平成12年8月21日
労働省職業安定局民間需給調整事業室補佐→地方労働局職業安定課長あて
Q1
紹介予定派遣は平成12年12月1日以降実施を認められることとされているが、平成12年12月1日の前から行われている労働者派遣について、平成12年12月1日以降に派遣期間が終了するのであれば職業紹介を行うことは可能であるのか。また、紹介予定派遣に係る営業行為や登録者(求職者)の募集を平成12年12月1日の前から行うことは可能であるのか。
A1
1.紹介予定派遣は「派遣就業終了後に派遣先に職業紹介することを予定してする労働者派遣」であることから、紹介予定派遣の対象者としての登録及び雇入れは、あくまでも労働者の申出・同意により、また、紹介予定派遣について派遣先が同意した上で締結される労働者派遣契約に基づくものであることが必要である。
2.したがって、紹介予定派遣として行う労働者派遣は、平成12年12月1日(以下「導入日」という。)以降に派遣労働者及び派遣先の同意を得て、労働者派遣契約が締結され開始されたものに限られ、導入日の前から行われている労働者派遣を紹介予定派遣とすることはできない。
仮に、導入日の前から行われている労働者派遣について派遣労働者の希望により紹介予定派遣とする場合は、導入日以降に三者(派遣労働者、派遣先及び派遣元事業主)の合意の下、従来の労働者派遣契約及び雇用契約を終了させ、紹介予定派遣としての労働者派遣契約及び雇用契約を新たに締結する必要がある。
3.なお、紹介予定派遣に係る営業行為及び派遣労働者(求職者)の募集行為については、導入日前から行って差し支えないが、紹介予定派遣に係る労働者派遣契約の締結及び、当該労働者派遣契約に係る労働者の雇入れはあくまでも導入日以降に認められる(紹介予定派遣に係る派遣就業の開始日が導入日以降であったとしても、紹介予定派遣に係る労働者派遣契約を導入日前に締結することも不適当である。)ことに留意するよう周知すること。
Q2
紹介予定派遣を行うに当たっては、職業紹介事業及ぴ一般労働者派遣事業に係る許可のいずれもが必要であるのか。
A2
1.紹介予定派遣を行うことができるのは、労働者派遣事業及び職業紹介事業のいずれかについても適正な事業運営を行うと認められる事業主に限られる。したがって、一般労働者派遣事業の許可を受け、かつ、有料職業紹介事業又は無料職業紹介事業のいずれかの許可を受けていることが必要である。
2.特定労働者派遣事業は、常用雇用労働者に限って労働者派遣を行う事業形態であり、派遣就業終了後も派遣元事業主と派遣労働者との雇用関係は継続することとなることから、紹介予定派遣を行うことは想定されないものである。
Q3
職業紹介を予定していなかった労働者派遣について、派遣就業開始後に派遣先及び派遣労働者が紹介予定派遣を希望した場合に紹介予定派遣とすることは可能か。
A3
紹介予定派遣は労働者派遣の開始時点で、派遣労働者(求職者)及び派遣先(求人者)の意思を確認し、同意を得た上で行う労働者派遣に限って可能である。このため、派遣就業の途中で、派遣労働者の希望により新たに紹介予定派遣とする場合は、三者(派遣労働者、派遣先及び派遣元事業主)の合意の下、従来の労働者派遣契約及び雇用契約を終了させ、紹介予定派遣としての労働者派遣契約及び雇用契約を新たに締結する必要がある。
Q4
求人条件の明示はいつの段階で行うのか。紹介予定派遣を行っている間に変更することは可能か。
A4
求人条件の明示は、派遣就業終了後に派遣元事業主(職業紹介事業主)が派遣先(求人者)に対して求人内容の確認を行った上で、派遣労働者に明示することが必要である。
なお、派遣就業の開始に際して、派遣先(求人者)が派遣元事業主(職業紹介事業主)に対し、また、派遣元事業主が派遣労働者に対し、求人条件の明示を行う必要はないものである。
Q5 派遣就業終了時に派遣先が職業紹介を受けることを拒否することは可能か。
A5
派遣就業終了後に派遣先が職業紹介を受けることを希望しないときは拒否することは可能であるが、この場合は派遣先から派遣元事業主に対してその理由を通知することが必要である。
Q6
派遣就業終了後に派遣先が職業紹介を受けることを希望しないときは、派遣先から派遣元事業主に対しその旨を通知することが必要であるが、当該通知は文書で行うことが必要か。
A6
特段の定めはないが、トラブルの発生を防止するためにも書面で行うことが望ましい。
Q7 紹介予定派遣の対象として登録し、及び雇い入れようとするときは、あらかじめその旨を当該労働者に明示することが必要であるが、当該明示は書面で行うことが必要か。
A7
紹介予定派遣に係る派遣労働者への明示の方法については特段の定めはないが、トラブルの発生を防止するためにも就業条件の明示に併せて就業条件明示書に記載する等書面で行うことが望ましい。
Q8 紹介予定派遣の対象として登録し、及び雇い入れようとする派遣労働者から、登録を行う時点において紹介予定派遣の同意を得た場合は、別途の求職申込みが必要か。
A8
登録を行う時点において、派遣労働者として雇用されることを希望する者が紹介予定派遣に同意した旨が担保されればよく、求職申込みを行う必要はない。
Q9 紹介予定派遣による雇入れについて、例えば2ケ月等の有期雇用でもよいのか。
A9
1.1年間の労働者派遣の受入れ期間と、3ケ月程度の直接雇用期間を繰り返す場合などのように、派遣法第40条の2に規定する派遣先の1年の受入れ期間の制限を免れる目的で紹介予定派遣を活用していると考えられるときは是正指導の対象となる。
2.それ以外の場合については、差し支えないものと考えられる。
Q10 紹介予定派遣の手数料の他に、例えば派遣労働者への教育訓練に要した費用等を派遣事業主が派遣先から徴収することは可能か。
A10
1.紹介予定派遣は派遣就業終了後に職業紹介を行うものであることから、職業紹介に関し職業安定法に規定された紹介手数料以外の手数料等について、職業紹介事業主(派遣元事業主)が求人者(派遣先)に対し求めることはできない。この紹介手数料の制限に違反した場合は職業安定法第32条の3第1項違反として、改善命令(職業安定法第48条の3)、事業停止命令(職業安定法第32条の9第2項)、許可の取消し(職業安定法第32条の9第1項)の対象となり、また、職業安定法第65条の規定により6ケ月以下の徴役又は30万円以下の罰金に処せられることがある。
2.紹介予定派遣に係る職業紹介について、紹介手数料以外の手数料を求めることを約する契約を締結することは、派遣法第33条に規定する雇用制限の禁止にも抵触し、派遣元事業主は改善命令(派遣法第49条第1項)、事業停止命令(派遣法第14条第2項)、許可の取消し(派遣法第14条第1項)の対象となるものである。
3.なお、派遣就業に関し、労働者派遣契約に基づき必要な派遣料金の徴収ができることはいうまでもない。
Q11 紹介予定派遣の場合は、事前面接や履歴書の送付要請を派遣先が行うことは可能か。
A11
派遣法第26条第7項並びに派遣先が講ずべき措置に関する指針の第2の3及び派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の第2の11により、派遣先は事前面接や履歴書の送付要請等の派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めなければならないほか、派遣元事業主が当該行為へ協力してはならないこととされている。
さらに、派遣法第24条の3及び派遣元事業主が講ずベき措置に関する指針の第2の10の(1)の二により、個人情報の保護の観点から、派遣元事業主が派遣先に提供できる情報は限定されている。
紹介予定派遣は派遣就業終了後に職業紹介することを予定する労働者派遣の一形態であることから、職業紹介前の労働者派遣の段階では派遣法の適用を受けることは当然であり、これらの規定の適用を受けることから、事前面接や履歴書の送付要請を派遣先が行うことは不適切である。
Q12 紹介予定派遣を行う場合については、派遣元責任者及ぴ職業紹介責任者並びに両事業に係る直接担当職員については、紹介予定派遣に係る範囲において兼任しても差し支えないこととされているが、事業所の中に「労働者派遣事業部門」及ぴ「職業紹介事業部門」の他に「紹介予定派遣部門」を設置することは可能か。
A12
紹介予定派遣に係る派遣労働者(求職者)及び派遣先(求人者)に限って取り扱うのであれば、紹介予定派遣部門を設置し、業務を行うことは可能である。
Q13 職業紹介責任者は各年3月末日の有効求職者数500人当たり1人選任することが必要であるが、当該有効求職者の算定に紹介予定派遣で派遣就業中の者は含まれるのか。
A13
紹介予定派遣は、派遣就業終了後に派遣先に職業紹介されることを予定するものであり、労働者派遣の段階では労働者は職業紹介を受けるか否かのわからないことから、派遣就業終了後に職業紹介が開始される時点から有効求職者に含まれるものである。
Q14 派遣元責任者及び職業紹介責任者は紹介予定派遣に係る範囲において兼任しても差し支えないとあるが、これはそれぞれの事業の責任者とは別に選任する必要があるということか。
A14
1.一般労働者派遣事業及び民営職業紹介事業を兼業する場合は、両事業を行う組織等が明確に区分されていることが要件となっており、このため、派遣元責任者及び職業紹介責任者が同一の者でないこと等が必要である。
2.しかしながら、紹介予定派遣については派遣就業が終了してから派遣先(求人者)に職業紹介が行われるまで連続していることから、派遣労働者からの苦情処理、派遣労働者の雇用管理等を同一の責任者及び組織により一元的に行うほうが円滑かつ適切に実施できる場合もあることから、紹介予定派遣に係る範囲において、派遣元責任者及び職業紹介責任者を兼任しても差し支えないこととしたものである。
3.したがって、両事業の責任者とは別に、紹介予定派遣に係る責任者を選任する必要はない。例えば、派遣元責任者及び職業紹介責任者が1人ずつ選任されている場合に、紹介予定派遣に係る範囲について、派遣元責任者が職業紹介責任者を兼任したり、職業紹介責任者が派遣元責任者を兼任したりして、責任者2人体制で両事業を兼業し、紹介予定派遣を行うことは可能である。
なお、紹介予定派遣であっても、一般労働者派遣事業と職業紹介事業が明確に区分されている異なる組織において、異なる派遣元責任者と職業紹介責任者の管理の下、行うことが可能であることはいうまでもない。
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