32-16 年休の請求はいつ行えばいいか(当日、朝の電話による請求は認めなくてよいか)  戻る

■ 労働者からする年休の請求は、使用者が時季変更権(労基法第39条第4項但し書き)を行使し得るための時間的余地を残して請求することを要する。

■ 従って、当日の朝になって電話で申し出のあった場合、これを年休として取扱わないとしても違法ではない。(正確には、使用者の時季変更権行使の正当性が容認される場合が多いということであって、無条件に年休が認められないという意味ではない。また、使用者から明確な時季変更権行使の意思表示が必要とされる。最高裁はこの点について、当該休暇日の途中でも、休暇終了後でも時季変更権を行使することが可能である(S57・3・18最高裁判決)としている。)

■ もちろん、事後届の年休を認めることはもとより自由である。

■ では、労働者はどの程度前もって申し出の必要があるかについては、「使用者の時季変更権はかなり制約された権利であることと、仮に前々日までと定めた場合であっても前日なって請求された年休を使用者が拒否することが可能か」という問題がある。使用者からする当該年休指定日の変更(拒否)はあくまで「事業の正常な運営を妨げる場合」に限定されたものであり、使用者が任意に定めた手続違背のみを理由に年休を認めないことはできない。通常は、前日のまでとする例が多いが妥当なものであろう。