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[資料番号] 00088
[題  名] 改正派遣法「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」(告示138号)
[区  分] その他

[内  容]

改正労働者派遣法
派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針

(平成11年11月17日・労働省告示第138号)





 労働者派遣事業の適正な運営の確保及ぴ派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の3の規定に基づき、派遣先が講ずべき指針を次のように定め、平成11年12月1日から適用する。


 
派遣先が講ずべき措置に関する指針

  


(注)赤文字は、今回改正で追加された措置である。






第1 趣旨

 この指針は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及ぴ派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第3章第1節及ぴ第3節の規定により派遣先が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。



第2 派遣先が講ずべき措置



1 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認

 派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件の内容を十分に確認すること。



2 労働者派遣契約に定める就業条件の確保

 派遣先は、労働者派遣契約を円滑かつ的確に履行するため、次に掲げる措置その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずること。


(1)就業条件の周知徹底

 労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること。


(2)就業場所の巡回

 定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること。


(3)就業状況の報告

 派遣労働者を直接指揮命令する者から、定期的に当該派遣労働者の就業の状況について報告を求めること。


(4)労働者派遣契約の内容の遵守に係る指導

 派遣労働者を直接指揮命令する者に対し、労働者派遣契約の内容に違反することとなる業務上の指示を行わないようにすること等の指導を徹底すること。




3 派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止

 派遣先は、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等の派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。



4 性別による差別の禁止

 派遣先は、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、当該労働者派遣契約に派遣労働者の性別を記載してはならないこと。



5 労働者派遣契約の定めに違反する事実を知った場合の是正措置等

 派遣先は、労働者派遣契約の定めに反する事実を知った場合には、これを早急に是正するとともに、労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、派遣元事業主と十分に協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずること。



6 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置


(1)労働者派遣契約の解除の事前の申入れ

 派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うこと。


(2)派遣先における就業機会の確保

 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。


(3)損害賠償等に係る適切な措置

 派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、労働者派遣契約の解除を行おうとする日の少なくとも30日前に派遣元事業主に対しその旨の予告を行わなければならないこと。
 当該予告を行わない派遣先は、速やかに、当該派遣労働者の少なくとも30日分以上の賃金に相当する額について損害の賠債を行わなければならないこと。
 派遣先が予告をした日から労働者派遣契約の解除を行おうとする日までの間の期間が30日に満たない場合には、少なくとも労働者派遣契約の解除を行おうとする日の30日前の日から当該予告の日までの期間の日数分以上の賃金に相当する額について行わなければならないこと。

 その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。
 また、派遣元事業主及ぴ派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及ぴ派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。


(4)派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を当該派遣元事業主に対し明らかにすること。



7 適切な苦情の処理

 派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣先において苦情の処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携を図るための体制等を、労働者派遣契約において定めること。
 また、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施して、その内容を派遣労働者に説明すること。
 さらに、派遣先管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及ぴ苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載するとともに、その内容を派遣元事業主に通知すること。
 また、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。



8 労働・社会保険の適用の促進

 派遣先は、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者については、労働・社会保険に加入している派遣労働者(派遣元事業主が新規に雇用した派遣労働者であって、当該派遣先への労働者派遣の開始後速やかに労働・社会保険への加入手続が行われているものを含む。)を受け入れるべきこと。



9 適正な派遣就業の確保

 派遣先は、その指揮命令の下に労働させている派遣労働者について、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、セクシュアルハラスメントの防止等適切な就業環境の維持、その雇用する労働者が通常利用している診療所、給食施設等の施設の利用に関する便宜、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るように努めなければならないこと。



10 関係法令の関係者への周知

 派遣先は、労働者派遣法の規定により派遣先が講ずべき措置の内容や労働者派遺法第3章第4節に規定する労働基準法(昭和22年法律第49号)等の適用に関する特例等の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講ずること。



11 派遣元事業主との労働時間等に係る連絡体制の確立

 派遣先は、派遣元事業主の事業場で締結される労働基準法第36条第1項の時間外及ぴ休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについて派遣元事業主に情報提供を求める等により、派遣元事業主との連絡調整を的確に行うこと。



12 派遣労働者に対する説明会等の実施

 派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施し、派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容についての説明、派遣労働者が円滑かつ的確に就業するために必要な派遣労働者を直接指揮命令する者以外の派遣先の労働者との業務上の関係についての説明及ぴ職場生活上留意を要する事項についての助言等を行うこと。



13 派遣先責任者の適切な選任及ぴ適切な業務の遂行

 派遣先は、派遣先責任者の選任に当たっては、労働関係法令に関する知識を有する者であること、人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であること等派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めること。



14 労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限の適切な運用

 派遣先は、法第40条の2の規定に基づき常用労働者の派遣労働者による常用労働者の代替の防止の確保を図るため、次に掲げる基準に従い、事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から1年を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないこと。


(1) 事業所その他派遣就業の場所については、課、部、事業所全体等、場所的に他の部署と独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断すること。


(2) 同一の業務については、労働者派遣契約を更新して引き続き当該労働者派遣契約に定める業務に従事する場合は同一の業務に当たること。
 このほか、派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務であるとみなすこと。なお、この場合における最小単位の組織としては、業務の内容について指示を行う権限を有する者とその者の指揮を受けて業務を遂行する者とのまとまりのうち最小単位のものをいい、係又は班のほか、課、グループ等が該当する場合もあり、名称にとらわれることなく実態により判断すべきものとすること。
 ただし、派遣労働者の受入れに伴い係、班等を形式的に分ける場合、労働者数の多いこと等に伴う管理上の理由により係、班等を分けている場合又は係、班等の部署を設けていない場合であっても就業の実態等からこれらに該当すると認められる組織において行われる業務については、同一の業務であるとみなすこと。
 偽りその他不正の行為により労働者派遣の役務の提供を受けている又は受けていた係、班等の名称を変更し、又は組織変更を行うなど、従来の係、班等とは異なる係、班等に新たに労働者派遣の役務の提供を受け、又は受けようとする場合には、同一の業務について労働者派遣の役務の提供を受け、又は受けようとしているものと判断すること。その他法第40条の2の規定に照らし、就業の実態等に即して同一の業務であるか否かを判断すること。


(3) 労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。