防毒マスクと防じんマスクの選択、使用について



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<目次>
■防毒マスクの選択,使用等について(平成8年8月6日基発第504号通達)
■防じんマスクの選択,使用について(平成8年8月6日基発第505号通達)

















防毒マスクの選択,使用等について
(労働省労働基準局長、平成8年8月6日基発第504号通達)


 有毒なガス,蒸気等の存在する環境で用いられる防毒マスクについては,昭和37年7月24日付
け基発第781号「労働衛生保護具検定規則の一部を改正する省令の施行並びに防じんマスクの規格
及び防毒マスクの規格の適用について」及び平成2年9月28日付け基発第592号「防毒マスクの
選択,使用等について」により,その選択,使用等の適正化を図ってきたところである。
 今般,その後の防毒マスクの改良及び使用の実態に対応するために最近の科学的知見を踏まえ,防
毒マスクの選択,使用等について下記のとおり定め,日本呼吸用保護具工業会会長あてに別添(略)
のとおり通知したので,了知の上,今後の防毒マスクの選択,使用等の適正化を図るための指導に当
たって遺憾なきを期されたい。
 なお,昭和37年7月24日付け基発第781号「労働衛生保護具検定規則の一部を改正する省令
の施行並びに防じんマスクの規格及び防毒マスクの規格の適用について」及び平成2年9月28日付
け基発第592号「防毒マスクの選択,使用等について」は,本通連をもって廃止する。

                    記

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第1 防毒マスクの選択に当たっての留意事項

 防毒マスクの選択に当たっては,次の事項に留意すること。
 1 防毒マスクは,機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)第14条の規定に基づき吸収
缶(ハロゲンガス用,有機ガス用,一酸化炭素用,アンモニア用,亜硫酸ガス用及び亜硫酸・いおう
用のものに限る。)及び面体ごとに付されている型式検定合格標章により,型式検定合格品であるこ
とを確認すること。
 2 面体は,着用者の顔面に合った形状及び寸法の接顔部を有するものを選ぶこと。
 「防毒マスクの規格」(平成2年労働省告示第68号)第2条第1項の表の下欄に掲げる防毒マス
クの種類ごとの使用の範囲は,着用者の顔面とマスクの面体とが完全に密着して漏れのない場合の有
害物質(防毒マスクの規格第1条の表下欄に掲げる有害物質をいう。以下回じ。)濃度の上限を示し
ているものであること。
 したがって,作業の態様,作業環境中の有害物質の濃度によっては,送気マクス等の使用を検討す
ること。
 なお,防毒マスクを着用した際の漏れを判定する方法としては,陰圧法(マスクの面体を着用者の
顔面に押しつけないようにして吸気口を手の平で閉止した状態で息を吸い,マスクの内部が負圧にな
ることでマスクが顔面に吸いつけられるようになることを確認する方法)等があること。
 3 作業の内容,強度を考慮し,取扱説明書,ガイドブック,パンフレット等(以下「取扱説明書
等」という.)に記載されているデータを参考とし,防毒マスクの重量,吸排気抵抗が当該作業に適
しているものを選ぶこと。
 4 作業環境中の有害物質の種類,濃度に応じて,面体及び吸収缶の種類を選ぶこと.その際,次
の事項について留意すること.
(1)作業環境中の有害物質の種類,発散状況,濃度,作業時のばく露の危険性の程度を着用者に理
 解させること。
(2)作業環境中の有害物質の濃度に対して除毒能力に十分な余裕のあるものであること。
  なお,除毒能力の高低の判断方法としては,防毒マスク及び防毒マスク用吸収缶に添付されてい
 る破過曲線図から,一定のガス濃度に対する破過時間(吸収缶が除毒能力を喪失するまでの時間)
 の長短を比較する方法があること。
  例えば,次の図(省略)に示す吸収缶A及び同Bの破過曲線図では,ガス濃度1%の場合を比べ
 ると,破過時間はAが30分,Bが55分となり,Aに比べてPの除毒能力が高いことがわかるこ
 と。
(3)有機ガス用防毒マスクの吸収缶は,有機ガスの種類により[防毒マスクの規格」第7条に規定
 される除毒能力試験の試験用ガスと異なる破過時間を示す場合があること。
  特に,メタノール,ジクロルメタン,二硫化炭素,アセトンについては,試験用ガスに比べて破
 過時間が著しく短くなるので注意すること。
(4)使用する環境の温度,湿度によっては,吸収缶の破過時間が短くなる場合があること。
  有機ガス用防毒マスクの吸収缶は,環境の温度,湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向があり,
 沸点の低い物質ほど,その傾向が顕著であること。また,一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶は,環
 境の湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にあること。
(5)防毒マスクの吸収缶の破過時間を推定する際には,当該吸収告を製造するメーカー等に照会す
 ること。

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第2 防毒マスクの使用に当たっての留意点

 防毒マスクの使用に当たっては,次の事項に留意すること。
 1 防毒マスクは,酸素濃度18%未満の場所では使用してはならないこと。このような場所では
送気マスク等を使用すること。
 2 事業者は,衛生管理者,作業主任者等の労働衛生に関する知識,経験を有する者のうちから,
各作業場ごとに防毒マスクを管理する責任者を指名し,防毒マスクの適正な着用,取扱方法について
必要な指導を行わせるとともに,防毒マスクの適正な保守管理を行わせること。
 3 防毒マスクを着用しての作業は,通常より呼吸器系等に負荷がかかることから,呼吸器系等に
疾患がある者については,防毒マスクを着用しての作業が適当であるか否かについて,産業医等に確
認すること。
 4 事業者は,防毒マスクの取扱説明書等に基づき,防毒マスクの適正な装着方法,使用方法につ
いて労働者に十分な教育・訓練を行うこと。
 5 事業者は,防毒マスクを使用させるときは,その都度,着用者に次の項目について点検を行わ
せること。
(1)きず,ひび割れ,部品の接合部の透き間,汚れがないこと。
(2)排気弁の機密性が保たれていること。
(3)吸収缶が適切に取り付けられていること。
(4)吸収缶に水が侵入したり,破損又は変形していないこと。
(5)吸収缶から異臭が出ていないこと。
(6)作業の種類,時間に合わせ,予備の吸収罐を用意していること。

 6 事業者は,防毒マスクの使用時間について,当該防毒マスクの取扱説明書等及ぴ破過曲線図,
メーカーヘの照会結果等に基づいて,作業場所における空気中に存在する有害物質の濃度,作業場所
における温度や湿度に対して余裕のある使用限度時間をあらかじめ設定し,その設定時間を限度に防
毒マスクを使用させること。
 また,防毒マスク及び防毒マスク用吸収缶に添付されている使用時間記録カードには,使用した時
間を必ず記録させ,使用限度時間を超えて使用させないこと。
 なお,従来から行われているところの,防毒マスクの使用中に臭気等を感知した場合を使用限度時
間の到来として吸収缶の交換時期とする方法は,有害物質の臭気等を感知できる濃度が管理濃度より
小さい物質である次の物質に限り行っても差し支えないこと。
   硫化水素(腐卵臭)
   アセトン(果実臭)
   クレゾール(クレゾール臭)
   酢酸イソブチル(エステル臭)
   酢酸イソプロピル(果実臭)
   酢酸エチル(マニュキュア臭)
   酢酸ブチル(バナナ臭)
   酢酸プロピル(エステル臭)
   スチレン(甘い刺激臭)
   1ブタノール(アルコール臭)
   2ブタノール(アルコール臭)
   メチルイソブチルケトン(甘い刺激臭)
   メチルエチルケトン(甘い刺激臭)

 7 防毒マスクの使用中に有害物質の臭気等を感知した場合は,直ちに着用状態の確認を行わせ,
必要に応じて吸収缶を交換させること。
 8 一度使用した吸収缶は,破過曲線図,使用時間記録カード等により.十分な防毒能力が残存し
ていることを確認できるものについてのみ,再使用させて差し支えないこと。
 ただし,メタノール,二硫化炭素等破過時間が試験用ガスの破過時間よりも著しく短い有害物質に
対して使用した吸収缶は,吸収缶の吸着剤に吸着された有害物質が時間と共に吸着剤から微量ずつ脱
着して面体側に漏れ出してくることがあるため,再使用させないこと。
 9 次のような防毒マスクの着用は,有害物質が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むおそれがある
ため行わせないこと。
(1)タオル等を当てた上から防毒マスクを使用すること。
(2)面体の接顔部に「接顔メリヤス」等を使用すること。
(3)着用者のひげ,もみあげ,前髪等が面体の接顔部と顔面の間に入り込んだり,排気弁の作動を
 妨害するような状態で妨害マスクを使用すること。

10 防じんマスクの使用が義務付けられている業務であって防毒マスクの使用が必要な場合には,
防じんマスクの検定にも合格している吸収缶を装着した防毒マスクを使用させること。
 また,吹付け塗装作業等のように,防じんマスクの使用の義務付けがない業務であっても,有機溶
剤の蒸気と塗料の粒子等の粉じんと混在してる場合については,次のいずれかによること。
(1)防じんマスクの検定にも合格している吸収缶を装着した防毒マスクを使用すること。
(2)JlST8152に適合するフィルタ付きの吸収缶を使用すること。
(3)メーカーオプションのプレフィルターを吸収缶の前に取り付けて使用すること。


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第3 防毒マスク(電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第38条第1項の規定
に基づき使用する防毒マスクを除く。以下同じ。)の保守管理上の留意点

 1 予備の吸収缶等を常時備え付け,適時交換して使用できるようにすること。
 2 防毒マスクを常に有効かつ清潔に保持するため,使用後は粉じん,湿気の少ない場所で,次の
方法により手入れを行うこと。ただし,取扱説明書に特別な手入れ方法が記載されている場合は,そ
の方法に従うこと。
(1)面体,吸気弁,排気弁,しめひも等については,乾燥した布片又は軽く水で湿らせた布片で,
 付着したほこり,汗等を取り除くこと。
  また,汚れの著しいときは,吸収缶を取り外した上で面体を中性洗剤等により洗浄すること。
(2)吸収缶に充填されている活性炭等は吸湿又は乾燥により能力が低下するものが多いため,使用
 直前まで開封しないこと。
  また,使用後は上柱と下柱を閉めて保管すること。栓がないものにあっては,密封できる容器又
 は袋に入れて保管すること。
 3 次のいずれかに該当する場合には防毒マスクの部品を交換するか,又は防毒マスクを廃棄する
 こと。
(1)吸収缶について,破損,著しい変形が認められた場合又はあらかじめ設定した使用限度時間等
 に達した場合
(2)面体,吸気弁,排気弁等について,破損,き裂,著しい変形を生じた場合又は粘着性が認めら
 れた場合
(3)しめひもについて,破損が認められた場合又は弾性が失われ伸縮不良の状態が認められた場合

 4 防毒マスクは,積み重ね,折り曲げ等により面体,連結管,しめひも等にき裂,変形等の異常
を生じないように保管すること。
 なお,保管に当たっては,直射日光の当たらない常温の場所に専用の保管場所を設け,管理状況が
容易に確認できるようにすること。
 5 使用済みの吸収缶の廃棄に当たっては,吸収剤に吸着された有害物質が遊離し,又は吸収剤が
吸収缶外に飛散しないように容器又は袋に詰めた状態で廃棄すること。








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防じんマスクの選択,使用等について
(平成8年8月6日基発第505号通達)


 防じんマスクは,空気中に浮遊する粒子状物質(以下「粉じん等」という.)の吸入により生じる
じん肺等の疾病を予防するために使用されるものであるが,その適切な使用等を図るため,昭和37
年7月24日付け基発第781号「労働衛生保護具検定規則の一部を改正する省令の施行並びに防じ
んマスクの規格及ぴ防毒マスクの規格の適用について」により基本的事項を示し,昭和59年1月3
0日付け基発第48号「防じんマスクの選択,使用等について」により取替え式防じんマスクについ
て,昭和63年11月15日付け基発第711号「使い捨て式防じんマスクの選択,使用等について」
により使い捨て式防じんマスクについて,その適正な選択,使用等について指示してきたところであ
る。
 今般,その後の防じんマスクの改良及び使用の実態に対応するために最近の科学的知見を踏まえ,
防じんマスクの選択,使用等について下記のとおり定め,日本呼吸用保護具工業会会長あてに別添
(略)のとおり通知したので,了知の上,今後の防じんマスクの選択,使用等の適正化を図るための
指導に当たって遺憾なきを期されたい。
 なお,昭和37年7月24日付け基発第781号「労働衛生保護具検定規則の一部を改正する省令
の施行並びに防じんマスクの規格及び防毒マスクの規格の適用について」昭和59年1月30日付け
基発第48号「防じんマスクの選択,使用等について」及び昭和63年ll月15日付け基発第71
1号「使い捨て式防じんマスクの選択,使用等について」は,本通達をもって廃止する。

                      記

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第1 防じんマスクの選択に当たっての留意点

 防じんマスクの選択に当たっては,次の点に留意すること。
 1 防じんマスクは,機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)第14条の規定に基づき面
  体及びろ過材ごと(使い捨て式防じんマスクにあっては面体ごと)に付されている検定合格標章
  により型式検定合格品であることを確認すること。

 2 面体は,着用者の顔面に合った形状及び寸法の接顔部を有するものを選ぶこと。粉じん捕集効
  率の高い防じんマスクであっても,着用者の顔面とマスクの面体との密着が十分でなく,漏れの
  ある状態ては,その性能が減じること。
   このため,事業者は,次に示す方法により,各着用者に密着性の良否を確認させ,着用者の顔
  面に合った形状及び寸法の面体を有する防じんマスクを選択,使用させること。
   なお,大気中の粉じんや塩化ナトリウムエアロゾルやサッカリンエアロゾルを用いて密着性の
  良否を確認する機器もあるので,これらを可能な限り利用し,良好な密着性を確保すること。

(1)取替え式防じんマスクの場合
 イ 作業時に着用する場合と同じように,防じんマスクを着用する。保護帽,保護めがね等の着用
  が必要な作業にあっては,保護帽,保護めがね等も同時に着用する。
 ロ 防じんマスクの面体を顔面に押しつけないように,フィットチェッカー等を用いて吸気口をふ
  さぐ。
 ハ 息を吸って,面体の接顔部から空気が面体内に漏れ込まず,面体が顔面に吸いつけられるかど
  うかを確認する。
(2)使い捨て式防じんマスクの場合
  使い捨て式防じんマスクの取扱説明書に記載されている漏れ率のデータを参考とし,個々の着用
 者に合った大きさ,形状のものを選択する。


 3 作業の内容,強度を考慮し,防じんマスクの重量,吸排気抵抗等が当該作業に適したものを選
  ぶこと。このため,選択に当たっては取扱説明書,ガイドブック,パンフレット等(以下「取扱
  説明書等」という。)に記載されているデータを参考にすること。

 4 作業環境中の粉じん等の発散状況及び作業時のばく露の危険性の程度を考慮し,高濃度ばく露
  のおそれがあると認められるときは,できるだけ粉じん捕集効率が高く,かつ,排気弁の動的漏
  れ率が低いものを選ぶこと。

 5 防じんマスクは,作業環境の粉じん等の種類,粒径,発散状況及び濃度により使用限度時間に
  影響を受けるので,これらの要因を考慮して選択すること。
   防じんマスクの取扱説明書等には吸気抵抗上昇値が記載されているが,これが高いものほど使
  用限度時間は短くなること。
   また,防じんマスクは一般に粉じん等を捕集するに従って吸気抵抗値が高くなるが,ろ適材の
  性質によっては,オイルミスト等を捕集すると,吸気抵抗値が変化せずに急激に粉じん補実効率
  等が悪化するものもあるので,吸気低抗値の上昇のみを使用限度の判断基準としないこと。


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第2 防じんマスクの使用に当たっての留意点

 1 防じんマスクは,酸素濃度18%未満の場所では使用してはならないこと。このような場所で
  は送気マスク等を使用すること。
   また,防じんマスク(防臭の機能を有しているものを含む。)は,有害なガスが存在する場所
  においては使用してはならないこと。このような場所では防毒マスク又は送気マスク等を使用す
  ること。

 2 事業者は,衛生管理者,作業主任者等の労働衛生に関する知識,経験を有する者のうちから,
  各作業場ごとに防じんマスクを管理する保護具着用管理責任者を指名し,防じんマスクの適正な
  着用,取扱方法について必要な指導を行わせるとともに,防じんマスクの適正な保守管理に当た
  らせること。

 3 防じんマスクの使用中に息苦しさを感じた場合は,ろ過材を交換すること。
  また,使い捨て式防じんマスクにあっては,使用中に息苦しさを感じた場合又は当該マスクに表
  示されている使用限度時間に達した場合には廃棄すること。

 4 事業者は,防じんマスクを着用する労働者に対し,当該防じんマスクの取扱説明書等に墓づき,
  防じんマスクの適正な装着方法,使用方法について十分な教育や訓練を行うこと。

 5 事業者は,防じんマスクを使用させるときは,その都度,着用者に次の項目について点検を行
  わせること。
 (1)排気弁の機密性が保たれていること。
 (2)ろ過材が適切に取り付けられていること。
 (3)ろ過材が破損したり,穴があいていないこと。
 (4)ろ過材から異臭が出ていないこと。
 (5)作業の時間等に合わせ,予備の防じんマスク,ろ過材を用意していること。

 6 次のような防じんマスクの着用は,粉じん等が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むおそれがあ
  るため,行わないこと。
 (1)タオル等を当てた上から防じんマスクを使用すること。
 (2)面体の接顔部に「接顔メリヤス」等を使用すること。ただし,防じんマスクの着用により皮
  膚に湿しん等を起こすおそれがある場合で,かつ,面体と顔面との密着性が良好であるときは,
  この限りでないこと。
 (3)着用者のひげ,もみあげ,前髪等が面体の接顔部と顔面の間に入り込んだり,排気弁の作動
  を妨害するような状態で防じんマスクを使用すること。


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第3 防じんマスク(電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第38条の規定に基
   づき使用する防じんマスクを除く。以下同じ。)の保守管理上の留意点

 1 予備の防じんマスク,ろ過材その他の部品を常時備え付け,適時交換して使用できるようにす
  ること。
 2 防じんマスクを常に有効かつ清潔に保持するため,使用後は粉じん,湿気の少ない場所で,次
  の方法により手入れを行うこと。ただし,取扱説明書に特別な手入れ方法が記載されている場合
  は,その方法に従うこと。

 (1)面体,吸気弁,排気弁,しめひも等につていは,乾燥した布片又は軽く水で湿らせた布片で,
   付着した粉じん等や汗等を取り除くこと。
    また,汚れの著しいときは,ろ過材を取り外した上で面体を中性洗剤等により水洗すること。
 (2)ろ過材については,よく乾燥させ,ろ過材上に付着した粉じん等が飛散しない程度に軽くた
   たいて粉じん等を払い落とすこと。
    ただし,ひ素,クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ過材について1回使用
   ごとに廃棄すること。
    なお,ろ過材上に付着した粉じん等を圧搾空気等で吹き飛ばしたり,ろ過材を強くたたくな
   どの方法によるろ過材の手入れは,ろ過材を破損させる他,粉じん等を再飛散させることとな
   るので行わないこと。
    また,ろ過材には水洗して再生使用できるものと,水洗すると性能が低下したり破損したり
   するものがあるので,取扱説明書等の記載内容を確認し,水洗が可能な旨の記載のるもの以外
   は水洗してはならないこと。
 (3)取扱説明書に記載されている防じんマスクの性能は,ろ過材が新品の場合のものであり,一
   度使用したろ過材を手入れして再使用(水洗して再生使用することを合む。)する場合は,新
   品時より粉じん捕集効率が低下していないこと及び吸気低抗値が上昇していないことを確認し
   て使用すること。

 3 次のいずれかに該当する場合には防じんマスクの部品を交換し,又は防じんマスクを廃棄する
  こと。
 (1)ろ過材について,破損した場合,穴があいた場合又は著しい変形を生じた場合
 (2)面体,吸気弁,排気弁等について,破損,き烈,著しい変形を生じた場合又は粘着性が認め
   られた場合
 (3)しめひもについて破損した場合又は弾性が失われ,伸縮不良の状態が認められた場合
 (4)使い捨て式防じんマスクにあっては,使用限度時間に達した場合又は使用限度時間内であっ
   ても,作業に支障をきたすような息苦しさを感じたり著しい形くずれを生じた場合

 4 防じんマスクは,積み重ね,折り曲げ等により面体,連結管,しめひも等について,き裂,変
  形等の異常を生じないように保管すること。なお,保管に当たっては,直射日光の当たらない場
  所に専用の保管場所を設け、管理状況が容易に確認できるようにすること。

 5 使用済みのろ過材及び使い捨て式防じんマスクは,付着した粉じんが再飛散しないように容器
  又は袋に詰めた状態で廃棄すること。


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第4 その他

 昭和61年3月29日付け基発第178号「簡易防じんマスクの取り扱いについて」でいう簡易防
じんマスクについては,臨時の粉じん作業等に限り使用を認めてきたものであるが,この取扱いは,
従前どおり認めるものとする。