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[資料番号] 00004
[題  名] 40時間労働制移行に向けての建設業界が取り組むべき行動計画(全文)
[区  分] 労働時間

[内  容]
週所定労働時間40時間制移行に向けての建設業界が取り組むべき行動計画(全文)
平成9年2月20日
建設生産システム合理化推進協議会


 建設業における労働時間については、これまでも、本協議会において、平成3年度に4週6休制の導入を図ることを申し合わせたことなどを通じて、労働時間の短縮が進められてきたところであるが、平成9年度からは、労働基準法に基づき、建設業においてもすべての事業所て所定労働時間週40時間が適用されることとされており、その円滑な移行が求められているところである。
 このため、建設生産システム合理化推進協議会は、総合工事業と専門工事業とが協力し、建設業界を挙げて労働時間短縮に取り組むための行動計画を、以下のとおり、申し合わせるものとする。

1.労働時間・週休設定上の対応

 週の所定労働時間は、平成9年4月より、40時間とされているところであるが、これを実現する方法としては、完全週休2日制による対応に加え、1日の労働時間を縮減する方法や労働基準法第32条の4に規定される1年単位の変形労働時間制度を活用することなど様々な対応が可能である。こうした点を踏まえ、1日の所定労働時間と週休の設定においては、建設現場の就労の実態を踏まえて適切に行うこと。
 なお、週所定労働時間40時間への円滑な移行を図るため、変形労働時間制に関しては、休日の振替の弾力化、積雪地域における1週間の労働時間の上限の緩和が行われることとされており、その活用に留意すること。

2.総合工事業書において講ずべき条件整備

 1の実施に伴い、総合工事業者は、次の措置を講ずるものとする。
(1)工事の受注に当たっては、着工準備期間、検査・試運転期間、悪天候による不稼働日等に十分配慮しつつ、週所定労働時間40時間を前提とした施工可能な工期を確保するとともに、見積りを適正に行い、受注すること。
(2)工事の発注に当たっては、当該工事の作業特性を踏まえ、着工準備期間、検査・試運転期間、悪天候による不稼働日等に十分配慮しつつ、週所定労働時間40時間を前提として専門工事業者が施工可能な工期及ぴ請負金額を確保すること。特に専門工事業者の施工能力等を踏まえ、専門工事業者の必要な休日の確保に支障をきたすことのないように努めること。
(3)工事の発注に当たっては、関係専門工事業者に対し、全体及ぴ業種ごとの工期・工程についてあらかじめ十分な説明を行うとともに、天候の変化や資機材の調達状況等に応じて、低いコストと出来る限り短い労働時間で工事を完成させるための工事方法、工事手順、人員、資機材の配置等に係る調整や工期・工程の適切な変更を行い、合理的な休日と1週間の労働時間を設定するための現場における十分な意志疎通、協議調整を行うための場(以下「時短協議会(仮称)」という。)を整備すること。この協議調整等の場を通じて、関係専門工事業者の労働時間の設定、工程、工事手順の状況を把握し、的確な現場施工体制の構築と適切な工事計画の策定などを通じて、その効率的施工の実現に協力し、関係専門工事業者における労働時間の延長を招かないよう努めること。
(4)工事の機械化、工場生産化、新技術・新工法の開発、導入を図るとともに、工程の合理化、効率化等を図ることにより、工事の施工期間の延伸とコストの増嵩を出来る限り抑えること。また、時短協議会を通じた工程の合理化、効率化に資する関係専門工事業者からの優れた提案については、積極的に採用するよう努めること。
(5)工事着工後において工事計画に変更を生ずることのないよう、正確な工事計画を策定するとともに、これに基づき、的確な工程管理を実施すること。また、悪天候による不稼働日の予期せざる増加等により、止むを得ず工期の遵守が困難となった場合には、関係専門工事業者に対し、工期等について適切な契約変更を行うとともに、必要に応じ、全体工期等について同様の契約変更に努めること。
(6)専門工事業者の労働時間短縮の状況等を的確に評価し、受注業者の選定に反映させること。
(7)1の1週間の労働時間と休日(変形労働時間制を導入している場合はその内容)については、就業規則等に明示するとともに、現場責任者等へ(1)から(6)までの事項の趣旨の徹底を図り、関係専門工事業者との協力体制の強化等、現場における推進体制を整備すること。

3.専門工事業者において講ずべき条件整備

 1の実施に伴い、専門工事業者は、次の措置を講ずるものとする。
(1)自ら使用する労働者について、週40時間労働時間制の下においても、従前の収入水準の確保に努めるとともに、その業務実態を勘案し、賃金形態の改善等による収入・雇用の安定に努めること。
(2)工事の受注に当たっては、着工準備期間、検査・試運転期間、悪示候による不稼働日等に十分配慮しつつ、週所定労働時間40時間を前提とした施工可能な工期を確保するとともに、見積りを適正に行い、受注すること。
(3)工事の受注に当たっては、時短協議会の協議調整の場に参画し、自ら分担する工事の工期、工程、施工方法、作業手順、人員、資機材の配置、休日と労働時間の設定等について積極的に提案を行い、十分な協議調整を図ること。
(4)時短協議会を通じた施工方法、施工上の工夫、段取り等の提案の活用等を通じて、作業効率、作業密度の向上を図るとともに、工事の機械化、工場生産化等を推進することにより、生産性を高め、工事の施工期間の延伸とコストの増嵩を出来る限り抑えること。
(5)複数の業種の専門工事業者が生産活動に参画する場合においては、相互の休日や労働時間の状況、工程の進行状況等を十分理解し、専門工事業者相互間の円滑な調整等を通じて業種ごとの工程、作業方法、作業手順等を決定し、全体として効率的な工程の進行を図ること。このため、業種相互の意志疎通、協議調整の場である職長会等の活用を図ること。
(6)工事の施工に当たっては、自らの工程について的確な管理を行い、工期を遵守すること。また、悪天候による不稼働日の予期せざる増加等により、やむを得ず工期の遵守が困難となった場合には、関係総合工事業者に対し、工期等について適切な契約変更を求めること。
(7)1の1週間の労働時間と休日(変形労働時間制を導入している場合はその内容)については、就業規則等に明示するとともに、現場責任者等へ本行動計画の事項の趣旨の徹底を図り、関係総合工事業者との協力体制の強化等、現場における推進体制を整備すること。

4.建設業において時間短縮に取り組む上での実施体制
 
 関係する建設業団体は、1から3までの事項を踏まえ、次の措置を講ずるものとする。
(1)1から3までの事項について、速やかに実施に向げて団体としての行動計画の実施に関する申し合わせ等を行うこと。また、申し合わせ等を傘下会員に周知徹底すること。
(2)(1)の申し合わせ事項等について、マスコミ等を通じ公表するとともに、各種の機会をとらえ、発注者、設計者等を含めた国民各階層に対する積極的PRに努めること。
(3)中央及ぴ地方組織において週40時間労働制推進体制を整備すること。また、地方建設生産システム合理化推進協議会等を通じ他団体と密接な連携を図りつつ、地方における他団体との申し合わせ、協定の締結等を促進するとともに、実施状況を的確に把握し、必要に応じ、協力要請を行う等、適切な指導を行うこと。
(4)労働時間短縮の状況について、定期に調査を行い、その結果を本協議会に報告すること。
(5)本協議会は、(4)の内容を踏まえ、必要に応じ、本行動計画の見直しの検討を行うこと。

5.その他

 建設業者の休日、労働時間の設定、工事の段取りの方法については、資材業者など関連する事業者への影響も大きいことから、事前にその内容の十分な周知を行う等地の事業者の活動に支障をきたすことのないよう十分配慮するものとする。