屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン

 
■HOMEPAGE
 
■安全衛生管理



屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて
(平成17年3月31日付け基発第0331017号、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて) 

                                   

 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等に基づき、屋内作業場等について行う作業環境測定及びその結果の評価に基づく作業環境管理については、労働者の健康確保のための手法として定着し、重要な役割を果たしているところである。しかしながら、屋外作業場等については、屋内作業場等と同様に有害物質等へのばく露による健康障害の発生が認められているものの、屋外作業場等に対応した作業環境の測定の結果の評価手法が確立されていないことから、適切な作業環境管理が行われていない現状にある。
 このため、労働安全衛生法第6条に基づき、平成15年3月24日に策定された第10次労働災害防止計画においては、屋外作業場における有害な化学物質へのばく露の低減を図ることが重点事項とされており、屋外作業場等の作業環境を的確に把握し、その結果に基づいた作業環境の管理を推進する必要がある。
 今般、別添1のとおり「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン」を策定したので、関係事業者に対し、本ガイドラインの周知徹底を図るとともに、本ガイドラインによる屋外作業場等における作業環境管理の推進に努められたい。
 なお、関係団体に対し、別添2のとおり要請を行ったので、了知されたい。







屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン


1 趣旨

  本ガイドラインは、有害な業務を行う屋外作業場等について、必要な作業環境の測定を行い、その結果の評価に基づいて、施設又は設備の設置又は整備その他の適切な措置を講ずることにより、労働者の健康を保持することを目的とする。
  なお、本ガイドラインは、有害な業務を行う屋外作業場等について、事業者が構ずべき原則的な措置を示したものであり、事業者は、本ガイドラインを基本としつつ、事業場の実態に即して、有害な業務を行う屋外作業場等における労働者の健康を保持するために適切な措置を積極的に講ずることが望ましい。

2 屋外作業場等における作業環境管理の基本的な考え方

  屋外作業場等においては、屋内作業場等と同様に有害物質等へのばく露による健康障害の発生が認められているため、屋外作業場等の作業環境を的確に把握し、その結果に基づいた作業環境の管理が求められているところである。
  しかしながら、屋外作業場等については、自然環境の影響を受けやすいため作業環境が時々刻々変化することが多く、また、作業に移動を伴うことや、作業が比較的短時間であることも多いことから、屋内作業場等で行われている定点測定を前提とした作業環境測定を用いることは適切でないとされ、屋外作業場等における作業環境の測定は、一部の試験的な試みのほかは実施されていなかったところである。
  厚生労働省では、屋外作業場等の作業環境の測定及びその結果の評価に基づく適正な管理のあり方について調査検討を進めてきたところであるが、今般、「屋外作業場等における測定手法に関する調査研究委員会報告書」がまとめられ、屋外作業場等については個人サンプラー(個人に装着することができる試料採取機器をいう。以下同じ。)を用いて作業環境の測定を行い、その結果を管理濃度の値を用いて評価する手法が提言されたところである。屋外作業場等における作業環境管理を行うには、この手法が現在では最も適当であることから、今後は、この手法による作業環境管理の推進を図ることとしたものである。

3 作業環境の測定の対象とする屋外作業場等

  屋外作業場等とは、労働安全衛生法等において作業環境測定の対象となっている屋内作業場等以外の作業場のことであり、具体的には、屋外作業場(建家の側面の半分以上にわたって壁等の遮へい物が設けられておらず、かつ、ガス・粉じん等が内部に滞留するおそれがない作業場を含む。)のほか、船舶の内部、車両の内部、タンクの内部、ピットの内部、坑の内部、ずい道の内部、暗きょ又はマンホールの内部等とする。
  測定は、以下の屋外作業場等であって、当該屋外作業場等における作業又は業務が一定期間以上継続して行われるものについて、行うものとする。なお、「一定期間以上継続して行われる」作業又は業務には、作業又は業務が行われる期間が予定されるもの、1回当たりの作業又は業務が短時間であっても繰り返し行われるもの、同様の作業又は業務が場所を変えて(事業場が異なる場合も含む。)繰り返し行われるものを含むものとする。

 (1)土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋外作業場等で、常時特定粉じん作業(粉じん障害予防規則(昭和54年労働省令第18号)第2条第1項第3号の特定粉じん作業をいう。以下同じ。)が行われるもの

 (2)労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)別表第3第1号又は第2号に掲げる特定化学物質等を製造し、又は取り扱う屋外作業場等((5)に掲げるものを除く。)

 (3)令別表第4第1号から第8号まで、第10号又は第16号に掲げる鉛業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く。)を行う屋外作業場等

 (4)令別表第6の2第1号から第47号までに掲げる有機溶剤業務(有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第1条第1項第6号の有機溶剤業務をいう。)のうち、同規則第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務を行う屋外作業場等((5)に掲げるものを除く。)

 (5)労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質を定める件(平成3年労働省告示第57号)に定められた化学物質について、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく健康障害を防止するための指針に基づき、作業環境の測定等を行うこととされている物を製造し、又は取り扱う屋外作業場等

 (注)(1)から(4)までは、令第21条第1号、第7号、第8号及び第10号中「屋内作業場」を「屋外作業場等」とし、省令に委任されている内容を明確化したものである。この場合において、特定粉じん作業の定義の中に「屋内」等の語が含まれるものがあるが、適宜「屋外」等と読み替えるものとする。

  ただし、上記(1)の作業又は業務のうち、ずい道等建設工事の粉じんの測定については、平成12年12月26日付け基発第768号の2「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」第3の4(1)に示されている「粉じん濃度等の測定」による。

4 作業環境の測定の実施

  測定は、以下に定めるところにより、屋外作業場等において取り扱う有害物質の濃度が最も高くなる作業時間帯において、高濃度と考えられる作業環境下で作業に従事する労働者に個人サンプラーを装着して行う。測定の実施には、個人サンプラーの取扱い等について専門的な知識・技術を必要とすることから、作業環境測定士等の専門家の協力を得て実施することが望ましい。

 (1)測定頻度
   測定は、作業の開始時及び1年以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、原料、作業工程、作業方法又は設備等を変更した場合は、その都度その直後に1回測定すること。
 
 (2)測定方法

  ア 測定点
    測定の対象となる物質を取り扱う労働者は、その周辺にいる労働者よりも高濃度の作業環境下で作業に従事していると考えられることから、測定点は、当該物質を取り扱う労働者全員の呼吸域(鼻又は口から30cm以内の襟元、胸元又は帽子の縁をいう。以下同じ。)とし、当該呼吸域に個人サンプラーを装着すること。ただし、作業環境測定士等の専門家の協力を得て実施する場合には、その専門家の判断により測定点の数を減らすことができる。
  イ 測定時間
    測定点における試料空気の採取時間は、別表第1に掲げる管理濃度又は基準濃度(以下「管理濃度等」という。)の10分の1の濃度を精度良く測定でき、かつ、生産工程、作業方法、当該物質の発散状況等から判断して、気中濃度が最大になる時間帯を含む10分間以上の継続した時間とすること。
  ウ 試料採取方法及び分析方法
    試料採取方法及び分析方法は、測定の対象となる物質の種類に応じて作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)に定める試料採取方法及び分析方法とすること。ただし、上記3の(5)に係る化学物質の試料採取方法及び分析方法は、別表第2に掲げる物の種類に応じて、同表中欄に掲げる試料採取方法又はこれと同等以上の性能を有する試料採取方法及び同表右欄に掲げる分析方法又はこれと同等以上の性能を有する分析方法とすること。
    なお、拡散式捕集方法(パッシブサンプラー)等の他の方法であっても、管理濃度等の10分の1の濃度を精度良く測定できる場合は、当該方法によることができる。

5 作業環境の測定の結果及びその評価並びに必要な措置

 (1)作業環境の測定の結果及びその評価に基づく必要な措置については、衛生委員会等において調査審議するとともに、関係者に周知すること。

 (2)作業環境の測定の結果の評価は、各測定点ごとに、測定値と管理濃度等とを比較して、測定値が管理濃度等を超えるか否かにより行うこと。
   評価の結果、測定値が管理濃度等を1以上の測定点で超えた場合には、次の措置を講ずること。

  ア 直ちに、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講じ、当該場所の測定値が管理濃度等を超えないようにすること。
  イ 測定値が管理濃度等を超えた測定点については、必要な措置が講じられるまでは労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講じること。
  ウ 上記アによる措置を講じたときは、その効果を確認するため、上記4によりあらためて測定し、その結果の評価を行うこと。
    また、管理濃度等の設定されていない物質については、作業場の気中濃度を可能な限り低いレベルにとどめる等ばく露を極力減少させることを基本として管理すること。

6 作業環境の測定の結果及びその評価の記録の保存

 (1)測定結果

  ア 記録事項
    測定を行ったときは、その都度次の事項を記録すること。
  (ア)測定日時
  (イ)測定方法
  (ウ)測定箇所
  (エ)測定条件
  (オ)測定結果
  (カ)測定を実施した者の氏名
  (キ)測定結果に基づいて労働者の健康障害の予防措置を講じたときは、その措置の概要
  イ 記録の保存
    記録の保存については、次のとおりとする。
  (ア)上記3の(1)に係る測定については7年間。
  (イ)上記3の(2)に係る測定については3年間。
    ただし、令別表第3第1号1、2若しくは4から7までに掲げる物又は同表第2号4から6まで、8、12、14、15、19、24、26、29、30若しくは32に掲げる物に係る測定並びにクロム酸等(特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)第36条第3項に規定するクロム酸等をいう。以下同じ。)を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行った令別表第3第2号11又は21に掲げる物に係る測定については30年間。
  (ウ)上記3の(3)に係る測定については3年間。
  (エ)上記3の(4)に係る測定については3年間。
  (オ)上記3の(5)に係る測定については30年間。

 (2)測定結果の評価

  ア 記録事項
    評価を行ったときは、その都度次の事項を記録すること。
  (ア)評価日時
  (イ)評価箇所
  (ウ)評価結果
  (エ)評価を実施した者の氏名
  イ 記録の保存
    記録の保存については、次のとおりとする。
  (ア)上記3の(1)に係る評価については7年間。
  (イ)上記3の(2)に係る評価については3年間。
    ただし、令別表第3第1号6に掲げる物又は同表第2号4から6まで、14、15、19、24、29若しくは30に掲げる物に係る評価並びにクロム酸等を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行った令別表第3第2号11又は21に掲げる物に係る評価については30年間。
  (ウ)上記3の(3)に係る評価については3年間。
  (エ)上記3の(4)に係る評価については3年間。
  (オ)上記3の(5)に係る評価については30年間。










別添2             
屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて
(平成17年3月31日付け基発第0331018号厚生労働省労働基準局長から別記の関係団体、事業者団体の長あて)


 労働基準行政の運営につきましては、日頃から格別の御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等に基づき、屋内作業場等について行う作業環境測定及びその結果の評価に基づく作業環境管理については、労働者の健康確保のための手法として定着し、重要な役割を果たしているところであります。しかしながら、屋外作業場等については、屋内作業場等と同様に有害物質等へのばく露による健康障害の発生が認められているものの、屋外作業場等に対応した作業環境の測定の結果の評価手法が確立されていないことから、適切な作業環境管理が行われていない現状にあります。
 このため、労働安全衛生法第6条に基づき、平成15年3月24日に策定された第10次労働災害防止計画においては、屋外作業場における有害な化学物質へのばく露の低減を図ることが重点事項とされており、屋外作業場等の作業環境を的確に把握し、その結果に基づいた作業環境の管理を推進する必要があります。
 今般、別添のとおり「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン」を策定いたしましたので、貴団体におかれましても、本ガイドラインの趣旨を御理解いただき、会員その他の関係事業場に対する本ガイドラインの周知とともに、本ガイドラインによる屋外作業場等における作業環境管理の実施の指導につき、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。

別記

日本ゴム工業会会長
社団法人 セメント協会会長
社団法人 日本硝子製品工業会会長
日本陶業連盟会長
耐火物協会会長
全国赤煉瓦協会会長
炭素協会会長
社団法人 コンクリートポール・パイル協会会長
全国コンクリート製品協会会長
全国ヒューム管協会会長
社団法人 石膏ボード工業会会長
ロックウール工業会会長
研削材工業協会会長
社団法人 日本鉄鋼連盟会長
普通鋼電炉工業会会長
日本フェロアロイ協会会長
社団法人 日本鋳物工業会会長
社団法人 日本ダイカスト協会会長
社団法人 日本強靱鉄協会会長
日本鋳鍛鋼会会長
社団法人 日本非鉄金属鋳物協会会長
社団法人 全国鐵構工業協会会長
社団法人 鉄骨建設業協会会長
社団法人 日本橋梁建設協会会長
社団法人 日本機械工業連合会会長
社団法人 日本電機工業会会長
社団法人 日本造船工業会会長
社団法人 日本中小型造船工業会会長
社団法人 日本造船協力事業者団体連合会会長
社団法人 日本自動車工業会(労務室)会長
日本石炭協会会長
日本鉱業協会会長
社団法人 日本砕石協会会長
日本石材協会会長
石灰石鉱業協会会長
社団法人 日本砂利協会会長
社団法人 日本下水道管渠推進技術協会会長
社団法人 日本建設業団体連合会会長
社団法人 全国建設業協会会長
社団法人 日本道路建設業協会会長
社団法人 日本鉄道建設業協会会長
社団法人 全国中小建設業協会会長
社団法人 日本港運協会会長
社団法人 日本アルミニウム合金協会会長
日本可鍛鋳鉄工業会会長
社団法人 日本土木工業協会会長
社団法人 日本溶接協会会長
中央労働災害防止協会会長
港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長
鉱業労働災害防止協会会長
建設業労働災害防止協会会長
陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長
全国中小企業団体中央会会長
日本商工会議所会頭
全国労働衛生団体連合会会長
日本作業環境測定協会会長
社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会会長
社団法人 全国労働基準関係団体連合会会長
日本トンネル技術協会会長
労働者健康福祉機構理事長
社団法人 日本医師会会長
財団法人 産業医学振興財団理事長
社団法人 日本経済団体連合会会長
石油連盟会長
石油化学工業協会会長
社団法人日本化学工業協会会長
日本ソーダ工業会会長
日本化学繊維協会会長
社団法人日本瓦斯協会会長
社団法人日本産業機械工業会会長
社団法人日本ベアリング工業会会長
日本伸銅協会会長
日本硫安工業協会会長
全国農業協同組合連合会会長
電気事業連合会会長
全国木材組合連合会会長
日本醤油協会会長
日本洗浄協会会長
日本鉄道車両工業会会長
紙・パルプ経営者懇談会会長
全国段ボール工業組合連合会会長
全日本紙製品工業組合理事長
全国紙器工業組合連合会会長
社団法人全国建築コンクリートブロック工業会会長
全国生コンクリート工業組合連合会会長
社団法人日本金属プレス工業協会会長
社団法人全国中小建築工事業団体連合会会長
全国基礎工業協同組合連合会会長
社団法人建築業協会会長
社団法人日本電力建設業協会会長
社団法人全国森林土木建設業協会会長
社団法人日本建設機械工業会会長
社団法人日本建設機械化協会会長
財団法人建設業振興基金理事長
社団法人日本電設工業協会会長
社団法人日本空調衛生工事業協会会長
全国管工事業協同組合連合会会長
社団法人日本塗装工業会会長
社団法人日本左官業組合連合会会長
社団法人全国建設専門工事業団体連合会会長
社団法人プレハブ建築協会会長
社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会会長
全国建設業協同組合連合会会長
社団法人全国クレーン建設業協会会長
社団法人全日本トラック協会会長
社団法人全国乗用自動車連合会会長
全国通運協会会長
日本百貨店協会会長
日本チェーンストア協会会長
社団法人全国ビルメンテナンス協会会長
社団法人都市清掃会議会長
社団法人日本ゴルフ場事業協会会長
日本肥料アンモニア協会会長
化成品工業協会会長
日本無機薬品協会会長
社団法人日本アルミニウム連盟会長
日本火薬工業会会長
全国石油商業組合連合会会長
社団法人東京ガラス外装クリーニング協会会長
社団法人日本フードサービス協会会長
社団法人日本ホテル協会会長
社団法人全日本シティホテル連盟会長
社団法人日本観光旅館連盟会長
社団法人国際観光旅館連盟会長
全国産業廃棄物連合会会長
社団法人日本保安用品協会会長
社団法人日本医療法人協会会長
社団法人日本病院会会長
全国公私病院連盟会長
社団法人全国自治体病院協議会会長
社団法人全日本病院協会会長
社団法人日本衛生検査所協会会長