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[資料番号] 00050
[題  名] 労働安全衛生管理システムに関する基準の骨子(案)
[区  分] 安衛管理

[内  容]

労働安全衛生管理システムに関する基準の骨子(案)




1.目的


 事業者が労働者の協力のもとに、本基準に基づき次の事項を推進することにより、事業場の安全衛生水準の向上を図ること。
(1) 各種の労働安全衛生対策を有機的かつ組織的に実施する仕組みの整備。
(2) 計画、実施、評価及び改善という一連の課程を明確にした連続的かつ継続的な安全衛生管理。
(3) 労働災害発生の潜在的危険性の低減化。

2.適用

(1) 事業者が、危険又は有害な要因等を考慮しながら、自主的に、労働安全衛生方針の表明、労働安全衛生目標の設定、労働安全衛生計画の策定、労働安全衛生計画の実施及び運用、点検、改善、当該事業場の労働安全衛生管理システムの見直し等を内容とする労働安全衛生管理システムを確立しようとする場合に適用すること。
(2) 個別の労働安全衛生対策について定めるものではないこと。

3.定義

<1>労働安全衛生管理システム
 通常、事業場の事業実施に係る全体的な管理システムの一環として存在し、労働安全衛生方針の表明、労働安全衛生目標の設定、労働安全衛生計画の策定、労働安全衛生計画の実施及び運用、点検、改善並びに当該事業場の労働安全衛生管理システムの見直し並びに組織、責任、人材等についての労働安全衛生管理に関する仕組み。

<2>労働安全衛生方針
 労働安全衛生目標の設定のための事業者の労働安全衛生に関する基本的な考え方であって、事業者が表明するもの。

<3>労働安全衛生目標
 労働安全衛生方針に基づく労働安全衛生の到達点で、事業者が自ら設定するもの。

<4>労働安全衛生計画
 事業場における危険又は有害な因子等を踏まえ、労働安全衛生目標を達成するための具体的な労働安全衛生対策<日常的な労働安全衛生活動に関するものを含む。>の実施について定めるもの。

<5>労働安全衛生管理システム監査
 事業場における労働安全衛生管理システムが適切に実施及び運用されているかどうかについて調査し、評価すること。

<6>緊急事態
 労働災害発生の急迫した危険がある事態。


4.労働安全衛生管理システムに関する実施事項

<1>労働安全衛生方針の表明
 次の内容についての労働安全衛生方針の表明。
(1) 労働者の協力を得ながら労働安全衛生対策を適切に実施すること
(2) 継続的改善を実施すること。
(3) 労働安全衛生関係法令及び当該事業場において定めた労働安全衛生に関する規定を順守すること。
(4) 労働安全衛生目標を設定し、必要に応じ見直しを行う枠組みを与えること。
(5) 労働安全衛生計画を文書化するとともに、労働者に周知すること。

<2>危険又は有害な要因の特定から労働安全衛生計画の策定

イ.危険又は有害な要因の特定
 機械・設備、化学物質等の危険又は有害な要因の事前評価等による危険又は有害な要因の特定についての手順の設定及びこれに基づく危険又は有害な要因の特定。

ロ.実施事項の特定
 危険又は有害な要因の特定、関係法令等に基づく実施事項の特定についての手順の設定及びこれに基づく実施事項の特定

ハ.労働安全衛生目標の設定
 労働安全衛生方針に基づく労働安全衛生目標の設定。

二.労働安全衛生計画の策定
(1) 機械・設備、化学物質等の危険又は有害な要因の事前評価等による特定に基づき特定された実施事項を踏まえたものであって、労働安全衛生目標を達成するための労働安全衛生計画の策定。
(2) 危険予知活動等の日常的な労働安全衛生活動を含んだものとすること。

ホ.労働者の意見の反映
 労働安全衛生目標の設定及び労働安全衛生計画策定に当たっての労働者の意見の反映。その際の安全衛生委員会の活用。

<3>実施及び運用等

イ.実施及び運用
(1) 労働安全衛生計画の実施及び運用に関する手順の設定並びにこれに基づく適切かつ継続的な実施及び運用。
(2) 機械、設備、化学物質等を譲渡し、又は提供する場合のその取扱い等についての労働安全衛生に関する手順の設定、譲渡し、又は提供する相手側に対する取扱い等についての必要事項の周知の手順の設定並びにこれに基づく周知。

ロ.体制及び責任
(1) 労働安全衛生管理システムに関する各級管理者の役割、責任及び権限の明確化、これらの文書化並びに関係者への周知。
(2) 労働安全衛生管理システムに関する各級管理者の指名並びにその者に対する役割、責任及び権限の付与。
(3) 労働安全衛生管理システムに係る人材及び予算の配慮。
(4) 安全衛生委員会等の活用。

ハ.教育等
 労働安全衛生管理システムに関する必要な教育等についての手順の設定及びこれに基づく労働者に対する教育等の実施。

二.関係事項の周知等
(1) 労働安全衛生計画の実施及び運用についての労働者のほか構内事業者、請負人等関係者への周知の手順の設定及びこれに基づく周知。
(2) 労働安全衛生計画の実施及び運用に当たっての労働者の意見の反映の手順の設定及びその意見の反映。

ホ.文書化
 労働安全衛生管理システムに関する事項の文書化についての手順の設定及びそれに基づく労働安全衛生管理システムに関する事項の文書化。

へ.文書管理
 労働安全衛生管理システムに関する文書の管理についての手順の設定及びこれに基づく文書の管理。

ト.緊急事態への準備及び対応
 緊急事態の可能性の事前の評価、これに対応するための手順及びこれに起因する危険又は健康障害を防止するための手順の設定並びにこれらについての適切な対応。
<4> 点検、改善、監査等

イ.点検、改善等
(1) 労働安全衛生システムの実施及び運用について日常的な点検、不適合の取り扱い調査、改善、予防についての手順の設定及びこれに基づく点検、不適合の取り扱い調査、改善、予防。
(2) 労働災害、事故等の把握、これらの問題点の把握及び改善についての手順の設定並びにこれに基づく必要な措置の実施。
(3) 次回の労働安全衛生計画の策定に当たってのこれらの結果の反映。

ロ.労働安全衛生管理システム監査
 定期的な労働安全衛生管理システム監査の計画の策定、労働安全衛生管理システム監査のの手順の設定及び実施並びに是正。

ハ.記録
 労働安全衛生管理システムに関する記録、その保管及び廃棄についての手順の設定並びにこれに基づく記録、その保管及び廃棄。

<5>見直し

 労働安全衛生管理システムの妥当性及び有効性を確保するための労働安全衛生管理システム監査の結果等を考慮した一定の頻度での事業者の当該事業場の労働安全衛生管理システムの見直し及び必要に応じた改善の実施。