「改正/育児・介護休業法」の解説とQ&A
■HOMEPAGE
■640/480 ■育児・介護休業法MAINMENU
<目次>
■改正/育児・介護休業法
■育児又は家族介護を行う労働者の深夜業の制限
■深夜業の制限に関するQ&A(13問)
目次へ
改正/育児・介護休業法のあらまし
(育児・介護休業法の一部改正であり、改正部分は平成11年4月1日から施行されます。)
一部改正の内容
育児又は家族介護を行う労働者の深夜業の制限
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(育児を行う労働者の深夜業の制限(第16条の2関係))(要約)
1 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日々雇用される
者を除く。)であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求
した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時から午前5
時までの間(以下「深夜」という。)において労働させてはならない。
イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
ロ 当該請求に係る深夜において、常態として当該子を保育することができる当該子
の同居の家族その他の労働省令で定める者がいる場合における当該労働者
ハ イ及びロに掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理
的な理由があると認められる労働者として労働省令で定めるもの
2 1による請求は、1回につき、労働省令で定めるところにより、1月以上6月以内
の期間について、制限開始予定日及び制限終了予定日を明らかにして、制限開始予定
日の1月前までにしなければならない。
3 1による請求がされた後制限開始予定日の前日までに、子の死亡その他の労働省令
で定める事由が生じたときは、当該請求はされなかったものとみなす。
4 1による請求に係る子の死亡その他の労働省令で定める場合、当該子が小学校就学
の始期に達した場合又は産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が開始された場合
においては、制限終了予定日前においても制限期間が終了するものとする。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(家族介護を行う労働者の深夜業の制限(第16条の3関係))(要約)
1〜4については、要介護状態にある対象家族を介護する労働者(日々雇用される者
を除く。)が当該対象家族を介護するために請求した場合について準用するものとする。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(公務員に関する特例(第52条第7項から第9頃まで関係))(要約)
国営企業に勤務する国家公務員及び地方公務員に関して、育児又は家族介護を行う職
員の深夜業の制限についての特例を設けるものとする。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■解説
労働基準法の女性の深夜業規制が解消されたことで、子を養育する両親がともに深夜業に従事するケースや、深夜に介護を要する家族の世話をする者がいなくなるケースも生じうるため、このようなケースへの対応として、深夜業の制限の制度を新設したものです。
目次へ
Q&A
Q1
請求できる回数に、制限はあるのでしょうか。
A1
請求できる回数に制限はありません。
Q2
パート等で期間を定めて雇われている労働者も請求できるのでしょうか。
A2
いわゆるパートタイマーやアルバイトの方についても、その名称ではなく、実際の雇用契約の内容で判断し、日々雇用される者や引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者など、制度が適用にならない場合に該当しない限り、深夜業の制限の権利が認められます。
また、期間を定めて雇われている場合でも、継続して雇用され、在籍期間が1年を超える場合については、深夜業の制限の権利が認められることとなります。
Q3
事業の正常な運営を妨げる場合とは、具体的にどのような場合のことなのでしょうか。
A3
「事業の正常な運営を妨げる」か否かは、その労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断することとなります。具体的には、(1)同一時期に多数の労働者の制限請求が競合した場合、(2)専門性の高い職種の労働者等が請求した場合であって、代替が著しく困難な場合、等が考えられます。
Q4
所定外労働の延長として深夜に及ぶことになった場合にも、請求できるのでしょうか。
A4
請求できます。
Q5
事業主は、深夜業の制限を受ける労働者を、昼間など他の時間の勤務にシフトさせなければならないのでしょうか。
A5
深夜業の制限の労働者の権利は、深夜に労働しないことを請求することであり、この結果、深夜に労働者が労働しなくなったとしても、事業主にその労働者を他の時間にシフトさせる義務が生じるものではありません。
なお、深夜において労働しない労働者の処遇については、どの程度規定すべきかについて十分なコンセンサスが得られていないことから、法律上は規定していませんが、個々の事業所において、それらの労働者の処遇について、昼間勤務への配慮の有無を含め、事前に取り決めをしておくことが望ましいものです。
Q6
深夜業の制限以外に、時間外労働や休日労働についても制限する制度はないのでしょうか。
A6
育児や家族の介護など家族的責任を有する労働者の時間外・休日労働については、事業主の方には、これらの労働者の事情を十分に配慮することが望まれます。
また、育児・介護休業法には、働きながら子を養育することを容易にするための措置のひとつとして、所定外労働をさせない制度を設けることが事業主の義務又は努力義務として規定されています。
Q7
「常態として当該子を保育することができる当該子の同居の家族その他の労働省令で定める者」とは、具体的にどのような人のことなのでしょうか。
A7
具体的内容については、今後労働省令で定めることとなりますが、現在のところ、例えば、育児休業制度及び介護休業制度の場合を参考として、深夜業の制限の請求に係る子の同居の家族であって、(1)請求に係る深夜に職業に就いていないこと、(2)負傷、疾病又は心身の障害により子を保育することが困難でないこと、(3)産前産後でないこと、の条件を満たす者等が考えられます。
Q8
「当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として労働省令で定めるもの」とは、具体的にどのような人のことなのでしょうか。
A8
具体的内容については、今後労働省令で定めることとなりますが、現在のところ、例えば、育児休業制度及び介護休業制度の場合を参考として、週所定労働日数が2日以下の労働者等が考えられます。
Q9
請求手続きについて、「労働省令で定めるところ」とは、具体的にどのような手続きのことなのでしょうか。
A9
具体的内容については、今後労働省令で定めることとなりますが、現在のところ、例えば、育児休業制度及び介護休業制度の場合を参考として、
(1)深夜実の制限の請求については書面で行うこと
(2)事業主は書面の記載事項の事実を証明できる書類の提出を求めることができること
等について規定することが考えられます。
Q10
1回の請求は「1月以上6月以内の期間」とされていますが、週の特定の曜日や、深夜の特定の時間について深夜業をしないといった請求はできるのでしょうか。
また、請求は「制限開始予定日の1月前」までにすることとされていますが、1月前までに請求せず、例えば2週間前になってから請求した場合などは、どのような取り扱いになるのでしょうか。
A10
育児・介護休業法上は、労働者の請求については、請求の期間の深夜すべてを労働しない請求を規定しているとともに、制限開始予定日の1月前までの請求を規定していますが、個々の事業場において、労使の話し合いなどにより、ご質問のような請求でもよいとする制度を設けることや、ご質問のような請求を事業主が任意に認めることは、もちろん問題ありません。
Q11
「子の死亡その他の労働省令で定める事由」とは、具体的にどのような事由のことなのでしょうか。また、「子の死亡その他の労働省令で定める場合」とは、具体的にどのような場合のことなのでしょうか。
A11
両者とも、具体的内容については、今後労働省令で定めることとなりますが、現在のところ、例えば、育児休業制度及び介護休業制度の場合を参考として、
(1)子や対象家族の死亡
(2)養子縁組の取消や、請求をした労働者と対象家族との親族関係の消滅
(3)請求をした労働者と子が同居しないこととなったこと
(4)請求をした労働者が、負傷、疾病又は心身の障害により、子の養育や対象家族の介護ができない状態になったこと
等について規定することが考えられます。
Q12
「要介護状態」とは、具体的にどのような状態のことなのでしょうか。また、「対象家族」とは、具体的に家族のうちどこまでの範囲のことなのでしょうか。
A12
「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。
また、「対象家族」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として、労働者が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む。)及び配偶者の父母をいいます。
Q13
公務員の請求の手続き等は、どのように定められるのでしょうか。
A13
一般職の現業国家公務員及び一般職の現業地方公務員の勤務条件に関しては、労使交渉で決定することを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護休業制度の場台と同じく、第52条第7項から第9項までを労使交渉事項の最低基準として、労使交渉において定めることとなります。
また、一般職の非現業地方公務員の勤務条件に関しては、条例で定めることを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護休業制度の場合と同じく、第52条第9項を条例で定める事項の最低基準として、条例において定めることとなります。
■HOMEPAGE
■640/480 ■育児・介護休業法MAINMENU