遺族補償給付について
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労災保険手続便覧
mokuji ■手続一覧 ■遺族補償給付とは ■遺族補償年金 (1)受給資格者 (2)失権と失格 (3)年金の支給額 (4)前払一時金 (5)請求手続 ■遺族補償一時金 (1)受給資格者 (2)一時金の額 (3)請求手続 ■遺族の特別支給金について ■手続一覧 戻る −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 遺族補償給付 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なにを ◆遺族補償年金支給請求書(遺族特別支給金申請書、遺族特別年金支給申請 書、と一体のもの)様式第12号又は ◆遺族補償一時金支給請求書(遺族特別支給金支給申請書、遺族特別一時金 支給申請書、と一体のもの)様式第15号 だれが ◆遺族(配偶者,子,父母,孫,祖父母,兄弟姉妹) いつ ◆業務上の事由により労働者が死亡したとき。 どこに ◆所轄労働基準監督署長 その他参考 ◆請求書には死亡診断書,戸籍謄本又は抄本等を添付する。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ■遺族補償給付とは 戻る ・遺族補償給付は、労働者が業務上の事由により死亡した場合に支給されます。 ・この保険給付には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」の2種類がありますが、「遺族補 償年金」が原則で、「遺族補償一時金」は、遺族補償年金を受けるにふさわしい遺族が全くい ない場合、又は遺族補償年金の支給を受けていた受給権者が最後順位者まですべて失権した場 合において、すでに支給された遺族補償年金の合計額が給付基礎日額の1,000日分に満た ない場合に限って支給されます。 ■遺族補償年金 戻る (1)受給資格者 戻る ・遺族補償年金を受けることができる遺族を、遺族補償年金の受給資格者といいます。 ・受給資格者となり得るのは、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた「配偶者、 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」です。 ・妻以外の遺族については、「夫、父母、祖父母は55歳以上」、「子、孫は18歳に達する日 以後の最初の3月31日までの間にあること」、「兄弟姉妹は18歳に達する日以後の最初の 3月31日までの間にあること又は55歳以上」であるか、又は労働者の死亡当時一定の障害 の状態にある者に限られます。 ・遺族補償年金は、すべての受給資格者に支給されるのではなく、受給資格者のうちで最も先の 順位にある者(受給権者)にだけ支給されます。(同順位の受給権者が数人いるときは、等分 した額がそれぞれ支給されます。) ・遺族補償年金の受給権者となる順位は,次のようになっています。 1 妻又は60歳以上若しくは一定障害の夫 2 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は一定障害の子 3 60歳以上又は一定障害の父母 4 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある孫又は一定障害の孫 5 60歳以上又は一定障害の祖父母 6 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある兄弟姉妹若しくは60歳以上又 は一定障害の兄弟姉妹 7 55歳以上60歳未満の夫 8 55歳以上60歳未満の父母 9 55歳以上60歳未満の祖父母 10 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹 (注)「障害の状態」とは、労災保険の障害等級の第5級以上に該当する程度の障害があ る場合、又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を うけているか若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害 がある状態をいいます。 また7〜10に掲げる者については、その者が受給権者となった場合においても6 0歳に達するまでは年金の支給は停止されます。 (2)失権と失格 戻る ・遺族補償年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに該当するに至った場合には、その者につ いて消滅(失権)し、他の受給権者がいないときには、次順位の受給資格者が新たに受給権者 となります。 1 死亡したとき 2 婚姻したとき(内縁関係を含む) 3 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(事実上の養子縁組関係を含む)となったとき 4 養子縁組関係の解消により、死亡労働者との親族関係が終了したとき 5 子、孫、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日に達したとき 6 障害状態のため受給資格者となっていた者の障害の状態がなくなったとき ・また、遺族補償年金の受給資格者が、前記l〜6に該当するに至った場合も、受給資格が失わ れます(失格)。 (3)年金の支給額 ・遺族補償年金の支給額は,次のとおりです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 遺族数 年金額 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− l人 年金給付基礎日額の153日分 1人(55歳以上の妻又は労働省令で定める障害の状態にある妻の場合) 年金給付基礎日額の175日分 2人 年金給付基礎日額の201日分 3人 年金給付基礎日額の223日分 4人以上 年金給付基礎日額の245日分 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (注)遺族数は、遺族補償年金の受給権者及び受給権者と生計を同じくしている受給資格者の 人数です。 ・なお、同一の事由により厚生年金保険の遺族厚生年金等が併給される場合の遺族補償年金の額 は、前記の支給額(調整前の額)に、併給される年金給付の種類別に定められている次の率を 乗じた額(調整後の額)となります。ただし、調整後の額が、調整前の遺族補償年金の額から 併給される遺族厚生年金等の額を減じた残りの額を下回る場合には、その調整前の額から、併 給される遺族厚生年金等の額を減じた残りの額が支給されます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 併給される社会保険の年金の種類 調整率 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ●厚生年金保険の遺族厚生年金 0.84 ●国民年金の遺族基礎年金又は寡婦年金 0.88 ●厚生年金保険の遺族厚生年金 +国民年金の遺族基礎年金又は寡婦年金 0.80 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なお,国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)による改正前の厚生 年金保除法,船員保険法または国民年金法の規定による年金が併給される場合についても、同 様に次の表の調整率を乗じて減額して支給されます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 併給される社会保険の年金の種類 調整率 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ●改正前の厚生年金保険の遺族年金 0.80 ●改正前の船員保険の遺族年金 0.80 ●改正前の国民年金の母子年金 0.90 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (4)前払一時金 戻る ・遺族補償年金は、毎年各支払期月ごとに支給されるのを原則としますが、給付基礎日額の1, 000日分を限度とする一時金(1,000日分,800日分,600日分,400日分,2 00日分)を年金の前払金として受けることもできます。 ・この一時金が支給された場合には、受給権者全員に対して支給されるべき年金(前払一時金支 給の翌月から起算して1年を超える期間に係るものについては、年5分の単利で割り引かれた 額)は、その合計額が、当該前払一時金相当額に達するまでの間、支給が停止されます。 ・55歳以上60歳未満の夫、父母、祖父母、兄弟姉妹に対する遺族補償年金の支給は60歳に 達するまで停止されますが、この前払一時金は、これらの者に対しても請求があれば支給され ます。この場合、これらの者に60歳から支給されるべき年金は、すでに支払われた前払一時 金相当額に達するまでは支給されません。 ・前払一時金の支払いは、遺族補償年金の支給の決定の通知のあった日の翌日から1年以内であ れば年金の支払期月と関係なく、請求により遅滞なく行われます。 なお、遺族補償年金を受ける権利を有する者に対して遺族特別支給金及ぴ遺族特別年金が支給 されます。支給額等は、遺族特別支給金の項を参照してください。 (5)請求手続 戻る ・遺族補償年金の請求は、様式第12号 「遺族補償年金支給請求書、遺族特別支給金申請書、遺族特別年金支給申請書」に所定の事項 を記入し、次の書類を添付して所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。 1 死亡労働者の死亡診断書、死体検案書又は検視調書の写しその他市町村長が証明する死 亡届書記載事項証明書又はこれらに代わる書類 2 受給権者及び受給資格者と死亡労働者との身分関係を証明し得る戸籍の謄本又は抄本 3 受給権者又は受給資格者が死亡労働者と内縁関係にあった場合には、その事実を証明し 得る書類 4 受給権者及び受給資格者が死亡労働者の収入によって生計を維持していたことを証明し 得る書類 5 受給権者及び受給資格者のうち、障害の状態にあることにより遺族補償年金を受けるこ ととなった者については、その者が労働者の死亡当時から引き続き、障害の状態にある ことを証明する医師の診断書その他の資料 6 受給資格者のうち、受給権者と生計を同じくしている者については、その事実を証明し 得る書類 7 受給権者が死亡労働者の妻で、障害の状態にある場合は、障害の状態にあることを証明 する医師の診断書その他の資料 なお、遺族補償年金の受給権者が2人以上ある場合には、そのうちの1人を遺族補償年金の 請求及び受領についての代表者に選任し、その旨を労働基準監督署長に届け出なければなり ません。この場合には、その代表者が請求手続を行うこととなります。 やむを得ない事情で代表者を選任することが出来ないときは、代表者を選任しなかった受給 権者は、それぞれ単独で請求手続をすることになります。 ・最先順位の受給権者が失権し又は所在不明により支給停止を受けた場合に、新たに受給権者 となった者は、様式第13号「遺族補償年金・遺族年金転給等請求書、遺族特別年金転給等 申請書」を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。 ■遺族補償一時金 戻る (1)受給資格者 戻る ・遺族補償一時金は、次のいずれかの場合に支給されます。 1 労働者の死亡当時、遺族補償年金の受給資格者がいない場合 2 遺族補償年金の受給権者が失権した場合において、他に年金の受給資格者がなく、かつ、 すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1,000日分に満たない場合 ・遺族補償一時金は、次にあげる遺族のうち最先順位者に支給されます。 1 配偶者 2 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた子,父母,孫及び祖父母 3 その他の子,父母,孫及び祖父母 4 兄弟姉妹 (2)一時金の額 戻る ・遺族補償一時金の支給額は、給付基礎日額の1,000日分ですが、年金の受給権者が失権し たために一時金の支給が行われる場合は、給付基礎日額の1,000日分の額からすでに支払 われた年金の合計額を差し引いた額が支給されます。 ・なお、遺族補償一時金を受ける権利を有する者に対して、遺族特別支給金及び遺族特別一時金 が支給されます。支給額等は、遺族特別支給金の項を参照してください。 (5)請求手続 戻る ・遺族補償一時金の請求は、様式第15号 「遺族補償一時金支給請求書、遺族特別支給金支給申請書、遺族特別一時金支給申請書」に所 定の事項を記入し、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。なお、この請求書に は、次のような書類を添付する必要があります。 1 受給権者が死亡労働者と内縁関係にあった場合には,その事実を証明する書類 2 受給権者が死亡労働者の収入によって生計を維持していた場合には、その事実を証明し得 る書類 3 遺族補償年金の受給権者がいない場合には死亡労働者の死亡診断書、死体検案書又は検視 調書の写しその他これらに代わる書類及び受給権者と死亡労働者との身分関係を証明する ことができる書類 なお、遺族補償年金受給権者の権利が消滅したため遺族補償一時金の支給事由か生じた場合に は、死亡診断書(死体検案書の写しなどこれに代わる書類)の添付は不要です。 ■遺族特別支給金について 戻る 遺族特別支給金の額など ・遺族特別支給金を受けることの出来る遺族は、労働者の配偶者(事実上の婚姻関係にあった者 も含まれます。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、これらの遺族特別支給金を受ける順 位は、遺族補償給付の場合と同様です。 ・遺族特別支給金の額は、300万円です。遺族特別支給金を受ける遺族が2人以上ある場合は 300万円をその人数で除して得た額となります。 ・遺族特別支給金の支給申請は、原則として遺族補償給付(業務上災害の場合)又は遺族給付の 支給の請求(通勤災害の場合)と同時に行わなければなりません。 特別給与を基礎とする特別支給金の額
種類 | 支給対象者 | 支給額 |
遺族特別年金 | 遺族補償年金又は 遺族年金の受給者 |
算定基礎日額の245日分相当額(遺族4人以上)から 153日分相当額(遺族1人)までの年金 |
遺族特別一時金 | 遺族補償一時金又は 遺族一時金の受給者 |
算定基礎日額の1,000日分相当額を最高限度とする 一時金 |
・被災前1年間に支払われた特別給与(3ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金)の合計額を 算定基礎年額(給付基礎日額の365倍に相当する額の20%相当額(最高限度額150万円) を限度とする。)といい、これを365で除したものを算定基礎日額という。 ・スライド制の適用がある。