの性能は、次の表の上欄に掲げる試験方法による試験を行つた場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。
試験方法  
(粒子捕集効率試験)
次の各号に掲げる試験粒子の種類に応じて、試験粒子の濃度を測定し、次の式により粒子捕集効率を算定する。なお、粒径分布の中央値については、粒子数を基準にした中央値とする。
粒子捕集効率
(パーセント)
通過前の試験粒子の濃度 −
(ミリグラム毎立方メートル)  
通過後の試験粒子の試験粒子の濃度
   (ミリグラム毎立方メートル)   
× 100
通過前の試験粒子の濃度
(ミリグラム毎立方メートル)

一  試験粒子が塩化ナトリウムの場合
 粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスクの内側へ、塩化ナトリウム含有空気(塩化ナトリウムの粒径分布の中央値が〇・〇六マイクロメートル以上〇・一マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・八以下であって、かつ、塩化ナトリウムの濃度が一立方メートル当たり五〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう、以下同じ。)を毎分八五リットルの流量で通じ、ろ過材に供給される塩化ナトリウムが一〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、防じんマスク通過前及び通過後の塩化ナトリウムの濃度を散乱光方式による塩化ナトリウム濃度測定器により連続的に測定する。
一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合
粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。
種類 粒子捕集効率
(パーセント)
取替え式防じんマスク RS一 八〇.〇
RS二 九五.〇
RS三 九九.九
使い捨て式防じんマスク DS一 八〇.〇
DS二 九五.〇
DS三 九九.九
二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合
 粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスクの内側へ、フタル酸ジオクチル含有空気(フタル酸ジオクチルのミストの粒径分布の中央値が〇・一五マイクロメートル以上〇・二五マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・六以下であって、かつ、フタル酸ジオクチルの濃度が一立方メートル当たり一〇〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。)を毎分八五リットルの流量で通じ、ろ過材に供給されるフタル酸ジオクチルが二〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、防じんマスク通過前及び通過後のフタル酸ジオクチルの濃度を散乱光方式によるフタル酸ジオクチル濃度測定器により連続的に測走する。
二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合
 粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。
種類 粒子捕集効率
(パーセント)
取替え式防じんマスク RL一 八〇.〇
RL二 九五.〇
RL三 九九.九
使い捨て式防じんマスク DL一 八〇.〇
DL二 九五.〇
DL三 九九.九
(吸気抵抗試験)
通気抵抗試験器に装着した防じんマスクの内側へ空気を毎分四〇リットルの流量で通じた場合における内外の圧力差(以下この表において「吸気抵抗」という。)を測定する。
吸気抵抗が、次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であること。
種類 吸気抵抗
(パスカル)
取替え式防じんマスク RS一及びRL一 七〇
RS二及びRL二 八〇
RS三及びRL三 一六〇
使い捨て式防じんマスク DS一及びDL一 六〇
ただし、排気弁を有しないものにあっては四五
DS二及びDL二 七〇
ただし、排気弁を有しないものにあっては五〇
DS三及びDL三 一五〇
ただし、排気弁を有しないものにあっては一〇〇
(排気抵抗試験)
通気抵抗試験器に装着した防じんマスクの外側へ空気を毎分四〇リットルの流量で通じた場合における内外の圧力差(以下この表において「排気抵抗」という。)を測定する。
排気抵抗が、次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であること。
種類 吸気抵抗
(パスカル)
取替え式防じんマスク RS一及びRL一 七〇
RS二及びRL二 七〇
RS三及びRL三 八〇
使い捨て式防じんマスク DS一及びDL一 六〇
ただし、排気弁を有しないものにあっては四五
DS二及びDL二 七〇
ただし、排気弁を有しないものにあっては五〇
DS三及びDL三 八〇
ただし、排気弁を有しないものにあっては一〇〇
(排気弁の作動気密試験)(排気弁を有する防じんマスクに限る。)
気密試験器に排気弁を装着し、空気を毎分一リットルの流量で吸引して排気弁の閉鎖による内部の減圧状態を調べ、次に内部の圧力を外部の圧力より一四七〇パスカル低下させて放置し、内部の圧力が常圧に戻るまでの時間を測定する。この場合において、気密試験器の内容積は、五〇立方センチメートルとする。
一 空気を吸引した場合に直ちに内部が減圧すること。
二 内部の圧力が常圧に戻るまでの時間が一五秒以上であること。
(二酸化炭素濃度上昇値試験)
摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、次の図に示す寸法の試験用人頭(以下「試験用人頭」という。)の顔面部に防じんマスクを装着した状態及び装着しない状熊で、人工肺により一回当たり二・〇リットルプラスマイナス〇・一リットルの正弦波形の空気(呼気における空気にあっては、二酸化炭素の濃度が五・〇パーセントのものとする。)を毎分一五回、試験用人頭を通じて吸排気させながら、二酸化炭素濃度測
定器により吸気における二酸化炭素の濃度(以下この表において「二酸化炭素濃度」という。)が一定となるまで測定する。
試験用人頭図(単位ミリメートル)
(省略)
防じんマスクを装着した状態における二酸化炭素濃度と防じんマスクを装着しない状態における二酸化炭素濃度の差が、一・〇パーセント以下の値であること。

(表示等)
第七条 防じんマスクは、見やすい箇所に次に定める事項が表示されているものでなければならない。
一 製造者名
二 製造年月
三 型式の名称
四 使用限度時間(使い捨て式防じんマスクに限る。)
2 防じんマスクは、譲渡又は貸与される場合には、次に掲げる事項を記載した印刷物が添付されたものでなければならない。
一 使用の範囲
二 使用上の注意事項
三 吸気抵抗上昇値
四 漏れ率(使い捨て式防じんマスクに限る。)
五 ぬれ抵抗値(使い捨て式防じんマスクに限る。)
六 着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を容易に検査する方法
3 前項の吸気抵抗上昇値、漏れ率及びぬれ抵抗値は、それぞれの次の各号に定める方法により測定するものとする。ただし、厚生労働省労働基準局長が認める方法によるときは、この限りでない。
一 吸気抵抗上昇値
粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスクの内側へ塩化ナトリウム含有空気を通じ、防じんマスクに塩化ナトリウムが一〇〇ミリグラム捕集された時の内外の圧力差を毎分四〇リットルの流量で測定する。
二 漏れ率
塩化ナトリウムエアロゾル含有空気(塩化ナトリウムエアロゾルの数量中位径が約〇・五マイクロメートルであつて、かつ、濃度が一立方メートル当たり一〇ミリグラムプラスマイナス二ミリグラムのものをいう。以下この号において同じ。)中において次の表の上欄に掲げる唇の幅及び同表の中欄に掲げる鼻根おとがい距離に応じて、それぞれ、同表の下欄に掲げる人数の被験者に使い捨て式防じんマスクを装着させて毎分一〇回の呼吸を三分間行わせ各人の使い捨て式防じんマスクの死積内の塩化ナトリウム濃度を測定するとともに、塩化ナトリウムエアロゾル含有空気中の塩化ナトリウム濃度を測定し、次の式により漏れ率を算定する。

漏 れ 率
(パーセント)

試験時間中の死積内の塩化ナトリウム濃度の平均値 ×2
(ミリグラム毎立方メートル)

 ×100

塩化ナトリウムエアロゾル含有空気中の塩化ナトリウム濃度
(ミリグラム毎立方メートル)

唇の幅
(単位 センチメートル)

鼻根おとがい距離
(単位 センチメートル)

人数

三・五以上 四・五未満

一〇・五以上 一一・五未満

三・五以上 四・五未満

一一・五以上 一二・五未満

三・五以上 四・五未満

一二・五以上 一三・五未満

四・五以上 五・五未満

一〇・五以上 一一・五未満

四・五以上 五・五未満

一一・五以上 一二・五未満

四・五以上 五・五未満

一二・五以上 一三・五未満

四・五以上 五・五未満

一三・五以上 一四・五未満

五・五以上 六・五未満

一一・五以上 一二・五未満

五・五以上 六・五未満

一二・五以上 一三・五未満

五・五以上 六・五未満

一三・五以上 一四・五未満


三 ぬれ抵抗値
摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、寸法の試験用人頭の顔面部に装着した使い捨て式防じんマスクに水蒸気で飽和した摂氏四〇度の空気を毎分三〇リットルの流量で十分間通じた後、使い捨て式防じんマスクの内外の圧力差を測定する 。

(適用除外)
第八条 特殊な材料、構造若しくは性能の防じんマスク又は特殊な場所で用いられる防じんマスクであつて、第一条から第六条までの規定を適用することが適当でないものについて、厚生労働省労働基準局長 がこの規格に適合する防じんマスクと同等以上の効力があると認めた場合は、この告示の関係規定は、適用しない。

附 則
1 この告示は、昭和六十三年四月一日から適用する。
2 防じんマスクの規格(昭和五十八年労働省告示第八十四号)は、廃止する。
3 昭和六十三年四月一日前の申請に係る防じんマスクに型式についての労働安全衛生法第四十四条の二第一項又は第二項の検定の基準となる機械等検定規則(昭和四十七年労働省令第四十五号)第八条第一項第一号の規格については、なお従前の例による。

附 則(平九・一○・一 労働省告示第一二○号)
1 この告示は、公布の日から適用する。ただし、第三条の改正規定並びに第六条の表吸気抵抗試験の項及び排気抵抗試験の項の改正規定は、平成十年一月一日から適用する。
2 平成十年一月一日前の申請に係る防じんマスクに対する第三条並びに第六条の表吸気抵抗試験の項及び排気抵抗試験の項の規定の適用については、なお従前の例による。

附 則(平一二・九・一一 労働省告示第八八号)
1 この告示は、平成十二年十一月十五日から適用する。
2 平成十二年十一月十五日前の申請に係る防じんマスク又は防毒マスクの型式についての労働安全衛生法第四十四条の二の検定の基準となる規格については、なお従前の例による。

 

 

附 則 (平成一二・一二・二五 労働省告示第百二十号)
(適用期日)
第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年 一月六日)から適用する。
(経過措置)
第二 検査員等の資格等に関する規程第六条第一項及び第六条の二、平成四年労働省告示第十二号第三号 並びに平成四年労働省告示第十三号第三号の規定の適用については、この告示の適用前に労働省におい てこれらの規定に規定する業務又は職務に従事した経験又は期間は、それぞれ厚生労働省においてこれ らの規定に規定する業務又は職務に従事した経験又は期間ととみなす。
第三 この告示による改正前の昭和三十五年労働省告示第十号様式第三十六号の適用事業場臨検証及び様式第三十七号の診療録検査証並びに昭和五十一年労働省告示第百十二号様式第十一号の立入検査証明書は、当分の間、それぞれ改正後の昭和三十五年労働省告示第十号様式第三十六号の適用事業場臨検証及び第三十七号の診療録検査証並びに昭和五十一年労働省告示第百十二号様式第十一号の立入検査証明書とみなす。
第四 この告示の適用の際限に提出されているこの告示による改正前のそれぞれの告示に定める様式による申請書等は、この告示による改正前後のそれぞれの告示に定める相当様式による申請書等とみなす。
第五 この告示の適用の際、現に存するこの告示による改正前のそれぞれの告示に定める様式による申請書等の用紙は、当分の間、必要な改定をした上、使用することができる。