安全衛生マネージメントシステムの動向
 ISO 16000の挫折からしばらく、、、安全衛生マネージメントシステム制定に向けた動きが出てきた。しばらく、動向を追ってみたい。




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<目次>
■安全衛生マネージメントシステムの作成に新しい動き




安全衛生マネージメントシステムの作成に新しい動き



○労働省検討委員会が「安全衛生マネージメントシステム」の作成作業に着手
労働新聞5月25日号が、次のような報道。
『労働省は、労使代表、学識経験者などによる委員会を設置して「労働安全衛生マネージメントシステム」の作成に着手。この度、事務局から叩き台が示された。今夏を目途に、告示または通達の形で周知し、事業場に対する指導を行う方針。』(労働新聞5月25日号)

実は、この委員会は2月に設置されていたもの。
背景
さて、ISO16000シリーズの挫折で一度、立ち消えになったかと思われた「安全衛生マネージメントシステム」制定の動き。そもそも、安全衛生マネージメントシステムに関しては、日本をはじめ各国の労働省は、ILOを舞台とした基準づくりを志向していた。しかし、ここにきて、事実上の標準化の動きを無視できなくなっているようだ。
実は、最近、わが国で業界主導の規格作成が進んでいた。
例えば、自動車、化学の業界では事実上のスタンダードの作成がなされている。個別企業では、ソニーがイギリスのBS8800に基づいたグループ規格を作成した。自動車の場合は、アメリカ規格にあわせた国内自主規格を作らなければ、部品輸出等で動きがとれない事情があったようだ。いずれも、輸出・貿易関連の業界が中心の動きだ。
この他、つぎつぎ制定されるEU規格の存在も無視できない。このように、 国際企業は世界標準の導入を否応なくせまられている。(これが背景。)

労働省も2月には検討会を発足させ、対応準備に入っていた。
しかし、労働新聞の中に、『今夏を目途に、告示または通達の形で』とあるのは、少し気になるところである。
この問題では、ヨーロッパ、アメリカは、ISOの国際規格造りを志向しておりその主導権をどこか採るかが焦眉の点であるからだ。そのために早急に国内規格を制定する必要があるのだ、という流れからみると、労働省の動きは解せないところがある。
あえて、今後の動向を推定すると、
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一つは、所管の問題。
この問題の所管がILOは労働省、ISOは通産省の守備分野だということがある。しかし、安全衛生マネージメントに関して言うならば、通産省には学識経験者を含めたノウハウが十分にない。根回しの問題でも労働団体への接点に欠ける。両省の調整が成立するかが一つのポイント。
事実上のスタンダード化という現実の動きは思いのほか速いから、この点は調整が着く公算が大。そうなれば、その後の動きはどうなるか。
制定準備に入る場合、規格の性格に関しては、労働省告示・指針の形式をとることも選択肢の一つとしては考えられるが、有力な線とはならないだろう。(仮に、告示、指針とした場合は、再度、焼き直しが必要となろう。)おそらく、ISOベースの規格制定に動かざるを得ないのが実情か。したがって国内規格でいうなら、JIS規格化が有力。しかし、規格案は労働省主導でまとめられることになりそうだ。
その場合のタタキ台として、検討されるのが、BS8800か。
願わくば、縦割り行政によるもたつきで、ISOの国際規格競争で致命的な遅れをとることだけは避けたいもの。
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