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12年4月施行(労働省研究会報告)
新たな裁量労働制の在り方
【資料のワンポイント解説】
1.平成12年4月1日施行の「新たな裁量労働制のあり方」に関する労働省の研究会報告の概要である。(平成11年9月2日公表)
2.新たな裁量労働制を、「企画業務型裁量労働制」とし、従来型の「専門業務型裁量労働制」と区別している。
3.労働省は、この研究会報告を9月2日の中央労働基準審議会に提出・報告したが、今後(この秋にむけて)、同審議会での審議を通じて、省令、指針の作成に向けた検討が行われる。
3.報告書は、対象を企業本社だけでなく、「企業(法人)の事業運営上の重要な決定を行う権限を分掌する事業本部や地域本社、地域を統轄する支社・支店等のように本社に準ずるもの」と範囲を広く設定しており、制度運用上の問題点の一つとなりそうだ。
4.一方、報告書は、裁量労働制の対象者について、使用者の労働時間の把握義務を明確に打ち出した。
この点について、報告書は、次のように指摘した。
『 企画業務型裁量労働制においては、業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだね、使用者が具体的な指示をしないこととなるが、このために使用者について、労働者の生命、身体及び健康を危険から保護すべき義務(安全配慮義務)がなくなるわけでないことは、専門業務型裁量労働制の場合と同様と考えられる。
したがって、使用者は、こうした業務を履行する観点からも、対象労働者の労働時間の状況や健康状態を把握し、その健康及び福祉を確保するための措置を講ずることが必要である。 』
5.乱用も懸念される裁量労働制に関して、健康と福祉の確保という間接的なアプローチであるにせよ、使用者の労働時間把握義務を明確にしたことは、重要な意義を持つ。(わが国の現状から企業の中枢業務を担うホワイトカラー労働に対して、労使委員会の内部チェック機能がどの程度働くかは疑問のあるところだが、多くの労働者が、監督機関の存在と役割を最後のよりどころとすることができるだろう。)
報告書全文は、追って掲載予定!
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@ 経営企画を担当する部署における業務のうち、 ・経営状態・経営環境等について調査・分析し、経営計画を策定する業務 ・現行の社内組織の問題点やその在り方等について調査・分析し、新たな社内組織を編成する業務 A 人事・労務を担当する部署における業務のうち、 ・現行の人事制度の問題点やその在り方等について調査・分析し、新たな人事制度を策定する業務 ・業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査・分析し、社員の教育・研修計画を策定する業務 B 財務・経理を担当する部署における業務のうち、 ・財務状態等について調査・分析し、財務計画を策定する業務 C 広報を担当する部署における業務のうち、 ・効果的な広報手法等について調査・分析し、広報を企画する業務 D 営業に関する企画を担当する部署における業務のうち、 ・営業成績や営業活動上の問題点等について調査・分析し、企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業計画を策定する業務 E 生産に関する企画を担当する部署における業務のうち、 ・ 生産効率や購買市場の動向等について調査・分析し、原材料等の調達計画も含め 全社的な生産計画を策定する業務 |
@ 経営会議の庶務等の業務 A 人事記録の作成・保管、給与計算・支払、各種保険の加入・脱退等の業務 B 金銭出納、財務諸表・会計帳簿の作成・保管、租税の申告・納付、予算・決算に係る計算等の業務 C 広報誌の原稿の校正等の業務 D 具体的な営業活動の業務 E 具体的な製造の作業、物品の買い付け等の業務 |
@ 把握した対象労働者の勤務状況、健康状態に応じて、代償休日あるいは特別な休日を付与すること A 把握した対象労働者の勤務状況、健康状態に応じて、健康診断を実施すること B 働き過ぎの防止の観点から、年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めその取得を促進すること C 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること D 把握した対象労働者の勤務状況、健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に 配置転換をすること |