安全衛生教育の推進について(厚生労働省「安全衛生教育推進要綱」)

 ■HOMEPAGE ■安全衛生管理




安全衛生教育の推進について

 安全衛生教育の体系


平成3年1月21日基発第39号
改正 平成9年2月3日基発第66号

 

 


 安全衛生教育については、労働災害防止対策の重点として、従前より種々の施策を講じてきたところであり、昭和59年には労働者の職業生活全般を通じ適時適切な安全衛生教育の推進を主眼とする「安全衛生教育推進要綱」を定め、同要綱に基づいて各種の安全衛生教育の計画的な推進に努めてきたところである。
  しかしながら、最近においては、技術革新の急速な進展、高年齢労働者の増加、パートタイム労働者の増加等にみられる就業形態の多様化、第三次産業の進展等社会経済情勢の変化に伴い労働災害の増加が懸念されており、事業場においてこれらの変化に的確に対応しつつ、安全衛生水準の向上に資する適切かつ有効な安全衛生教育を実施することが求められている。
  このため、こうした状況を踏まえ、新たに別紙の「安全衛生教育推進要綱」を定め、今後は本要綱に基づいて必要な安全衛生教育の推進を図ることとしたので、事業者をはじめ安全衛生団体等に対しこの旨周知するとともに、安全衛生団体等との連携を図り、これら教育の実施計画を策定し推進するための協議会を設置する等地域の実情に応じた安全衛生教育の推進について指導・援助されたい。
  なお、本通達をもって、昭和59年2月16日付け基発第76号は廃止する。

安全衛生教育推進要綱

1.趣旨・目的

 安全衛生教育(以下「教育」という。)は、労働者の就業に当たって必要な安全衛生に関する知識等を付与するために実施されるもので、機械設備の安全化、作業環境の快適化等の施策とあいまって労働災害の防止の実効を期す上で極めて重要な施策である。また、教育は、企業はもとより広く社会における安全衛生意識の普及・定着を促すための貴重な機会であり、安全衛生に関係する様々な立場にある者に対してその機会を提供することにより、我が国の安全衛生水準の向上に大きく寄与するものと期待される。
  このため、労働省では労働安全衛生法に基づく雇入時教育、作業内容変更時教育、特別教育、職長等教育、危険有害業務従事者に対する教育、安全衛生業務従事者に対する能力向上教育及び健康教育はもとより、労働災害の防止のために必要な教育については法定外のものであってもカリキュラム等を定め、安全衛生団体等を通じ実施の促進を図ってきたところである。
  しかしながら、近年における技術革新の進展、就業形態の多様化等労働環境を取り巻く情勢の変化、これに伴う労働災害の動向等は、教育の重要性を改めて認識させるとともにより適切かつ有効な教育の実施を求めている。
  本要綱は、以上のような状況を踏まえ、次のような基本的な立場に立って教育の今後の在り方、進め方を示すものである。

(1) 各種の教育は、相関連して総合的な観点から実施されることが効果的であることから、法定及び法定外の教育全般について体系化を図る。
(2) 労働者の生涯を通じた教育、経営首脳者・管理監督者・労働者等企業内における各層に対するそれぞれの立場に応じた教育に留意する。
(3) 機械設備の安全化を促進するための設計技術者等に対する教育及び事業場の安全衛生水準の向上のための技術面での指導援助を担当する安全衛生専門家の研修を充実する。
(4) 教育の種類・内容等は、技術革新、労働者の高齢化、就業形態の多様化等近年の労働環境の変化に対応したものとする。
(5) 教育内容の具体化、教材の整備、講師の養成、教育実施機関の育成等を通じ、教育水準の向上を図る。
(6) 教育の促進のため、企業、安全衛生団体等に対する指導・援助を行なう。

2.教育の対象者

 教育の対象者は、作業者、管理監督者、経営首脳者、安全衛生専門家、技術者等とし、それぞれ次に掲げる者とする。

(1) 作業者
[1] 危険有害業務に従事する者
 イ 就業制限業務に従事する者
 ロ 特別教育を必要とする危険有害業務に従事する者
 ハ その他の危険有害業務に従事する者
[2] [1]以外の業務に従事する者

(2) 管理監督者
[1] 安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者及び衛生推進者
[2] 作業主任者、職長及び作業指揮者
[3] 元方安全衛生管理者
[4] 救護技術管理者
[5] 計画参画者

(3) 経営首脳者
[1] 事業者
[2] 総括安全衛生管理者
[3] 統括安全衛生責任者及び安全衛生責任者

(4) 安全衛生専門家
[1] 産業医
[2] 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント
[3] 安全管理士及び衛生管理士
[4] 作業環境測定士
[5] 「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年健康保持増進のための指針)に定める運動指導担当者、運動実践担当者、心理相談担当者、産業栄養指導担当者及び産業保健指導担当者

(5) 技術者等
[1] 特定自主検査に従事する者及び定期自主検査に従事する者等
[2] 生産・施工部門の管理者及び技術者
[3] 機械設備及び建設物の設計技術者等

(6) その他
[1] 季節労働者
[2] 海外派遣労働者
[3] 就職予定者
[4] その他教育を必要とする者

3.教育の種類、実施時期及び内容

  事業者が実施しなければならない教育の種類は、労働安全衛生法に基づく雇入時教育、作業内容変更時教育、特別教育、職長等教育、危険有害業務従事者に対する教育、安全衛生業務従事者に対する能力向上教育及び健康教育である。また、これら法定教育以外の教育で事業者が実施すべきものは次のとおりとする。

(1) 就業制限業務又は特別教育を必要とする危険有害業務に準ずる危険有害業務に初めて従事する者に対する特別教育に準じた教育
(2) 一定年齢に達した労働者に対する高齢時教育
(3) 職長等に対する能力向上教育に準じた教育
(4) 作業指揮者に対する指名時の教育
(5) 特定自主検査に従事する者に対する能力向上教育に準じた教育
(6) 生産・施工部門の管理者、設計技術者等に対する技術者教育
(7) 経営首脳者に対する安全衛生セミナー
(8) 労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の安全衛生専門家に対する実務向上研修
(9) 季節労働者に対する教育
(10) 海外派遣労働者に対する教育
(11) 就業予定の実業高校生に対する教育

  なお、教育の対象者ごとに実施する教育の種類、実施時期及び内容は、具体的には、別表によることとする。また、こられの教育の体系は、別図のとおりである。

4.教育の実施体制

 教育は、企業、安全衛生団体等及び国がそれぞれの立場で相互に連携して推進する。企業内の安全衛生関係者に対する教育については、企業が自ら又は安全衛生団体等に委託して実施する。安全衛生団体等は、安全衛生の専門的事項に関すること等企業が自ら実施することの困難な教育、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の安全衛生専門家に対する研修等を実施するほか、教育を担当する講師の養成、教材の整備等を図る。国は、必要に応じ教育のカリキュラムを策定するほか、教育を実施する企業及び安全衛生団体等に対して教育用資料の提供等の指導・援助を行う。
  また、企業及び安全衛生団体等は、教育の実施に当たっては、次により計画的な実施と教育内容等の充実を図る。

(1) 実施計画等の作成

 教育の種類ごとに、対象者、実施日、実施場所、講師及び教材等を定めた年間の実施計画を作成する。企業においては、労働者の職業生活を通じての継続的な教育の実施等のため、中長期的な推進計画を作成することが望ましい。

(2) 実施結果の保存等

 教育を実施した場合には、台帳等にその結果を記録し、保存する。また、安全衛生団体等が実施した場合には、修了者に修了証を交付する。

(3) 実施責任者の選任

 実施計画の作成、実施、実施結果の記録・保存等教育に関する業務の実施責任者を選任する。

(4) 教育内容の充実

 教育内容の充実のため、講師の養成・選定、教材の作成・選定等については次の点に留意する。

 イ 講師は、当該業務に関する知識・経験を有する者であることはもちろんのこと教育技法に関する知識・経験を有する者であることが望ましい。このため、安全衛生団体等は、指導者に対する研修等の実施により講師の養成を図る。
 ロ 教材は、カリキュラムの内容を十分満足したものであることはもちろんのこと労働災害事例等に即した具体的な内容とする。また、VTR、OHP等の視聴覚機材を有効に活用することが望ましい。
 ハ 教育技法は、講義方式のほか、教育の対象者、種類等に応じ、受講者が直接参加する方式、例えば、事例研究、課題研究等の討議方式を採用する。

(5) 安全衛生教育センターの活用

 国においては、教育水準の向上を図る観点から安全衛生教育センターを設置し、中央労働災害防止協会及び建設業労働災害防止協会に運営を委託しているところである。同センターにおいては、教育の講師となる人材の養成のための講座を開設しているので積極的な活用を図る。

5.教育の推進に当たって留意すべき事項

  教育の推進に当たっては、中小企業、第三次産業、高年齢労働者及び就業形態の多様化といった労働災害防止上の課題に適切に対応していくことが重要となっている。
これらの課題に対しては、雇入時教育等の法定教育の実施を徹底することはもとより労働災害の発生等の実情に応じて次による教育の推進が肝要である。

(1) 中小企業

 中小企業においては、教育の講師、教材等の問題から自ら教育を実施することの困難な事業場もみられるので、親企業等による指導・援助、安全衛生団体等の活用による教育実施の促進を図る。
 また、国が中小企業の援助措置として実施している「中小企業共同安全衛生改善事業」及び「能力向上教育実施促進事業」の積極的な活用を図る。

(2) 第三次産業

 第三次産業においては、パートタイム労働者、派遣労働者の増加等多様な就業形態がみられるとともに、製造業等の第二次産業に比べ安全衛生管理体制の整備が遅れていること等から、雇入時教育の充実・強化を図るとともに、経営首脳者及び安全管理者等の管理監督者の教育を促進する。

(3) 高年齢労働者

 高年齢労働者については、高年齢向けの機器の開発、職場環境の改善、適正配置とともに、高年齢労働者自身の安全衛生に対する意識付けが重要である。
  このため、経営首脳者、管理監督者等に対する教育の実施に当たっては、高年齢労働者の労働災害の現状と問題点、高年齢労働者の労働災害防止対策、高年齢労働者の能力に応じた適正配置に関する事項を含めて実施する。機械設備の設計・製造を担当する者に対しては、高齢者の心身機能等に配慮すべき事項を含めた教育を実施する。
 また、一定年齢に達した労働者に対しては、加齢に伴う心身機能の低下の特性、心身機能に応じた安全な作業方法に関する事項についての教育を実施する。

(4) 就業形態の多様化

 従前からの季節労働者に加え、最近ではパートタイム労働者、派遣労働者等多様な就業形態がみられ、こられの労働者に対しては、就業時に従事する作業に関する安全衛生の知識等を付与すること、すなわち雇入時等の教育を徹底することが重要である。
 また、経済の国際化に伴い急増する海外派遣労働者については、海外生活での安全衛生を確保するため派遣元の企業において当該労働者の派遣前に現地での職域及び生活環境における安全衛生事情に関する知識を付与することが重要であり、そのための教育の推進を図る。

 

(参考) 労働者の生涯を通じた安全衛生教育の例

〇A氏の場合 (入社) (就業制限業務に配置転換) (5年経過) (職長就任)

  雇入時教育→ 免許取得 →危険有害業務従事者教育(定期) →職長等教育→ (5年経過) (安全衛生推進者就任) (5年経過) →能力向上教育に準じた教育→ 能力向上教育(初任時) →能力向上教育(定期)

〇B氏の場合 (入社) (設計部門に配置換え) (現場技術管理部門に配置換え) (安全管理者就任)

 雇入時教育 → 技術者教育(随時) → 技術者教育(随時) →能力向上教育(初任時)→ (5年経過) (総括安全衛生管理者就任) →能力向上教育(定期) → 安全衛生セミナー(随時) →

注:全期間にわたって雇入時、定期、随時に健康教育を行う。





戻る

安全衛生教育の推進に当たって留意すべき事項について


安全衛生教育推進要綱
安全衛生教育の推進に当たって留意すべき事項について
(昭和59.3.26基発第148号、最終改正H6.2.17基発第82号)

安全衛生教育の推進について


平成3年1月21日基発第39号
改正 平成9年2月3日基発第66号

安全衛生教育推進要綱

 

 

 

 

 

 

2.教育の対象者

 教育の対象者は、作業者、管理監督者、経営首脳者、安全衛生専門家、技術者等とし、それぞれ次に掲げる者とする。

(1) 作業者
[1] 危険有害業務に従事する者
イ 就業制限業務に従事する者
ロ 特別教育を必要とする危険有害業務に従事する者
ハ その他の危険有害業務に従事する者
[2] [1]以外の業務に従事する者

(2) 管理監督者
[1] 安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者及び衛生推進者
[2] 作業主任者、職長及び作業指揮者
[3] 元方安全衛生管理者
[4] 救護技術管理者
[5] 計画参画者

(3) 経営首脳者
[1] 事業者
[2] 総括安全衛生管理者
[3] 統括安全衛生責任者及び安全衛生責任者

(4) 安全衛生専門家
[1] 産業医
[2] 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント
[3] 安全管理士及び衛生管理士
[4] 作業環境測定士
[5] 「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年健康保持増進のための指針)に定める運動指導担当者、運動実践担当者、心理相談担当者、産業栄養指導担当者及び産業保健指導担当者

(5) 技術者等
[1] 特定自主検査に従事する者及び定期自主検査に従事する者等
[2] 生産・施工部門の管理者及び技術者
[3] 機械設備及び建設物の設計技術者等

(6) その他
[1] 季節労働者
[2] 海外派遣労働者
[3] 就職予定者
[4] その他教育を必要とする者

3.教育の種類、実施時期及び内容

  事業者が実施しなければならない教育の種類は、労働安全衛生法に基づく雇入時教育、作業内容変更時教育、特別教育、職長等教育、危険有害業務従事者に対する教育、安全衛生業務従事者に対する能力向上教育及び健康教育である。
  また、これら法定教育以外の教育で事業者が実施すべきものは次のとおりとする。

(1) 就業制限業務又は特別教育を必要とする危険有害業務に準ずる危険有害業務に初めて従事する者に対する特別教育に準じた教育
(2) 一定年齢に達した労働者に対する高齢時教育
(3) 職長等に対する能力向上教育に準じた教育
(4) 作業指揮者に対する指名時の教育
(5) 特定自主検査に従事する者に対する能力向上教育に準じた教育
(6) 生産・施工部門の管理者、設計技術者等に対する技術者教育
(7) 経営首脳者に対する安全衛生セミナー
(8) 労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の安全衛生専門家に対する実務向上研修
(9) 季節労働者に対する教育
(10) 海外派遣労働者に対する教育
(11) 就業予定の実業高校生に対する教育

  なお、教育の対象者ごとに実施する教育の種類、実施時期及び内容は、具体的には、別表によることとする。また、こられの教育の体系は、別図のとおりである。

安全衛生教育の推進に当たって留意すべき事項について

昭59.3.26 基発第148号
改正 昭60.5.23 基発第283号
    平2.3.1 基発第112号
    平2.3.1 基発第114号
    平3.9.6 基発第536号
    平4.3.17 基発第125号
    平6.2.17 基発第82号
    平13.3.26 基発第179号

 

 安全衛生教育の推進については、昭和59年2月16日付け基発第76号<廃止・平3.1.21基発第39号参照>により新たに「安全衛生教育推進要綱」を定め、これに基づいて安全衛生教育の推進を図ることとしたが、これが推進に当たっては、日頃から広く機会にとらえ、関係者に対しその趣旨の周知に努めるとともに、下記事項に留意のうえ一層効果的な推進を図られたい。
 なお、昭和49年4月3日付け基発第176号「安全衛生教育の推進について」の通達の廃止に伴い、これに関連する各種の通達については、「昭和49年4月3日付け基発第176号」を「昭和59年2月16日付け基発第76号」と読み替えるものとする。


1. 安全衛生教育の区分について

(1) 就業前における安全衛生教育

[1] 学校教育における安全衛生教育関係
 学校教育における安全衛生教育の推進については、今後、必要な安全衛生講座の設定又は教科の整備等を図り、その実効を期するものとする。また、実業高校の卒業予定者に対し、就業前の安全衛生教育を当面昭和51年2月20日付け基発第217号<廃止・平3.1.21基発第39号参照>「安全衛生教育の推進について」に基づきその推進を図ること。このため、教育委員会及び学校当局との連絡を密にすること。

[2] 職業訓練における安全衛生教育関係

 イ 職業訓練法<現行・職業能力開発促進法>による職業訓練を修了した者に係る労働安全衛生法令関係の資格等の取扱いについては、引き続き適正な運用に努めること。なお、運用に当たっては、昭和57年7月23日付け基安発第13号<略>「職業訓練修了者に対する労働安全衛生令に基づく資格等の取扱いについて」によることとすること。
 ロ 職業訓練を修了した者に係る「雇入れ時等」及び「特別教育」の免除等の措置については、昭和47年9月18日付け基発第601号の1及び昭和48年3月19日付け基発第145号<法第59条参照>の通達によること。

[3] 出稼ぎ労働者に対する安全衛生教育関係
  出稼ぎ労働者に対する送出地における安全衛生教育については、関係機関と連携のうえ、教育に必要な災害統計その他の資料の提供を行うこと。


(2) 就業時における安全衛生教育

[1] 雇入れ時等の安全衛生教育関係

 イ 雇入れ時等教育の実施体制が十分でない中小企業等における当該教育は、系列構外下請に属する事業場及び構内下請事業場については親企業又は元方事業者を中心にその実施を促進するものとし、講師としては、中央労働災害防止協会安全衛生教育センターが実施する「新入者安全衛生教育トレーナーコース」又はRST講座等「職長等教育講師養成講座」修了者等を充てること。
 ロ 工業団地、事業協同組合、地域別又は業種別の団体等(以下、「集団」という。)の構成員で、当該教育を自ら実施することが困難であるものについては、集団所属の教育を担当する者(以下、「中小企業安全衛生指導員」という。)を活用し、共同して当該教育の実施を図らせること。
なお、中小企業安全衛生指導員については、中央労働災害防止協会安全衛生教育センターが実施する「中小企業安全衛生指導員コース」修了者を充てること。
 ハ 「事業協同組合等」の「等」には、地域別または業種別の団体が含まれること。
 ニ イ及びロに係る教育を修了した者については、雇入れ時等教育の一部の省略を認める趣旨(昭和47年9月18日付け基発第601号の1の関係)であること。

[2] 特別教育等関係
 イ 安全衛生団体が行う特別教育等については、引き続きその適正化が図られるよう実施内要、方法等について必要な指導を行うこと。特に当該教育を担当する講師(以下、「インストラクター」という。)については、十分な知識、能力、経験等を有する者を当てさせること。また、資質の向上については必要に応じ特別教育等に必要な知識等を付与するための研修(特別教育インストラクター養成講座)を安全衛生教育センター又は安全衛生団体の本部が主体となって実施することとする。なお、企業自らが実施する場合の教育担当者についても、当該研修に積極的に参加するよう勧奨すること。
 ロ 「特別教育」に準じた教育については、その業務の種類ごとにカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
 ハ チェーンソー以外の振動工具取扱作業者に対する安全衛生教育については、昭和58年5月20日付け基発第258号に基づきその推進を図ること。なお、この場合「トレーナー講習」とあるのを「インストラクター講習」と読み替えるものとする。
 ニ 特に業務内容の変化が著しい業務にかかる「実務向上教育」については、その業務の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。「実務向上教育」にかかる一定期間ごとは、特別教育等修了後、概ね5〜7年度をいうこと。
 ホ 当該教育を担当するインストラクターについては必要に応じ「実務向上教育」に必要な知識等を付与するための研修(インストラクター実務向上研修)を安全衛生教育センター又は安全衛生団体の本部において新たに実施することとする。なお、企業自らが実施する「実務向上教育」についても、教育を担当するものが当該研修に積極的に参加するよう勧奨すること。
 ヘ 特別教育の免除等措置については、昭和47年9月18日付け基発第601号の1「労働安全衛生規則の施行について」等関係通達によること。

[3] 特殊技能者(作業主任者を除く、以下本項において同じ。)に対する教育関係
 イ 指定教育機関が行う技能講習の講師の資質の向上については、監査指導等を通じ、日頃より担当科目に関する各種の安全技術に関する講習会等への参加等によりその研鑚に努めるよう指導すること。
 ロ 特に業務の内容の変化が著しい業務に係る「技能向上教育」については、その業務の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。「技能向上教育」に係る一定期間ごとは、免許試験及び技能講習の資格取得後、概ね5〜7年程度をいうこと。当該教育を担当する講師については、必要に応じ、「技能向上教育」に必要な知識等を付与するための研修(技能向上教育担当講師研修)を安全衛生団体の本部において新たに実施することとする。
 ハ <削除>
 ニ <削除>


(3) 高年齢労働者に対する安全衛生教育
 イ 高年齢労働者に対する安全衛生教育については、年齢別の災害発生状況、高年齢者の安全衛生対策に関する好事例等に関して集団・個別指導等の機会をとらえ、事業者に対し啓発を行うこと。
また、教育の実施に当たっては安全衛生に関する専門家等の活用に配慮すること。
 ロ 職務の配置転換等に伴う「作業内容変更時教育」の実施に際しては教育対象者が高年齢労働者であることを考慮して教育内容が十分習得されるものであるように事業者に対し指導すること。


(4) 経営首脳者、管理監督者等に対する安全衛生教育

[1] 経営首脳者に対する啓発関係
 経営首脳者に対する啓発については、安全衛生団体本部の行う「経営首脳者安全衛生セミナー」を中心に行うものとし、実施に当たって波及的効果をあげるため、業種別、地区別等の開催に配慮することとする。特に中小企業の経営首脳者に対しては、上記セミナーの受講を勧奨するとともに 、昭和51年2月20日付け基発第217号「安全衛生教育の推進について」に基づき促進すること。

[2] 安全・衛生管理特別指導事業場の経営首脳者等に対する安全衛生教育関係

 安全・衛生管理特別指導事業場の経営首脳者に対しては、新たに示すカリキュラム、実施方法等により必要な安全衛生教育を実施するものとする。また、実施に当たっては安全衛生教育センター、安全衛生サービスセンター等の活用に配慮すること。
 なお、当該教育には「災害多発事業場の経営首脳者」も含める趣旨であること。

[3] 総括安全衛生管理者等に対する安全衛生教育関係
 統括安全衛生責任者に対する安全衛生教育については、昭和52年2月21日付け基発第91号「安全衛生教育の推進について」に基づき引き続き実施するものであること。

[4] 安全・衛生管理者等に対する安全衛生教育関係
 イ 安全管理者に対する選任段階における安全衛生教育(実務教育)については、当面昭和51年2月20日付け基発第217号「安全衛生教育の推進について」に基づく実務研修の内容により実施すること。なお、この場合「実務研修」を「実務教育」と読み替えるものとし、当該教育は安全衛生団体が業種別、地区別等に開催すること。
 ロ 教育対象は新たに選任された者はほか選任されて間もない者を含む趣旨であること。
 ハ <削除>
 ニ 安全推進員及び労働衛生管理員<現行・安全衛生推進者等>に対する安全衛生教育については、昭和49年3月4日付け基発第112号<廃止>「安全推進員制度及び労働衛生管理員制度の推進について」に基づき引き続き実施すること。
 なお、教育対象者は新たに選任された者のほか選任されて間もない者を含む趣旨であること。

[5] 作業主任者等に対する安全衛生教育関係
 イ 指定教習関係が行う作業主任者に係る技能講習の講師については、1.(2)[3]イによること。
 ロ 特に変化の著しい業務に係る作業主任者の「実務向上教育」については、その業務の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
 「実務向上教育」に係る一定期間ごととは、免許試験又は技能講習の資格取得後、概ね5〜7年程度をいうこと。当該教育を担当する講師については、必要に応じ、「実務向上教育」に必要な知識等を付与するための研修(実務向上教育担当講師研修)を安全衛生団体の本部において新たに実施することとする。
 ハ <削除>
 ニ <削除>
 ホ <削除>
 へ 昭和54年5月2日付け基発第212号「安全衛生教育の推進について」に基づく「沿岸荷役主任者」については、引き続き実施するものであること。
 ト 作業指揮者等に対する安全衛生教育については、その業種の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
 チ 「車輛系荷役運搬機械等の作業指揮者」の安全衛生教育については、昭和53年9月18日付け基発第515号<廃止>「安全衛生教育の推進について」に基づき当該作業指揮者等に対する教育として引き続き実施すること。

[6] 職長等に対する安全衛生教育関係
 イ 職長等教育を担当する講師については、労働者数100人以上の規模の事業場において対象職長等の教育を行うのに必要な数を自ら確保することとする。
 ロ 講師の養成講習としては、「職長等教育講師養成講座」又は「職長・安全衛生責任者教育講師養成講座」があること。
 ハ 安全衛生団体が行う職長等教育又は職長・安全衛生責任者教育は当該教育の講師未充足の事業場及び労働者数100人未満の事業場を対象として実施することとする。なお、対象者としては、新たに選任される者のほか、選任されて間もない者を含める趣旨であること。また、業種別、地区別等の開催に努めるとともに、講師として「職長等教育講師養成講座」又は「職長・安全衛生責任者教育講師養成講座」修了者を充てること。
 ニ ビル管理業及び清掃業については、職長等教育に準じた教育を実施することとしており、この場合の講師としてはそれぞれ中央労働災害防止協会安全衛生教育センターが実施する「ビル管理業職長等教育トレーナーコース」及び「清掃業職長等教育トレーナーコース」修了者を充てること

[6]−2安全衛生責任者に対する安全衛生教育関係

 安全衛生責任者に対する安全衛生教育については平成12年3月28日付け基発第179号「建設業における安全衛生責任者に対する安全衛生教育の推進について」(平成13年3月26日付け基発第178号により改正)により実施すること。

[7] 計画参画者等に対する安全衛生教育関係
 イ 建築業に係る計画の作成に参画する者に対する安全衛生教育については、引き続き「計画作成参画者」により実施すること。
 ロ 法第88条第5項の規定に基づき労働災害の防止に関する計画の作成に参画する者以外の者で事前評価を担当する者(以下、「アセスメント参画者」という。)に対する安全衛生教育については、その業種の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。

[8] 救護技術管理者に対する安全衛生教育関係
 救護技術管理者として選任される者に対する安全衛生教育については、引き続き「ずい道等救護技術管理者研修」により実施すること。

[9] 生産技術管理者等に対する安全衛生教育関係
 イ 当該教育の対象者は、ラインの安全管理担当者、現場の生産技術者、現場の技術管理責任者等とするものであること。
 ロ 化学工業及び建設業に係る生産技術管理者に対する安全衛生教育については、昭和52年2月21日付け基発第91号「安全衛生教育の推進について」に基づき引き続き実施すること。なお、この場合、「生産技術者」とあるのを「生産技術管理者」に、「化学工場」とあるのを「化学工業」と読み替えるものとすること。
 ハ 当該教育の修了者は、安全管理者選任の段階における教育(ただし、安全管理者として資格を有する者に限る。)及び安全推進員の選任時の教育を修了したものとみなすものであること。
 ニ 当該教育は、安全衛生教育センターの「特定業種の生産技術管理者研修」により行うものとする。

[10] 設計技術者等に対する安全衛生教育関係
 イ 設計技術者に対する教育の対象者は、当面、動力プレス機械、木材加工用機械、建設機械、荷役運搬機械、ボイラー、クレーン等の設計技術者、建設工事に係る設計技術者等とすること。
 ロ 工作を担当する者に対する教育の対象者は、当面、ボイラー、クレーン等の工作責任者、検定対象機械の工作責任者とすること。
 ハ 設計技術者等に対する安全衛生教育については、その業務の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
 ニ 「クレーン等の設計技術者」に対する安全衛生教育は、昭和55年8月11日付け基発第424号「クレーン等の設計技術者に対する安全衛生教育について」に基づき引き続き実施すること。なお、当該教育は、クレーン等の工作責任者に必要な教育も含まれているものであり、当該教育の修了者はクレーン等の工作責任者の教育を必要としないものであること。
 ホ 「動力プレス機械の設計技術者」に対する安全衛生教育は昭和58年8月1日付け基発第417号「動力プレス機械設計技術者に対する安全衛生教育について」に基づき引き続き実施すること。
 ヘ 当該教育は、安全衛生団体の本部の「設計技術者等教育」により行うものとする。

[11] 定期自主検査者等に対する安全衛生教育関係
 イ 定期自主検査者を担当する者の安全衛生教育については、その業務の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
 ロ 特定自主検査を担当する者の「実務向上教育」の一定期間ごとは、研修により資格を取得した者にあっては取得後、それ以外の者にあっては当該業務に就いた後、概ね5〜7年程度をいうこと。
 ハ 機械設備等の整備を担当する者とは、特定機械、建設機械、仮設機材等については、点検・検査等の結果に基づき保守管理する者をいうこと。当該教育は業務の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。

[12] 作業環境測定士等に対する安全衛生教育関係
 作業環境測定士等に対する安全衛生教育については、作業環境測定、測定結果の評価、局所排気装置等に関する事項等環境管理技術に関し、技術の進歩、発展の状況に従い実施するものとする。



2 実施体制関係
 安全衛生教育の推進に当たって、各種の教育を担当する者として、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、安全・衛生管理士の積極的活用を図ること。


3 計画の策定及び推進関係
 概ね5か年程度の実施計画については別紙(図)によるものとする。なお、実施計画に基づき新たに行う安全衛生教育については、3年ごとにその種類を示すものとする。



   


戻る

安全衛生教育の体系

教育の対象者
就業資格
就業時教育
就業中教育
1 作業者 一般業務に従事する者
危険有害業務に従事する者
・就業制限業務に従事する者
・特別教育を必要とする危険有害業務に従事する者
・その他の危険有害業務に従事する者
一般業務に従事する者及び危険有害業務に従事する者


免許試験・技能講習
雇入れ時教育


特別教育
特別教育に準じた教育
健康教育

(作業内容変更時教育)         高年齢者教育
                          高年齢者教育
危険有害業務従事者教育(定期又は随時)  高年齢者教育
危険有害業務従事者教育(定期又は随時)  高年齢者教育
危険有害業務従事者教育(定期又は随時)
健康教育

2 管理監督者 安全管理者
衛生管理者
安全衛生推進者
衛生推進者
元方安全衛生管理者
救護技術管理者
計画参画者
作業主任者
職長等
作業指揮者
研修
免許試験等
実務経験・養成講習
実務経験・養成講習
実務経験
研修
実務経験・研修
免許試験・技能講習

能力向上教育(初任時)
能力向上教育(初任時)
能力向上教育(初任時)




職長等教育
指名時教育





能力向上教育(定期又は随時)
能力向上教育(定期又は随時)
能力向上教育(定期又は随時)
能力向上教育(定期又は随時)
能力向上に準じた教育(定期又は随時)
能力向上に準じた教育(定期又は随時)
3 経営首脳者 事業者
総括安全衛生管理者
統括安全責任者
安全衛生責任者

 
安全衛生セミナー

安全衛生セミナー
4 安全衛生専門家 産業医
労働安全コンサルタント
労働衛生コンサルタント
作業環境測定士
安全管理士
衛生管理士
ヘルスケア・トレーナー
ヘルスケア・リーダー
心理相談員
産業栄養指導者
産業保健指導官
医師
免許試験・登録
免許試験・登録
試験・講習・登録
実務経験等
実務経験等
研修
研修
研修
研修
研修






実務向上研修





実務向上研修
5 技術者等 特定自主検査に従事する者
定期自主検査に従事する者
生産技術管理者
設計技術者等
実務経験・研修 能力向上に準じた教育(定期又は随時)
選任時教育
技術者教育(随時)
技術者教育(随時)
能力向上に準じた教育(定期又は随時)


技術者教育(随時)
6 その他 季節労働者
海外派遣労働者
就職予定の実業高校生
  送出地教育・雇入れ時教育
派遣前教育
卒業前教育