平成17年4月1日改正の育児・介護休業法について

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育児休業・介護休業の制度早分かり〔一覧表〕もあわせて参照してください。
平成17年4月1日施行の育児・介護休業法の改正点は、大きくつぎの4点です。
1.育児休業・介護休業の取得対象者の拡大が図られた
2.育児休業の期間の延長が図られた
3.介護休業の取得回数の制限が緩和された
4.子の看護休暇が新設された
    参考(義務化前における子の看護休暇の普及状況に関する調査結果)
以下、改正ポイントの概要を紹介します。




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「期間を定めて雇用される者」についても
育児休業・介護休業の対象者とされました


〔解説〕改正前は期間を定めて雇用される者は対象外でしたが、→ H17.4.1改正により、下記注●「期間を定めて雇用される者の要件に該当する場合には、育児休業・介護休業の取得が可能となりました。

育児 介護
対象となる労働者
制度
休業 子の看護休暇 時間外労働の制限 深夜業の制限 勤務時間短縮等
日々雇用される労働者 × × × × ×
期間を定めて雇用される者 注●
雇用された期間が1年未満の労働者 × ×
    雇用された期間が6ヶ月未満の労働者  【子の看護休暇のみが適用】
週の所定労働日数が2日以下の労働者 × ×
深夜に保育(介護)できる16歳以上の同居家族がいる労働者*【深夜業の制限のみが適用】 ×
所定労働時間の全部が深夜にあたる労働者【深夜業の制限のみが適用】 ×
  1年以内に雇用関係が終了する労働者
  93日以内に雇用関係が終了する労働者
 

配偶者が子を養育できる状態である労働者

×  
  配偶者でない親が子を養育できる状態である労働者 ×

【表の見方】
イ 法律上、労働協定により対象外とすることができる労働者と、労使協定がなくても対象外となる労働者がいる。
ロ ○対象(請求されれば与える義務あり)  ×対象外  △労使協定があれば対象外
ハ いずれか一つの項目が、×か△(要労使協定)に該当すれば、対象外となる。

注●「期間を定めて雇用される者」
1)休業については申出時点においてつぎのイ、ロの要件を満たすことが必要です。〔指針第2の1〕
 イ 同一の雇用主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
 ロ 育児休業では「子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新さえないことが明らかである者を除く)
   介護休業では「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新さえないことが明らかである者を除く)
2)労働契約が形式上期間を定めて雇用されている労働者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、上記1)の要件を満たすか否かにかかわらず、休業の対象となる。
3)なお、休業以外の制度については、期間雇用者は全て対象となる。


【背景】
 わが国ではパート比率の急激な上昇が認められている。かって、パートは子育てが一段落した主婦を中心としたニーズだったが、今では、パートで働く結婚・出産前の若い人も増えている。これら若いパートには、育児休業の必要性は高い。

【期間を定めて雇用される者の育児休業給付について】

以下のようにかなり支給要件が厳しくなっている。
すなわち
●H17.4.1以後に開始した育児休業が対象。
●つぎのいずれかの要件を満たものであること。

イ 休業開始時・同一事業主の下で1年以上雇用が継続しており、 かつ 休業後、同一事業主の下で労働契約が更新され3年以上雇用が継続する見込みがあること。
ロ 休業開始時・同一事業主の下で3年以上雇用が継続しており、 かつ 休業後、同一事業主の下で労働契約が更新され1年以上雇用が継続する見込みがあること。

〔雇用実績の判断〕
@ 育児休業給付を受けるためには、一般被保険者の方で、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(票)において、休業開始前2年間に、みなし被保険者期間〔休業開始日の前日から1ヶ月ごとに遡った期間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月をいいます〕が12ヶ月以上あることが必要ですが、この育児休業給付の受給資格が確認されれば「休業開始時において同一事業主の下で1年以上の雇用が継続していること」に該当するものと判断されます。

A また、3年以上雇用が継続しているか否かの判断は、休業開始日より3年以上前から同一事業主の下で雇用され雇用保険の被保険者資格が継続しているか否かにより判断されます。この場合、労働契約の更新等に際して被保険者でなかった期間があっても、それが3ヶ月以内であれば雇用が継続しているものとして取り扱われます。







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子が1歳に達するまでから1歳6ヶ月に達するまでに
育児休業の期間の延長が図られました

〔解説〕改正前は、「育児休業の期間は子が1歳に達するまで」とされていましたが、 → H17.4.1改正により、子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が1歳6ヶ月に達するまで育児休業を延長することが可能となりました。

「子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合」とは
つぎのイ、ロのいずれにも該当する場合です
1)子が1歳に達する日においていずれかの親が育児休業中であること
2)つぎのいずれかの事情があること
  イ 保育所(無認可保育所は対象とならない)に入所を希望しているが、入所できない場合
  ロ 子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降、子を養育する予定であったものが死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
例)として、子が1歳に達するまで母親が育児休業をしていたところ、1歳到達日以降保育所に入所できないケース
例)として、専業主婦の母親が病気になっため、父親が育児休業をしていたところ、1歳を超えても回復の見込みがないケース


【背景】
育児休業期間1年→1.5年に延長の背景には、保育所不足のため待機児童が増える中、1年では職場復帰しにくい現状もある。
(H15.10.1現在の保育所児童数205万人に対して、待機児童数が24,000人。)
○待機児童が多い地域に住んでいる場合、育児のため仕事を辞めると保育所入所の優先順位が下がり、再び働く上で子を預けにくいといった問題もある。育児休業を取得し、状況によっては、例え6ヶ月でも期間延長ができるというのは、一部、切実な要求でもあるようだ。〔労務安全情報センター記〕






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対象家族1人につき1回限りから要介護状態に至るごとに1回等へと
介護休業の取得回数の制限が緩和されました

〔解説〕改正前は、「対象家族1人につき1回限り・期間は連続3ヶ月まで」とされていましたが、 →H17.4.1改正により、「対象家族1人につき要介護状態に至るごとに1回・期間は通算して93日まで」となりました。





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事業主の努力義務から義務規定に変更される形で
子の看護休暇が新設されました

〔解説〕小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、申し出ることにより、一の年度〔事業主が任意に定めることが可能、定めをしない場合は4月1日〜翌年3月31日とされる〕において(1年間に)5日まで、病気・けがをしたこのために、休暇を取得できる、というのが制度の概要です。

〔申し出ることにより〕・・すなわち、申出手続は次のとおりです。
 1 休暇を取得する日等を明らかにして申し出(当日朝の電話申出を含む口頭でも申出も可)
 2 なお、事業主は証明書類(医者の領収書や保育園欠席の明らかとなる連絡帳(写し)など過大な負担とならないものを想定)の提出を求めることができます。
〔参考〕子の看護休暇中の賃金の支払は義務付けられていないものであること。



【参考】義務付け直前における子の看護休暇の普及状況はいかがであったか

子の看護休暇制度の有無について
(平成15年度女性雇用管理基本調査)%


平成15年10月現在、7000企業への調査結果
  制度あり 制度なし 不明
産業・規模計 16.9 83.0 0.1
〔産業〕      
鉱業 16.6 79.5 3.9
建設業 17.6 82.4 -
製造業 17.8 82.2 0.0
電気・ガス・熱供給・水道業 16.8 83.2 -
情報通信業 21.0 79.0 -
運輸業 16.6 83.4 -
卸売・小売業 14.7 84.6 0.6
金融・保険業 20.3 79.7 -
不動産業 16.5 83.5 -
飲食店、宿泊業 13.5 86.5 -
医療、福祉 19.3 80.7 -
教育、学習支援業 17.5 82.5 -
サービス業 17.0 82.9 0.1
〔規模〕      
5000人以上 43.8 56.2 -
1,000〜4,999人 33.0 67.0 -
300〜999人 27.2 72.7 0.0
100〜299人 20.7 79.3 -
30〜99人 14.2 85.6 0.2