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[資料番号] 00049
[題  名] 安全衛生マネジメントシステムの概要(労働省検討会・検討結果)
[区  分] 安全衛生

[内  容]
【資料のワンポイント解説】

1.労働省が「安全衛生マネジメントシステムについて」の検討経過の概要を発表した。
2.これは平成10年2月に検討会を設けて検討中であったもの。7月末には検討会においてシステム(案)の基本合意が成立していた。労働省内部の検討期間があったのだと思われるが、このほど(10月2日)公表された。
3.今回の労働省発表は「労働安全衛生管理システムの概要」であるが、検討会の「労働安全衛生管理システム(案)」は、それほどページ数のあるものではないので、近く、別号資料として、掲載を予定している。
4.なお、併せて「労働安全衛生管理システムに係る国際的動向」が参考資料として公表されている。





労働省の発表文(H10.10.2、安全衛生部計画課)

労働安全衛生管理システムについて

 労働省では、第9次の労働災害防止計画において、災害発生の潜在的危険性を減少させ、事業場の安全衛生水準を向上させるために、「計画−実施−評価−改善」という一連のプロセスから構成され、連続的、継続的な安全衛生管理の推進が期待される新たな安全衛生管理手法の導入を図ることとしたところである。
 これと相まって、平成10年2月、学識経験者、労働者代表及び使用者代表からなる労働安全衛生管理システム検討会(委員長 北里大学医学部名誉教授 高田勗、委員長代理 筑波大学大学院経営システム科学教授 吉澤正)を中央労働災害防止協会に設けて、「労働安全衛生管理システム」について検討してきたところであるが、今般、その結果が取りまとめられた。
 その概要は、別紙のとおりである。
 労働省では、今後、本検討結果をもとに、関係審議会において議論を深め、すみやかに労働安全衛生管理システムの導入を図っていく考えである。

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  別紙
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1 労働安全衛生管理システムについての基本的な考え方

 本システムは、労働災害の防止を目的とし、安全衛生水準の向上を図るために導入するものであって、具体的な安全衛生対策をより効果的かつ効率的に実施するためのものであり、すべての規模の事業場、すべての業種の事業場を対象とする。
 また、現行の労働安全衛生法等を前提とし、これまでの労働安全衛生法を中心とした体系及び内容を変更するものではない。
 さらに、その性格は、事業者が安全衛生対策を自主的に行うための指針である。
 なお、労使の協議と協力による全員参加の理念を基本とし、その趣旨に反してまで導入されるものでないことから、本システムの導入に当たっては、労働者代表の意見を聞くものである。

2 労働安全衛生管理システムの内容

(1) 労働安全衛生方針の表明
 事業者は、労働安全衛生目標の設定のための労働安全衛生に関する基本的な考え方を表明する。

(2) 危険又は有害な要因の特定から労働安全衛生計画の作成
 事業者は、事業場の危険又は有害な要因を特定するとともに、特定された要因や関係法令等を勘案して実施事項を特定する。
 また、労働安全衛生方針に基づき到達点としての労働安全衛生目標を設定するとともに、実施事項を踏まえ、労働安全衛生目標を達成するための労働安全衛生計画を作成する。
 なお、事業者は、労働安全衛生目標の設定や労働安全衛生計画の作成に当たっては、安全衛生委員会を活用すること等により労働者の意見を反映する。

(3) 実施及び運用等
 事業者は、次の段階として、労働安全衛生計画を適切に実施する。このため、本システムに関係する各級管理者の役割、責任及び権限を明確にするとともに、これらの者に対して責任及び権限を付与する。
 また、労働者に対し本システムに関する必要な教育を実施するとともに、労働安全衛生計画等について、労働者だけでなく構内下請事業者や請負人等の関係者に対しても周知する。この際、労働安全衛生計画の実施に当たって労働者の意見を反映する。
 さらに、本システムに関する事項について文書化するとともに、文書を適切に管理する。
 そのほか、緊急事態の可能性を事前に評価し、これに対応するための手順やこれに起因する危険又は健康障害を防止するための手順を設定する。

(4) 点検、改善、監査等
 事業者は、本システムの実施及び運用について日常的な点検を行い、必要に応じ改善等を行う。
 また、労働災害、事故等を把握するとともに、これらについての問題点の把握や必要な改善を行う。
 さらに、定期的な労働安全衛生管理システム監査の計画を作成し、監査を実施し、必要な改善を行う。
 そのほか、本システムに関し、必要な事項を記録し、その適切な保管及び廃棄を行う。

(5) 見直し
 本システムの妥当性及び有効性を確保するため、監査の結果等を考慮し、一定の頻度で当該事業場の労働安全衛生管理システムを見直し、必要に応じ改善を実施する。

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参考2

労働安全衛生管理システムに係る国際的動向      

1 国際標準化機構(ISO)の動き
○1995年6月 安全衛生管理システムの規格化に向けた検討を開始
○1996年9月 安全衛生管理システムについての国際ワークショップを開催
○1997年1月 「現時点でこれ以上作業を行わない」ことを決定
○1998年6月 TBMで管理システム全体の一般原則について検討を開始することを決定

2 米国の動き
○1982年 米国労働安全衛生庁(OSHA)が自主的安全衛生管理プログラムを開発し、これに係る制度を導入
○1996年 米国労働衛生協会(AIHA)が独自の安全衛生管理システムを開発して、公表
○1998年 米国労働安全衛生庁(OSHA)が労働安全衛生プログラム基準を検討

3 英国の動き
○1991年 英国安全衛生庁(HSE)が「成功する安全衛生管理の指針」(HS(G)65)を公表
○1996年 英国規格協会が安全衛生管理システムに関するBS8800を公表

4 その他
 オランダ、デンマーク、スペイン、イタリア、ノルウェー、オーストラリア等で安全衛生管理システムの規格・ガイドライン化が行われている。


(参考)我が国の動き

○1996年6月 中央労働災害防止協会が安全衛生マネジメントシステム評価基準を策定
○1997年7月 自動車産業経営者連盟が安全衛生マネジメントシステムを策定
○1998年3月 社日本化学工業協会が労働安全衛生管理指針を策定