非A非B型ウイルス性肝炎の業務上外について
■HOMEPAGE
■640/480 ■感染症と労災認定
非A非B型ウイルス性肝炎の業務上外について
(以下通達本文)
非A非B型ウイルス性肝炎の業務上外について
(昭和57年2月18日付け基収第121号の2、労働省労働基準局長から都道府県労働基準局長あて)
今般、標記について愛知労働基準局長から別紙1のとおり照会があり、別紙2のとおり回答したから了知するとともに、標記疾病に係る業務上外の認定に当たっては、下記に留意のうえ事務処理に遺憾のないようにされたい。
記
1 非A非B型ウイルス性肝炎の取扱いについて
ウイルス性肝炎は、昭和53年3月30日付け基発第186号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」記の第2の2の(6)のイの(ハ)及び(ニ)により、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下「労基則」という。)別紙第1の2第6号1又は5に定める業務上の疾病に該当することとしており、従来においては、一般にみられるウイルス性肝炎はA型ウイルス性肝炎とB型ウイルス性肝炎とに区別されるとされていたが、最近、これらのいずれにも該当しないウイルス性肝炎が存在することが医学的に解明され、「非A非B型ウイルス性肝炎」と一般に呼称されているところである。これに伴い、非A非B型ウイルス性肝炎は、前記通達に示すウイルス性肝炎に含まれるものとする。
2 非A非B型ウイルス性肝炎に高する医学的知見について
非A非B型ウイルス性肝炎について医学的に判明している主な事項は、次のとおりである。
(1) 非A非B型肝炎ウイルスについては、現在までその分離・同定に成功していないが、血液を介して感染し(他の感染経路の有無は未確認)、キャリア(保困者)が存在することが認められている。
(2) 本疾病は、潜伏期間が6週間未満の短いものと6週間以上の長いものに分けることができ、病原ウイルスは少なくとも2以上の種類がある可能性があると指摘する報告がある。また、感染から発症までの潜伏期間は15日ないて180日、平均60日であるとの報告がある。
(3) 発生様式からみると、散発性に又は輸血後に発生することが知られており、流行性に発生するか否かは未確認である。なお、散発生とは、患者の診療若しくは看護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務によって発生した場合等流行性又は輸血後以外の場合の発生様式をいう。
(4) 病理学的には、非A非B型ウイルス性肝炎は、定型的な症例においてはA型ウイルス性肝炎及びB型ウイルス性肝炎と同様の変化を示し、組織像だけからこれらを鑑別することはできない。
(5) 臨床像及び検査所見は、定型的な症例においてはA型ウイルス性肝炎及びB型ウイルス性肝炎との間に明らかな差異はみられない。なお、一般的には、軽症例が多く、慢性化に移行することが比軽的多いとする報告がある。
(6) 診断は、術後の肝障害、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害等を除外し、更に血中の抗原抗体系の検索からA型ウイルス性肝炎及びB型ウイルス性肝炎を除外することによって行われる。なお、厳密な診断としてサイトメガロウイルス、EBウイルス、単純ヘルペスウイルス等による肝炎の除外が行われることがあるが、これらの肝炎が疑われる場合を除き、一般的には必要としない。
別添 人工透析士の「非A非B遷延性肝炎」の業務上外認定について
記 1 事業場 |
別紙2 非A非B型ウイルス性肝炎の業務上外について(回答)
記 労働基準法施行規則別表第1の2第6号1に定める業務上の疾病として取り扱われたい。 |