育児・介護休業法の改正に向けて(H20.12.25 start)

 ■HOMEPAGE
 ■育児介護休業法


 現行(H17.4.1改正施行中のもの)=「育児・介護休業法の早わかり」は、こちらに掲載しています。
 あわせて参照してください。


 平成20年12月25日、現行の育児・介護休業法の改正について、厚生労働省労働政策審議会から表題を”仕事と家庭の両立支援対策の充実について”として「建議」がなされました。
 今後、この建議の内容に基づいて、現行の育児介護休業法の改正(案)が準備されていく運びです。
 ここでは、2008.12.25労働政策審議会の「建議」とそれを忠実に体現した場合、育児介護休業法改正案はどのようなものになるか「育児・介護休業法改正(案)はこうなる!-2008.12.15の建議の内容から」の資料を掲載しました。

1 H20.12.25労働政策審議会「建議=仕事と家庭の両立支援対策の充実について」
2 育児・介護休業法改正(案)はこうなる!-2008.12.15の建議の内容から





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育児・介護休業法改正案
(2009.1.25労働政策審議会の建議)
本建議の内容に沿って、育児・介護休業法の改正案が国会に提出されることとなります。



[建議の概要]
赤文字は育児介護休業法の改正案で改正が予定されている箇所


(1) 育児・介護休業の取得要件
[育児休業]
○  1歳(両親ともに育児休業を取得した場合、1歳2か月)まで請求できる権利。保育所に入所できない等一定の場合は1歳半まで延長可能。
(出産後8週間以内の父親の育児休業取得を促進するため)、配偶者の出産後8週間以内に、父親が育児休業を取得した場合には、特例として(当該父親の)育児休業を再度取得を認めることとする。
○  労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦(夫)である場合等、常態として子を養育することができる労働者からの育児休業取得の申出を事業主が拒むことを可能としている規定を廃止

[介護休業]
○ 介護休業(対象家族1人につき93日まで)

(2) 勤務時間短縮等の措置

1. 勤務時間の短縮⇒義務化(*) 但し、業務の性質又は事業場の実態に照らし、短時間勤務とすることが難しい労働者については、労使協定により、措置の対象から除外できることとし、対象外となった労動者に対しては、フレックスタイム制度等の代替措置を講ずることを義務付け。
2. 所定外労働の免除⇒義務化
3. フレックスタイム
4. 始業・終業時刻の繰り上げ下げ
5. 託児施設の設置運営
6 .5に準ずる便宜の供与
7. 育児休業に準ずる制度

(3) 子の看護休暇の取得要件

年5日まで⇒子1人につき年5日まで、(2人、3人等の場合)年10日を上限とする。

(4) 介護休暇の新設

介護休暇=要介護状態にある家族の通院の付き添いなどに対応するため新設するもの。
(家族1人につき年5日まで、(2人、3人等の場合)10日を上限とする。)












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仕事と家庭の両立支援対策の充実について(建議)


(平成20年12月25日付け労審発第521 号労働政策審議会会長会長菅野和夫から厚生労働大臣舛添要一あて)
本審議会は、標記について、下記のとおりの結論に達したので、厚生労働省設置法第9条第1項第3号の規定に基づき、建議する。

別紙の雇用均等分科会の報告のとおり。

(別紙)
仕事と家庭の両立支援対策の充実について(報告)
(平成20年12月25日付け雇用均等分科会長林紀子から労働政策審議会会長会長菅野和夫あて)
本分科会は、標記について、別添のとおり取りまとめたので報告する。

 

(別添)

仕事と家庭の両立支援対策の充実について

 

○ 我が国が人口減少時代を迎える中で、持続可能で安心できる社会をつくるためには、仕事と生活の調和の実現が不可欠である。一人ひとりの生き方や子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて男女ともに多様な働き方の選択を可能とする社会とすることは、国民の希望の実現となるとともに、企業や社会全体の明日への投資であり、活力の維持につながる。

○ このためには、すべての労働者を対象に長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等仕事と生活の調和策を進めていくとともに、子育てや介護など家庭の状況から時間的制約を抱えている時期の労働者を対象とする仕事と家庭の両立支援を進めていくことが、男女がともに能力を発揮することができるような環境の整備及び少子化対策の観点から喫緊の課題である。

○ 労働政策審議会雇用均等分科会は、本年8月以降、育児・介護休業制度の見直しについて審議を行ってきた。その間、我が国経済は、世界経済の減速に伴い既に景気後退局面に入っているところであるが、今後の我が国社会の目指すべき姿を実現していくには、子育てや介護をしながら働くことができるよう、仕事と家庭の両立支援対策の充実を進めることが重要であるという基本的考え方に基づき議論を進めてきた。

○ 育児休業取得率は女性で9割近くに達するなど、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育介法」という。)は着実な定着が図られつつあるが、第一子出産前後で継続して就業している女性の割合は低い水準にとどまっており、休業からの復職後に仕事と子育てを両立して続けていくことには、依然として、かなりの困難が伴っている。

○ このため、育児休業を取得しやすい環境整備に加え、休業からの復帰後の子育て期に多様で柔軟な働き方を選べるようにすることが必要であり、子を持つ労働者の希望や現行の措置状況等を踏まえつつ、制度を見直していく必要がある。

○ また、勤労者世帯の過半数が共働き世帯になっているなかで、女性だけでなく、男性も子育てができ、親子で過ごす時間を持つことのできる環境作りが求められているが、男性の育児休業取得率は1.56%に過ぎず、男性が子育てや家事に費やす時間についても極めて低い水準にとどまっている。

○ このように、男性が子育てや家事に関わっておらず、その結果、女性に子育てや家事の負荷がかかりすぎていることが、女性の継続就業を困難にするとともに、第二子以降の出産意欲にも影響を及ぼし、少子化の原因ともなっているとの指摘がある。

○ こうした状況を踏まえ、女性の仕事と子育ての両立の負担を軽減し、その継続就業や円滑な職場復帰を図るため、また、男性の子育て参加の最初の重要な契機とするため、男性の育児休業の取得促進策を講じるべきである。

○ その他、介護を要する家族を抱える労働者など、個々の労働者の置かれた状況に応じて、企業における要員管理等の負担にも配意しつつ、柔軟で使い勝手の良い両立支援制度を整備していくべきである。

○ また、育介法に基づく両立支援制度が利用しにくい等の声があることを踏まえ、法の実効性を一層高めるための方策を講ずることが必要である。

○ 以上のような点を総合的に考慮すると、法的整備の具体的内容はおおむね下記の事項とすることが適当であると考える。なお、これらの法的整備を行うに当たっては、新たに設ける制度はその導入に一定の期間が必要であることや、人事労務管理の体制等を踏まえて適用することが適当である。また、急速に悪化する現在の経済情勢も考慮すれば、中小企業への支援策の拡充強化を同時に行うことが必要である。

○ あわせて、少子化対策としては、保育等の子育て支援サービス基盤の拡充を同時に進めていくことが不可欠であり、「新待機児童ゼロ作戦」の推進や「安心こども基金(仮称)」の創設等により、保育サービス等の更なる充実を図ることが必要である。また、介護については、在宅生活を支援するサービスの基盤整備など介護の質の向上を図ることが必要である。

○ 期間雇用者についても、育介法に基づく両立支援制度の利用を促進し、働きながら子育てできる環境を整備することが重要であるが、育児・介護休業については、一定の要件を満たす期間雇用者について育児・介護休業の取得を認めた平成16年の育介法改正の施行後、改正内容が浸透途上にあることを踏まえ、まずは、現行制度において育児休業の取得が可能である期間雇用者が、より一層休業を取得しやすくするために、その休業取得要件を分かりやすく示し、周知を徹底することが重要であり、業種の実情に応じた取得促進にも新たに取り組むべきである。
これらに加え、その休業の取得状況等についてさらに実態把握を進める必要がある。

1 子育て中の働き方の見直し

(1) 短時間勤務について

・ 短時間勤務について、3歳に達するまでの子を養育する労働者に対する事業主による単独の措置義務とすることが適当である。この場合、例えば、勤務時間が1日6時間を上回る分の短縮の措置を含むこととするなど、措置の内容について一定の基準を設けることが適当である。

・ 対象者については、勤務時間が1日6時間以下の労働者は法令により対象外とするとともに、当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の労働者等については、労使協定により、措置の対象から除外できるようにすることが適当である。また、業務の性質上又は事業場の実態に照らし、短時間勤務とすることが難しい労働者については、労使協定により、措置の対象から除外できることとし、対象外となった労動者に対しては、代替措置として、現行の育介法第23条の選択的措置義務のうち他の措置(所定外労働の免除を除く。)を講ずることを義務付けることが適当である。

(2) 所定外労働の免除について

・ 所定外労働の免除について、3歳に達するまでの子を養育する労働者の請求により対象となる制度とすることが適当である。

・ 対象者については、当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の労働者等については、労使協定により、措置の対象から除外できるようにすることが適当である。また、事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は請求を拒否できることとすることが適当である。


2 父親も子育てができる働き方の実現

・ 父母がともに育児休業を取得する場合に、育児休業取得可能期間を子が1歳2か月に達するまでに延長することが適当である。この場合、父母1人ずつが取得できる休業期間(母親の産後休業を含む。)の上限については、現行と同様1年間とすることが適当である。

・ 出産後8週間以内の父親の育児休業取得を促進し、この期間に父親が育児休業を取得した場合には、特例として、育児休業の再度取得の申出を認めることが適当である。

・ 育児休業、時間外労働の制限等における労使協定による専業主婦(夫)除外規定等の廃止が適当である。


3 子育て・介護の状況に応じた両立支援制度の整備

(1) 子の看護休暇について
・ 付与日数を小学校就学の始期に達するまでの子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日とすることが適当である。また、子どもの予防接種及び健康診断の受診についても取得理由として認めることが適当である。

(2) 介護のための短期の休暇について
・ 要介護状態にある家族の通院の付き添いなどに対応するため、介護のための短期の休暇制度を設けることが適当である。この場合、付与日数については、要介護状態にある家族が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日とすることが適当である。

(3) 育児休業の再度取得要件について
・ 長期にわたる子どもの疾病が発覚した場合や、現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事情により新たに保育所等に入所申請を行ったが当面入所できない場合について、育児休業の再度取得を認めることが適当である。


4 実効性の確保

・ 不利益取扱いについて、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下「均等法」という。)における取扱いも踏まえ、育介法の趣旨、目的に照らして必要な見直しを行うことが適当である。

・ 苦情処理・紛争解決の援助について、均等法における仕組みと同様の仕組みを設けることが適当である。

・ 均等法と同様に、公表及び過料の規定を設けることが適当である。


5 その他

・ 1(1)、(2)を踏まえ、現行の育介法第23条の選択的措置義務(短時間勤務及び所定外労働の免除を除く。)について、3歳に達するまでの子を養育する労働者について措置を講ずるよう努めなければならないとすることが適当である。

・ 短時間勤務、所定外労働の免除、介護のための短期の休暇、時間外労働の制限、深夜業の免除などに関して、その申出等を理由とする不利益取扱いを禁止する旨の規定を設けることが適当である。