機械の包括的な安全基準に関する指針

■HOMEPAGE

■640/480  ■安全衛生管理





機械の包括的な安全基準に関する指針
平成13年6月1日




基発第   501号
平成13年6月1日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局長

機械の包括的な安全基準に関する指針について


 機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占め、死亡災害等重篤な災害も多発するなど、依然として労働災害防止上の重要な課題となっている。このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法その他の労働安全衛生関係法令等において、検査等の制度、譲渡等の制限等の規制を設け、危険性の高い機械については厚生労働大臣の定める規格を具備したものでなければならないこととしているほか、事業者に対して機械の使用に当たっての措置等を定めるなど、製造段階から使用段階にわたる安全確保を図っているところである。
 しかしながら、事業場内において使用される機械は多岐にわたるとともに、技術革新等により新しい機械も導入等されていることから、機械による労働災害をさらに減少させていくためには、すべての機械の安全水準の向上を図る措置が望まれるところであり、第9次労働災害防止計画においても、すべての機械に適用する包括的な安全基準の整備を図ることとされたところである。
 このような状況を踏まえ、今般、別添のとおり、
「機械の包括的な安全基準に関する指針」(以下「指針」という。)を策定したので、下記事項に留意の上、管内の機械の製造者等及び事業者が労働者に機械を使用させている事業場に対し、指針の周知を図るとともに機械による労働災害の一層の防止に努められたい。
なお、関係事業者団体に対しても同指針につき周知方協力を要請したので了知されたい。

1 指針の目的について

 
指針は、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準を示したものであり、機械の設計、製造等を行う製造者等及び機械を労働者に使用させる事業者がこの指針に従って安全方策等を行い、機械の安全化を図っていくことが望まれる。
 指針においては、安全な機械の製造等に当たって行うべき具体的な安全方策の方法等を示しているが、安全方策はこれに限定されるものではなく、製造者等及び機械を労働者に使用させる事業者は、個々の機械の危険源及び危険状態から生ずる危険の種類等に応じて、有効と考えられる安全方策を行うことが必要である。


2 指針に基づく機械の安全化の手順について

 機械の安全化の過程につき、その手順を別図1に示す。
                 

3 リスクアセスメントについて

 
指針においては、危険性の大きさをリスクという概念で捉え、リスクを低減することが安全化であるとしている。
 このため、リスクの見積り及び評価に係るリスクアセスメントは、機械の安全化を進めるためには必ず行う必要があるものである。
リスクアセスメントは、安全方策の実施により、機械のリスクが許容可能な程度にまで低減されているかを判断するものであるが、行われた安全方策によっては、機械を使用する者がこれを取り外して使用すること等も考えられることから、行われた安全方策が機械の機能や使い易さを損なっていないかについても判断することが望ましい。
 なお、リスクアセスメントと安全方策の手順を別図2に示す。
                

4 製造者等が行う安全方策について

 機械の安全化を図るためには、製造者等は、リスクの低減が確実に行われる安全方策を優先して実施することが必要であり、その
優先順序指針の6の(1)に示している。
 製造者等は、優先順序に従い、機械の使用者の知識、安全意識等に頼らない設備上の安全方策を行うことが必要であり、
コストが上昇する又は操作性等が低下する等の理由から、設備上の安全方策を図ることによりリスクを低減させることができるにもかかわらずこれを行うことなく使用上の情報の提供にのみ頼ることは適当でない。
 また、製造者等は、機械の使用者等から、機械に対する安全方策の追加、機械の改造等の理由で当該機械に関する問い合わせがあった場合に適切な助言が行えるよう、当該機械の安全化について実施したリスクアセスメント及び安全方策等について記録を作成し、保存しておくことが望ましい。


5 使用上の情報の提供について

 機械を安全に使用するためには、製造者等から当該機械の使用について必要な情報が提供されることが不可欠である。この情報については、単に機械の使用方法に限ることなく、機械のリスク等に関する情報も併せて提供することが、機械による労働災害を防止するためには必要である。
 機械の安全方策は、製造者等によって十分に行われることが原則であるが、リスクをすべて許容可能な程度まで低減することができない場合もある。このような場合において、機械による労働災害を防止するためには、製造者等から機械を使用する事業者に安全な使用のための情報を提供し、事業者がそれを受けて安全方策の追加等の措置を行うことが重要であることから、本質的な安全設計、安全防護及び追加の安全方策によってもリスクが十分に低減できない危険源及び危険状態について、使用上の情報として提供すべきものとしている。


6 機械を使用する事業者が行う安全方策について

 機械による労働災害を防止するためには、製造者等において安全方策を行うばかりでなく、労働者に機械を使用させる事業者においても、製造者等から与えられた情報に基づき、適切な安全方策を行うことが不可欠である。

 事業者が行うべき安全方策には、一般には次のような事項がある。
(1)機械の適正な設置
(2)労働者の保護具の整備及びその使用についての指示
(3)作業標準の作成、作業指揮系統の明確化等の作業管理体制の整備
(4)労働者に対する教育、訓練の実施

 事業者は、これらの措置について製造者等から提供された使用上の情報に基いて行うことが原則であるが、他の機械と組み合わせて使用する場合等新たな危険の生じるおそれがあるときは、その都度、リスクアセスメントを行い安全方策を検討すること、製造者等から追加的に情報を得ること、製造者等による教育、訓練の実施を求めること等も必要である。
 また、機械の安全化のために、機械の使用者の立場から気づいた点については、製造者等に情報を提供することが望ましい。










機械の包括的な安全基準に関する指針
(本文)


1 目的

 機械の包括的な安全基準に関する指針(以下「指針」という。)は、機械の製造者等が機械の設計、製造等を行う場合及び事業者が機械を労働者に使用させる場合において、機械のリスクを低減させ、機械の安全化を図るため、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準を定めたものであり、製造者等による安全な機械の製造等及び事業者による機械の安全な使用を促進し、もって機械による労働災害の防止に資することを目的とするものである。




2 適用の範囲

 指針は、機械の設計及び製造等を行う製造者等並びに当該機械を労働者に使用させる事業者に適用する。




3 用語の定義

 指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 機械 材料の加工、処理、移動、梱包等の特定の用途のために部品又は構成品を組み合わせたものであって、機械的な作動機構、制御部及び動力部を有し、当該部品又は構成品のうち少なくとも一つが動くものをいう。

(2) 危険源 労働災害を引き起こす根源をいう。

(3) 危険状態 労働者が危険源にさらされる状態をいう。

(4) リスク 労働災害の発生する確率とその労働災害の大きさを組み合わせることによって表す、危険性の評価のための指標をいう。

(5) リスクアセスメント 利用可能な情報を用いて危険源及び危険状態を特定し、当該危険源及び危険状態のリスクを見積もり、かつ、その評価をすることによって、当該リスクが許容可能か否かを判断することをいう。

(6) 使用上の情報 機械を安全に使用するために製造者等が提供する情報であって、表示又は警告表示の貼付、信号装置又は警報装置の設置、取扱説明書等の文書の交付、教育訓練の実施等により行われるものをいう。

(7) 製造者等 機械の設計、製造又は改造を行う者及び機械を輸入した者をいう。

(8) 安全方策 リスクの低減(危険源の除去を含む。以下同じ。)のための手段をいう。この安全方策には、製造者等が行う本質的な安全設計、安全防護、追加の安全方策及び使用上の情報の提供並びに事業者が行う作業の実施体制の整備、作業手順の作成、安全防護物の設置、保護具の備付け及び労働者に対する教育訓練の実施等を含む。

(9) 本質的な安全設計 機械の設計を工夫することにより安全防護物等の付加的な設備の設置を行うことなくリスクの低減を行う安全方策をいう。

(10) 安全防護装置 機械に取り付けることにより、単独で、又はガードと組み合わせて使用する光線式安全装置、両手操作式安全装置等のリスクの低減のための装置をいう。

(11) 安全防護物 ガード又は安全防護装置をいう。

(12) 安全防護 安全防護物の設置による安全方策をいう。

(13) 追加の安全方策 労働災害に至る緊急事態からの回避等のために行う安全方策(本質的な安全設計、安全防護及び使用上の情報の提供以外のものに限る。)をいう。

(14) 製造等における残存リスク 製造者等が設備上の安全方策(本質的な安全設計、安全防護及び追加の安全方策をいう。以下同じ。)を講じた後に残るリスクをいう。

(15) 意図する使用 使用上の情報により示される製造者等が予定している目的及び方法による機械の使用をいう。

(16) 合理的に予見可能な誤使用 製造者等が意図しない目的又は方法による機械の使用であって、容易に予見可能な人間の共通的な行動特性により行われるものをいう。




4 製造者等による機械のリスク低減のための手順

(1) 製造者等は、機械の設計、製造若しくは改造又は輸入した機械の譲渡若しくは貸与(以下「製造等」という。)を行うときは、当該機械のリスクアセスメントを行うこと。

(2) 製造者等は、製造等を行う機械のリスクアセスメントを行った結果、リスクが許容可能な程度に低減されていないと判断された当該機械の危険源及び危険状態については、必要な安全方策を行い、当該機械のリスクを低減すること。




5 リスクアセスメントの方法

(1) 製造等を行う機械のリスクアセスメントは、次に定める順序により行うこと。

 ア 機械が使用等される状況を特定すること。
 イ 機械の危険源及び危険状態を特定すること。
 ウ 特定された機械の危険源及び危険状態のリスクを見積もること。
 エ 見積もったリスクを評価し、リスクの低減の必要性の有無を決定すること。

(2) 機械が使用等される状況には、次のものを含めること。

 ア 機械の意図する使用が行われる状況
 イ 機械の段取り、異常に対する措置、そうじ、検査、修理、運搬、据付け、試運転、廃棄等の作業が行われる状況
 ウ 機械に故障、異常等が発生している状況
 エ 機械の合理的に予見可能な誤使用が行われる状況
 オ 機械に関係労働者等が接近している状況





6 製造者等による安全方策の実施

(1) 製造者等による機械のリスクを低減するための安全方策は、次に定める順序により行うこと。

 ア 本質的な安全設計を行うこと。
 イ 本質的な安全設計により許容可能な程度に低減できないリスクについては、必要な安全防護及び追加の安全方策を行うこと。
 ウ 本質的な安全設計並びに安全防護及び追加の安全方策により許容可能な程度に低減できないリスクについては、使用上の情報の中で機械を譲渡し、又は貸与する者に提供すること。

(2) 製造者等は、安全方策を行うときは、新たな危険源又はリスクの増加を生じないよう留意すること。





7 製造者等が行う安全方策の具体的方法等

(1) 本質的な安全設計の方法
  製造者等は、別表第1に定める方法その他適切な方法により本質的な安全設計を行うこと。

(2) 機械的危険源に対する安全防護の方法
  製造者等は、別表第2に定める方法その他適切な方法により危険源のうち機械の運動部分の動作に伴うものに対する安全防護を行うこと。

(3) 追加の安全方策の方法
  製造者等は、別表第3に定める方法その他適切な方法により追加の安全方策を行うこと。

(4) 使用上の情報の提供

 ア 製造者等は、別表第4に定める事項その他機械を安全に使用するために必要な事項を使用上の情報として提供すること。
 イ 製造者等は、別表第5に定める方法その他適切な方法により使用上の情報を提供すること。
 ウ 製造者等は、設備上の安全方策により低減が可能であるリスクについては、使用上の情報の提供を行うことにより設備上の安全方策に代えてはならないこと。

(5) 安全方策に係る留意事項
  製造者等は、安全方策を行うときは、危険の種類等に応じ、別表第6に定める事項に留意すること。





8 リスク低減のための措置の記録

 製造者等は、製造等を行う機械のリスクアセスメントの結果及び実施した安全方策の内容その他の本指針に基づき機械のリスクの低減のために行った措置を記録すること。





9 事業者によるリスク低減の手順

(1) 事業者は、機械を労働者に使用させるときは、製造者等から提供された使用上の情報の内容を確認すること。この場合において、事業者は、必要に応じて、リスクアセスメントを行うこと。

(2) 事業者は、使用上の情報又は自ら行ったリスクアセスメントの結果に基づき、必要な安全方策を行うこと。





10 注文時の条件

 機械の製造等を注文する者は、当該注文の条件が本指針の趣旨に反することのないように配慮すること。


















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別表第1 本質的な安全設計の方法


1 危険を及ぼすおそれのある鋭利な端部、角、突起物等を除去すること。


2 労働者の身体の一部がはさまれること等による危険を防止するため、機械の形状、寸法等及び機械の駆動力等を次に定めるところによるものとすること。

(1) はさまれるおそれのある部分については、身体の一部が進入できない程度に狭くするか、又ははさまれることがない程度に広くすること。

(2) はさまれたときに、身体に被害が生じない程度に駆動力を小さくすること。

(3) 激突されたときに、身体に被害が生じない程度に運動エネルギーを小さくすること。


3 機械の損壊等による危険を防止するため、機械の強度等については、次に定めるところによるものとすること。

(1) 適切な強度計算等により、機械各部に生じる応力を制限すること。

(2) 安全弁等の過負荷防止機構により、機械各部に生じる応力を制限すること。

(3) 機械に生じる腐食、経年劣化、磨耗等を考慮して材料を選択すること。


4 有害性のない材料の使用、本質安全防爆構造電気機械器具の使用等の本質安全の技術を使用すること。


5 労働者の身体的負担の軽減、誤操作等の発生の抑止等を図るため、人間工学に基づく配慮を次に定めるところにより行うこと。

(1) 労働者の身体の大きさ等に応じて機械を調整できるようにし、作業姿勢及び作業動作を労働者に大きな負担のないものとすること。

(2) 機械の作動の周期及び作業の頻度については、労働者に大きな負担を与えないものとすること。

(3) 通常の作業環境の照度では十分でないときは、照明設備を設けることにより作業に必要な照度を確保すること。


6 制御システムの故障等による危険を防止するため、制御システムについては次に定めるところによるものとすること。

(1) 部品及び構成品は信頼性の高いものを使用すること。

(2) 起動は、制御信号のエネルギーの低い状態から高い状態への移行によるものとすること。また、停止は、制御信号のエネルギーの高い状態から低い状態への移行によるものとすること。

(3) 機械が安全防護装置の作動等によって停止したときは、当該機械は、運転可能な状態に復帰した後においても再起動の操作をしなければ運転を開始しないようにすること。

(4) 安全上重要な部分に、非対称故障特性、冗長系、異種冗長化構成、自動監視等の安全技術を用いること。

(5) プログラム可能な制御装置にあっては、故意又は過失によるプログラムの変更が容易にできないようにすること。

(6) 電磁ノイズによる機械の誤動作の防止及び他の機械の誤動作を引き起こすおそれのある不要な電磁波の放射の防止のための措置を行うこと。


7 危険状態が次に定めるところにより生じないようにすること。

(1) 機械の運動部分が動作する領域の外側から作業を行えるようにすること。

(2) 機械への材料の供給又は加工、製品の取り出し等の作業を自動化すること。










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別表第2 機械的危険源に対する安全防護の方法


1 安全防護は、安全防護を行うべき領域(以下「安全防護領域」という。)について、固定ガ−ド、可動ガ−ド若しくは調節ガ−ド又は光線式安全装置、両手操作式安全装置等の安全防護物を設けることにより行うこと。


2 安全防護領域は次に定める領域を考慮して定めること。

(1) 危険源となる運動部分が動作する最大の領域(以下「最大動作領域」という。)

(2) 設置する安全防護物の種類に応じ、当該安全防護物が有効に機能するために必要な距離を確保するための領域

(3) 労働者が最大動作領域に進入して作業を行う必要がある場合には、進入する身体の部位に応じ、はさまれ防止のために必要な空間を確保するための領域


3 安全防護物の設置は、機械の使用等される状況に応じ、次に定めるところにより行うこと。

(1) 安全防護領域に進入して作業を行う必要がないときは、当該安全防護領域の全周囲を固定ガード、可動ガ−ド、光線式安全装置等身体の一部の進入を検知して機械を停止させる安全防護装置で囲むこと。

(2) 安全防護領域に進入して作業を行う必要があり、かつ、危険源となる運動部分の動作を停止させることにより安全防護を行う場合は、次に定めるところにより行うこと。

 ア 安全防護領域の周囲のうち作業を行うために開口部とすることが必要な部分以外には、固定ガード等を設けること。
 イ 作業を行うための開口部については、可動ガード又は安全防護装置を設けること。
 ウ 労働者が作業を行うための開口部を通って安全防護領域内に全身を入れることが可能であるときは、当該安全防護領域内の労働者を検知する装置等を設けること。

(3) ガ−ドについては、次に定めるところによるものとすること。

 ア 危険を及ぼすおそれのある鋭利な端部、角、突起物等がないこと。
 イ 十分な強度を有し、かつ、容易に腐食、劣化等しない材料を使用すること。
 ウ 開閉の繰返し等に耐えられるようヒンジ部、スライド部等の可動部品及びそれらの取付部は、十分な強度を有すること。
 エ ヒンジ部、スライド部等の可動部品には、緩み止め又は脱落防止措置が施されていること。
 オ 機械に直接ガードを取り付けるときは、溶接等により機械と一体にされているか、又はボルト等で固定されることにより、工具を使用しなければ取外しできないようにされていること。

(4) 固定ガ−ドについては、次に定めるところによるものとすること。

 ア 製品の通過等のための開口部は、最小限の大きさとすること。
 イ 開口部を通って労働者の身体の一部が最大動作領域に達するおそれがあるときは、当該開口部に当該労働者の身体の一部が最大動作領域に達することがない十分な長さを持つトンネルガード又は安全防護装置を設けること。

(5) 可動ガードについては、次に定めるところによるものとすること。

 ア 可動ガードが完全に閉じていないときは、危険源となる運動部分を動作させることができないこと。
 イ 可動ガードを閉じたときに、危険源となる運動部分が自動的に動作を開始しないこと。
 ウ ロック機構(危険源となる運動部分の動作中はガ−ドが開かないように固定する機構をいう。以下同じ。)のない可動ガードは、当該可動ガードを開けたときに危険源となる運動部分が直ちに動作を停止すること。
 エ ロック機構付きの可動ガードは、危険源となる運動部分が完全に動作を停止した後でなければガードを開けることができないこと。
 オ 危険源となる運動部分の動作を停止する操作が行われた後一定時間を経過しなければガ−ドを開くことができない構造とした可動ガードにおいては、当該一定時間を当該運動部分の動作が停止するまでに要する時間より長く設定すること。
 カ ロック機構等を容易に無効とすることができないものとすること。

(6) 調節ガ−ド(全体が調節できるか、又は調節可能な部分を組み込んだガ−ドをいう。)は、調節により安全防護領域を覆うか、又は当該安全防護領域を可能な限り囲うことができ、かつ、特殊な工具等を使用することなく調節できるものとすること。

(7) 安全防護装置については、次に定めるところによるものとすること。

 ア 使用の条件に応じた十分な強度及び耐久性を有すること。
 イ 信頼性の高いものとすること。
 ウ 容易に無効とすることができないものとすること。
 エ 取外すことなしに、機械の工具の交換、そうじ、給油及び調整等の作業が行えるよう設けること。

(8) 安全防護装置の制御システムについては、次に定めるところによるものとすること。

 ア 労働者の安全が確認されている場合に限り機械の運転が可能となるものであること。
 イ リスクに応じて、故障による危険状態の発生確率を抑制すること。










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別表第3 追加の安全方策の方法


1 非常停止の機能を付加すること。


2 機械にはさまれる、若しくは巻き込まれること等により拘束された労働者の脱出又は救助のための措置を可能とすること。


3 機械の動力源からの動力供給を遮断するための措置及び機械に蓄積又は残留したエネルギ−を除去するための措置を可能とすること。










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別表第4 使用上の情報の内容


1 製造者の名称、住所、型式及び製造番号等の機械を特定するための情報


2 機械の意図する使用目的及び使用方法


3 機械の仕様に関する情報


4 機械のリスク等に関する情報

(1) 機械の安全性に係る設計条件

(2) リスクアセスメントで特定した危険源及び危険状態(リスクが残存しているものに限る。)

(3) 機械の危険源及び危険状態に対して行った設備上の安全方策(当該機械を使用するときの不適正な取扱い等によりリスクが生じるか、又は増加するものに限る。)

(4) 製造等における残存リスクを低減するために必要な保護具、労働者に対する教育訓練等の安全方策


5 機械を使用等するために必要な事項

(1) 機械の構造に関する情報

(2) 機械の運搬、保管、組立て、据付け及び試運転等に関する情報

(3) 機械の運転に関する情報

(4) 機械の保守等作業に関する情報

(5) 機械の故障及び異常等に関する情報

(6) 機械の使用の停止、撤去、分解及び廃棄等に関する情報


6 予見される故意の誤った使用についての警告










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別表第5 使用上の情報の提供の方法


1 標識、警告表示等の貼付は次に定めるところによるものとすること。

(1) 機械の内部、側面、上部等の適切な場所に貼り付けられていること。

(2) 機械の寿命を通じて明瞭に判読できるものとすること。

(3) 容易にはく離しないものとすること。

(4) 標識又は警告表示は、次に定めるところによるものとすること。

 ア 危険の種類及び内容が説明されていること。
 イ 内容が明確かつ直ちに理解できるものであること。
 ウ 禁止事項又は行うべき事項について指示を与えること。
 エ 再提供することが可能であること。


2 警報装置は、次に定めるところによるものとすること。

(1) 聴覚信号又は視覚信号による警報が必要に応じ使用されていること。

(2) 機械の内部、側面、上部等の適切な場所に設置されていること。

(3) 機械の起動、速度超過等重要な警告を発するために使用する警報装置は、次に定めるところによるものすること。

 ア 危険事象が発生する前に発信すること。
 イ 曖昧さがないこと。
 ウ 確実に感知又は認識でき、かつ、他の全ての信号と識別できること。
 エ 感覚の慣れが生じにくい警告とすること。
 オ 信号を発する箇所は、点検が容易なものとすること。


3 取扱説明書等の文書の交付は、次に定めるところによるものとすること。

(1) 機械本体の納入時又はそれ以前の適切な時期に提供されること。

(2) 機械が廃棄されるときまで判読が可能な耐久性のあるものとすること。

(3) 再提供することが可能であること。


4 機械を使用する者に対し、必要に応じ、教育訓練を行うこと。










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別表第6 安全方策に係る留意事項


1 加工物、工具、排出物等の落下、飛び出し等による危険のおそれのあるときは、ガードを設けること等の措置を講じること。


2 油、空気等の流体を使用する場合において、高圧の流体の噴出等による危険のおそれのあるときは、ホース等の損傷を受けるおそれのある部分にガードを設けること等の措置を講じること。


3 機械の高温又は低温の部分への接触等による危険のおそれのあるときは、当該高温又は低温の部分にガ−ドを設けること等の措置を講じること。


4 使用する可燃性のガス、液体等による火災のおそれのあるときは、機械の過熱を防止すること等の措置を講じること。


5 使用する可燃性のガス、液体等による爆発のおそれのあるときは、爆発の可能性のある濃度となることを防止すること等の措置を講じること。


6 感電による危険のおそれのあるときは、充電部分にガードを設けること等の措置を講じること。


7 高所での作業等墜落等による危険のおそれのあるときは、作業床を設け、かつ、当該作業床の端に手すりを設けること等の措置を講じること。


8 移動時に転落等の危険のおそれのあるときは、安全な通路及び階段を設けること等の措置を講じること。


9 作業床における滑り、つまづき等による危険のおそれのあるときは、床面を滑りにくいものとすること等の措置を講じること。


10 有害物質による健康障害を生ずるおそれのあるときは、有害物質の発散源を密閉すること、発散する有害物質を排気すること等当該有害物質へのばく露低減化の措置を講じること。


11 電離放射線、レ−ザ−光線等(以下「放射線等」という。)による健康障害を生ずるおそれのあるときは、放射線等が発生する部分を遮へいし、外部に漏洩する放射線等の量を低減すること等の措置を講じること。


12 騒音又は振動による健康障害を生ずるおそれのあるときは、発生する騒音又は振動を低減するための措置を講じること。


13 機械の保守等作業における危険を防止するため、次に定める措置を講じること。

(1) 保守等作業は、次に定める優先順位により行うことができること。

 ア 安全防護領域の外で保守等作業を行うことができるようにすること。
 イ 安全防護領域の中で保守等作業を行う必要があるときは、機械を停止させて保守等作業を行うことができるようにすること。
 ウ 機械を停止させて保守等作業を行うことができないときは、保守等作業におけるリスクの低減のために必要な措置を講じること。

(2) 自動化された機械の部品又は構成品で、作業内容の変更に伴い交換しなければならないもの、摩耗又は劣化しやすいものその他の頻繁な交換が必要なものについては、容易かつ安全に交換が可能なものとすること。

(3) 動力源の遮断については、次に定めるところによるものとすること。

 ア すべての動力源から遮断できること。
 イ 動力源からの遮断装置は、明確に識別できること。
 ウ 動力源の遮断装置の位置から作業を行う労働者が視認できないもの等必要な場合は、遮断装置は動力源を遮断した状態で施錠できるものとすること。
 エ 動力源の遮断後においても機械の回路中にエネルギーが蓄積又は残留するものにおいては、当該エネルギーを労働者に危険を及ぼすことなく除去できるものとすること。


14 機械の運搬等における危険を防止するため、つり上げのためのフック等を設けること等の措置を講じること。


15 機械の転倒等による危険を防止するため、機械自体の運動エネルギー、外部からの力等を考慮し安定性を確保するための措置を講じること。


16 機械の運転開始時の危険を防止するため、運転開始前の確認は、次に定める優先順位により行うことができること。

(1) 操作位置から、安全防護領域内に労働者がいないことを視認できること。

(2) 機械の運転を開始しようとするときは、聴覚信号は視覚信号による警報を発することができるものとすること。この場合において、操作者以外の労働者には、機械の動作開始を防ぐための措置を取り、又は危険箇所から退避する時間及び手段が与えられること。


17 誤操作による危険を防止するため、操作装置については、次に定める措置を講じること。

(1) 操作部分等については、次に定めるものとすること。

 ア 起動、停止、運転制御モードの選択等が容易にできること。
 イ 明確な識別が可能で、誤認の可能性があるとき等必要な場合には適切な表示が付されていること。
 ウ 操作の方向が、それによる機械の運動部分の動作の方向と一致していること。
 エ 操作の量及び操作の抵抗力が、操作により実行される動作の量に対応していること。
 オ 機械の運動部分が動作することにより危険が生じるものである場合においては、意図的な操作によってのみ操作できるものとすること。
 カ 操作部分を動かしているときのみ動作する機能を有する操作装置については、操作部分から手を離すこと等により操作部分を動かすことをやめたときは、当該操作部分が自動的に中立位置に戻るものとすること。
 キ キ−ボ−ド等で行う操作のように操作部分と動作の間に一対一の対応がないものについては、実行される動作がディスプレイ等に明確に表示され、必要に応じ動作前に操作を解除できるものとすること。
 ク 作業において保護手袋等の保護具等の使用が必要なものについては、その使用による操作上の制約を考慮に入れたものとすること。
 ケ 非常停止装置等の操作部分は、操作の際に予想される負荷に耐える強度を有すること。
 コ 操作が適正に行われるために必要な表示装置が操作位置から明確に視認できる位置に設けられていること。
 サ 迅速かつ確実に操作できる位置に配置されていること。
 シ 安全防護領域内に設けることが必要な非常停止装置、ティーチング装置等の操作装置を除き、安全防護領域の外に設けられていること。

(2) 起動装置については、次に定めるところによるものとすること。

 ア 起動装置を意図的に操作したときに限り、機械の起動が可能であること。
 イ 複数の起動装置を有する機械で、複数の労働者が作業に従事したときにいずれかの起動装置の操作により他の労働者に危害を及ぼすおそれのあるものについては、一つの起動装置の操作により起動する部分を限定すること等当該危険を防止するための措置を講じること。

(3) 機械の運転制御モ−ドについては、次に定めるところによるものとすること。

 ア 選択された運転制御モ−ドは、非常停止を除くすべてのモ−ドに優先すること。
 イ 安全水準の異なる複数の運転制御モードで使用されるものについては、個々の運転制御モードの位置で固定できるモード切り換え装置を備えていること。
 ウ ガ−ドを取り外し、又は安全防護装置を解除して機械を運転するときに使用するモ−ドには、次のような機能を有するものとすること。
  (ア)手動による操作方法によってのみ、危険源となる運動部分を動作できること。
  (イ)動作を連続して行う必要があるときは、危険源となる運動部分は、速度の低下、駆動カの低下、ステップバイステップ動作等でのみ動作できること。

(4) 通常の停止のための装置については、次に定めるところによるものとすること。

 ア 停止命令は、運転命令より優先されること。
 イ 複数の機械を組合せ、連動して運転するものにあっては、いずれかの機械を停止させたときに、運転を継続するとリスクの増加を生じるおそれのある他の機械も同時に停止する構造のものとすること。
 ウ 各操作部分に機械の一部又は全部を停止させるためのスイッチが設けられていること。

(5) 非常停止装置については、次に定めるところによるものとすること。

 ア 非常停止のためのスイッチが、明瞭に視認でき、かつ、直ちに操作可能な位置に必要な個数設けられていること。
 イ 操作されたときに、リスクの増加を生じることなく、かつ、可能な限り速やかに機械を停止できること。
 ウ 操作されたときに、必要に応じ、安全のための装置等を始動するか、又は始動を可能とすること。
 エ 非常停止装置の解除の操作が行われるまで停止命令を維持すること。
 オ 定められた解除操作が行われたときに限り、非常停止装置の解除が可能であること。
 カ 非常停止装置の解除操作をしたときに、それにより直ちに再起動することがないこと。