小規模溝掘削工事に伴う「土止め先行工法に関する指針
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小規模な溝掘削を伴う上水道、下水道、電気通信施設、ガス供給施設等の建設工事で多発する
土砂崩壊災害

溝内での土止め支保工の組立て又は解体作業中あるいは土止め支保工が未設置の溝内作業中に発生したものが9割を超える現状

 こうした災害のほとんどは、労働者が溝内に立ち入る前に適切な土止め支保工を設置することにより防止することができるものであることがら先行して土止め支保工を設置する工法を早急に普及・定着させることが上下水道等工事における土砂崩壊災害を防止するのに効果的である。

当該工法普及のためには
市町村等の発注者段階での工事積算・発注単価への反映が何より肝要だろう。

 

 

 

指針
通達
関連土砂崩壊災害の推移(グラフ)


土止め先行工法に関する指針

第1 目的
 本指針は、労働安全衛生関係法令と相まって、上下水道等工事の小規模な溝掘削作業又は溝内作業において、土止め先行工法による適切な土止め支保工等を設けることにより、地山の崩壊又は土石の落下を防止し、もって上下水道等工事における労働災害の防止を図ることを目的とする。

第2 適用対象
 本指針は、管渠の敷設等のために小規模な溝掘削作業を伴う上下水道等工事に適用する。

第3 用語の定義
 本指針で使用する主要な用語の定義は、労働安全衛生関係法令において規定されているもののほか、次による。

1 上下水道等工事
  上水道、下水道、電気通信施設、ガス供給施設等の建設工事をいう。 
2 小規模な溝掘削作業
  掘削深さが概ね1.5メートル以上4メートル以下で、掘削幅が概ね3メートル以下の溝をほぼ鉛直に掘削する作業をいい、掘削方法は機械掘削又は手掘りのいずれも含む。
3 溝内作業
  管渠の敷設、測量、点検、締固め等溝内に立ち入って行う作業(掘削作業を除く。)をいう。
4 土止め支保工等
  土止め支保工に加え、矢板工法による腹おこしや切りばり等の支保を有しない自立した土止め壁等を含めたものをいう。
5 土止め先行工法
  上下水道等工事において、溝掘削作業及び溝内作業を行うに当たって、労働者が溝内に立ち入る前に適切な土止め支保工等を先行して設置する工法であり、かつ、土止め支保工等の組立て又は解体の作業も原則として労働者が溝内に立ち入らずに行うことが可能な工法をいう。
6 土止め支保工等の組立て又は解体の作業
  土止め支保工の切りばり又は腹おこしの取付け又は取りはずしの作業に加え、矢板の建込み又は引き抜き作業等土止め支保工等に係るすべての部材の取付け又は取りはずしの作業を含めたものをいう。
7 土砂崩壊災害
  地山の崩壊又は土石の落下による労働災害をいう。

第4 講ずべき内容
1 土止め先行工法に係る施工計画の策定
  小規模な溝掘削作業を伴う上下水道等工事を行う場合は、次により、溝掘削を行う作業箇所等に係る事前調査を行うとともに、土止め計画、作業計画、仮設備計画、安全衛生管理計画及び工程表を作成することにより、土止め先行工法に係る施工計画を策定し、関係労働者に周知すること。

(1)事前調査
 ア 地山の調査
  溝掘削を行う作業箇所及びその周辺の地山等に関する次の事項について、現地踏査、過去の工事履歴の収集、地中埋設物の所有者への確認、ボーリング等の方法により調査を行い、これらの状態を把握すること。
  (ア)形状、地質及び地層の状態
  (イ)き裂、含水、湧水及び凍結の有無及び状態
  (ウ)埋設物等の有無及び状態
  (エ)高温のガス及び蒸気の有無及び状態

 イ 周囲の調査
  作業箇所周辺の道路、建築物、架空電線等溝掘削及び土止め支保工等の組立て又は解体の作業により影響を及ぼすおそれのあるものに関して、また、作業箇所周辺の交通量、交通規制等施工に影響を及ぼすおそれのあるものに関して、現地踏査等の方法により調査を行い、これらの状態を把握すること。

 ウ 計画への適応
 (2)以下の計画の作成に当たっては、ア及びイの調査結果に適応したものとすること。


(2)土止め計画

 ア 土止め支保工等の選定
  本指針の別紙を参考にして、(1)の事前調査の結果に適応した土止め支保工等の工法を選定し、当該工法に応じた土止め計画を作成すること。

 イ 構造
  土止め支保工等は、地山の形状、地質、地層、き裂、含水、湧水、凍結及び埋設物等の状態に応じた堅固な構造となるよう計画すること。

 ウ 設計
  土止め支保工等の設計に当たっては、土止め支保工等に作用する土圧、水圧のほか、機械、掘削土砂等の上載荷重、支保工部材の自重、地震荷重等を計算等により適切に設定すること。

 エ 部材等の確保
  土止め支保工等の構造に応じた使用部材の種類と量を確認するとともに、土止め支保工等の組立て又は解体の作業に必要な機械等を確認し、必要となる時期までに確保できるよう計画すること。

 オ 機械の使用
  土止め支保工等の組立て又は解体の作業に移動式クレーン、車両系建設機械等を使用する場合は、それらの機械による作業方法、運行経路等が明らかになるよう計画すること。

 カ 埋設物等の防護
  埋設物等について防護し、又は移設を行う等の必要がある場合は、その方法、時期等を土止め計画に示すこと。

 キ 組立図
  土止め支保工等の各部材の配置、寸法及び材質並びに取付けの時期及び順序が明記された組立図を作成すること。

 ク 点検
  土止め支保工等の点検及び補修に関して、その方法、時期等を土止め計画に示すこと。
  なお、点検項目は次の事項を含むものとすること。
   (ア)部材の損傷、変形、変位及び脱落の有無及び状態
   (イ)切りばりの緊圧の度合
   (ウ)部材の接続部、取付け部及び交さ部の状態



(3)作業計画

 ア 溝掘削作業
 (1)の事前調査結果及び(2)により選定した土止め支保工等の工法に適応した溝掘削の作業方法を決定し、次の事項を明らかにした溝掘削に係る作業計画を作成すること。

  (ア)溝掘削を行うための機械の種類、能力及び必要台数
  (イ)(ア)の機械の搬出入経路、設置場所及び運行経路の詳細
  (ウ)機械掘削と同時に手掘りを行う場合のそれぞれの作業範囲と作業方法
  (エ)(ア)の機械の運転中に立入禁止措置等を行う場合の方法
  (オ)溝掘削作業と土止め支保工等の組立て又は解体の作業及び溝内作業の関連

 イ 土止め支保工等の組立て又は解体の作業
 (2)の土止め計画に基づいた土止め支保工等の組立て又は解体の作業と溝掘削作業及び溝内作業の関連を明らかにした作業計画を作成すること。

 ウ 溝内作業
  溝内作業について、次の事項を明らかにした作業計画を作成すること。

  (ア)溝内作業の種類及び内容
  (イ)溝内作業の種類ごとに労働者が溝内に立ち入る時期及び作業位置
  (ウ)溝内作業の種類ごとに使用する機械の種類、能力及び必要台数
  (エ)(ウ)の機械の搬出入経路、設置場所及び運行経路の詳細
  (オ)(ウ)の機械の運転中に立入禁止措置等を行う場合の方法
  (カ)溝内作業と溝掘削作業及び土止め支保工等の組立て又は解体の作業の関連



(4)仮設備計画
  溝掘削作業、土止め支保工等の組立て又は解体の作業及び溝内作業において次の事項に関する仮設備を設置するときは、それぞれの作業との関連を明らかにした仮設備計画を作成すること。

 ア 安全に昇降するための設備
 イ 溝内への墜落を防止するための設備
 ウ 作業箇所へ通ずるための通路 
 エ 路面を覆工するための設備
 オ 分電盤、配線等電源を確保するための設備
 カ その他必要な仮設備



(5)安全衛生管理計画
  溝掘削作業、土止め支保工等の組立て又は解体の作業及び溝内作業の各工程に応じた労働災害防止対策及び次の事項を明らかにした安全衛生管理計画を作成すること。

 ア 安全衛生管理体制
 イ 安全衛生教育  
 ウ 安全衛生点検及び安全衛生活動



(6)工程表
  溝掘削作業、土止め支保工等の組立て又は解体の作業及び溝内作業において次の事項を明らかにした工程表を作成すること。 

 ア 各作業の順序、開始時期及び終了時期
 イ 各作業間の関連
 ウ 安全衛生管理に関する工程



2 土止め先行工法に係る施工計画の実施及び変更

  1で策定した土止め先行工法に係る施工計画に基づき、土止め先行工法による一連の作業を適切に実施すること。
  また、同施工計画を変更する必要が生じた場合は、事前に関係者と十分検討を行った後に変更を行い、変更した同施工計画は関係労働者へ確実に周知すること。




第5 土止め先行工法の実施に係る留意事項

1 土止め支保工等の組立て又は解体の作業における留意事項
  土止め先行工法による土止め支保工等の組立て又は解体の作業を行うときは、第4の1の(2)により作成した土止め計画に基づいて作業を行うとともに、次の事項に留意すること。

(1)部材
  土止め支保工等の部材は、適切に経年管理されたものを使用し、著しい損傷、変形又は腐食があるものは使用しないこと。

(2)組立て

 ア 組立図による組立て
   土止め支保工等は、第4の1の(2)のキの組立図により組み立てること。
 イ 部材の取付け
   切りばり、腹おこし等の部材は、脱落を防止するため、矢板等に確実に取り付けること。
 ウ 矢板の設置
   矢板は、掘削深さ、土圧、湧水、地質等を考慮して、軽量鋼矢板、縦ばりプレート等材質及び形状、寸法等を決定し、隙間のない壁面構造とするとともに、溝側への転倒及び変位を防止するための措置を講ずること。
 エ 腹おこしの設置
   腹おこしは、矢板に作用する土圧、作業性等を考慮して、材質、寸法等を決定し、矢板に密着させ、かつ、水平に設置すること。
 オ 切りばりの設置
   切りばりは、矢板及び腹おこしに作用する土圧、作業性等を考慮して、材質、寸法等及び水圧ジャッキ、油圧ジャッキ、切りばりサポート等の方式を決定し、腹おこしに対し直角、かつ、水平に設置すること。



(3)解体
 ア 切りばり及び腹おこしの取りはずし
   切りばり及び腹おこしを取りはずすときは、それらが取り付けられている位置まで埋め戻しが完了した後に行うこと。
 イ 矢板の引き抜き
   矢板を引き抜くときは、埋め戻しが完了した高さだけ引き抜くこと。



(4)作業全般

 ア 土止め支保工作業主任者の選任
   土止め支保工等の組立て又は解体の作業を行うときは、土止め支保工作業主任者を選任し、その者に作業を直接指揮させること。
 イ 溝内への立入禁止

   土止め支保工等の組立て又は解体の作業を行うときは、土砂崩壊災害を防止する専用の作業台等を使用する場合以外は、労働者を溝内に立ち入らせてはならないこと。

 ウ 関係労働者以外の立入禁止措置
   土止め支保工等の組立て又は解体の作業を行う箇所には、関係労働者以外の者が立ち入ることを禁止する措置を講ずること。
 エ 点検
   土止め支保工等を組み立てたときは、第4の1の(2)のクで定めた点検の方法等に基づき、点検を行い、異常を認めたときは、直ちに補修すること。
   また、点検の際には、土止め先行工法特有の部材、部品及び器具の状態について特に留意すること。



2 溝掘削作業及び溝内作業における留意事項
  溝掘削作業又は溝内作業を行うときは、第4の1の(3)により作成した作業計画に基づいて作業を行うとともに、次の事項に留意すること。

(1)溝掘削作業

 ア 地山の掘削作業主任者の選任
   溝掘削作業を行うときは、地山の掘削作業主任者を選任し、その者に作業を直接指揮させること。
 イ 手堀り作業
  (ア)手堀り作業の開始
    床均し、コーナー部の掘削等溝内での手堀り作業は、土止め支保工等を設置した後でなければ行ってはならないこと。
  (イ)つり網等の使用
    材料、器具等を上げ、又はおろすときは、つり網、つり袋等を使用させること。
  (ウ)昇降設備
    昇降するときは、第4の1の(4)により作成した仮設備計画に基づいて設置した昇降設備を使用させること。
 ウ 地山の点検
   溝掘削作業を行うときは、作業を開始する前及び作業を終了した後に、作業箇所及びその周辺の地山について、浮石及びき裂の有無及び状態並びに含水、湧水及び凍結の状態の変化を点検するとともに、次に示す地山の崩壊の兆候の有無及び状態について点検を行い、必要に応じて監視を継続すること。
  (ア)溝の肩の曲がり及び動き
  (イ)溝の背後地盤のき裂の発生及び広がり
  (ウ)岩地盤の新たなき裂の発生及び音の発生
  (エ)掘削側面の膨らみ及びせり出し
  (オ)掘削底面の隆起及び溝の背後地盤の沈下
  (カ)掘削底面への水と砂の湧き出し
  (キ)湧水量の増加及び湧水の濁り変化
  (ク)オーバーハング状態の発生

 エ 埋設物等
 
   埋設物等又はコンクリートブロック塀等の建設物に近接する場所での溝掘削作業は、第4の1の(2)により作成した土止め計画に基づいて防護等の対策を講じた後でなければ作業を行ってはならないこと。

 オ 保護帽
   溝掘削作業に従事する労働者に保護帽を着用させること。
 
 カ 照明
   溝掘削作業を行う場所について、照明施設を設置する等により必要な照度を保持すること。
 
 キ 排水
   溝掘削作業を行う場所に湧水がある場合は、集水のための釜場を設け、ポンプ等で排水を行うこと。


(2)溝内作業

 ア 溝内作業の開始
   溝内作業は、土止め支保工等を設けた後でなければ行ってはならないこと。
 イ つり網等の使用
   材料、器具等を上げ、又はおろすときは、つり網、つり袋等を使用させること。
 ウ 保護帽
   溝内作業に従事する労働者に保護帽を着用させること。

 エ 昇降設備
   昇降するときは、第4の1の(4)により作成した仮設備計画に基づいて設置した昇降設備を使用させること。



3 機械の使用における留意事項
  溝掘削作業、土止め支保工等の組立て又は解体の作業及び溝内作業において、移動式クレーン、車両系建設機械等の機械を使用する場合は、第4の1の(2)による土止め計画及び第4の1の(3)による作業計画で定めた運行経路及び作業方法等に基づいて適切に使用するとともに、次の点に留意すること。

(1)合図
  移動式クレーン、車両系建設機械等を使用するときは、一定の合図を定め、合図を行う者を指名し、その者に合図を行わせること。
(2)立入禁止措置
  移動式クレーンの旋回範囲内及び車両系建設機械等と接触するおそれのある箇所への立入禁止措置を講ずること。
(3)矢板等の引き抜き
  移動式クレーンを使用して、矢板等を引き抜く場合は、矢板等の引き抜き抵抗を考慮して、移動式クレーンの能力及び設置位置等を決定するとともに、厚生労働省通達昭和60年10月15日付け基発第595号「移動式クレーンを使用して行うくい抜き作業における安全対策について」に留意すること。
(4)矢板等の打込み
  ドラグ・ショベルを使用して、矢板等を打ち込む場合は、バケットによる押し込みで行い、バケットによる打撃は行わないこと。
(5)主たる用途以外の使用の制限
  土止め支保工等の組立て又は解体の作業及び溝内作業において、ドラグ・ショベルによる荷のつり上げ作業等車両系建設機械の主たる用途以外の使用に当たっては、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第164条によるほか、厚生労働省通達平成4年10月1日付け基発第542号「車両系建設機械を用いて行う荷のつり上げの作業時等における安全の確保について」に留意すること。

土止め先行工法による土止め支保工等の種類と特徴

1 土止め支保工等の種類

  土止め先行工法による土止め支保工等とは、労働者が溝内に立ち入る前に先行して設置する土止め支保工等のことであり、様々な工法があり現在もなお新たな工法の考案、既存の工法の改良が盛んに行われているところであるが、現在時点で比較的多く採用されており小規模な溝掘削作業に適していると考えられる代表的な工法を挙げると、次の通りである。

(1)建込み方式軽量鋼矢板工法

  掘削した地山が自立することを前提とした工法であり、その手順は、一定の深さまで掘削機械により溝掘削を行い、軽量鋼矢板を建て込んだ後、所定の深さまで押し込み、地上から専用の治具を使用して最上段の腹おこし及び切りばりを設置して土止め支保工を組み立てる方式である。2段目以降の腹おこし及び切りばりの設置は、専用の作業台を使用して行う。

(2)打込み方式軽量鋼矢板工法
 
  砂質土や湧水等のある軟弱な地盤の掘削に使用されることが多い工法であり、その手順は、溝の幅に合わせてあらかじめ軽量鋼矢板をくい打機等により打ち込んだ後、最上段の切りばりを設置する深さまで掘削を行い、地上から専用の治具を使用して腹おこし及び切りばりを設置して土止め支保工を組み立てる方式である。2段目以降の腹おこし及び切りばりの設置は、必要に応じ専用の作業台を使用して行う。

(3)スライドレール方式建込み簡易土止め工法

  土止め支保工を設置する箇所の地質、掘削深さに応じた数の切りばりをあらかじめ取り付けたスライドレールと呼ばれる柱状の部材を建て込んだ後、これに土止めパネルと呼ばれる板状の矢板を挿入し、一定の深さの溝を掘削しながらパネル及びスライドレールの圧入を繰り返して、土止め支保工を組み立てる方式である。

(4)縦ばりプレート方式建込み簡易土止め工法

  (3)と同様に、土止め支保工を設置する箇所の地質、掘削深さに応じた数の切りばりをあらかじめ取り付けた縦ばりプレートと呼ばれる板状の矢板を建て込んだ後、一定の深さまで溝を掘削しながらその縦ばりプレートの圧入を繰り返して、土止め支保工を組み立てる方式である。

(5)その他の工法

  土止め先行工法による土止め支保工等としては、上記4つの方式以外にも、規模は比較的大きくなるが、ブレードシールド工法などと呼ばれていたオープンシールドによる工法などもある。また、鋼矢板工法のように、腹おこしや切りばり等の支保を有さず、かつ、十分な根入れ深さがあり自立した土止め壁を設けることができる矢板工法も、労働者が掘削した溝に立ち入る前に先行して設置する限りにおいて、土止め先行工法である。



2 土止め支保工等の選定

  土止め先行工法による土止め支保工等の選定に当たっては、次の施工条件等を勘案し選定する。
  なお、一般的な選定の目安としては下表のとおりである。
  @ 工事の種類
  A 土質、埋め戻し土の有無等の土質状況
  B 地下水の状況
  C 掘削の規模及び形状
  D 地下埋設物の有無、種類、深さ、状況等
  E 道路、建築物、架空電線等の周囲の状況
  F 作業用地の広さ
  G 交通量、交通規制等
  H 騒音、振動対策の必要性
  I 工期等の契約条件

 

小規模溝掘削における土止め支保工等の一般的な選定の目安

比較項目→
地盤の状態
地下水位
施工の条件
掘削の規模
土止め先行工法の適否
軟弱 砂質土 粘性土 砂礫土 高い 低い 騒音振動(※1) 周辺地盤の沈下 壁の曲がり剛性 浅い 深い 広い
土止め工法の種類↓
軽量矢板工法(水圧ジャッキ使用)
(建込み方式) × × × × ×
(打込み方式) × ×
建込み簡易土止め工法
(スライドレール方式)
(縦ばりプレート方式)
木矢板工法 × × × × × × × ×
鋼矢板工法 ×
親杭横矢板工法 × × × ×

注:◎=最良、○=良、△=可能、×=不適
※1:この項目の判定は、採用する工法によって異なる。

 



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基安発第0329003号
平成14年3月29日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局安全衛生部長
(公印省略)


上下水道等工事における土砂崩壊災害防止対策の推進について

小規模な溝掘削を伴う上水道、下水道、電気通信施設、ガス供給施設等の建設工事(以下「上下水道等工事」という。)における労働災害の防止については、従来より行政の重点課題として取り組んでいるところである。しかしながら、依然として上下水道等工事における労働災害による死亡者数は毎年60人前後で推移しており、とりわけ同工事に付帯する溝掘削作業及び溝内作業中における土砂崩壊によるものがその約3割を占めている。これらの土砂崩壊による災害は、溝内での土止め支保工の組立て又は解体作業中あるいは土止め支保工が未設置の溝内作業中に発生したものが9割を超え、こうした災害のほとんどは、労働者が溝内に立ち入る前に適切な土止め支保工を設置することにより防止することができるものである。このため、このような溝内での作業に先行して土止め支保工を設置する工法(以下「土止め先行工法」という。)を早急に普及・定着させることが上下水道等工事における土砂崩壊災害を防止するのに効果的である。
このような状況を踏まえて、今般、建設業労働災害防止協会においては、土止め先行工法の普及を促進し、上下水道等工事における溝掘削作業時等の土砂崩壊災害を防止するため、土止め先行工法に係る施工計画の作成方法、土止め先行工法の実施に当たって留意すべき事項等を取りまとめた「土止め先行工法に関する指針」を別添のとおり策定し、建設業労働災害防止協会都道府県支部を通じてその普及を図ることとされたところである。
厚生労働省としても、上下水道等工事における土砂崩壊災害を防止する上で、当該指針の普及が重要と考えられることから、これに対する支援等を行っていくこととしているところである。
ついては、このことについて了知するとともに、貴局における発注者連絡会議の活用等の方法により、当該指針に基づく土止め先行工法の普及を図り、上下水道等工事における労働災害防止の一層の推進に努められたい。

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土砂崩壊災害による土留め支保工の状態別死亡災害発生状況(上下水道工事)

(単位:人)
  平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 合計 割合
土留め支保工なし
16
14
53
67.1%
土留め支保工の組立中又は解体中
21
26.6%
土留め支保工あり
6.3%
合計
22
14
14
21
79
100.0%