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[資料番号] 00042
[題  名] インターネット労働市場整備研究会中間報告の概要
[区  分] その他

[内  容]

インターネット労働市場整備研究会中間報告の概要


【資料のワンポイント解説】

1 インターネット情報の中で、求人・求職情報はよく利用されているものの一つ。この分野に、いよいよ、公共職業安定所が進出(?)する。
2 この報告は、インターネット労働市場整備研究会(座長、佐藤博樹東京大学社会科学研究所教授)の中間報告書の概要である。
3 一般閲覧者には「個別名は提供しない」(この点について、相場観がリアルタイムに解っていいと評価されるのか、所詮、求人情報としては限界があると評価されるのか、、。)が、安定所職員との面談を経た求職登録者にはパスワードを発行し、詳細情報を提供していくという点に特徴があるようだ。








1 高度情報通信技術を活用した諸課題への対応と必要性

 我が国の産業構造の転換、今後の少子・高齢化の進展、職業意識の多様化など労働市場をめぐる環境変化が進展する中、職業安定行政が抱える様々な諸課題に的確に対応していくため、急速な進展を遂げている高度情報通信技術、特にインターネット技術の活用が考えられる。
 インターネット等高度情報通信技術を活用した多様な求職者等への雇用情報の提供は、安定行政の抱える課題の対応の基盤をなし、迅速、公正な職業安定業務の確立のための一手段と考えられる。
 しかし、職業安定業務においては、コンピュータに置き換えられない、職員による対面サービス(いわゆる「ひと」の要素)が重要な部分となり、職業安定業務に高度情報通信技術を導入するに当たっては、コンピュータシステムと「ひと」による相談のベストミックスを図っていく必要がある。
 また、インターネット技術の活用に当たっては、職業紹介等の過程で取り扱われる個人的な情報には守秘義務が課せられていることなどから、個人情報の保護という社会的なニーズへの配慮も怠ってはならない。



2 高度情報通信技術を活用した職業安定行政の展開

(1)インターネットを活用した情報提供の考え方

 職業安定行政の諸課題への一定の対応策として、かつ、公共職業安定所における職業紹介機能を補助するものとしてインターネットを活用し、公共職業安定所の持つ各種雇用関係情報を一般の求人者、求職者等へ広く提供する機能を充実させることは「情報提供サービス」を今後の我が国職業安定行政の重要な手法のひとつとして積極的に位置づけていくきっかけとなるものである。また、この機能は、これまで公共職業安定機関が対象としてきた求人者や求職者以外の者にも利用されていくものと考えられるそのため、この機能の在り方としては、一般的な公共職業安定所求人等の情報、国内、地域内の経済・雇用失業情勢、クリアリングサービス、イベントの案内などの情報を提供するものとなることが必要である。
 これによって利用者は、二十四時間、自宅でもこのサービスを利用し、安定所来所前の情報把握が可能となり、労働市場の相場観を醸成することができ、労働条件面のある程度の事前選択の機会が確保されうる。またこのことは、求職者の所内での円滑な求職登録、職業相談につながることが期待される。さらに、職員は、前段階として個人の嗜好がある程度絞られることから、より効果的な「職業相談、職業紹介サービス」を行うことが可能となる。

 提供する情報については、職員による職業相談過程の深まりを考慮し、一般の安定所未登録者と安定所職員との面談を経た求職登録者で差異を設ける必要性について考えることが必要である。
 例えば、求人の情報の内容については、
ア 未登録者、登録者ともに求人名称等の個を特定できない一般的な求人情報とする。
イ 未登録者には求人名称等の個を特定できない一時的な求人情報を提供するが、十分な相談を経た求職登録者等への個別情報は事前に求人者の了解を得た場合、その求人の名称等を付けた情報を提供するただし、求職登録者については、本人確認を可能とする仕組みを考えておく必要がある。
というような段階が考えられる。
 また、求職者への希望求人についての安定所の紹介状発行は、来所が基本となるが、再来以降については、インターネットの場合においても、通信紹介に準じた取扱いをすることも考えられる。
 こうした考え方については、試行的に情報提供を実施しつつ、さらに検討を進めていく必要がある。


(2)インターネット情報提供システムの試行

 インターネットによる情報提供サービスを実施し、安定所のサービスの一部機能を提供していくためには、安定所の業務とインターネットによる情報提供の関係を整理する一方、実際に利用者に求められている機能は何か、また、提供した機能の利用状況、各機能の利便性などを把握していく必要がある。
 このため、平成十年度から首都圏一部地域をターゲットに試行的に、インターネットによる雇用情報提供を行うこととする。
 試行の内容は、(1)アの考え方に基づき、当面、いくつかの安定所をモデル安定所に選定し、モデル安定所利用者等に職業安定行政が提供している次のような構成の広報誌程度の情報を提供する。

ア 職業情報
 数量的な労働市場の情勢、各種助成金情報、個人が職業能力を高めていくための情報、職業選択に必要な職業の情報、職業適性検査、転職性向などの情報を提供する。

イ 一般的な求人(職)情報
 一覧情報、個別詳細情報の二段階。個別名は提供しない。

 特に、求人情報については、仕事の内容をキーワードで検索する、就業場所を沿線別に検索するなどの機能を実現し、求職者に具体的なイメージが湧きやすい情報提供が行えるよう工夫することとする。
 また、検索に際しては、既に希望が固まっている求職者と未確定の求職者で取扱いに幅をもたせるよう配慮する。