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労働安全衛生マネジメントシステム
をめぐる
最近の動向
(資料・日刊工業新聞の報道記事)
【資料のワンポイント解説】
1.労働安全衛生マネジメントシステムの新しい動きについて、日刊工業新聞の報道が注目されている。ここでは、資料として、6月及び10月の各報道内容を掲載。見逃されている方も、この2つの記事は目を通しておかれることをお奨めしたい。
OHSAS18000とは
OHSAS18001は、日本規格協会が英国規格協会から翻訳権を取得7月には翻訳作業が完了。なお、18000シリーズは労働安全衛生マネジメントの「審査マニュアル」ともいうべきもの。(労働省の安全衛生マネジメントシステムに関する告示は、BS8800を下敷きにしたものであるが、これがガイダンス的なものであるのに対し、OHSAS18001は、審査仕様に踏み込んだ内容となっている。)
現在、18002の翻訳作業が進行中である。
2.ところで、先の10月20日〜22日に仙台で開催された『全国安全衛生大会』。この中でも注目を集めていたのが「マネジメントシステム分科会」(会場は超満員の盛況。)であった。
3.品質の9000シリーズ、環境の14000シリーズを規格化した国際標準化機構=ISOの場で、労働安全はどのように取り扱われるのだろうか。実は、ISO規格化には、アメリカが反対。議論は進まず、業を煮やしたイギリスが仕掛けたのが報道にある「コンソーシアム方式」による作成戦術。これに日本が乗った(正確には日本政府がという意味ではない。)ところから、形勢は、欧州・日本・オーストラリアなどのコンソーシアム連合有利に展開している。
コンソーシアムは、事実上の国際標準化戦略で鳴らすアメリカに対する、逆デファクト・スタンダード戦略である。国家戦略上のバトルの帰結やいかに?という点からも関心を集めることとなろう。
4.労働安全衛生は、品質や環境と違って、安全のために『人の行動(作業行動)』や『(安全)意識』についての教育訓練面からのアプローチの必要性が高い。
これらの点で、日本人の行動様式やこれまで蓄積してきた日本の安全衛生ノウハウが(一定程度)反映されるか否かは、重要な問題。民間主導とはいえ、国際安全衛生マネジメントシステムの策定に日本が、主体的に関わり主導権を発揮できる場が確保されつつあることは歓迎すべきであろう。
日刊工業新聞1999年6月17日報道 労働安全衛生で国際規格 コンソーシアム方式 日英の協会などが参加 労働安全衛生に関する国際マネジメント管理規格(OHS・MS)が英国、日本の両規格協会などが参加したコンソーシアム方式で制定に動き出した。すでに「OHS/AS18001」として「規格」の形で民間主導で成文化、日本でも規格協会が翻訳作業を進めている。最終的にはISO1800シリーズに移行、国際標準実現を目指す。国内でも通産省や労働省もこの動きを支持。労働省告示を軸に、自動車、化学、鉄鋼、中央災害防止協会が策定した団体規格をベースに、国際上旬作成のイニシアチブを目指す。 (以下本文、) OHS・MSは品質、環境に次ぐ企業マネジメント規格。多国籍企業にとって管理が難しい労働現場の安全衛生を標準化することで、化学、建設、自動車、電機などの主要業種での国際ビジネス環境整備を目指すもの。ただし自国内に業界団体規格を持つ米国などが抵抗、国際標準化機構(ISO)での制定作業が難航してきた。 しかし各国で事実上の規格制定が進展、わが国でも団体規格に次いで労働省が5月にガイドラインを告示、ISOや国際労働機関(ILO)での議論再開を目指す動きが活発になっていた。これを背景に、OHS・MSのガイドラインを最初に策定した英国規格協会が中心となり、豪州、アイルランド、日本などの企画関連団体による事実上の企画案策定が終了、これをベースに欧州・日本連合の形でデファクト・スタンダードとして定着させる意向。 国内でも民間主導の動きを支持、規格協会と連携する形で中災防が関連産業団体のとりまとめを目指す。 |
日刊工業新聞(1999年10月連載記事) |
(上) 高まる産業界の関心
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(中) 労災防止へ法律と協調
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(下) 欧州規制、年内に草案
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