法が定める時間外労働の範囲
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■時間外労働の原則的取扱い |
■変形労働時間制における時間外労働 |
・ 1か月単位の変形労働時間制の場合 |
・ 1年単位の変形労働時間制の場合 |
・ 1週間単位の非定型的変形労働時間制の場合 |
・ フレックスタイム制の場合 |
■事業場外労働時間制における時間外労働 |
■裁量労働制における時間外労働 |
■労基法第41条に該当する「管理監督者」と時間外労働 |
労基法上残業となる時間、すなわち割増賃金の対象となる労働時間は、1日8時間を超える時間及び、1週40時間を超える時間です。
これらを超えた時間の労働に対し、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払うことが必要です。
法定時間外労働となるのは
1日8時間を超える時間 |
および |
1週40時間を超える時間 |
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変形労働時間制の場合
1か月単位の変形労働時間制の時間外労働
区 分 |
割増賃金の対象となる時間外労働 |
備 考 |
||
1日 | 就業規則等で8時間を超える時間を定めた日(例:9時間) | 定めた時間(例:9時間)を超える部分 | イ | |
それ以外の日 | 8時間を超えて労働した部分 | |||
1週間 | 就業規則等で週40時間を超える時間を定めた週(例:42時間) | 定めた時間(例:42時間)を超える部分 | ロ | イによって時間外労働となる部分を除く。 |
それ以外の週 | 40時間を超えて労働した部分 | |||
1か月 | 31日の月 | 177.1時間を超えて労働した部分 | イまたはロによって時間外労働をなる部分を除く。 | |
30日の月 | 171.4時間を超えて労働した部分 | |||
29日の月 | 165.7時間を超えて労働した部分 | |||
28日の月 | 160.0時間を超えて労働した部分 |
(※)以上は変形労働時間制の期間を1か月とした場合の例です。
リンク 1か月単位の変形労働時間制の導入要件 |
これを図示すると次のようになります。
1か月単位の変形労働時間制における時間外労働の考え方
(変形期間が1か月(起算日毎月1日)、所定労働時間が月間で165時間の場合)
所定 |
日 |
曜日 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
時間 | ||||||
所定労働時間36時間 | 1 | 日 | (休日) |
|
|||||||||||||||
2 | 月 |
8 |
|||||||||||||||||
3 | 火 |
7 |
所定労働時間 | ||||||||||||||||
4 | 水 |
7 |
|||||||||||||||||
5 | 木 |
7 |
|||||||||||||||||
6 | 金 |
7 |
|||||||||||||||||
7 | 土 |
@ |
|||||||||||||||||
39時間 | 8 | 日 | (休日) | ||||||||||||||||
9 | 月 |
7 |
|||||||||||||||||
10 | 火 |
8 |
(就業規則で定められた時 | ||||||||||||||||
11 | 水 |
8 |
間を超えて労働した部分) | ||||||||||||||||
12 | 木 |
8 |
|||||||||||||||||
13 | 金 |
8 |
A |
法定時間内の時間外労働 | |||||||||||||||
14 | 土 |
B |
C |
||||||||||||||||
44時間 | 15 | 日 | (休日) | ||||||||||||||||
16 | 月 |
9 |
D |
||||||||||||||||
17 | 火 |
9 |
法定時間外労働 | ||||||||||||||||
18 | 水 |
9 |
|||||||||||||||||
19 | 木 |
9 |
|||||||||||||||||
20 | 金 |
8 |
|||||||||||||||||
21 | 土 | (休日) | |||||||||||||||||
37時間 | 22 | 日 | (休日) | ||||||||||||||||
23 | 月 |
6 |
E |
||||||||||||||||
24 | 火 |
6 |
■■ |
F | |||||||||||||||
25 | 水 |
7 |
|||||||||||||||||
26 | 木 |
7 |
|||||||||||||||||
27 | 金 |
8 |
|||||||||||||||||
28 | 土 |
3 |
|||||||||||||||||
9時間 | 29 | 日 | (休日) | ||||||||||||||||
30 | 月 |
9 |
区 分 |
割増賃金の対象となる時間外労働 |
備 考 |
||
1日 | 労使協定で8時間を超える時間を定めた日(例:9時間) | 定めた時間(例:9時間)を超える部分 | イ | |
労使協定で8時間以内と定めた日(例:7時間) | 8時間を超えて労働した部分 | |||
1週間 | 労使協定で週40時間を超える時間を定めた週(例:42時間) | 定めた時間(例:42時間)を超える部分 | ロ | イによって時間外労働となる部分を除く。 |
労使協定で週40時間としている週 | 40時間を超えて労働した部分 | |||
1年間 | 365日の年 | 2085.7時間を超えて労働した部分(※) | イまたはロによって時間外労働をなる部分を除く。 | |
366日の年 | 2091.1時間を超えて労働した部分 |
(※)2,085.7時間は次式により算出される。
40時間×(対象期間の日数÷7)
リンク 1年単位の変形労働時間制の導入要件 |
1年単位の変形労働時間制における中途入社・中途退職者の時間外労働の清算
清算時期
中途入社の者・・・対象期間の終了時点(中途入社者が中途退職した場合は、退職の時点)
中途退職者・・・退職の時点
中途転勤・・・以上に準じる
中途入社・退職・転勤等の場合の時間外労働の清算方法 @ その者が働いた期間の総実労働時間数をカウントする。 A その者が働いた期間の法定労働時間の総枠を次式によりカウントする。 (その者が働いた期間の暦日数÷7)×40時間 B @-Aの時間数を時間外労働として、法37条による割増賃金の支払清算を行う。
Aさん(中途退職者、退職日11月30日) Bさん(中途退職者、退職日 1月31日) Cさん(中途採用・中途退職、6月1日入社・10月31日退職) Dさん(中途採用者、採用日 6月 1日) |
区 分 |
割増賃金の対象となる時間外労働 |
備 考 |
||
1日 | 事前通知により8時間を超える時間を定めた日(例:9時間) | 定めた時間(例:9時間)を超える部分 | ||
事前通知により8時間以内とされた日(例:7時間) | 8時間を超えて労働した部分 | |||
1週間 | 40時間を超えて労働した部分 |
リンク 1週間単位の非定型的変形労働時間制の導入要件 |
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フレックスタイム制の時間外労働
フレックスタイム制は、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働となります。
下図は、清算期間1か月・週40時間労働制の場合の例です。
リンク フレックスタイム制の導入要件 |
7月 |
8月 |
9月 |
|||
不足分 |
左の不足分の処理において |
||||
実労働時間203時間 |
実労働時間149時間 |
28時間 ↑ |
28時間+171時間=実労働時間199時間 |
||
総枠177時間(31日) |
26時間 |
総枠177時間(31日) |
総枠171時間(30日) |
28時間 |
|
↓ |
↓ |
||||
過剰分 |
繰越により生じた過剰分 |
||||
↓ |
↓ |
||||
時間外労働 |
時間外労働 |
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事業場外労働制の時間外労働
事業場外労働であって、労働時間の算定が困難な場合には、労働時間は次の@ABの方法によって算定することになっています。
労働時間の算定が困難な場合 |
時間外労働の取扱い |
@ 原則として所定労働時間労働したものとみなす。 | (時間外労働は発生しません) |
A 当該業務を遂行するために通常、所定労働時間を超えて労働することが必要な場合は、通常必要とされる時間労働したものとみなす。 | (使用者がみなした労働時間−法定労働時間=時間外労働) |
B Aの場合で、労使協定が締結されている場合は、その協定で定める時間労働したものとみなす。 | (労使協定で定めたみなし労働時間−法定労働時間=時間外労働) |
リンク 事業場外みなし労働時間制の導入要件 |
裁量労働制における時間外労働
導入要件と所定の手続を経て適法に導入された裁量労働制である場合、時間外労働となるのは、労使協定(専門型裁量労働制)または労使委員会の決議(企画業務型裁量労働制)で定めるところの当該業務の遂行に必要とされる時間と法定労働時間の差に当たる部分です。
これに対しては、時間外労働として割増賃金の支払が必要となります。
時間外労働となる時間 |
|
専門業務型裁量労働制 | 労使協定で定めた当該業務の遂行に必要とされる時間(みなし時間)−法定労働時間=時間外労働 |
企画業務型裁量労働制 | 労使委員会で決議した当該業務の遂行に必要とされる時間(みなし時間)−法定労働時間=時間外労働 |
リンク 専門業務型裁量労働制の導入要件 リンク 企画業務型裁量労働制の導入要件 |
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労基法第41条に該当する「管理監督者」と時間外労働
労働基準法上の時間外労働という概念はあり得ず、たとえ法定労働時間を超えて労働させても割増賃金を支払う必要はありません。
※労基法の「労働時間、休憩及び休日に関する規定は、適用しない」となっているためです。
※深夜業に関する規定は適用されますので、深夜労働の時間数に応じた割増賃金の支払が必要です。
リンク 労基法の管理監督者の範囲について